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公開番号2019172593
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191010
出願番号2018060361
出願日20180327
発明の名称極性基を有する親水性有機化合物の結晶スポンジ法による構造解析のための結晶構造解析用試料調製方法
出願人味の素株式会社,国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人全 9 件を表示,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07C 67/00 20060101AFI20190913BHJP(有機化学)
要約【課題】親水性有機化合物の分子構造を結晶スポンジ法により解析するための試料調製方法を提供する。
【解決手段】親水性有機化合物の極性基に対して疎水性置換基を導入することにより、有機化合物を高分子金属錯体の空隙内に内包させることができる。
【選択図】図14
特許請求の範囲約 2,200 文字を表示【請求項1】
極性基を有する親水性有機化合物の結晶スポンジ法による構造解析のための結晶構造解析用試料調製方法であって、
前記結晶スポンジ法が、有機化合物の分子構造決定方法であって、以下の工程(1)〜(3)、
(1)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を提供する工程であって、
前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶が、式:[〔M(X)
2

3
(L)
2

n
〔式中、Mは金属イオンを表し、Xは一価の陰イオンを表し、Lは、下記式(1)
(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表し、X
1
〜X
3
は、それぞれ独立に、2価の有機基、またはArとY
1
〜Y
3
とを直接結ぶ単結合を表し、Y
1
〜Y
3
は、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す)で示される三座配位子を表し、nは任意の自然数を表す〕で示される高分子金属錯体の結晶であって、
前記三座配位子が、前記金属イオンに配位して三次元ネットワーク構造を形成し、かつ、該三次元ネットワーク構造が、その内部に空隙を有し、前記空隙に、脂肪族炭化水素;脂環式炭化水素;エーテル類;エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、並びにニトリル類からなる群から選ばれる少なくとも一種が、ゲスト化合物(A)として内包されており、
前記空隙における、前記ゲスト化合物(A)の存在量が、前記空隙に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上である、工程、
(2)前記有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に、前記有機化合物の分子が内包されてなる結晶構造解析用試料を得る工程、並びに
(3)前記結晶構造解析用試料の結晶構造解析を行って、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に内包されている有機化合物の分子構造を決定する工程、
を含む、方法であり、
前記結晶構造解析用試料調製方法が、以下の工程(a)及び(b)、
(a)前記親水性有機化合物の極性基に疎水性置換基を導入して、疎水性置換基を導入した有機化合物を得る工程、及び
(b)前記疎水性置換基を導入した有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に、前記疎水性置換基を導入した有機化合物の分子が内包されてなる前記結晶構造解析用試料を得る工程、
を含むことを特徴とする、結晶構造解析用試料調製方法。
【請求項2】
前記疎水性置換基が、少なくとも1つの芳香環を有する、請求項1に記載の試料調製方法。
【請求項3】
前記疎水性置換基が、2つのベンゼン環、1つのベンゼン環と1つのtert−ブチル基、1つのインドール環又は1つのナフタレン環を有する、請求項2に記載の試料調製方法。
【請求項4】
前記疎水性置換基が、前記極性基への導入により前記親水性有機化合物の脂溶性を向上させる基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【請求項5】
前記疎水性置換基が、前記高分子金属錯体と相互作用する基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【請求項6】
前記極性基が、アミノ基、水酸基、チオール基又はカルボキシ基である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【請求項7】
前記極性基が、アミノ基又はカルボキシ基である、請求項6に記載の試料調製方法。
【請求項8】
前記極性基が、アミノ基であり、前記工程(a)において、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合又はチオウレア結合により前記疎水性置換基を前記極性基に導入する、請求項7に記載の試料調製方法。
【請求項9】
前記疎水性置換基が、1−ナフチルカルバモチオイル基、1,1−ジフェニルアセチル基、4−tert−ブチルベンゾイル基又は2−インドールカルボニル基である、請求項8に記載の試料調製方法。
【請求項10】
前記極性基が、カルボキシ基であり、前記工程(a)において、エステル結合又はアミド結合により前記疎水性置換基を前記極性基に導入する、請求項7に記載の試料調製方法。
【請求項11】
前記疎水性置換基が、ジフェニルメチル基である、請求項10に記載の試料調製方法。
【請求項12】
前記親水性有機化合物が、アミノ酸、核酸、又は有機酸である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の試料調製方法により得られた前記試料の結晶構造解析を行う工程を含む、結晶スポンジ法による親水性有機化合物の構造解析方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の試料調製方法に用いるための、前記疎水性置換基を提供する化合物を含む、置換基導入用試薬。

発明の詳細な説明約 49,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、極性基を有する親水性有機化合物の結晶スポンジ法による構造解析のための結晶構造解析用試料調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海洋生物等に由来する微量の生理活性物質が農医薬資源等として期待されている。このため、これらの微量の有機化合物の分子構造を、正確、かつ、効率よく決定することは、新規農医薬品の開発等において極めて重要になってきている。また、農医薬品を製造する際は、安全性を高めるために、農医薬品やその原料に含まれる微量の不純物を正確に同定することが求められている。同様に、電子部品の製造に用いる原材料についても、近年の電子部品の高性能化に伴い、微量の不純物を同定し、それを低減化することが望まれている。このように、近年、多くの分野において、微量の有機化合物の分子構造を、正確、かつ、効率よく決定することが求められている。
【0003】
従来、有機化合物の分子構造を決定する方法として、単結晶X線構造解析法が知られている。単結晶X線構造解析法は、良質な単結晶を作製することができれば、有機化合物の分子構造を正確に決定することができるため、極めて有用な方法である。しかしながら、有機化合物が微量である場合、十分量の単結晶が得られないため、分子構造を決定する方法として、単結晶X線構造解析法を採用することが困難である。また、分子構造を決定する有機化合物が常温付近で液体である場合(すなわち、融点が室温以下の場合)等においては、単結晶を作製することが困難であった。
【0004】
単結晶X線構造解析法の上記課題を解決する方法として、結晶スポンジ法が知られている(特許文献1)。結晶スポンジ法とは、三次元ネットワーク構造と該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した空隙とを有する高分子金属錯体の空隙内に構造決定対象である有機化合物を内包してなる結晶構造解析用試料を作製し、その結晶構造解析用試料の構造解析を行うことにより、前記有機化合物の分子構造を決定する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5969616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、結晶スポンジ法では、高分子金属錯体の空隙に入れることができない化合物の構造を決定することができないという問題があった。例えば、空隙よりも大きな化合物は空隙に入れることができず、また、高分子金属錯体の構成成分が親油性のため、親水性の高い化合物も空隙に入れることができない。
【0007】
本発明の課題は、親水性有機化合物の分子構造を結晶スポンジ法により解析するための試料調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、親水性有機化合物の極性基に対して疎水性置換基を導入することにより、有機化合物を高分子金属錯体の空隙内に内包させることができることを見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は以下の態様を含むものである。
【0009】
〔1〕極性基を有する親水性有機化合物の結晶スポンジ法による構造解析のための結晶構造解析用試料調製方法であって、
前記結晶スポンジ法が、有機化合物の分子構造決定方法であって、以下の工程(1)〜(3)、
(1)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を提供する工程であって、
前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶が、式:[〔M(X)
2

3
(L)
2

n
〔式中、Mは金属イオンを表し、Xは一価の陰イオンを表し、Lは、下記式(1)
(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表し、X
1
〜X
3
は、それぞれ独立に、2価の有機基、またはArとY
1
〜Y
3
とを直接結ぶ単結合を表し、Y
1
〜Y
3
は、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す)で示される三座配位子を表し、nは任意の自然数を表す〕で示される高分子金属錯体の結晶であって、
前記三座配位子が、前記金属イオンに配位して三次元ネットワーク構造を形成し、かつ、該三次元ネットワーク構造が、その内部に空隙を有し、前記空隙に、脂肪族炭化水素;脂環式炭化水素;エーテル類;エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、並びにニトリル類からなる群から選ばれる少なくとも一種が、ゲスト化合物(A)として内包されており、
前記空隙における、前記ゲスト化合物(A)の存在量が、前記空隙に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上である、工程、
(2)前記有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に、前記有機化合物の分子が内包されてなる結晶構造解析用試料を得る工程、並びに
(3)前記結晶構造解析用試料の結晶構造解析を行って、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に内包されている有機化合物の分子構造を決定する工程、
を含む、方法であり、
前記結晶構造解析用試料調製方法が、以下の工程(a)及び(b)、
(a)前記親水性有機化合物の極性基に疎水性置換基を導入して、疎水性置換基を導入した有機化合物を得る工程、及び
(b)前記疎水性置換基を導入した有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に、前記疎水性置換基を導入した有機化合物の分子が内包されてなる前記結晶構造解析用試料を得る工程、
を含むことを特徴とする、結晶構造解析用試料調製方法。
【0010】
〔2〕前記疎水性置換基が、少なくとも1つの芳香環を有する、前記〔1〕に記載の試料調製方法。
【0011】
〔3〕前記疎水性置換基が、2つのベンゼン環、1つのベンゼン環と1つのtert−ブチル基、1つのインドール環又は1つのナフタレン環を有する、前記〔2〕に記載の試料調製方法。
【0012】
〔4〕前記疎水性置換基が、前記極性基への導入により前記親水性有機化合物の脂溶性を向上させる基である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【0013】
〔5〕前記疎水性置換基が、前記高分子金属錯体と相互作用する基である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【0014】
〔6〕前記極性基が、アミノ基、水酸基、チオール基又はカルボキシ基である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【0015】
〔7〕前記極性基が、アミノ基又はカルボキシ基である、前記〔6〕に記載の試料調製方法。
【0016】
〔8〕前記極性基が、アミノ基であり、前記工程(a)において、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合又はチオウレア結合により前記疎水性置換基を前記極性基に導入する、前記〔7〕に記載の試料調製方法。
【0017】
〔9〕前記疎水性置換基が、1−ナフチルカルバモチオイル基、1,1−ジフェニルアセチル基、4−tert−ブチルベンゾイル基又は2−インドールカルボニル基である、前記〔8〕に記載の試料調製方法。
【0018】
〔10〕前記極性基が、カルボキシ基であり、前記工程(a)において、エステル結合又はアミド結合により前記疎水性置換基を前記極性基に導入する、前記〔7〕に記載の試料調製方法。
【0019】
〔11〕前記疎水性置換基が、ジフェニルメチル基である、前記〔10〕に記載の試料調製方法。
【0020】
〔12〕前記親水性有機化合物が、アミノ酸又は核酸である、前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の試料調製方法。
【0021】
〔13〕前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の試料調製方法により得られた前記試料の結晶構造解析を行う工程を含む、結晶スポンジ法による親水性有機化合物の構造解析方法。
【0022】
〔14〕前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の試料調製方法に用いるための、前記疎水性置換基を提供する化合物を含む、置換基導入用試薬。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、親水性有機化合物の分子構造を結晶スポンジ法により解析するための試料調製方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1は、高分子金属錯体の細孔が延在する方向を示す。
図2は、高分子金属錯体1の三次元ネットワーク構造を示す。
図3は、高分子金属錯体3の三次元ネットワーク構造を示す。
図4は、高分子金属錯体5の三次元ネットワーク構造を示す。
図5は、溶媒溶液を濃縮する際に用いる装置の一例を示す。
図6は、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶上に、液状物である、分子構造を決定する有機化合物を、スポイドから滴下し、結晶構造解析用試料を作製する概念図を示す。
図7は、実施例1において得られた、メチル(2S)−2−(1−ナフチルカルバモチオイルアミノ)プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図8は、図7の結晶構造から想定される相互作用を示す。
図9は、実施例2において得られた、メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図10は、図9の結晶構造から想定される相互作用を示す。
図11は、実施例3において得られた、メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−フェニル−プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図12は、実施例4において得られた、メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−メチル−ブタノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図13は、実施例5において得られた、メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−ヒドロキシ−プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図14は、実施例6において得られた、ジメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]ペンタンジオエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図15は、実施例7において得られた、N−[(1S)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−エチル]−2,2−ジフェニル−アセトアミド内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図16は、実施例8において得られた、メチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図17は、図16の結晶構造から想定される相互作用を示す。
図18は、実施例9において得られた、メチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図19は、実施例10において得られた、メチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]−3−ヒドロキシ−プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図20は、実施例11において得られた、メチル(2S)−1−(1H−インドール−2−カルボニル)ピロリジン−2−カルボキシレート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図21は、図20の結晶構造から想定される相互作用を示す。
図22は、実施例12において得られた、メチル(2S)−2−(1H−インドール−2−カルボニルアミノ)−3−フェニル−プロパノエート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図23は、実施例13において得られた、ベンズヒドリル(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニル−アセテート内包高分子金属錯体の結晶構造を示す。
図24は、図23の結晶構造から想定される相互作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、極性基を有する親水性有機化合物の結晶スポンジ法による構造解析のための結晶構造解析用試料調製方法であって、
前記結晶スポンジ法が、有機化合物の分子構造決定方法であって、以下の工程(1)〜(3)、
(1)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を提供する工程であって、
前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶が、式:[〔M(X)
2

3
(L)
2

n
〔式中、Mは金属イオンを表し、Xは一価の陰イオンを表し、Lは、下記式(1)
(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表し、X
1
〜X
3
は、それぞれ独立に、2価の有機基、またはArとY
1
〜Y
3
とを直接結ぶ単結合を表し、Y
1
〜Y
3
は、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す)で示される三座配位子を表し、nは任意の自然数を表す〕で示される高分子金属錯体の結晶であって、
前記三座配位子が、前記金属イオンに配位して三次元ネットワーク構造を形成し、かつ、該三次元ネットワーク構造が、その内部に空隙を有し、前記空隙に、脂肪族炭化水素;脂環式炭化水素;エーテル類;エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンからなる群から選ばれる芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、並びにニトリル類からなる群から選ばれる少なくとも一種が、ゲスト化合物(A)として内包されており、
前記空隙における、前記ゲスト化合物(A)の存在量が、前記空隙に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上である、工程、
(2)前記有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に、前記有機化合物の分子が内包されてなる結晶構造解析用試料を得る工程、並びに
(3)前記結晶構造解析用試料の結晶構造解析を行って、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に内包されている有機化合物の分子構造を決定する工程、
を含む、方法であり、
前記結晶構造解析用試料調製方法が、以下の工程(a)及び(b)、
(a)前記親水性有機化合物の極性基に疎水性置換基を導入して、疎水性置換基を導入した有機化合物を得る工程、及び
(b)前記疎水性置換基を導入した有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、前記三次元ネットワーク構造内の空隙に、前記疎水性置換基を導入した有機化合物の分子が内包されてなる前記結晶構造解析用試料を得る工程、
を含むことを特徴とする、試料調製方法に関する。
【0026】
工程(a)
本発明の試料調製方法は、前記親水性有機化合物の極性基に疎水性置換基を導入して、疎水性置換基を導入した有機化合物を得る工程(工程(a))を含む。
【0027】
本発明において、「親水性有機化合物」とは、水に溶解しやすいかあるいは水に混ざりやすく、非極性溶媒に不溶である有機化合物をいう。「疎水性置換基」とは、水との親和性が低く、非極性溶媒との親和性が高い置換基をいう。「極性基」とは、極性のある原子団をいう。
【0028】
疎水性置換基は、少なくとも1つの芳香環を有するのが好ましく、2つのベンゼン環、1つのベンゼン環と1つのtert−ブチル基、1つのインドール環又は1つのナフタレン環を有するのがより好ましい。好ましい疎水性置換基としては、1−ナフチルカルバモチオイル基、1,1−ジフェニルアセチル基、4−tert−ブチルベンゾイル基、2−インドールカルボニル基、ジフェニルメチル基、[4−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル]カルバモチオイル基、ナフタレン−1−カルボニル基、フェロセンカルボニル基、ベンゾイル基、3−ブロモ−4−tert−ブチルベンゾイル基、ベンジル基等を挙げることができる。また、疎水性置換基としては、芳香環を有さないものを用いてもよく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基等を用いることができる。
【0029】
親水性有機化合物の極性基への疎水性置換基の導入により、親水性有機化合物の脂溶性が向上するため、疎水性置換基を導入した親水性有機化合物を結晶スポンジ法で用いられる非極性有機溶媒に溶解させて、高分子金属錯体結晶の空隙に入れることができる。脂溶性は、例えば、従来公知の方法により、オクタノール−水分配係数を測定することで、あるいは、構造式に基づく計算によって評価することができる。また、疎水性置換基は、結晶スポンジ法で用いられる高分子金属錯体と相互作用することができる。相互作用は、π−π相互作用、CH−π相互作用、ハロゲン−π相互作用、電荷移動型相互作用等を含んでもよい。相互作用は、X線結晶構造解析後の原子座標データを描画ソフトで表示し、基準又はデータベースと比較することで、例えば、原子間距離がファンデルワールス半径より小さいことを確認することによって、検出することができる。更に、親水性化合物の極性基が求核性を有する場合には、金属と配位子との間の配位結合によって形成される高分子金属錯体結晶の構造が親水性化合物の極性基によって損なわれる可能性があるが、極性基に疎水性置換基を導入することにより、極性基の求核性を低下させて、高分子金属錯体結晶の構造を維持することができる。疎水性置換基によるこれらの作用により、疎水性置換基を導入した有機化合物を高分子金属錯体の空隙に内包することができる。
【0030】
親水性有機化合物の極性基は、特に制限は無いが、アミノ基、水酸基、チオール基又はカルボキシ基であることが好ましく、アミノ基又はカルボキシ基であることがより好ましい。
【0031】
極性基がアミノ基である場合、工程(a)において、疎水性置換基は、例えば、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合又はチオウレア結合により極性基に導入されてもよい。極性基がアミノ基である場合、疎水性置換基は、1−ナフチルカルバモチオイル基、1,1−ジフェニルアセチル基、4−tert−ブチルベンゾイル基又は2−インドールカルボニル基であることが好ましい。
【0032】
極性基がカルボキシ基である場合、前記工程(a)において、疎水性置換基は、例えば、エステル結合又はアミド結合により極性基に導入されてもよい。極性基がカルボキシ基である場合、疎水性置換基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基であることが好ましい。
【0033】
極性基が水酸基である場合、前記工程(a)において、疎水性置換基は、例えば、エーテル結合又はエステル結合により極性基に導入されてもよい。極性基が水酸基である場合、疎水性置換基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ベンゾイル基、ジフェニルアセチル基であることが好ましい。
【0034】
極性基がチオール基である場合、前記工程(a)において、疎水性置換基は、例えば、チオエーテル結合により極性基に導入されてもよい。極性基が水酸基である場合、疎水性置換基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基であることが好ましい。
【0035】
親水性有機化合物は、疎水性置換基導入後に結晶スポンジ法で用いられる高分子金属錯体の空隙に入り得る大きさのものである限り、特に限定されない。親水性有機化合物は、好ましくはアミノ酸、核酸、又は有機酸である。アミノ酸及び核酸は、その塩又は誘導体を含んでもよい。
【0036】
極性基に疎水性置換基を導入する方法には特に制限は無く、極性基及び疎水性置換基の種類に応じてこれらを結合させるための従来公知の方法を利用することができる。
【0037】
工程(b)
本発明の結晶構造解析用試料調製方法は、疎水性置換基を導入した有機化合物を含む溶媒溶液に前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させて、三次元ネットワーク構造内の空隙に、疎水性置換基を導入した有機化合物の分子が内包されてなる結晶構造解析用試料を得る工程(工程(b))を含む。工程(b)は、有機化合物を含む溶媒溶液として工程(a)で得られる疎水性置換基を導入した有機化合物を含む溶媒溶液を用いる以外は、後述する結晶スポンジ法における結晶構造解析用試料の作製方法と同様にして実施することができる。
【0038】
本発明はまた、工程(b)で得られた結晶構造解析用試料の結晶構造解析を行う工程を含む、結晶スポンジ法による親水性有機化合物の構造解析方法に関する。本発明において、試料の結晶構造解析は、試料として工程(b)で得られる結晶構造解析用試料を用いる以外は、後述する結晶スポンジ法における有機化合物の分子構造決定方法と同様にして実施することができる。本発明においては、構造解析対象である親水性有機化合物の極性基に、構造が既知の疎水性置換基を導入するため、導入した疎水性置換基に由来する電子密度を手掛かりとして、構造が未知の親水性有機化合物の解析を容易にすることが可能となる。
【0039】
本発明は更に、上記試料調製方法に用いるための、疎水性置換基を提供する化合物を含む、置換基導入試薬に関する。
【0040】
疎水性置換基を提供する化合物としては、例えば、イソチオシアン酸1−ナフチル、ジフェニルアセチルクロリド、4−tert−ブチル安息香酸、インドール−2−カルボン酸、ジフェニルメチルトリクロロアセトイミダート、ヨードメタン、トリメチルシリルジアゾメタン等を挙げることができる。
【0041】
置換基導入試薬は、任意に、酸塩化物、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、カルボン酸、イソチオシアン酸、アルコール、ハロゲン化アルキル、トリクロロアセトイミダート等を含んでもよい。
【0042】
結晶スポンジ法は、参照によりその全体が本願に組み込まれる特許第5969616号において詳細に説明されている。
【0043】
以下、本発明で用いられる結晶スポンジ法を、A)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶、B)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶の製造方法、C)結晶構造解析用試料の作製方法、及び、D)有機化合物の分子構造決定方法、に項分けして詳細に説明する。
【0044】
A)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶
ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶は、配位性部位を2つ以上有する配位子及び中心金属としての金属イオンとを含む高分子金属錯体であって、前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した空隙を有する高分子金属錯体の前記空隙内に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及びニトリル類からなる群から選ばれる少なくとも一種がゲスト化合物(A)として内包されてなり、前記空隙内における、前記ゲスト化合物(A)の存在量が、前記空隙内に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上であることを特徴とする。
【0045】
(i)高分子金属錯体
高分子金属錯体は、配位性部位を2つ以上有する配位子及び中心金属としての金属イオンとを含む三次元ネットワーク構造を有するものである。
ここで、「三次元ネットワーク構造」とは、配位子(配位性部位を2つ以上有する配位子及びその他の単座配位子)と金属イオンが結合して形成された構造単位が、三次元的に繰り返されてなる網状の構造をいう。
【0046】
〔配位子〕
配位性部位を2つ以上有する配位子(以下、「多座配位子」ということがある。)は、金属イオンに配位して、前記三次元ネットワーク構造を形成し得るものである限り特に限定されず、公知の多座配位子を利用することができる。
ここで、「配位性部位」とは、配位結合が可能な非共有電子対を有する、配位子中の原子又は原子団をいう。例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子等のヘテロ原子;ニトロ基、アミノ基、シアノ基、カルボキシル基等の原子団;等が挙げられる。なかでも、窒素原子又は窒素原子を含む原子団が好ましい。
【0047】
また、多座配位子としては、配位子の平面性が高く、強固な三次元ネットワーク構造が形成され易いことから、芳香環を有するものが好ましい。
さらに、比較的大きな空隙を有する高分子金属錯体を容易に得ることができる観点から、多座配位子としては、配位性部位を2つ以上有する配位子が好ましく、配位性部位を3つ有する配位子(以下、「三座配位子」ということがある。)がより好ましく、3つの配位性部位の非共有電子対(軌道)が擬同一平面上に存在し、かつ、3つの配位性部位が、三座配位子の中心部に対して等間隔放射状に配置されているものがさらに好ましい。
【0048】
ここで、「擬同一平面上に存在する」とは、各非共有電子対が、同一平面上に存在する状態の他、若干ずれた平面、例えば、基準となる平面に対して、20°以下で交差するような平面に存在する状態も含む意味である。
また、「3つの配位性部位が、三座配位子の中心部に対して等間隔放射状に配置されている」とは、配位子の中心部から等間隔で放射状に延びる線上に、3つの配位性部位が前記中心部から略等距離に配置されている状態をいう。
【0049】
三座配位子としては、例えば、式(1)
(式中、Arは、置換基を有していてもよい3価の芳香族基を表す。X
1
〜X
3
は、それぞれ独立に、2価の有機基、又はArとY
1
〜Y
3
とを直接結ぶ単結合を表す。Y
1
〜Y
3
は、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す。)で示される配位子が挙げられる。
【0050】
式(1)中、Arは3価の芳香族基を表す。
Arを構成する炭素原子の数は、通常3〜22、好ましくは3〜13、より好ましくは3〜6である。
【0051】
Arとしては、6員環の芳香環1つからなる単環構造を有する3価の芳香族基や、6員環の芳香環が3個縮合してなる縮合環構造を有する3価の芳香族基が挙げられる。
【0052】
6員環の芳香環1つからなる単環構造を有する3価の芳香族基としては、下記式(2a)〜式(2d)で示される基が挙げられる。また、6員環の芳香環が3個縮合してなる縮合環構造を有する3価の芳香族基としては、下記式(2e)で示される基が挙げられる。なお、式(2a)〜式(2e)において、「*」は、それぞれ、X
1
〜X
3
との結合位置を表す。
【0053】
【0054】
Arは、式(2a)、式(2c)〜式(2e)で示される芳香族基の任意の位置に置換基を有するものであってもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、t−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。これらの中でも、式(2a) 又は(2b)で示される芳香族基が好ましく、式(2b)で示される芳香族基が特に好ましい。
【0055】

1
〜X
3
は、それぞれ独立に、2価の有機基、又はArとY
1
〜Y
3
とを直接結ぶ単結合を表す。
【0056】
2価の有機基としては、Arとともに、π電子共役系を構成し得るものが好ましい。X
1
〜X
3
で表される2価の有機基がπ電子共役系を構成することで、式(1)で示される三座配位子の平面性が向上し、より強固な三次元ネットワーク構造が形成され易くなる。
2価の有機基を構成する炭素原子の数は、2〜18が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜6がさらに好ましい。
【0057】
2価の有機基としては、炭素数2〜10の2価の不飽和脂肪族基、6員芳香環1つからなる単環構造を有する2価の有機基、6員芳香環が2〜4個縮合してなる縮合環構造を有する2価の有機基、アミド基〔−C(=O)−NH−〕、エステル基〔−C(=O)−O−〕、これらの2価の有機基の2種以上の組み合わせ等が挙げられる。
【0058】
炭素数2〜10の2価の不飽和脂肪族基としては、ビニレン基、アセチレン基(エチニレン基)等が挙げられる。
6員環の芳香環1つからなる単環構造を有する2価の有機基としては、1,4−フェニレン基等が挙げられる。
6員環の芳香環が2〜4個縮合してなる縮合環構造を有する2価の有機基としては、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、アントラセン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
これらの2価の有機基の2種以上の組み合わせとしては、下記のものが挙げられる。
【0059】
【0060】
これらの芳香環は、環内に、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
また、2価の有機基は、置換基を有するものであってもよい。かかる置換基としては、Arの置換基として先に示したものと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、X
1
〜X
3
で表される2価の有機基としては、下記のものが好ましい。
【0061】
【0062】

1
〜Y
3
は、それぞれ独立に、配位性部位を有する1価の有機基を表す。

1
〜Y
3
で表される有機基としては、Ar、X
1
〜X
3
とともに、π電子共役系を構成し得るものが好ましい。

1
〜Y
3
で表される有機基がπ電子共役系を構成することで、式(1)で示される三座配位子の平面性が向上し、強固な三次元ネットワーク構造が形成され易くなる。

1
〜Y
3
を構成する炭素原子の数は、5〜11が好ましく、5〜7がより好ましい。
【0063】

1
〜Y
3
としては、下記式(3a)〜式(3f)で示される有機基が挙げられる。なお、式(3a)〜式(3f)において、「*」は、X
1
〜X
3
との結合位置を表す。
【0064】
【0065】

1
〜Y
3
は、式(3a)〜式(3f)で示される有機基の任意の位置に、置換基を有するものであってもよい。かかる置換基としては、Arの置換基として先に例示したものと同様のものが挙げられる。
これらの中でも、式(3a)で表される基が特に好ましい。
【0066】
式(1)で示される三座配位子中の、Ar、X
1
〜X
3
、Y
1
〜Y
3
を適宜選択することで、高分子金属錯体の空隙の大きさを調節することができる。この方法を利用することで、分子構造を決定する有機化合物を包接し得る大きさの空隙を有する高分子金属錯体の単結晶を効率よく得ることができる。
【0067】
式(1)で示される三座配位子としては、強固な三次元ネットワーク構造が形成され易いことから、平面性及び対称性が高く、かつ、π共役系が配位子全体に広がっているものが好ましい。このような三座配位子としては、下記式(4a)〜式(4f)で示される配位子が挙げられる。
【0068】
【0069】
これらの中でも、式(1)で示される三座配位子としては、上記式(4a)で示される2,4,6−トリス(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジン(TPT)が特に好ましい。
【0070】
〔金属イオン〕
中心金属としての金属イオンは、前記多座配位子と配位結合を形成して、三次元ネットワーク構造を形成し得るものである限り特に限定されず、公知の金属イオンが挙げられる。なかでも、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、銀イオン等の周期表第8〜12族の金属のイオンが好ましく、2価の、周期表第8〜12族の金属イオンがより好ましい。なかでも、大きな空隙を有する高分子金属錯体が得られ易いことから、亜鉛(II)イオン、コバルト(II)イオンが特に好ましい。
【0071】
〔高分子金属錯体を構成するその他の成分〕
高分子金属錯体は、通常、中性の多座配位子の他に、対イオンとなる単座配位子が配位することで安定化されている。
かかる単座配位子としては、塩化物イオン(Cl
-
)、臭化物イオン(Br
-
)、ヨウ化物イオン(I
-
)、チオシアン酸イオン(SCN
-
)等の1価の陰イオンが挙げられる。
【0072】
また、高分子金属錯体は、溶媒;アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、エチレンジアミン等の電気的に中性の配位性化合物;後述する骨格形成性芳香族化合物;を含むものであってもよい。
【0073】
「骨格形成性芳香族化合物」とは、配位結合以外の結合又は相互作用によって、三次元ネットワーク構造中に拘束され、ホスト分子(ゲスト化合物を取り込むことができる化合物)の骨格の一部を構成する芳香族化合物をいう。高分子金属錯体が骨格形成性芳香族化合物を含むことで、その三次元ネットワーク構造がより強固になり易く、分子構造を決定する有機化合物の分子を包接した後であっても、三次元ネットワーク構造がより安定化する場合がある。
【0074】
骨格形成性芳香族化合物としては、縮合多環芳香族化合物が挙げられる。例えば、下記式(5a)〜式(5i)で示されるものが挙げられる。
【0075】
【0076】
〔高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造〕
高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造は、前記多座配位子が前記金属イオンに配位して形成されたものであり、その内部に、三次元的に規則正しく整列した空隙を有する。
【0077】
ここで、「三次元的に規則正しく整列した空隙」とは、単結晶X線構造解析によって、空隙を確認することができる程度に乱れなく、規則的に整列している空隙をいう。空隙は、以下に定義される細孔及び中空を含む。
「細孔」は、後述する図3(a)、(b)に示すごとく、三次元ネットワーク構造の間に形成された空間A、Bや、図4(a)に示すごとく、球状錯体構造の繰り返し単位間に形成された空間等のように、高分子金属錯体の三次元ネットワーク構造の間に形成された空間を意味する。また、「中空」とは、図4(a)に示す球状錯体構造の繰り返し単位(線で囲まれた部分、図4(b)参照)における、球状錯体構造が有する内部空間をいう。
なお、本明細書において、「三次元ネットワーク構造内の細孔」、「高分子金属錯体の細孔」、「単結晶中の細孔」はいずれも同じ意味を表す。
【0078】
三次元ネットワーク構造は、上記の構造的特徴を有し、かつ、前記空隙が、分子構造を決定する有機化合物の分子を包接し得る大きさのものである限り、特に限定されない。
一般的に、配位子の中心から、配位性部位までの距離が長い多座配位子を用いると、相対的に空隙が大きい高分子金属錯体が得られ、配位子の中心から、配位性部位までの距離が短い多座配位子を用いると、相対的に空隙が小さい高分子金属錯体が得られる。
【0079】
細孔の大きさは、細孔が延在する方向に対して、最も垂直に近い結晶面と平行な面(以下、平行面ということがある。)における細孔の内接円(以下、単に「細孔の内接円」ということがある。)の直径と相関がある。
【0080】
「細孔が延在する方向」は、以下の方法により決定することができる。
すなわち、まず、対象の細孔を横切る適当な方向の結晶面X(A面、B面、C面かそれぞれの対角面など)を選ぶ。そして、結晶面X上に存在し、かつ、ホスト分子を構成する原子を、ファンデルワールス半径を用いて表すことで、結晶面Xを切断面とする細孔の断面図を描く。同様に、当該結晶面Xと一単位胞ずれた結晶面Yを切断面とする細孔の断面図を描く。次に、それぞれの結晶面における細孔の断面形状の中心間を、立体図において直線(一点鎖線)で結ぶ(図1参照)。このとき得られる直線の方向が、細孔が延在する方向である。
【0081】
また、「細孔の内接円の直径」は、以下の方法により求めることができる。
すなわち、まず、上記と同様の方法により、前記平行面を切断面とする細孔の断面図を描く。次に、その断面図において細孔の内接円を描き、その直径を測定した後、得られた測定値を実際のスケールに換算することで、実際の細孔の内接円の直径を求めることができる。
さらに、前記平行面を、一単位胞分、徐々に平行移動させながら、各平行面における細孔の内接円の直径を測定することで、最も狭い部分の内接円の直径と、最も広い部分の内接円の直径が求められる。
【0082】
高分子金属錯体の細孔の内接円の直径は、2〜30Åが好ましく、3〜10Åがより好ましい。
【0083】
また、細孔の形状が真円とは大きく異なる場合、上記平行面における細孔の内接楕円の短径及び長径から、高分子金属錯体のゲスト分子包接能を予測することが好ましい。
高分子金属錯体の細孔の内接楕円の長径は、2〜30Åが好ましく、3〜10Åがより好ましい。また、高分子金属錯体の細孔の内接楕円の短径は、2〜30Åが好ましく、3〜10Åがより好ましい。
【0084】
高分子金属錯体の細孔容積は、論文Acta Crystallogr.A46,194−201(1990)に記載の手法により求めることができる。すなわち、計算プログラム(PLATON SQUEEZE PROGRAM)により算出したSolvent Accessible Void(単位格子内の空隙体積)をもとに「単結晶の体積×単位胞における空隙率」を用いて計算することができる。
高分子金属錯体の細孔容積(一粒の単結晶中のすべての細孔の容積)は、1×10
-7
〜0.1mm
3
が好ましく、1×10
-5
〜1×10
-3
mm
3
がより好ましい。
【0085】
また、上述のように、高分子金属錯体が球状錯体構造の繰り返し単位からなる場合、各球状錯体構造は内部空間(中空)を有する。中空の大きさも、細孔容積と同様に、論文Acta Crystallogr.A46,194−201(1990)に記載の手法により求めることができる。
【0086】
高分子金属錯体は、ゲスト化合物をその空隙内に取り込んだ後においても結晶性を失わず、かつ、比較的大きな空隙を有するものが好ましい。
【0087】
これらの高分子金属錯体は、その空隙内に、高分子金属錯体の合成時に用いた有機溶媒(以下、「結晶化溶媒」ということがある。)を内包している。
この結晶化溶媒がゲスト化合物(A)であれば、得られる高分子金属錯体は、ゲスト化合物内包高分子金属錯体に相当する。
結晶化溶媒がゲスト化合物(A)でない場合には、後述するように、結晶化溶媒を、ゲスト化合物(A)にゲスト置換することにより、結晶構造解析用試料の作製に好適に用いることができるゲスト化合物内包高分子金属錯体とすることができる。
【0088】
高分子金属錯体は、一般的には、配位性部位を2つ以上有する配位子の第1の溶媒溶液と、金属塩を含む第2の溶媒溶液とを、前記配位子と金属イオンとが所定割合となるように混合することで得ることができる。例えば、配位子として、前記式(1)で示される三座配位子を用い、金属塩として、ヨウ化亜鉛、臭化亜鉛等の亜鉛(II)の塩;チオシアン酸コバルト等のコバルト(II)の塩等を用いることができる。なお、高分子金属錯体の合成方法の詳細は後述する。
【0089】
高分子金属錯体の具体例としては、三座配位子として、前記式(4a)で示されるTPT(2,4,6−トリス(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジン)を用いることにより得られる、下記式(6a)〜式(6d)で示される高分子金属錯体が挙げられる。これらの高分子金属錯体は、高分子金属錯体として特に適している。
【0090】
【0091】
上記式(6a)〜式(6d)中、「solv」は、空隙に内包された結晶化溶媒を表し、「SA」は、骨格形成性芳香族化合物を表し、a、bは任意の自然数を表す。
以下、これらの高分子金属錯体について詳しく説明する。なお、以下の説明中、配位子や溶媒分子を以下のように省略することがある。
【0092】
PhNO
2
:ニトロベンゼン
TPH:トリフェニレン
PER:ペリレン
MeOH:メタノール
DCB:1,2−ジクロロベンゼン
【0093】
(1)[(ZnI
2

3
(TPT)
2
(solv)
a

b
(6a)
式(6a)で示される高分子金属錯体としては、特開2008−214584号公報、J.Am.Chem.Soc.2004,v.126,pp16292−16293に記載の[(ZnI
2

3
(TPT)
2
(PhNO
2

5.5

n
(高分子金属錯体1)が挙げられる。
【0094】
高分子金属錯体1の三次元ネットワーク構造を図2(a)〜(d)に示す。
高分子金属錯体1の三次元ネットワーク構造は、2つの三次元ネットワーク構造5と6から構成される。三次元ネットワーク構造5、6中、各亜鉛(II)イオンには、2つのTPTのピリジル基と2つのヨウ化物イオンが四配位四面体型で配位している。そして、TPTによって、この亜鉛(II)イオンを含む構造同士が三次元的に結ばれることで、それぞれの三次元ネットワーク構造が形成されている〔図2(a)〕。
【0095】
三次元ネットワーク構造5、6は、それぞれ、最も短い閉鎖環状連鎖構造として、TPT10分子とZn10原子とからなる閉鎖環状連鎖構造を有している〔図2(b)〕。
これらの三次元ネットワーク構造5、6は、(010)軸に沿ったピッチが15Åの螺旋状のヘキサゴナル三次元ネットワーク構造とみなすことができる〔図2(c)〕。
【0096】
三次元ネットワーク構造5、6は、同じ亜鉛(II)イオンを共有することはなく、互いに独立している。そして、同一の空間を共有するように互いに入り組んだ入れ子状に相互貫通することで、複合化三次元ネットワーク構造を構成する。
この複合化三次元ネットワーク構造を有する高分子金属錯体1は、規則的に整列した1種類の細孔を有している〔図2(d)〕。
【0097】
高分子金属錯体1の空隙率は、50%である。
高分子金属錯体1の細孔の内接円の直径は、5〜8Åである。
【0098】
(2)[(ZnBr
2

3
(TPT)
2
(solv)
a

b
(6b)
式(6b)で示される高分子金属錯体としては、特開2008−214318号公報に記載の[(ZnBr
2

3
(TPT)
2
(PhNO
2

5
(H
2
O)]
n
(高分子金属錯体2)が挙げられる。
【0099】
高分子金属錯体2は、(ZnI
2
)が(ZnBr
2
)に置き換わっている点を除き、高分子金属錯体1の三次元ネットワーク構造と同様の構造を有している。
高分子金属錯体2の細孔の形状や大きさ、及び空隙率は、高分子金属錯体1のものとほぼ同じである。
【0100】
(3)[(ZnI
2

3
(TPT)
2
(SA)(solv)
a
)]
b
(6c)
式(6c)で示される高分子金属錯体としては、特開2006−188560号公報に記載の[(ZnI
2

3
(TPT)
2
(TPH)(PhNO
2

3.9
(MeOH)
1.8

n
(高分子金属錯体3)や、[(ZnI
2

3
(TPT)
2
(PER)(PhNO
2

4

n
(高分子金属錯体4)が挙げられる。
【0101】
高分子金属錯体3の三次元ネットワーク構造を図3(a)〜(c)に示す。
高分子金属錯体3の三次元ネットワーク構造は、2つの三次元ネットワーク構造7と8から構成される。三次元ネットワーク構造7、8中、各亜鉛(II)イオンには、2つのヨウ化物イオンと2つのTPTのピリジル基が四配位四面体型で配位している。そして、TPTによって、この亜鉛(II)イオンを含む構造同士が三次元的に結ばれることで、それぞれの三次元ネットワーク構造が形成されている。
三次元ネットワーク構造7、8は、同じ亜鉛(II)イオンを共有することはなく、互いに独立している。そして、同一の空間を共有するように互いに入り組んだ入れ子状に相互貫通することで、複合化三次元ネットワーク構造を構成する。
【0102】
高分子金属錯体3中で、トリフェニレン分子(11)は、3次元ネットワーク構造7のトリス(4−ピリジル)トリアジン〔TPT(9)〕のπ平面と、3次元ネットワーク構造8のトリス(4−ピリジル)トリアジン〔TPT(10)〕のπ平面との間に強固に挿入(インターカレート)されている〔図3(b)〕。このとき、トリフェニレン分子は、TPT(9)及びTPT(10)間のπ−π相互作用によって安定化され、高分子金属錯体3の主骨格の一部として機能している。なお、図3(b)は、図3(a)中の線で囲った部分を横から見たときの図である。
【0103】
高分子金属錯体3には、その三次元ネットワーク構造内に規則的に配列した2種の細孔(細孔A及びB)が存在する〔図3(c)〕。細孔A及びBは、TPTとTPHが交互に積み重なった積み重ね構造の間に、それぞれ規則的に形成されている。
細孔Aは、ほぼ円筒型であり、且つ、積み重なった無数のTPT及びTPHのπ平面の側縁に存在する水素原子でほぼ取り囲まれている。
一方、細孔Bは、略三角柱型であり、且つ、その三角柱を形成する3方の面のうち、2つはTPTのπ平面に取り囲まれ、もう一つは積み重なった無数のTPT及びTPHのπ平面の側縁に存在する水素原子で取り囲まれている。
これら細孔A及びBは、若干蛇行した細長い形状を有している。
【0104】
高分子金属錯体3の細孔の空隙率は、28%である。
高分子金属錯体3の細孔Aの内接円の直径は、5〜8Åである。
高分子金属錯体3の細孔Bの内接円の直径は、5〜8Åである。
【0105】
高分子金属錯体4は、高分子金属錯体3のトリフェニレン分子の代わりに、ペリレン分子が2つのTPTの間に挿入されている点を除き、高分子金属錯体3と同様の骨格構造を有する。
高分子金属錯体4の細孔の形状や大きさ、及び空隙率は、高分子金属錯体3のものとほぼ同じである。
【0106】
(4)[(Co(NCS)
2

3
(TPT)
4
(solv)
a

b
(6d)
式(6d)で示される高分子金属錯体としては、WO2011/062260号公報に記載の[(Co(NCS)
2

3
(TPT)
4
(DCB)
25
(MeOH)
5

n
(高分子金属錯体5)が挙げられる。
【0107】
高分子金属錯体5の三次元ネットワーク構造を図4(a)に示す。
高分子金属錯体5は、構造単位として、コバルトイオン6個と、TPT4個とから構成される〔Co
6
(TPT)
4
〕構造を有する。この構造単位は八面体型の立体形状を有し、該八面体の6つの頂点にコバルトイオンが配置されている〔図4(b)〕。各コバルト(II)イオンには、4つのTPTのピリジル基と2つのチオシアン酸イオンとが六配位八面体型で配位している。なお、図4(b)は、図4(a)中の線で囲った部分を拡大した図である。
そして、この〔Co
6
(TPT)
4
〕構造の各頂点に位置するコバルトイオンを共有しながら、〔Co
6
(TPT)
4
〕構造が三次元的に連結することで、〔Co
6
(TPT)
4
〕構造間に細孔が形成される〔図4(c)〕。
また、前記構造単位は、内部に中空を有している。
高分子金属錯体5の空隙率は、78%である。この値は、細孔及び中空の体積をあわせて算出した値である。
高分子金属錯体5の細孔の内接円の直径は、10〜18Åである。
【0108】
ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶としては、空隙内に最終的に取り込みを希望する有機化合物の取り込みを阻害せず、空隙内に内包するゲスト化合物(A)が有機化合物とゲスト交換し、有機化合物内包高分子金属錯体結晶となるものが好ましい。
【0109】
かかる観点から、ゲスト化合物(A)としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、エーテル類、エステル類、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及びニトリル類からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
【0110】
ゲスト化合物(A)としての脂肪族炭化水素としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、テトラデカン、オクタデカン等の、鎖状又は分枝状の炭素数1〜20の飽和脂肪族炭化水素;分子内に1又は2以上の、二重結合又は三重結合を有する、鎖状又は分枝型の炭素数2〜20の不飽和脂肪族炭化水素;等が挙げられる。
【0111】
脂環式炭化水素としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロへキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロウンデカン、デカリン等の炭素数3〜20の飽和脂環式炭化水素;これらの分子内に1又は2以上の、二重結合又は三重結合を有する炭素数3〜20の不飽和脂環式炭化水素;等が挙げられる。
【0112】
エーテル類としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0113】
エステル類としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、例えば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、酢酸オクチル、乳酸エチル、プロピオン酸エチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ペンチル、吉草酸ペンチル等が挙げられる。
【0114】
芳香族炭化水素としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等が挙げられる。
【0115】
ハロゲン化炭化水素としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、例えば、前記脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素として例示した化合物であって、分子内の炭素原子の1又は2以上が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等ハロゲン原子で置換された化合物を例示することができる。具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリフルオロメタン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0116】
ニトリル類としては、前記空隙に入り得るものであれば特に制約はなく、アセトニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
これらは一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0117】
これらの中でも、有機化合物とゲスト交換し易く、高品質な結晶構造解析用試料を容易に作製できる観点から、炭素数3〜20の脂環式炭化水素、及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素が好ましく、炭素数5〜10の脂環式炭化水素、及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素がより好ましく、シクロへキサン、及びトルエンがさらに好ましく、シクロヘキサンが特に好ましい。
【0118】
高分子金属錯体中の前記ゲスト化合物(A)の存在量は、前記空隙内に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上、好ましくは75%モル以上、より好ましくは90モル%以上である。
前記ゲスト化合物(A)の存在量が、前記空隙内に内包されているすべてのゲスト化合物に対して60モル%以上であれば、目的とする結晶構造解析用試料を容易に作製できるので好ましい。
【0119】
また、ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶においては、前記高分子金属錯体の空隙内に内包されているすべてのゲスト化合物の占有率は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。
前記占有率が10%以上であれば、X線単結晶構造解析においてゲスト化合物の構造を決定することが容易になり、ここから得られる構造データも化学的な信頼度が高くなる。
【0120】
占有率は、単結晶構造解析により得られる値であり、理想的な包接状態におけるゲスト化合物の量を100%としたときの、単結晶中に実際に存在するゲスト化合物の量を表すものである。
【0121】
B)ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶の製造方法
ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶の製造方法は、配位性部位を2つ以上有する配位子及び中心金属としての金属イオンとを含む高分子金属錯体であって、前記配位子が前記金属イオンに配位して形成された三次元ネットワーク構造を有し、かつ、該三次元ネットワーク構造内に空隙を有する高分子金属錯体の空隙内に、結晶化溶媒(ゲスト化合物(A)を除く、以下にて同じ。)が内包されてなる結晶化溶媒内包高分子金属錯体結晶を、液体状のゲスト化合物(A)、又は、ゲスト化合物(A)を含む不活性溶媒溶液中に浸漬させる工程を有することを特徴とする。
【0122】
すなわち、上記製造方法は、(i)結晶化溶媒中で高分子金属錯体結晶を合成して結晶化溶媒内包高分子金属錯体結晶を得、次いで、(ii)得られた結晶化溶媒内包高分子金属錯体結晶を、液体状のゲスト化合物(A)、又は、ゲスト化合物(A)を含む不活性溶媒溶液中に浸漬させ、空隙内の結晶化溶媒を、ゲスト化合物(A)に置換する工程を有する。
【0123】
(i)結晶化溶媒内包高分子金属錯体結晶の合成
結晶化溶媒内包高分子金属錯体は、多座配位子及び金属イオン含有化合物等を反応させる公知の方法によって合成することができる。例えば、多座配位子の第1の溶媒の溶媒溶液に、金属イオン含有化合物の第2の溶媒の溶媒溶液を加え、このまま、0〜70℃で、数時間から数日間、静置する方法が挙げられる。
【0124】
金属イオン含有化合物は、特に制限されない。例えば、式:MX
n
で示される化合物が挙げられる。ここで、Mは金属イオンを表し、Xは対イオンを表し、nはMの価数を表す。
【0125】
前記Xの具体例としては、F
-
、Cl
-
、Br
-
、I
-
、SCN
-
、NO
3
-
、ClO
4
-
、BF
4
-
、SbF
4
-
、PF
6
-
、AsF
6
-
、CH
3
CO
2
-
等が挙げられる。
【0126】
前記第1及び第2の溶媒としては、多座配位子等を溶解するものが好ましい。
具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド、n−メチルピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;水;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0127】
比較的大きな高分子金属錯体の単結晶を得たい場合には、前記第1の溶媒と、第2の溶媒として、互いに相溶性を有さない(すなわち、2層分離する)ものを用いることが好ましい。具体的には、第1の溶媒として、ニトロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、又はこれらとメタノールの混合溶媒を用い、第2の溶媒としてメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いるのが好ましい。
上述したように、上記高分子金属錯体1〜5については、それぞれ、上記文献に記載された方法にしたがって合成することができる。
【0128】
(ii)ゲスト化合物による置換
得られる高分子金属錯体は、三次元ネットワーク構造を有し、該三次元ネットワーク構造内に三次元的に規則正しく整列した空隙を有するが、その空隙内には、結晶化溶媒が内包されている。
この結晶化溶媒内包高分子金属錯体結晶を、液体状のゲスト化合物(A)、又は、ゲスト化合物(A)を含む不活性溶媒溶液中に浸漬させて静置し、空隙内の結晶化溶媒を、ゲスト化合物(A)と置換することによって、目的とするゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を得ることができる。
【0129】
ゲスト化合物(A)としては、前記と同様のものが挙げられる。
用いる不活性溶媒としては、ゲスト化合物(A)と相溶性があり、高分子金属錯体に対して、不活性、すなわち、ゲスト化合物(A)よりも高分子金属錯体の空隙内に置換されにくいものであれば特に制約はない。不活性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
なお、ゲスト化合物(A)が液体状であれば、そのまま用いることができる。
【0130】
用いる液体状のゲスト化合物(A)、又は、ゲスト化合物(A)を含む不活性溶媒溶液(以下、「ゲスト化合物(A)の溶液」と略記することがある。)の使用量は、高分子金属錯体結晶100mgに対し、通常1〜100ml、好ましくは5〜30mlである。
【0131】
浸漬温度は、特に限定されないが、通常0〜70℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜60℃である。
浸漬時間は、空隙内の60%以上をゲスト化合物(A)が占めるようになるまでの時間であり、通常6時間以上、好ましくは12時間から10日、より好ましくは1日〜8日である。
また、この間は、置換を促進するために、1日おき程度に、浸漬液(ゲスト化合物(A)の溶液)の上澄み液を傾斜法により除去し、除去した分、新たな浸漬液を追加するのが好ましい。
【0132】
空隙内にゲスト化合物(A)が置換内包されたことは、元素分析、X線結晶構造解析等により確認することができる。
【0133】
以上のようにして得られるゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶は、空隙内のゲスト化合物(A)が容易に微量の有機化合物試料とゲスト置換するものであるため、後述する結晶構造解析用試料の作製材料として有用である。
以上のようにして得られるゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶は、他の様々なゲスト化合物を包接する場合にゲスト交換を阻害することなく効率的な取り込みを行う事を可能にする。ゲスト交換における試料は、結晶性固体である必要が無く、液体、気体、非晶質固体などあらゆるものが適用可能である。包接に必要なゲスト化合物の重量は、5μg以下でよく、数十ngの量でも十分に良好な単結晶X線構造解析のデータが得られる。結晶スポンジ法による単結晶X線構造解析では、分子の絶対配置を含めた立体構造が正確に決定できる。また、熱分解や加溶媒分解を起こしやすい不安定な化合物に対しても、加熱したり、種々の溶媒あるいは緩衝溶液等に溶解させたりすることなく立体構造(絶対構造)が得られるようになった。
【0134】
ゲスト化合物高分子金属錯体結晶は、一辺が、10〜1000μm、好ましくは60〜200μmの立方体又は直方体形状を有する単結晶であるのが好ましい。かかる形状を有する高分子金属錯体の単結晶を用いることで、良質の結晶構造解析用試料が得られ易くなる。
【0135】
ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶は、管電圧が24kV、管電流が50mAで発生させたMoKα線(波長:0.71Å)、Cu線、放射光(例えば、波長0.75Å)等を照射し、回折X線を半導体検出器、CCD検出器、イメージングプレート検出器等で検出したときに、少なくとも1.5Åの分解能で分子構造を決定できるものが好ましい。かかる特性を有するゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶によれば、良質の結晶構造解析用試料を得ることができる。
【0136】
C)結晶構造解析用試料の作製方法
結晶構造解析用試料の作製方法は、高分子金属錯体結晶の空隙内に、分子構造を決定するための有機化合物の分子が規則性をもって配列されてなる結晶構造解析用試料の作製方法であって、前記有機化合物を含む溶媒溶液に、ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させる工程を有することを特徴とする。
【0137】
〔分子構造を決定する有機化合物〕
結晶スポンジ法における分子構造を決定する有機化合物(以下、「有機化合物(α)」ということがある。)は、高分子金属錯体の空隙内に入り得る大きさのものである限り、特に限定されない。本発明においては、分子構造を決定する有機化合物は、極性基を有する親水性化合物である。
有機化合物(α)が低分子化合物の場合、その分子量は、通常、20〜3000、好ましくは50〜1000、より好ましくは100〜500である。
また、有機化合物(α)がポリエチレン等のような、繰り返し単位を有する鎖状高分子化合物の場合、その分子量は、通常、10
3
〜10
6
、好ましくは10
4
〜10
5
である。さらに、有機化合物(α)は、室温付近(25℃±5℃)において、固体であっても、液体であってもよい。
【0138】
あらかじめ、核磁気共鳴分光法、質量分析法、元素分析等により、有機化合物(α)の大きさをある程度把握し、その大きさに合わせて、用いるゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を適宜選択することが好ましい。
【0139】
有機化合物(α)が、合成化合物(天然物由来の化合物や農医薬品、合成高分子等)に含まれる不純物の場合、液体クロマトグラフィー等の公知の精製方法によって有機化合物(α)の純度を高めてから、結晶構造解析用試料を作製することが好ましい。液体クロマトグラフィーを用いる場合には、目的物を含む溶離液を、そのまま後述する「有機化合物の溶媒溶液」として用いることもできる。
【0140】
結晶構造解析用試料の作製方法は、大量の有機化合物(α)を必要としないものであり、有機化合物(α)が、天然物由来の化合物や農医薬品中の不純物のように、元々微量しか入手できない場合に有用な方法である。また、有機化合物(α)は、室温(20℃)で固体状のものであっても、液状のものであってもかまわない。
【0141】
溶媒溶液中の有機化合物(α)の含有量は、特に制限されないが、100μg以下であってもよい。有機化合物(α)の含有量の下限値は、通常は、0.5μg以上である。
【0142】
結晶構造解析用試料の作製方法は、100μg以下の有機化合物(α)を含む溶媒溶液に、下記式(2)から算出されるA値が、100以下、好ましくは0.1〜30、より好ましくは1〜5となる量のゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を浸漬させる工程を有することが好ましい。
【0143】
【0144】
式中、bは溶媒溶液中の有機化合物の量を表し、aは高分子金属錯体結晶中のすべての空隙内を、比重1の物質で満たすと仮定したときに要する前記比重1の物質の量を表す。
【0145】
A値が0.1〜30のとき、高分子金属錯体の単結晶の空隙内に有機化合物(α)が十分に取り込まれ、良質の結晶構造解析用試料が得られ易くなる。一方、A値が大きい場合であっても、目的とする結晶構造解析用試料を得ることはできるが、それに見合う効果は得られず、有機化合物(α)が無駄になり易い。すなわち、この方法は、天然物由来の化合物や農医薬品中の不純物のように、元々微量しか入手できない有機化合物の構造を決定するための結晶構造解析用試料を作製する場合に有用な方法である。
【0146】
なお、高分子金属錯体が有するすべての空隙内に有機化合物(α)が取り込まれている必要はなく、A値が1よりも小さい値の場合であっても、良質の結晶構造解析用試料を作製することができる。
【0147】
また、溶媒溶液中の有機化合物(α)の濃度は、特に限定されないが、良質の結晶構造解析用試料を効率よく作製する観点から、通常、0.001〜50μg/μL、好ましくは0.01〜5μg/μL、より好ましくは0.1〜1μg/μLである。
【0148】
溶媒溶液の調製に用いる溶媒としては、高分子金属錯体の結晶を溶解せず、前記有機化合物(α)を溶解するものであって、有機化合物(α)の溶媒溶液から揮発させることにより、有機化合物(α)の溶媒溶液を濃縮することができるものであれば、特に限定されない。
かかる観点から、用いる溶媒としては、常圧(1×10
5
Pa)での沸点が、0〜250℃のものが好ましく、0〜185℃のものがより好ましく、30〜150℃のものがさらに好ましい。
【0149】
用いる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類;水;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、良質な結晶構造解析用試料が得られる観点から、用いた前記ゲスト化合物(A)を用いるのが好ましい。
【0150】
上記方法においては、有機化合物(α)を含む溶媒溶液に、前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体結晶を浸漬させる。
【0151】
浸漬させるゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶の数は、上記のA値に関する要件を満たす限り、特に制限されない。有機化合物(α)の量が極めて少ないときは、単結晶を一粒浸漬させることで、目的の結晶構造解析用試料を得ることができる。また、有機化合物(α)の量に余裕があるときは、同種のゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を二粒以上浸漬させたり、異種のゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を同時に浸漬させたりしてもよい。
【0152】
ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を浸漬させた後、溶媒を緩和な条件下で揮発させることで、溶媒溶液を濃縮することができる。この処理を行うことで、単結晶中の空隙内に、微量の有機化合物(α)を効率よく取り込ませることができる。
【0153】
このときの浸漬条件(濃縮条件)は、特に限定されないが、溶媒の温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは20〜60℃である。
浸漬時間(濃縮時間)は、通常、6時間以上、好ましくは12〜168時間、より好ましくは24〜78時間である。
【0154】
溶媒の揮発速度は、好ましくは0.1〜1000μL/24時間、より好ましくは1〜100μL/24時間、さらに好ましくは5〜50μL/24時間である。
溶媒の揮発速度があまりに速い場合には、良質の結晶構造解析用試料を得られないおそれがある。一方、溶媒の揮発速度があまりに遅いと、作業効率の観点から好ましくない。
【0155】
溶媒を揮発させるときの温度は、用いる有機溶媒の沸点にもよるが、通常、0〜180℃、好ましくは0〜120℃、より好ましくは15〜60℃である。
【0156】
また、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を有機化合物(α)の溶媒溶液に浸漬させた後、溶媒を揮発させて、溶媒溶液を濃縮する操作は、常圧下で行っても、減圧下で行っても、加圧下で行ってもよい。
溶媒を揮発させて、溶媒溶液を濃縮する操作時の圧力は、通常、1〜1×10
6
Pa、好ましくは、1×10〜1×10
6
Paである。
以上のように、溶媒溶液を濃縮する操作時において、温度や圧力を調節することで、溶媒の揮発速度を適宜なものに調節することができる。
【0157】
また上記方法は、有機化合物(α)を含む混合物を、液体クロマトグラフィーにより分離して、有機化合物(α)の溶媒溶液を得るステップ(I)と、前記ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を、ステップ(I)で得られた分子構造を決定する有機化合物を含む溶媒溶液に浸漬させた後、溶媒を緩和な条件下で揮発させて、前記溶媒溶液を濃縮するステップ(II)を有するものであってもよい。
【0158】
すなわち、有機化合物(α)を含む混合物を液体クロマトグラフィーの装置を使用して分離して、有機化合物(α)の溶媒溶液(溶媒以外に含まれる有機化合物が有機化合物(α)である溶液)を得、次いで、このフラクションA中に、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を浸漬させ、溶媒を緩和な条件下で揮発させて、前記溶媒溶液を濃縮することで、結晶構造解析用試料を得ることができる。
この場合、前記溶媒溶液の溶媒を別の溶媒に置換したのち、得られた溶液中に、前記高分子錯体の結晶を浸漬させてもよい。
【0159】
この方法は、構造が類似する複数の化合物の混合物を液体クロマトグラフィーにより分離して、それぞれ分離した化合物を含む溶媒溶液のそれぞれに高分子錯体の結晶を浸漬させて、結晶構造解析用試料を作製することができる。この方法によれば、NMRスペクトルなどの測定データだけでは、化合物の構造決定が困難である、構造が類似する化合物の混合物を分離し、分子構造を決定する場合にも有用である。
【0160】
また、上記結晶構造解析用試料の作製方法は、有機化合物(α)が室温付近(25℃前後)において液状の物質である場合にも適用することができる。すなわち、液状物である有機化合物(α)の溶媒溶液に、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を浸漬させた後、溶媒を緩和な条件下で揮発させて、前記溶媒溶液を濃縮することで、結晶構造解析用試料を作製することができる。
【0161】
さらにまた、図6に示すように、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶に、極微量の液状物である有機化合物(α)を、スポイド等を用いて滴下し、室温25℃で数時間から数日間放置することで、目的とするとする結晶構造解析用試料を作製することもできる。有機化合物(α)が室温(25℃)付近で揮発性物質である場合には、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶に、有機化合物(α)を滴下したサンプルを、バイアル瓶などの密閉容器中に載置しておくことが好ましい。
【0162】
得られる有機化合物内包高分子金属錯体の単結晶たる結晶構造解析用試料は、管電圧が24kV、管電流が50mAで発生させたMoKα線(波長:0.71Å)または管電圧が40kV、管電流が30mAで発生させたCuKα線を照射し、回折X線をCCD検出器で検出したときに、少なくとも1.5Åの分解能で分子構造を決定できるものが好ましい。
【0163】
結晶構造解析用試料は、高分子金属錯体の単結晶中の空隙内に、ゲスト化合物(A)と置換された有機化合物(α)の分子が規則性をもって配列されてなるものである。
ここで、「有機化合物の分子が規則性をもって配列される」とは、有機化合物の分子が、単結晶X線構造解析によって構造を決定することができる程度に乱れなく、高分子金属錯体の空隙内に規則正しく収容されていることをいう。
【0164】
結晶構造解析用試料は、有機化合物(α)の構造を決定することができるものであれば、高分子金属錯体の単結晶中のすべての空隙内に有機化合物(α)が取り込まれている必要はない。例えば、前記高分子金属錯体の単結晶中の空隙内の一部に、有機化合物(α)の溶媒溶液に用いた溶媒が取り込まれたものであっても良い。
【0165】
結晶構造解析用試料は、前記有機化合物の分子の占有率が10%以上のものであることが好ましい。前記有機化合物の分子の占有率は、単結晶構造解析により得られる値であり、理想的な包接状態におけるゲスト分子〔有機化合物(α)〕の量を100%としたときの、単結晶中に実際に存在するゲスト分子の量を表すものである。
【0166】
A値に関する上記要件を満たすとともに、上記のように、有機化合物(α)の分子の大きさにあった空隙を有する高分子金属錯体の結晶を選択し、良質の高分子金属錯体の単結晶を用いて、該単結晶の空隙内に有機化合物(α)を包接させることで、結晶構造解析用試料を効率よく作製することができる。
【0167】
なお、ゲスト化合物内包高分子金属錯体の単結晶を有機化合物(α)の溶媒溶液に浸漬させた後、溶媒を揮発させて、高分子金属錯体を濃縮するには、例えば、図5に示す作製装置Aや作製装置Bを使用することができる。
【0168】
図5(a)は作製装置Aの側面図であり、図5(b)は作製装置Aの上面図である。
12は蓋部、13は気体分子が通過可能な開口部、14は容器本体、15は有機化合物(α)の溶媒溶液、16は高分子金属錯体の単結晶である。
蓋部(12)としては、容器を密閉可能な状態にできるものであればよく、例えば、セプタム等のゴム製のものが使用できる。開口部(13)は、例えば、蓋部(12)にガス抜き用中空針を差し込むことで形成することができる。容器本体(14)としては、例えば、試験管、耐圧ガラス瓶等のガラス製の容器が使用できる。容器本体(14)の底部は、平坦であってもよいが、図5(a)に示すように、先端部が尖った形状を有する場合には、結晶の出し入れが容易であり、操作性に優れ好ましい。また、容器本体(14)として、透明なものを使用する場合には、溶媒の揮発状態や結晶の色変化(ゲスト分子が高分子金属錯体の空隙内に取り込まれると、結晶の色が変化する。)を、外部から容易に観察することができる。
【0169】
図5(a)、(b)に示す装置において、有機化合物(α)の溶媒溶液(15)の溶媒は、開口部(ガス抜き用中空針)(13)の細い穴から徐々に揮発し、結果として有機化合物(α)から溶媒が完全に除かれる。次いで、蓋部(密封栓)(12)を開け、容器本体(バイアル瓶)(14)の中から結晶構造解析用試料を取り出し、このものを用いて結晶構造解析を行うことができる。
【0170】
図5(c)は作製装置Bの側面図であり、図5(d)は作製装置Bの上面図である。
装置Bは、図5(c)、(d)に示すように、蓋部(12)、容器本体(14)及び気体分子が通過可能な開口部(13)を有する密閉可能な容器と、前記蓋部に固定された結晶支持体(17)とを備え、前記結晶支持体(17)の先端部が、配位性部位を2つ以上有する配位子及び中心金属としての金属イオンとを含む三次元ネットワーク構造を有する高分子金属錯体の単結晶(16)を固定し得るものであり、かつ、前記容器を閉じたときに、前記結晶支持体(17)の先端部が下向きに容器内部に収容されるものである。
【0171】
図5(c)に示す作製装置Bでは、高分子金属錯体の単結晶(16)は、単結晶支持体(17)の先端部において、図示を省略するクライオループによって固定されている。
装置Bは、有機化合物(α)を高分子金属錯体の空隙内に包接させて、結晶解析用試料を得た後、そのまま、X線結晶解析装置等の結晶構造解析装置に載せ替えて、測定を行うことができるものであることが好ましい。
【0172】
D)有機化合物の分子構造決定方法
有機化合物の分子構造決定方法は、結晶構造解析用試料の結晶構造解析を行うことにより、結晶構造解析用試料の空隙内に内包されている有機化合物の分子構造を決定することを特徴とする。
上記方法においては、X線回折、中性子線回折のいずれの方法も利用することができる。
上記方法により有機化合物の分子構造を決定する際は、従来の単結晶の代わりに、上記方法で得た結晶構造解析用試料をマウントする点を除き、従来と同様の方法を用いることができる。
【0173】
上記分子構造決定方法によれば、微量の有機化合物であっても、効率よく、結晶構造解析を行い、その分子構造を決定することができる。
また、常温で液体の有機化合物であっても、かかる有機化合物を包接する結晶構造解析用試料を用いることで、その分子構造を決定することができる。
試料作製に用いる有機化合物は、気体、液体、固体を問わず、有機溶媒に溶解させることができれば、高分子金属錯体の単結晶内に導入することができる。
1粒の高分子金属錯体の単結晶に対して必要な有機化合物の量は多くとも5μgでよく、少ない場合では50ngでも単結晶構造を得られる。
結晶スポンジ法を用いれば、医薬中の微量の不純物、香料、食品添加物、動植物中の微量成分などの迅速且つ正確な構造決定を行うことができる。また、熱分解や加溶媒分解を起こしやすい不安定な化合物に対しても、加熱したり、種々の溶媒あるいは緩衝溶液等に溶解させたりすることなく立体構造(絶対構造)が得られる。
【実施例】
【0174】
(機器類)
(1)NMR
Brucker社製 AVANCE III 400を用いて生成物の
1
H−NMRの測定を行った。
(2)LC/MS
Waters社製 ACQUITY UPLCシステム(SQDシステム)を用いて生成物のm/zの測定を行った。
(3)単結晶X線構造解析
実施例1,2,3,4,5,8,9,10,12のX線結晶構造解析は、リガク社製 XtaLAB pro P200 MM007(線源:Mo−Kα線 波長0.71Å,出力:50mA,24kV,測定温度93K)を用いて行った。
実施例7のX線結晶構造解析は、リガク社製 R−AXIS RAPID 191R(線源:Cu−Kα線 波長1.54Å,出力:30mA,40kV,測定温度98K)を用いて行った。
実施例6,11,13のX線結晶構造解析は、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構 放射光科学研究施設 ビームライン5A(波長0.75Å,測定温度95K)にて行った。
【0175】
(参考例1)
<シクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の合成>
特許第5969616号の実施例8と同様にして、シクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶を合成した。
【0176】
(参考例2)
<ノルマルヘプタン内包高分子金属錯体結晶の合成>
溶媒をシクロヘキサンからノルマルヘプタンに替えた以外は特許第5969616号の実施例8と同様にして、シクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶を合成した。
【0177】
(実施例1)
(工程a)L−アラニンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への1−ナフチルカルバモチオイル基の導入によるメチル(2S)−2−(1−ナフチルカルバモチオイルアミノ)プロパノエート(化合物1)の合成
L−アラニンメチルエステル塩酸塩(100mg、0.716mmol)をアセトニトリル(1mL)に溶解した。この溶液に氷冷下トリエチルアミン(110μL、0.788 mmol)、イソチオシアンサン酸1−ナフチル(146mg、0.788mmol)を加え1時間撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/4〜1/1)にて精製することで白色固体として表題化合物を得た。
1
H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.76(s,1H),8.06-7.75(m,4H),7.66-7.44(m,4H),4.97(p,J=7.3Hz,1H),3.65(s,3H),1.36(d,J=7.3Hz,3H).
【0178】
(工程b)メチル(2S)−2−(1−ナフチルカルバモチオイルアミノ)プロパノエート(化合物1)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を100μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物1の1 mg/mLジクロロメタン溶液を10μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し、50℃で2日間置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0179】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表1に、結晶構造を図7に示した。得られた結晶構造から想定される相互作用を図8に示した。
【0180】
【0181】
(実施例2)
(工程a)L−アラニンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への1,1−ジフェニルアセチル基の導入によるメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]プロパノエート(化合物2)の合成
L−アラニンメチルエステル塩酸塩(100mg、0.716mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に氷冷下トリエチルアミン(220μL、1.58mmol)を加え5分間撹拌した。この溶液に氷冷下ジフェニルアセチルクロリド(165mg、0.716mmol)を加え、90分間撹拌した。この反応液を水(2mL)にて希釈し、ジクロロメタン(2mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/9〜1/1)にて精製することで白色固体として表題化合物(178 mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.74(d,J=7.1Hz,1H),7.35-7.18(m,11H),5.01(s,1H),4.27(p,J=7.2Hz,1H),3.61(s,3H),1.28(d,J=7.1Hz,3H);MS(ESI)m/z298(M+H)
+

【0182】
(工程b)メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]プロパノエート(化合物2)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を100μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物2の0.20mg/mLのジクロロメタン溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し、50℃で2日間置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0183】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表2に、結晶構造を図9に示した。得られた結晶構造から想定される相互作用を図10に示した。
【0184】
【0185】
(実施例3)
(工程a)L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への1,1−ジフェニルアセチル基の導入によるメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−フェニル−プロパノエート(化合物3)の合成
L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(103mg、0.478mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に氷冷下トリエチルアミン(147μL、 1.05mmol)、ジフェニルアセチルクロリド(110mg、0.478mmol)を加え、一晩撹拌した。この反応液を水(2mL)にて希釈し、ジクロロメタン(3mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=5〜35%)にて精製することで白色固体として表題化合物(166mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.73(d,J=7.7Hz,1H),7.35-7.21(m,6H),7.26-7.14(m,6H),7.17-7.09(m,2H),7.10-7.03(m,2H),4.99(s,1H),4.52(td,J=9.4,7.7,5.4Hz,1H),3.59(s,3H),3.04(dd,J=13.8,5.4Hz,1H),2.91(dd,J=13.8,9.4Hz,1H);MS(ESI)m/z374(M+H)
+

【0186】
(工程b)メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−フェニル−プロパノエート(化合物3)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を45μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物3の1mg/mLの1,2−ジクロロエタン溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め50℃で一晩放置した後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し、26℃で1日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0187】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表3に、結晶構造を図11に示した。
【0188】
【0189】
(実施例4)
(工程a)L−バリンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への1,1−ジフェニルアセチル基の導入によるメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−メチル−ブタノエート(化合物4)の合成
L−バリンメチルエステル塩酸塩(100mg、0.597mmol)をジクロロメタン(3 mL)に溶解した。この溶液に室温にてトリエチルアミン(183μL、1.31mmol)、ジフェニルアセチルクロリド(138mg、0.597mmol)を加え、1時間撹拌した。この反応液を水(3mL)にて希釈し、ジクロロメタン(2mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/8〜1/6)にて精製することで白色固体として表題化合物(188 mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.59(d,J=8.2Hz,1H),7.35-7.17(m,10H),5.18(s,1H),4.21(dd,J=8.1,6.3Hz,1H),3.62(s,3H),2.03(m,1H),0.85(d,J=6.8Hz,3H),0.82(d,J=6.8Hz,3H);MS(ESI)m/z326(M+H)
+

【0190】
(工程b)メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−メチル−ブタノエート(化合物4)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を45μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物4の1mg/mLの1,2−ジクロロエタン溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め50℃で一晩放置した後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し26℃で10日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0191】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表4に,結晶構造を図12に示した。
【0192】
【0193】
(実施例5)
(工程a)L−セリンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への1,1−ジフェニルアセチル基の導入によるメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物5)の合成
L−セリンメチルエステル塩酸塩(118mg、0.758mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶解した。この溶液に0℃にてトリエチルアミン(106μL、0.758mmol)、ジフェニルアセチルクロリド(227mg、0.985mmol)を加え、室温まで昇温し100分間撹拌した。この反応液に更にトリエチルアミン(106μL、0.758mmol)を加え、室温にて80分間撹拌した。この反応液を水(3mL)にて希釈し、ジクロロメタン(3mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=1/2〜1/1)にて精製することで白色固体として表題化合物(101mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.61(d,J=7.5Hz,1H),7.35-7.24(m,8H),7.28-7.17(m,2H),5.17(s,1H),5.08(t,J=5.5Hz,1H),4.37(dt,J=7.5,4.8Hz,1H),3.71(m,1H),3.61(s,3H),3.61(m,1H);MS(ESI)m/z314(M+H)
+

【0194】
(工程b)メチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物5)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を45μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物5の1mg/mLの1,2−ジクロロエタン溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉めセプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し、26℃で3日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0195】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表5に、結晶構造を図13に示した。
【0196】
【0197】
(実施例6)
(工程a)L−グルタミン酸ジメチルエステル塩酸塩のアミノ基への1,1−ジフェニルアセチル基の導入によるジメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]ペンタンジオエート(化合物6)の合成
L−グルタミン酸ジメチルエステル塩酸塩(51mg、0.24mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に0℃にてトリエチルアミン(67μL、0.48mmol)、ジフェニルアセチルクロリド(50mg、0.22mmol)を加え、室温まで昇温し2時間撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣を逆相HPCL(0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水=15〜90%)にて精製後、凍結乾燥することで白色固体として表題化合物(58mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.72(d,J=7.4Hz,1H),7.35-7.18(m,10H),5.03(s,1H),4.29(ddd,J=9.0,7.4,5.5Hz,1H),3.60(s,3H),3.56(s,3H),2.39-2.26(m,2H),2.00(m,1H),1.84(m,1H);MS(ESI) m/z370(M+H)
+

【0198】
(工程b)ジメチル(2S)−2−[(2,2−ジフェニルアセチル)アミノ]ペンタンジオエート(化合物6)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を50μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物6の5mMの酢酸エチル溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め、50℃で1日置いた後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し6℃で5日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0199】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表6に、結晶構造を図14に示した。
【0200】
【0201】
(実施例7)
(工程a)L−フェニルアラニノールのアミノ基への1,1−ジフェニルアセチル基の導入によるN−[(1S)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−エチル]−2,2−ジフェニル−アセトアミド(化合物7)の合成
L−フェニルアラニノール(37mg、0.24mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に0℃にてトリエチルアミン(34μL、0.24mmol)、ジフェニルアセチルクロリド(50mg、0.22mmol)を加え、室温まで昇温し3時間撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣を逆相HPCL(0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水=5〜95%)にて精製後、凍結乾燥することで白色固体として表題化合物(74 mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.12(d,J=8.4Hz,1H),7.34-7.09(m,13H),7.09-7.01(m,2H),4.92(s, 1H),4.81(s,1H),3.95(m,1H),2.84(dd,J=13.7,5.3Hz,1H),2.61(dd,J=13.7,8.7Hz,1H);MS(ESI)m/z346(M+H)
+

【0202】
(工程b)N−[(1S)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−エチル]−2,2−ジフェニル−アセトアミド(化合物7)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例2で得られたノルマルヘプタン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を50μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物7の5mMの酢酸1,2−ジクロロエタン溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉めセプタム部に注射針(24G:内径0.37mm)を刺し50℃で1日置いた後、注射針を21G(内径0.57mm)に付け替え更に50℃で2日間置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0203】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表7に、結晶構造を図15に示した。
【0204】
【0205】
(実施例8)
(工程a)L−アラニンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への4−tert−ブチルベンゾイル基の導入によるメチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]プロパノエート(化合物8)の合成
L−アラニンメチルエステル塩酸塩(60mg、0.43mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(180mg、0.47mmol)、4−tert−ブチル安息香酸(77mg、0.43mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に室温にてトリエチルアミン(130μL、0.95mmol)を加え70分間撹拌した。この反応液を水(2mL)にて希釈し、ジクロロメタン(2mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン15〜40%)にて精製することで無色シロップとして表題化合物(90 mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.70(d,J=7.0Hz,1H),7.81(d,J=8.5Hz,2H),7.49(d,J=8.5Hz,2H),4.47(m,1H),3.64(s,3H),1.40(d,J=7.3Hz,3H),1.30(s,9H);MS(ESI)m/z264(M+H)
+

【0206】
(工程b)メチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]プロパノエート(化合物8)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を45μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物8の1mg/mLの1,2−ジクロロエタン溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め50℃で1日放置した後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し、50℃で1日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0207】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表8に、結晶構造を図16に示した。得られた結晶構造から想定される相互作用を図17に示した。
【0208】
【0209】
(実施例9)
(工程a)チロシンメチルエステルのアミノ基への4−tert−ブチルベンゾイル基の導入によるメチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(化合物9)の合成
4−tert−ブチル安息香酸(102 mg、0.572 mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(110 mg、0.572mmol)をジクロロメタン(2 mL)に溶解した。この溶液に室温にてトリエチルアミン(159 μL、1.14 mmol、,L−チロシンメチルエステル(112 mg、0.572 mmol)を加え3時間撹拌した。この反応液を水(10 mL)にて希釈し、ジクロロメタン(10 mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン25〜50%)にて精製することで無色シロップとして表題化合物(165 mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 9.19(s,1H),8.67(d,J=7.8Hz,1H),7.74(d,J=8.7Hz,2H),7.47(d,J=8.7Hz,2H),7.07(d,J=8.3Hz,2H),6.64(d,J=8.3Hz,2H),4.55(ddd,J=9.9,7.8,5.3Hz,1H),3.62(s,3H),3.03(dd,J=13.8,5.3Hz,1H),2.96(dd,J=13.8,9.9Hz,1H),1.29(s,9H);MS(ESI)m/z356(M+H)
+

【0210】
(工程b)メチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(化合物9)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を45μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物9の1mg/mLの酢酸エチル溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め、50℃で一晩置いた後、セプタム部に注射針(24G:内径0.37mm)を刺し50℃で2日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0211】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表9に、結晶構造を図18に示した。
【0212】
【0213】
(実施例10)
(工程a)L−セリンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への4−tert−ブチルベンゾイル基の導入によるメチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物10)の合成
4−tert−ブチル安息香酸(50mg、0.28mmol)、N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(120mg、0.31mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に室温にてトリエチルアミン(34μL、0.24mmol)、L−セリンメチルエステル塩酸塩(48mg、0.31mmol)を加え一晩撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣を逆相HPCL(0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水=5〜95%)にて精製し後凍結乾燥することで白色固体として表題化合物(85mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 8.46(d,J=7.5Hz,1H),7.85-7.80(m,2H),7.52-7.46(m,2H),4.53(dt,J=7.5,5.4Hz,1H),3.79(d,J=5.4Hz,2H),3.64(s,3H),1.30(s,9H);MS(ESI)m/z280(M+H)
+

【0214】
(工程b)メチル(2S)−2−[(4−tert−ブチルベンゾイル)アミノ]−3−ヒドロキシ−プロパノエート(化合物10)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を50μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物10の5mMの酢酸エチル溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め、5セプタム部に注射針(24G:内径0.37mm)を刺し50℃で3日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0215】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表10に、結晶構造を図19に示した。
【0216】
【0217】
(実施例11)
(工程a)L−プロリンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への2−インドールカルボニル基の導入によるメチル(2S)−1−(1H−インドール−2−カルボニル)ピロリジン−2−カルボキシレート(化合物11)の合成
L−プロリンメチルエステル塩酸塩(83.5mg、0.504mmol)、インドール−2−カルボン酸(81.2mg、0.605 mmol)、N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(230mg、1.11 mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に室温にてトリエチルアミン(155μL、1.11mmol)を加え、一晩撹拌した。この反応液を水(20mL)にて希釈し、ジクロロメタン(10mL)で3回抽出した。抽出液を合わせ濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン=30〜50%)にて精製し、更に残渣を逆相HPCL(0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水=15〜80%)にて精製後、凍結乾燥することで白色固体として表題化合物(88.3mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 11.59(s,1H),7.65(d,J=8.0Hz,1H),7.44(d,J=8.5Hz,1H),7.21(m,1H),7.10-7.01(m,2H),4.57(dd,J=8.5,4.7Hz,1H),3.96(t,J=6.8Hz,2H),3.65(s,3H),2.27(m,1H),2.10-1.98(m,2H),1.93(m,1H);MS(ESI)m/z273(M+H)
+

【0218】
(工程b)メチル(2S)−1−(1H−インドール−2−カルボニル)ピロリジン−2−カルボキシレート(化合物11)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を50μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物11の1mg/mLの酢酸エチル溶液を1μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め50℃で1日置いた後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し50℃で3日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0219】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表11に、結晶構造を図20に示した。得られた結晶構造から想定される相互作用を図21に示した。
【0220】
【0221】
(実施例12)
(工程a)L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩のアミノ基への2−インドールカルボニル基の導入によるメチル(2S)−2−(1H−インドール−2−カルボニルアミノ)−3−フェニル−プロパノエート(化合物12)の合成
インドール−2−カルボン酸(50mg、0.31mmol)、N,N,N′,N′−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロりん酸塩(130mg、0.34mmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解した。この溶液に室温にてトリエチルアミン(95μL、0.68mmol)、L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩(74mg、0.34mmol)を加え、1時間撹拌した。この反応液を濃縮し、残渣を逆相HPCL(0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水=15〜90%)にて精製後、凍結乾燥することで白色固体として表題化合物(88mg)を得た。
1
H NMR(400 MHz,DMSO−d6)δ 11.52(d,J=2.2Hz,1H),8.84(d,J=8.0Hz,1H),7.63(d,J=7.8Hz,1H),7.40(dd,J=8.3,1.1Hz,1H),7.35-7.23(m,4H),7.22-7.15(m,3H),7.03(m,1H),4.71(ddd,J=10.1,8.0,5.2Hz,1H),3.65(s,3H),3.19(dd,J=13.8,5.2Hz,1H),3.10(dd,J=13.8,10.1Hz,1H);MS(ESI)m/z m/z323(M+H)
+

【0222】
(工程b)メチル(2S)−2−(1H−インドール−2−カルボニルアミノ)−3−フェニル−プロパノエート(化合物12)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を50μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物12の5mMの酢酸エチル溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め、50℃で3日置いた後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し50℃で1日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0223】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表12に、結晶構造を図22に示した。
【0224】
【0225】
(実施例13)
(工程a)D−マンデル酸のカルボキシ基へのジフェニルメチル基の導入によるベンズヒドリル(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニル−アセテート(化合物13)の合成
D−マンデル酸(51.5 mg, 0.338 mmol)をジクロロエメタン(2 mL)に溶解し、SYNLETT 2014, 25, 0283-0287.記載の方法で合成したジフェニルメチルトリクロロアセトイミダート(114mg、0.439mmol)を加え、室温にて一晩撹拌した。この反応液を濃縮し残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することで、表題化合物(96.9mg)を得た。
1
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ 7.49-7.42(m,2H),7.40-7.30(m,7H),7.27(m,1H),7.23-7.17(m,3H),7.14-7.07(m,2H),6.77(s,1H),6.17(s,1H),5.30(s,1H);MS(ESI)m/z167(M−C8H7O3)
+

【0226】
(工程b)ベンズヒドリル(2R)−2−ヒドロキシ−2−フェニル−アセテート(化合物13)内包高分子金属錯体結晶の合成
参考例1で得たシクロヘキサン内包高分子金属錯体結晶の単結晶1粒を45μLのシクロヘキサンと共に、セプタムキャップ付マイクロバイアル瓶に入れ、この中に工程aで得た化合物13の1mg/mLの酢酸エチル溶液を5μL加えた。このマイクロバイアル瓶のキャップを閉め50℃で1日置いた後、セプタム部に注射針(21G:内径0.57mm)を刺し50℃で1日置くことでマイクロバイアル瓶内の溶液を濃縮した。
【0227】
得られた単結晶のX線結晶構造解析を行い結晶内に内包された分子を確認した。結晶学的データを表13に、結晶構造を図23に示した。得られた結晶構造から想定される相互作用を図24に示した。
【0228】
【産業上の利用可能性】
【0229】
本発明は、親水性有機化合物の構造解析、特に、海洋生物等に由来する微量の生理活性物質、農医薬品やその原料に含まれる微量物質、又は電子部品の製造に用いる原材料に含まれる微量物質としての親水性有機化合物の分子構造の同定に有用である。
【符号の説明】
【0230】
1 結晶面X
2 結晶面Y
3 細孔
4 細孔が延在する方向
5 三次元ネットワーク構造
6 三次元ネットワーク構造
7 三次元ネットワーク構造
8 三次元ネットワーク構造
9 トリス(4−ピリジル)トリアジン
10 トリス(4−ピリジル)トリアジン
11 トリフェニレン分子
12 蓋部(セプタム付き蓋)
12a セプタム部
12b プラスチック部
13 開口部(ガス抜き用中空針)
14 容器本体(バイアル瓶)
15 有機化合物(α)の溶媒溶液
16 高分子金属錯体の単結晶
17 結晶支持体
A 細孔
B 細孔

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