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公開番号2019171335
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191010
出願番号2018065087
出願日20180329
発明の名称不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸製造用触媒および該触媒を用いた不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法
出願人株式会社日本触媒
代理人
主分類B01J 23/888 20060101AFI20190913BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】本発明は不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸を製造するための触媒であって、機械的強度が高く、粉化度が低く、目的生成物を高収率で製造可能であり、かつ、健康有害性が低い触媒を提供するものである。
【解決手段】本発明はモリブデン、ビスマスおよび鉄を必須成分として含有する触媒活性成分と無機質繊維を含有する触媒であって、前記無機質繊維として生体溶解性繊維を含有する触媒およびそれ用いた不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸の製造方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲約 530 文字を表示【請求項1】
モリブデン、ビスマスおよび鉄を必須成分として含有する触媒活性成分と無機質繊維を含有する触媒であって、前記無機質繊維として生体溶解性繊維を含有することを特徴とする不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸製造用の触媒
【請求項2】
前記の生体溶解性繊維がNa

O、K

O、CaO、MgO、SrO、およびBaOから選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、生体溶解性繊維中のそれらの含有量が18〜43質量%であり、さらにSiO

を含有するとともに、生体溶解性繊維中のその含有量が50〜82質量%であることを特徴とする請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記生体溶解性繊維がMgO、SrOを必須成分として含有することを特長とする請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
前記無機質繊維の含有量が、前記触媒活性成分に対して0.5質量%〜30質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の触媒。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とする不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸製造用の触媒の製造方法。

発明の詳細な説明約 11,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和アルデヒドおよび/または不飽和カルボン酸製造用触媒、詳しくは、プロピレンを分子状酸素の存在下で接触気相酸化してアクロレインおよび/またはアクリル酸を製造するに好適な触媒、およびこの触媒を用いたアクロレインおよび/またはアクリル酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクロレインおよび/またはアクリル酸の製造方法は、原料のプロピレンを接触気相酸化することでアクロレインを得て、次に、得られたアクロレインを接触気相酸化することでアクリル酸を製造する製法が主流である。
【0003】
使用する触媒には、触媒活性成分のみを一定の形状に成型して成る成型触媒と、一定の形状の不活性担体の表面上に触媒活性成分を担持して成る担持型触媒が代表例として挙げられるが、触媒層の厚みを薄くすることができ、目的生成物の逐次酸化による収率低下を抑制できるという観点から、担持型触媒が特に好まれる。
【0004】
しかし一方で、担持型触媒は触媒活性成分が不活性担体上に担持された形態であるため、例えば、触媒を反応器内に落下させて充填する際の衝撃により、触媒活性成分が不活性担体上から剥離し易いという欠点や、触媒の輸送工程や充填工程での触媒同士の接触、あるいは触媒と壁面等との摩擦によって触媒活性成分が粉化するという欠点がある。これらの剥離、あるいは粉化した触媒活性成分は反応器の圧力損失の増大や反応管の閉塞、有効な触媒活性成分のロスによる性能低下などの問題を引き起こす。
【0005】
このように、触媒の機械的強度が低いことに起因する問題を抑制、防止することは工業的なアクロレインおよび/またはアクリル酸の製造の見地において極めて重要な課題であり、触媒の強度向上を目的とした種々の提案がされている。
【0006】
例えば、特許文献1には、モリブデン、ビスマスおよび鉄を必須成分として含有する触媒活性成分と無機質繊維を含有する触媒において、無機質繊維として、少なくとも平均繊維径が8μm以上である無機質繊維と6μm以下である無機質繊維とを含有した触媒が開示されている。特許文献2には、モリブデンおよびビスマスを必須成分として含む担持触媒において、平均直径が2〜200μmの無機質繊維を担持補助剤として用いた触媒が開示されている。特許文献3には、モリブデンおよびビスマスを必須成分とするリング状に成型してなる触媒において、無機質繊維を含有する触媒が開示されている。特許文献4には、機械的強度の異なる固体触媒を機械強度の高い順に落下させて充填する方法において、機械的強度の高い触媒を得る手法の一つとして無機質繊維やウィスカなどの無機補強剤の量を調節する方法が開示されている。
【0007】
一方で、近年、セラミックス繊維が及ぼす生体への有害性懸念から、人体に吸入されても問題を起こさない、又は起こしにくい生体溶解性を有する無機繊維の開発が進められており、例えば、特許文献5には、pH4.5の生理食塩水に対する溶解性に優れた特定組成の無機繊維が開示されている。特許文献6には、生体溶解性無機繊維を含有する摩擦材が開示されており、生体溶解性無機繊維は、その表面にシランカップリング剤等により表面処理が施されていてもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開第2012/036038号
特開平6−381号公報
特開2002−273229号公報
特開2004−82099号公報
国際公開第2013/132859号公報
特開2013−76058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
アクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒では、前述のように、触媒の強度向上を目的とした種々の検討や提案がなされており、しばしば、機械的強度向上材として、繊維状の化学物質、例えばシリカ−アルミナ繊維などのセラミック繊維や、炭化ケイ素ウィスカなどのウィスカが添加される。
【0010】
一方で、近年、発がん性に対する懸念から、このような繊維状の化学物質に対しては、規制強化が進んでいる。例えば前述のシリカ−アルミナ繊維はリフラクトリーセラミックファイバーの分類に該当し、EU域では高懸念物質(SVHC)に登録され、今後その使用が制限される可能性が高い。日本国内でも同様に、2015年より労働安全衛生法が定める特定化学物質に指定され、取扱者の健康障害を防止するために、粉塵の発散抑制措置、作業環境測定、作業者の健康診断等の管理が義務付けられている。また、前述の炭化ケイ素ウィスカについてもACGIHの発がん性分類ではA2に区分され、人に対して発がん性が疑われる物質とされている。
【0011】
アクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒の補強材としては他に、アルミナ繊維も用いられるが、この繊維については歴史が新しいため、人の健康影響に関するデータが少なく、十分な安全性が確認されているとは言い難い。
【0012】
そのような背景下、当該触媒の製造工程における各種繊維の取扱い作業や、各種繊維を含む当該触媒の化成器内への充填、抜出作業、抜出触媒の廃棄作業等で、各種繊維を含む触媒粉塵に暴露される作業者にかかる健康障害へのリスクは大きく、より安全で健康有害性が低い物質から成るアクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、プロピレンを用いた接触気相酸化により、アクロレインおよび/またはアクリル酸を製造するためのモリブデン−ビスマス系触媒において、前記無機質繊維に生体溶解性のある繊維を使用することで、健康有害性が低く、目的生成物を高収率で製造可能であり、かつ、従来用いられてきた繊維と同等の十分な触媒強度を有するアクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒が得られることを見出し、本発明を開発するに至った。
【0014】
生体溶解性のある繊維は、生体内で容易に分解するため体内での滞留時間が短く、健康被害を及ぼし難いことが知られている。マグネシウムやカルシウム等のアルカリ土類成分が多いと生体溶解性が増すと言われており、特に、アルカリアースシリケートウール(AES繊維)と呼ばれるものは、GHS分類における発がん性が区分外であり、安全性が高い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プロピレンを分子状酸素または分子状酸素含有ガスの存在下で接触気相酸化してアクロレインおよび/またはアクリル酸を製造するのに好適な触媒として、機械的強度、粉化度に優れ、目的生成物を高収率で製造可能であり、かつ、健康有害性が低い触媒を得ることができ、当該触媒の製造作業や取扱い作業時に作業者にかかる健康障害へのリスクを軽減することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかるアクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒および該触媒を用いたアクロレインおよび/またはアクリル酸の製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し、実施することができる。
【0017】
本発明におけるアクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒は、モリブデン、ビスマスおよび鉄を必須成分としているが、より具体的な触媒活性成分としては、下記一般式(1)
Mo
12
Bi

Fe











(1)
(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Aはコバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の元素、Bはアルカリ金属、アルカリ土類金属およびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素、Cはタングステン、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムおよびチタンから選ばれる少なくとも1種の元素、Dはリン、テルル、アンチモン、スズ、セリウム、鉛、ニオブ、マンガン、砒素、ホウ素および亜鉛から選ばれる少なくとも1種の元素、Oは酸素であり、a、b、c、d、e、fおよびxはそれぞれBi、Fe、A、B、C、DおよびOの原子比を表し、0<a≦10、0<b≦20、2≦c≦20、0<d≦10、0≦e≦30、0≦f≦4であり、xはそれぞれの元素の酸化状態によって定まる数値である。)で表される触媒活性成分が好適である。
【0018】
また、本発明におけるアクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒は、上記触媒活性成分と、前記無機質繊維が生体溶解性繊維を含有することを特徴としている。この生体溶解性繊維としては、機械的強度が高い触媒が得られ、かつ、生体溶解性が高いという観点から考えて、Na

O、K

O、CaO、MgO、SrO、およびBaOから選ばれる少なくとも1種を含み、かつ、生体溶解性繊維中のそれらの含有量が18〜43質量%であり、さらにSiO

を含有するとともに、生体溶解性繊維中のその含有量が50〜82質量%であることが好ましい。また、前記生体溶解性繊維がMgO、SrOを必須成分として含有することがより好ましい。例えば、これに該当する繊維としてアルカリアースシリケートウールがある。
【0019】
また、前記無機質繊維は必ずしも一種類である必要はなく、二種類以上の生体溶解性繊維を用いても良く、さらには、従来用いられているシリカ−アルミナ繊維やアルミナ繊維などのセラミックス繊維や炭化ケイ素ウィスカなどのウィスカと生体溶解性繊維を併用することも可能であり、健康有害性が高いセラミックス繊維やウィスカの使用量の低減効果がある。
【0020】
前記無機質繊維の含有率としては触媒活性成分に対して0.5〜30質量%であることが好ましい。含有率が0.5質量%より低いと触媒の機械的強度が低下する傾向にあり、30質量%より多いと触媒活性成分が過剰に希釈され、触媒活性や触媒寿命が低下する傾向にあるためである。
【0021】
前記無機質繊維の平均繊維長は、特に限定はないが、触媒中への分散性の面から好ましくは1〜1000μm、より好ましくは10〜500μmのものを用いるのが良い。しかしながら、1000μmを超える平均繊維長を有する無機質繊維であっても、ホモミキサー等で強く撹拌して繊維を切断し、結果的に平均繊維径が上記範囲に入るようにして用いてもよい。
【0022】
前記無機繊維の平均繊維径は、特に限定はないが、得られる触媒の強度が高いという点で、7μm以下であることが好ましく、より好ましくは1.5〜7μm、さらに好ましくは2〜5μmであることが好ましい。
【0023】
前記無機質繊維や生体溶解性繊維の添加方法については特に制限はなく、触媒活性成分中に均一に分散し得るものであれば、いずれの方法も用いることができる。例えば、一般式(1)で表される触媒活性成分の出発原料混合液に添加しても良く、これを乾燥あるいは更に焼成した後に得られる触媒前駆体あるいは焼成物に添加しても良い。中でも、出発原料混合液に添加混合する手法が、繊維の分散性の面から好ましい。繊維は一括して添加しても、分割して添加してもよく、例えばその一部を出発原料混合液に添加し、出発原料混合液を乾燥あるいは更に焼成した後に得られる触媒前駆体あるいは焼成物に残りの繊維を添加しても良い。
【0024】
本発明の触媒は、生体溶解性繊維を含有する点を除けば、公知のアクロレインおよび/またはアクリル酸製造用触媒の調製に一般に用いられている方法に準じて製造することができる。
【0025】
具体的には、一般式(1)で表される触媒活性成分の原料として、各成分元素の酸化物や水酸化物、アンモニウム塩、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、有機酸塩などの塩類や、それらの水溶液、ゾルなど、あるいは複数の元素を含む化合物などを用いることができ、これらの原料を、水等の溶媒に溶解あるいは懸濁させることにより、出発原料混合液を調製する。
【0026】
出発原料混合液の調製方法は、上記出発原料を順次水に混合する方法や、出発原料の種類に応じて複数の水溶液または水性スラリーを調製し、これらを順次混合する方法など、この種の触媒製造に一般的に用いられる方法により調製すればよい。出発原料の混合順序、温度、圧力、pH等については特に制限はなく、出発原料に応じて適宜選択できる。
【0027】
次に、必要に応じて、得られた出発原料混合液を加熱や減圧など各種方法により乾燥させて触媒前駆体とする。加熱による乾燥方法としては、例えば、スプレードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉末状の触媒前駆体を得ることもできるし、箱型乾燥機、トンネル型乾燥機等を用いて気流中で加熱してブロック状またはフレーク状の触媒前駆体を得ることもできる。また、一旦、出発原料混合液を濃縮、蒸発乾固してケーキ状の固形物を得て、この固形物をさらに乾燥してもよい。減圧による乾燥方法としては、例えば、真空乾燥機を用いて、ブロック状または粉末状の触媒前駆体を得ることができる。
【0028】
また、得られた前記触媒前駆体をさらに焼成して焼成物とする方法も採用できる。
【0029】
得られた触媒前駆体あるいは焼成物は、必要に応じて適当な粒度の粉体を得るための粉砕工程や分級工程を経て、続く成形工程に送られる。なお、上記触媒前駆体あるいは焼成物の粉体の粒度は、特に限定されないが、成形性に優れる点で500μm以下が好ましい。
【0030】
触媒の成形方法としては、前記触媒前駆体、焼成物あるいはそれらと粉体状の不活性物質との混合物を押し出し成形法や打錠成形法などにより一定の形状に成形する方法、一定の形状を有する任意の不活性担体上に担持する担持法などがあるが、生成物の逐次反応を抑制するため触媒自体の厚みは少ない方が好ましいことから、後者の不活性担体上に担持する担持法が好ましい。
【0031】
押し出し成形法や打錠成形法等の場合、その形状に特に制限はなく、球状、円柱状、リング状、不定形などのいずれの形状でもよい。もちろん球状の場合、真球である必要はなく実質的に球状であればよく、円柱状およびリング状についても同様に断面形状は真円である必要は無く、実質的に円形であればよい。
【0032】
担持法としては、例えば、特公昭49−11371号公報に記載の一定の形状を有する不活性担体に出発原料混合液を加熱攪拌しながら蒸発乾固して担体に付着させる方法、特公昭63−63024あるいは特許3276984号公報に記載の出発原料混合液のスラリーを不活性担体に付着させつつ、同時に溶媒を気化蒸発させて担持する方法、特許1886506号公報、特許3793317号公報あるいは特許4261946号公報に記載の不活性担体に前記触媒前駆体や焼成物を粉体状で担持させる方法などにしたがって製造することができる。
【0033】
不活性担体としては、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、チタニア、マグネシア、ステアタイト、コージェライト、シリカ−マグネシア、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ゼオライト等が挙げられる。その形状についても特に制限はなく、球状、円柱状、リング状など公知の形状のものが使用できる。不活性担体に対する生体溶解性繊維および触媒活性成分の合計担持量([生体溶解性繊維+触媒活性成分]÷不活性担体)については、特に限定されないが、20〜300質量%の範囲が好ましく、50〜200質量%の範囲がより好ましい。
【0034】
成形工程においては、成形性を向上させるための成形補助剤やバインダー、触媒に適度な細孔を形成させるための気孔形成剤などを用いることができる。具体例としては、エチレングリコール、グリセリン、プロピオン酸、マレイン酸、ベンジルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールまたはフェノール類の有機化合物や水、硝酸、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、尿素などが挙げられる。
【0035】
上記成形工程で得られた成形体は、続く成形体乾燥工程および/または成形体焼成工程に送られる。
【0036】
成形体乾燥工程では、一般的に使用される箱型乾燥機、トンネル型乾燥機等を用いて空気や窒素などの不活性ガスあるいはその他窒素酸化物などの気流中で加熱すればよく、乾燥温度としては80〜300℃、好ましくは130〜250℃、乾燥時間としては好ましくは1〜20時間である。なお、予め焼成した活性成分を用いた成形体の場合は、必ずしも成形体焼成工程は必要なく、成形工程で添加した成形補助材やバインダー等を除去できる条件であれば、成形体乾燥工程のみでもよい。
【0037】
成形体焼成工程において、焼成温度としては350〜600℃、好ましくは400〜550℃、更に好ましくは420〜500℃、焼成時間としては好ましくは1〜10時間である。焼成雰囲気としては、酸化雰囲気であれば良いが、分子状酸素含有ガス雰囲気が好ましく、特に、分子状酸素含有ガス流通下に焼成工程を行うのが好ましい。分子状酸素含有ガスとしては空気が好適に用いられる。
【0038】
なお、焼成工程で用いる焼成炉としては特に制限はなく、一般的に使用される箱型焼成炉あるいはトンネル型焼成炉等を用いればよい。
【0039】
本発明におけるプロピレンを用いた接触気相酸化によりアクロレインおよび/またはアクリル酸を製造するのに用いられる反応器については、固定床反応器である限り特段の制限はないが、特に固定床多管式反応器が好ましい。その反応管の内径は通常15〜50mm、より好ましくは20〜40mm、さらに好ましくは22〜38mmである。
【0040】
固定床多管式反応器の各反応管には、必ずしも単一の触媒を充填する必要はなく、従来公知の複数種の触媒を、それぞれ層(以下、「反応帯」と記すことがある)をなすように充填することも可能である。例えば、特許2091856号公報のような異なる占有容積を有する複数の触媒を原料ガス入口側から出口側に向かって占有容積が小さくなるように充填する方法、あるいは特許3775872号公報のような担持率の異なる複数の触媒を原料ガス入口側から出口側に向かって担持率が高くなるように充填する方法、あるいは特開2005−320315号公報のような触媒の一部を不活性な担体などで希釈する方法、あるいはこれらを組み合わせる方法などを採用してもよい。この時、反応帯の数は、反応条件や反応器の規模により適宜決定されるが、反応帯の数が多すぎると触媒の充填作業が煩雑になるなどの問題が発生するため工業的には2〜6程度までが望ましい。
【0041】
本発明における反応条件には特に制限は無く、この種の反応に一般に用いられている条件であればいずれも実施することが可能である。例えば、原料ガスとして1〜15容量%、好ましくは2〜12容量%のプロピレン、好ましくは2〜20容量%の分子状酸素、0〜30容量%、好ましくは0〜25容量%の水蒸気、残部が窒素などの不活性ガスからなる混合ガスを250〜450℃の温度範囲で0.1〜1.0MPaの圧力下、300〜5,000hr−1(標準状態)の空間速度で触媒に接触させればよい。
【0042】
反応原料ガスとしてのグレードについては特に制限はなく、例えば、原料としてプロピレンを用いる場合、ポリマーグレードやケミカルグレードのプロピレンなどを用いることができる。また、プロパンの酸化脱水素反応によって得られるプロピレン含有の混合ガスも使用可能であり、この混合ガスに必要に応じ、空気または酸素などを添加して使用することもできる。
【実施例】
【0043】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」、と記すことがある。実施例および比較例における転化率および収率は、次式によって求めた。
【0044】
転化率[モル%]
=(反応したプロピレンのモル数)/(供給したプロピレンのモル数)×100
選択率[モル%]
=(生成したアクロレインおよび生成したアクリル酸の合計モル数)/(反応したプロピレンのモル数)×100
収率[モル%]
=(生成したアクロレインおよび生成したアクリル酸の合計モル数)/(供給したプロピレンのモル数)×100
【0045】
[触媒の機械的強度測定方法]
内径25mm、長さ5000mmのステンレス製反応管を鉛直方向に設置し、該反応管の下端を厚さ1mmのステンレス製受け板で塞ぐ。約50gの触媒を該反応管の上端から反応管内に落下させた後、反応管下端のステンレス製受け板を外し、反応管から触媒を静かに抜き出す。抜き出した触媒を目開き5mmの篩にかけ、篩上に残った触媒の質量(g)を計量した。
機械的強度(質量%)=(篩上に残った触媒の質量(g)/反応管上端から落下させた触媒の質量(g))×100
【0046】
[触媒の粉化度測定方法]
垂直方向の断面が直径150mmの円であり水平方向の幅が150mmである円筒ドラム状のステンレス製密閉容器内に触媒を約200g入れる。該容器をその水平方向中心軸を中心として150rpmで30分間回転させた後、該容器から触媒を取り出し、目開き2mmの篩にかけ、篩上に残った触媒の質量(g)を計量した。
粉化度(質量%)=〔(容器内に入れた触媒の質量(g)−篩上に残った触媒の質量(g))/容器内に入れた触媒の質量(g)〕×100
【0047】
<実施例1>
[触媒調製]
蒸留水2000部にパラモリブデン酸アンモニウム1000部および硝酸カリウム3.3部を溶解したのち、20質量%のシリカゾル284部を加えた(A液)。別に蒸留水600部に65重量%硝酸50部を添加し、硝酸ビスマス298部、硝酸コバルト689部および硝酸鉄210部を溶解した(B液)。得られたA液とB液を混合し、そこにアルミナ193部および酸化タングステン54.7部を添加して30分攪拌し続けた。
【0048】
さらに、補強材として、GHS分類による発がん性が区分外であり、平均繊維径3μm、平均繊維長50μm、CaO、MgOおよびSrOが合計25質量%、SiO

が75質量%の組成からなるアルカリアースシリケートを触媒成分に対して10重量%となるように添加し、さらに120分攪拌し続けた。得られたスラリーを加熱攪拌してケーキ状の固形物とし、得られた固形物を空気雰囲気下200℃で約5時間乾燥を行った。乾燥後の固形物を500μm以下に粉砕し、触媒前駆体を得た。皿型転動造粒機に平均直径が4.5mmの球状アルミナ担体150部を投入し、次いで皿型転動造粒機を回転させた状態で、バインダーの硝酸アンモニウム水溶液を噴霧しながら上記触媒前駆体の粉体を徐々に投入して担体に担持させた後、約230℃の熱風で乾燥して担持物を得た。次いで担持物を空気雰囲気下480℃で8時間焼成して触媒1を得た。この触媒1の酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は次のとおりであった。
触媒1:Mo12Bi1.3Co5Fe1.1Al8W2.1Si2K0.07
この触媒1の機械的強度、粉化度を表1に示す。
【0049】
[反応器]
全長350mm、内径25mmの鋼鉄製反応管およびこれを覆う熱媒体を流すためのシェルからなる反応器を鉛直方向に用意した。反応管上部より得られた触媒1を落下させて、層長が110mmとなるように充填した。
[酸化反応]
触媒を充填した反応管下部より、プロピレン2.0容量%、酸素12容量%、水蒸気40容量%、残部が窒素等の不活性ガス混合からなる混合ガスを空間速度1380hr
−1
(標準状態)で導入し、プロピレン酸化反応を行った。その際、プロピレン転化率が約98モル%となるように熱媒体温度(反応温度)を調節した。その結果を表2に示す。
【0050】
<比較例1>
実施例1において、補強材としてアルカリアースシリケートウールの代わりに、GHS分類による発がん性が区分2であり、平均繊維径3μm、平均繊維長50μmのリフラクトリーセラミックファイバー(シリカ−アルミナ繊維)を添加したこと以外は実施例1と同様に調製し、触媒2を得た。この触媒2の担持率、および、酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒2の機械的強度および粉化度を表1に示す。触媒2を実施例1と同様に反応器に充填し、同条件でプロピレン酸化反応を行った。その結果を表2に示す。
【0051】
<比較例2>
実施例1において、アルカリアースシリケートウールを添加せず、平均繊維径15μmおよび平均繊維長350μmのガラス繊維を触媒活性成分に対して10質量%となるように添加した以外は実施例1と同様に調製し、触媒3を得た。この触媒3の担持率、および、酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒3の機械的強度および粉化度を表1に示す。触媒3を実施例1と同様に反応器に充填し、同条件でプロピレン酸化反応を行った。その結果を表2に示す。
【0052】
<実施例2>
実施例1において、補強材であるアルカリアースシリケートウールを触媒活性成分に対して5質量%となるように添加した以外は実施例1と同様に調製し、触媒4を得た。この触媒4の担持率、および、酸素を除く触媒活性成分の金属元素組成は触媒1と同じであった。触媒4の機械的強度および粉化度を表1に示す。触媒4を実施例1と同様に反応器に充填し、同条件でプロピレン酸化反応を行った。その結果を表2に示す。
【0053】
【0054】

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株式会社日本触媒
ラジカル重合性共重合体、硬化性樹脂組成物及びその用途
株式会社日本触媒
含窒素複素環化合物およびスクアリリウム化合物の製造方法
株式会社日本触媒
(メタ)アクリレート系重合体の製造方法および粘度指数向上剤
株式会社日本触媒
ポリシラン組成物、及びヘテロ元素導入ポリシラン組成物の製造方法
日本放送協会
有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置
太陽インキ製造株式会社
光硬化性熱硬化性樹脂組成物及びドライフィルム及び硬化物ならびにプリント配線板
株式会社日本触媒
繊維材料捺染又は染色用組成物、捺染又は染色用の処理層を有する繊維材料の製造方法、ならびに捺染又は染色された繊維材料の製造方法