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公開番号2019171067
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191010
出願番号2019059478
出願日20190326
発明の名称皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物、及びこれを含む貼付材
出願人ニチバン株式会社
代理人特許業務法人航栄特許事務所
主分類A61L 15/24 20060101AFI20190913BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】
貼付材に適用したときに側面からの染み出しを抑制し、適度な貼付性とのバランスを有した、快適な貼付を可能にする皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物、着色剤を使用せずとも皮膚の色になじむような色相とすることが可能な、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を提供すること。
【解決手段】
(A)エラストマー、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤、及び(D)コロイド粒子を含有する皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物であって、前記(B)粘着付与樹脂が、C5系樹脂及びC5/C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有し、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物のb*(D65)が8以上17以下である、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(A)エラストマー、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤、及び(D)コロイド粒子を含有する皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物であって、前記(B)粘着付与樹脂が、C5/C9系樹脂及びC5系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有し、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の△b*(D65)が8以上17以下である、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の△E*ab(D65)が10以上20以下である、請求項1に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【請求項3】
前記(A)エラストマーは、スチレン系ブロック共重合体及びポリイソブチレンを含む、請求項1又は2に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【請求項4】
前記ポリイソブチレンの含有量は、前記(A)エラストマーの全質量に対して40質量%〜60質量%である、請求項3に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【請求項5】
前記ポリイソブチレンの含有量は、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して1質量%〜30質量%である、請求項3又は4に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【請求項6】
前記(C)可塑剤の含有量は、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して5質量%〜15質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【請求項7】
前記(B)粘着付与樹脂の含有量は、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して15質量%〜30質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を含む、貼付材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物に関し、特に創傷用処置剤として好適な皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物、及びこれを含む貼付材に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)【背景技術】
【0002】
ハイドロコロイド型粘着剤は、それ自体が粘着性を有し、治癒過程で滲出する創傷分泌物を吸収し、且つ湿潤状態を保持することにより、良好な創傷治癒効果を示すとして近年その重要性が増している。
【0003】
一般に、ハイドロコロイド型粘着剤は、可塑性ゴムからなる連続相(母材)に吸水性のコロイド粒子(吸水剤)が分散して存在している構造を有し、その多くは、一定時間で自重の3〜5倍程度の水又は創傷部位からの滲出液を吸収し得るように調製されている。水等を吸水してもその母材が一体性を失うことがないよう、且つ、所望の粘着性を発揮できるよう、ゴム成分を種々検討した提案がなされている(例えば特許文献1)。また、貼付材に用いられる粘着剤組成物として、単位体積当たりの蒸留水の吸水量が生理食塩水の吸水量と同等か、蒸留水よりも生理食塩水の吸水量が多いものを採用することにより、浸出液を吸収する性能を保持しつつ、所望の粘着性を有し、水に濡れた後であっても粘着性能の低下を抑制することができる貼付材の提案がなされている(例えば特許文献2)。また、近年、環境ホルモン作用や発がん性の疑いが持たれるDOPやDOA等の可塑剤を替えた場合においても、十分な吸水量・吸水速度の調整ができる、新たな可塑剤の使用を検討した提案もなされている(例えば特許文献3)。さらに、ハイドロコロイド型粘着剤を貼付材、とりわけ救急絆創膏のパッドへの適用を検討した提案もなされている(例えば特許文献4)。これまで、創傷部位を覆い創傷治癒効果が得やすい環境とするために、ハイドロコロイド型粘着剤を添付剤に適用したときに、比較的厚いハイドロコロイド型粘着剤の層が用いられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2002−512295号公報
特開2017−39706号公報
特開2011−45494号公報
国際公開第2013/77134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらハイドロコロイド型粘着剤は、絆創膏のパッド部や、フィルムを支持体とする粘着テープの粘着剤層として用いられてきた。
ハイドロコロイド型粘着剤は、創傷面における湿潤環境を維持するために、一定時間皮膚への貼付が良好である必要がある。よって、粘着剤層はある程度の柔軟性を持たせなければならない。一方で、貼付材を常温以上の環境下においても、経時で該粘着剤が過度な流動により支持体の端部(以下、「エッジ」ともいう)から染み出してしまうことも防がなければならない。支持体の端部から粘着剤が染み出してしまう傾向は、特に200μm以上の厚い粘着剤層をもつ場合や架橋されていない粘着剤層をもつ粘着テープの共通した課題であり、ハイドロコロイド粘着剤においては、その組成上、顕著に起きる課題であった。貼付材がロール状の場合は、粘着剤層の幅方向の端部が支持体端部を超えて染み出しが起きると、染み出した部分が周回した自身の基材や粘着剤層に相互に付着して、解きほぐす際に解きほぐし力が重くなったり、粘着剤の糸引きを起こしたりするなど、取り扱い性が悪くなる問題がある。また染み出した部分に塵などの異物が付着すると、外観が悪くなるだけでなく衛生上も問題である。
【0006】
絆創膏や粘着テープ等の貼付材は、皮膚に貼付されて使用されるが、日常生活において、快適な貼付を可能とするために、貼付材のエッジからの染み出しを抑制することも求められている。
従来のハイドロコロイド組成物では、上記の染み出し抑制について、重点的に検討がなされてこなかった。
【0007】
本発明の目的は、上記の課題を解決した皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物、すなわち、貼付材に適用したときに側面からの染み出しを抑制し、適度な貼付性とのバランスを有した、快適な貼付を可能にする皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を提供することにある。さらに、着色剤を使用せずとも皮膚の色になじむような色相とすることが可能な、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題に対して鋭意研究を行なった結果、貼付材に用いられる粘着剤組成物において、C5系樹脂及びC5/C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を有する粘着付与樹脂を採用することにより、側面からの染み出しを抑制し、適度な貼付性とのバランスを有した、快適な貼付を可能にする皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を提供し得ることを見出した。また、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の△b*(D65)を8以上17以下とすることで、着色剤を使用せずとも皮膚の色になじむような色相とすることが可能な貼付材を提供し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記課題が解決される。
【0010】
[1]
(A)エラストマー、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤、及び(D)コロイド粒子を含有する皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物であって、前記(B)粘着付与樹脂が、C5/C9系樹脂及びC5系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有し、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の△b*(D65)が8以上17以下である、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[2]
前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の△E*ab(D65)が10以上20以下である、[1]に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[3]
前記(A)エラストマーは、スチレン系ブロック共重合体及びポリイソブチレンを含む、[1]又は[2]に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[4]
前記ポリイソブチレンの含有量は、前記(A)エラストマーの全質量に対して40質量%〜60質量%である、[3]に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[5]
前記ポリイソブチレンの含有量は、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して1質量%〜30質量%である、[3]又は[4]に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[6]
前記(C)可塑剤の含有量は、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して5質量%〜15質量%である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[7]
前記(B)粘着付与樹脂の含有量は、前記皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の全質量に対して15質量%〜30質量%である、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を含む、貼付材。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、貼付材に適用したときに側面からの染み出しを抑制し、適度な貼付性とのバランスを有した、快適な貼付を可能にする皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を提供することができる。さらに、着色剤を使用せずとも皮膚の色になじむような色相とすることが可能な、皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を提供することができる。
従って、本発明の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」と称する場合がある)を用いた貼付材は、適度な貼付性を有しながらも、側面からの染み出しが抑制されることから、粘着シートをロール状とした場合に、一部スリットがある箱にロール状の貼付材を封入した場合でも、箱からの引き出し性が良好となり、貼付材として皮膚に貼付した場合には、衣服などの汚れが貼付材のエッジに着きにくいことが期待できる。
そしてこの粘着剤組成物を用いた貼付材は救急絆創膏やドレッシング材等の医療・衛生分野への展開が期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物>
本発明の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物は、(A)エラストマー、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤、及び(D)コロイド粒子を含有し、前記(B)粘着付与樹脂が、C5系樹脂及びC5/C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。本発明の皮膚貼付用ハイドロコロイド粘着剤組成物は、所望によりその他の成分を含み得る。
以下、上記各成分について詳述する。
【0013】
[(A)エラストマー]
本発明において使用するエラストマーは、従来使用されているエラストマーであれば特に限定されないが、好適には、スチレン系ブロック共重合体及びポリイソブチレン(以下、PIBとも称する)を含む。
前記スチレン系ブロック共重合体としては、スチレン・ブタジエンブロック共重合体(SBS)及びその水添ゴム(SEBS)、スチレン・イソプレンブロック共重合体(SIS)及びその水添ゴム(SEPS)、スチレン・イソブチレンブロック共重合体(SIBS)などが挙げられ、これらの1種あるいは複数を組合せて使用することができる。これらの中でも、SIS及びSEBSが更に好ましく、特に好ましくはSISが用いられる。
【0014】
前記ポリイソブチレンは、粘着剤組成物の皮膚への接着性を良好なものとすることができ、1種単独でまたは2種類以上の組み合わせにて使用することが好ましい。
ただし、ポリイソブチレンを含む粘着剤組成物は、コールドフロー現象を起こしやすく、粘着剤の染み出しが起きる傾向が認められるため、ポリイソブチレンの含有量は、前記粘着剤組成物の全質量に対して1質量%〜30質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
【0015】
本発明においては市販のポリイソブチレンを使用し得、たとえば、オパノールB30、同B50、同B80、同N80、同N100、同B15、同B15SFN、同B12(以上、BASFジャパン(株))、ビスタネックスLM−MS、同LM−MH、同LM−H(以上、エクソン社)、ハイモール4H、同5H、同5.5H、同6H、テトラックス3T、同4T、同5T、同6T(以上、JX日鉱日石エネルギー(株))等を挙げることができる。ポリイソブチレンの粘度平均分子量:Mvの好適な範囲は10,000〜1,110,000である。なお、ここで用いる粘度平均分子量は、フローリー法によるものである。
前記ポリイソブチレンの含有量は、前記(A)エラストマーの全質量に対して20質量%〜65質量%であることが好ましく、40質量%〜60質量%であることがより好ましい。
【0016】
その他、本発明において使用するエラストマーは、液状ゴムを含むこともできる。前記液状ゴムとしては、液状ポリイソプレン(LIR)や液状ポリブタジエン(LPB)、ポリブテン(PB)などの液状エラストマー成分を挙げることができる。
なお、前記液状ゴムは、上記のスチレン系ブロック共重合体、ポリイソブチレンとは異なる成分である。
例えば、液状ゴムの含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、0質量%〜20質量%であることが好ましい。
【0017】
本発明において、(A)エラストマーの含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、20質量%〜60質量%であることが好ましく、30質量%〜45質量%であることがより好ましい。
【0018】
[(B)粘着付与樹脂]
本発明において使用する粘着付与樹脂としては、一般に疎水性ゴムベース成分と相溶して粘着性を発現させる疎水性の樹脂であり、具体的にはロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、C5系樹脂、C5/C9系樹脂、DCPD系石油系樹脂、クマロン・インデン樹脂、またこれらの水添物などが挙げられる。
【0019】
本発明において、前記(B)粘着付与樹脂は、C5系樹脂及びC5/C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有する。
【0020】
C5系樹脂としては、C5系石油樹脂が挙げられ、例えば、C5系の脂肪族系炭化水素樹脂が挙げられる。具体的には、炭素数4〜5個相当の石油留分(C5留分)であるイソプレンやシクロペンタジエンなどの不飽和モノマーを重合(例えばカチオン重合)することにより得られる樹脂や、1,3−ペンタジエンを濃縮したものを原料とする樹脂である。
C5系樹脂の軟化点は、好ましくは80℃〜100℃、更に好ましくは90℃〜100℃である。
本願明細書において、軟化点は、JIS−2207に基づいて測定した値である。
【0021】
C5系樹脂としては、例えば、クイントンA100(日本ゼオン株式会社製)、クイントンM100(日本ゼオン株式会社製)等を用いることができる。
【0022】
C5/C9系樹脂としては、C5/C9系石油樹脂が挙げられ、例えば、C5/C9系の脂肪族/芳香族炭化水素樹脂が挙げられる。具体的には、上記C5留分と、炭素数8〜10個相当の石油留分(C9留分)とを重合(例えばカチオン重合)により共重合して得られる樹脂である。
C5/C9系樹脂の軟化点は、好ましくは80℃〜115℃、より好ましくは85℃〜115℃、更に好ましくは90℃〜115℃である。
【0023】
また、粘着剤組成物を作成したときの色相に影響を与えるために、C5/C9系樹脂のJIS−K5600ガードナー法(トルエン50%)の溶液色相が4以上であることが好ましく、特に7以上であることがより好ましい。例えば、溶液色相が4以上の例としてはクイントンN180(日本ゼオン株式会社製)が挙げられ、溶液色相が7以上の例としては、クイントンG100B(日本ゼオン株式会社製)、クイントンG115(日本ゼオン株式会社製)等を用いることができる。
【0024】
本発明において、前記(B)粘着付与樹脂は、C5系樹脂及びC5/C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含有するが、これ以外の粘着付与樹脂を粘着剤組成物の色相に影響を与えない範囲で含有することもできる。
成分(B)の粘着付与樹脂のC5系樹脂及びC5/C9系樹脂からなる群より選択される少なくとも一種以外の粘着付与樹脂の具体例としては、前記粘着付与樹脂の具体例における、C5系樹脂及びC5/C9系樹脂以外の樹脂が挙げられ、例えば、脂環族飽和炭化水素樹脂のアルコン(登録商標)P−125(荒川化学工業)などが挙げられる。
【0025】
上記(B)粘着付与樹脂は、全エラストマー成分の100質量部に対して20質量部〜200質量部、好ましくは50質量部〜180質量部の量で存在していることが好ましい。
上記(B)粘着付与樹脂の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対し、10質量%〜40質量%が好ましく、15質量%〜30質量%であることが更に好ましい。
【0026】
[(C)可塑剤]
本発明において使用する可塑剤(軟化剤)としては、パラフィン系、ナフテン系、等の石油系プロセスオイルやひまし油、大豆油などの植物油、及び植物油由来の脂肪酸エステルなどの軟化剤を使用してもよい。また、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸と、例えば炭素原子数8乃至10程度のアルキル基を有するモノアルコールとの二塩基酸エステル系可塑剤;前記芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等のグリコールとの重縮合により得られるポリエステル系可塑剤;ポリエチレングリコール、クエン酸エステル等のその他の可塑剤なども使用することができる。これら2つ以上を併用することもできる。
本発明において、成分(C)の可塑剤は、粘着剤組成物の全質量に対して、1質量%〜15質量%であることが好ましく、5質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
【0027】
[(D)コロイド粒子]
本発明において使用するコロイド粒子としては、特に制限はないが、例えば、コーンスターチ、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン、ペクチン、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、コラーゲン、寒天、ゼラチン、キチン、キトサン、カラヤガム、アラビアゴム、キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(CMC)、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、デンプンアセテート、デンプンホスフェート、ヒドロキシエチル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、酸化デンプン、デキストリン化デンプン、デンプン・アクリル酸グラフト重合体、ポリアクリル酸及びその塩、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン等のハイドロコロイド粒子(親水性ポリマー)を挙げることができる。
これらのコロイド粒子のなかで、特に耐熱性のよいカルボキシメチルセルロース・ナトリウム等を使用することが好ましい。カルボキシメチルセルロース・ナトリウムの粒径は、5μm〜500μm、好ましくは15μm〜250μmである。
上記カルボキシメチルセルロース・ナトリウムの市販品としては、セロゲン(登録商標)F−3H(第一工業製薬(株))、MAC200HC、サンローズ(登録商標)F350HC、サンローズ(登録商標)F10LC(以上日本製紙ケミカル(株))等が挙げられる。
【0028】
本発明に用いるコロイド粒子は、一種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
これらコロイド粒子の配合量は、適度な吸水速度と吸水量を得るために、例えばカルボキシメチルセルロース・ナトリウムやカルボキシメチルセルロースであれば、粘着剤組成物の全質量に対して、好ましくは10質量%〜50質量%、更に好ましくは20質量%〜40質量%の割合で使用することが、吸液性、特に吸水性、創傷部位との接着性、及び適度な保形性(側面からの膏体のはみだし防止性)の観点から望ましい。
【0030】
[その他成分]
さらに本発明の粘着剤組成物には、一般的なゴム系粘着剤で使用する、酢酸トコフェロール及び/又はその誘導体、アスコルビン酸及び/又はその誘導体、亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、ビスフェノール系、ヒンダードアミン系、ベンゾイミダゾール系などの老化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤などを1種又は複数の組合せで適宜添加してもよい。
また本発明の粘着剤組成物には、その他皮膚貼付用の粘着テープやシートに一般に用いられるようなその他の各種添加剤、例えば充填剤、脱臭剤、芳香剤などを配合してもよく、或いは内部凝集力を高めるために架橋剤を適宜配合させてもよい。
これらの任意成分の配合量は、通常、粘着剤組成物の全質量に対して5質量%以下である。
【0031】
また、既に損傷を受けた皮膚又は、損傷が予想される皮膚に対しては、皮膚の治療又は損傷の予防、美容等を目的とする薬効成分を添加してもよい。例えば、薬理学上有効な薬効成分としては、抗生物質、殺菌剤や抗菌剤(アクリノール、塩化ベンザルコニウム、銀系化合物等)、消毒剤、抗炎症剤及び皮膚保護剤などが挙げられる。また、セラミド等の保湿効果のある物質を添加することで、角質剥離でダメージを受けた皮膚の健常な皮膚への再生を助長することができ、或いは血流促進効果の高いγ−オリザノール等を添加することにより、褥瘡発生が懸念される部位において体圧によって生じる血管の閉塞を緩和し、褥瘡予防が期待できる。
これらの薬効成分は、粘着剤組成物の全質量に対して通常3質量%以下、好ましくは2質量%以下の含有量とすることができる。
【0032】
本発明の粘着剤組成物は、貼付材に適用された場合に、傷口を目立たなくするために、着色剤を含むことができるが、皮膚への刺激が問題となることもある。
本発明の粘着剤組成物は、着色剤を含まないことが好ましい。
本発明の粘着剤組成物の色相に関して、本発明の粘着剤組成物の△b*(D65)は8以上17以下である。本発明の粘着剤組成物の△b*(D65)は8以上17以下とすることで、着色剤を使用せずとも、創傷部位に適用された場合、傷口を目立たなくすることができ、皮膚の色になじむような色相とすることが可能となる。なお、△b*(D65)は、粘着剤組成物の黄色の程度を示している。
また、△b*(D65)は、8以上17以下が好ましく、10以上17以下がより好ましく、11以上17以下がより好ましい。
【0033】
更に、本発明の粘着剤組成物の色相に関して、△E*ab(D65)は、10〜20が好ましく、10〜19がより好ましく、13〜19が更に好ましい。
△E*ab(D65)は、白色を基準として、粘着剤組成物の色相の差を示している。
△E*ab(D65)の値を上記範囲とすることで、より皮膚の色になじむような色相とすることが可能となるため、好ましい。
【0034】
△b*(D65)、及び△E*ab(D65)は、それぞれ、分光測色計(コニカミノルタ、CM−2600D)を用いて、SCE方式により測定される。
【0035】
上記色相は、本発明の粘着剤組成物の組成、含有量を適宜、変更することで調節することが可能である。例えば、本発明の粘着剤組成物における粘着付与樹脂の種類、含有量を調整することで、上記色相を調節することができる。
【0036】
<貼付材>
本発明は、本発明の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を含む、貼付材にも関する。
本発明の第一の態様における貼付材は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有し、該粘着剤層が、本発明の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を用いて形成された貼付材である。
【0037】
本発明の貼付材は、有機溶剤が不要の塗工方法であるカレンダー法やホットメルト法などによって、好適に作製することができる。
ホットメルト法は、有機溶剤などの希釈媒体を全く使用せず、高温で急激に軟化溶融するブロック共重合体の特性を利用した方法であり、乾燥工程が不要、塗工速度が速い、爆発火災の危険がないなどの利点がある。
一例として、ホットメルト法による貼付材の製造例を以下に記載する。加熱制御可能な高速回転ミキサーで、エラストマー成分、粘着付与樹脂、可塑剤及びコロイド粒子、そして適宜その他成分を、窒素雰囲気下、通常150〜200℃の温度で30〜120分間加熱高速撹拌して溶解物として各成分が均一となった粘着剤組成物を得ることができる。
前記方法にて得られた粘着剤組成物を、ホットメルト塗工機にて、150〜200℃に温度制御したダイヘッド部分から押し出して剥離シート上に例えば100〜1,000μmの厚さに展延した後、これに、基材を積層(好ましくはラミネート)することで貼付材を作製することができる。
カレンダー法としては、加圧ニーダーを用い、エラストマー成分、粘着付与樹脂、可塑剤及びコロイド粒子、そして適宜その他成分を加えて、混練り温度80〜140℃、混練り時間20〜60分の範囲で均一に練り上げて粘着剤を調製する。カレンダー法においては、数本の鋳鋼製熱ロールの間で粘着剤を加熱圧延し、ロールの周速度による摩擦により粘着剤を剥離シート上に、例えば100〜1,000μmの厚さに展延した後、これに、基材を積層(好ましくはラミネート)することで貼付材を作製することができる。
【0038】
ここで用いられる基材としては、適度な伸縮性、柔軟性、強度を備えるものであれば特に限定されず、適度の通気性、透湿性及び菌バリヤー性の性質を備えるものが特に好ましい。例えばポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル及びポリアクリル酸等のフィルム、フォーム、不織布、織布及び編み布等が挙げられる。中でも上述の観点からポリウレタン性のフィルムが好ましい。
【0039】
また、使用する剥離シートは貼付材の分野で慣用のものを用いることができる。例えばシリコーン離型処理した上質紙、グラシン紙等の紙基材やポリエステルフィルム等を用いることができる。
本発明において、剥離シートの長さは、粘着剤の流出防止、生産性、取扱性、経済性及び製法の容易性等の観点より、粘着剤の塗工領域よりも、0.2mm以上、特に1〜5mm大きくすることが好ましい。
【0040】
本発明の貼付材の形状は、使用目的に応じて、適宜、選定すればよい。具体的な形状としては、円形、楕円形や、三角形、四角形、菱形等の多角形等を示すことができる。また、これらの形状を適宜組み合わせた形状であってもよく、ロール状に形成してもよい。
【0041】
貼付材は、基材に皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を全面或いはパターンコーティングにより積層し、粘着剤層とすることで得ることもできる。
【0042】
本発明の第二の態様における貼付材は、基材と、粘着層と、パッド層とをこの順に有し、該パッド層が、本発明の皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を含むものである。このとき、基材は、透湿性が高いことが好ましく、粘着層はパッド層よりも粘着力を高く設定することが好ましい。
なお、上記第一の態様における貼付材にパッド層を付与することにより、第二の態様における貼付材に転用することが可能である。
【0043】
本発明の貼付材の粘着剤層(ハイドロコロイド組成物層)の厚さは、特に制限されないが、皮膚への固定性を担保し、基材厚みとのバランスの点から、一定厚とする場合は、100〜1,200μm以下が好ましい。特に好ましくは150〜400μmである。また、例えば、貼付材の縁取り部の粘着剤の使用量を、貼付材の中央部分の粘着剤の使用量より少なく、厚みを薄くすることにより、縁取り部と衣類等とのこすれを防止し、皮膚へ適用した時に剥がれにくくなる効果が得られる。この場合、粘着剤の使用量は、中央部で、好ましくは300〜1,200μm、更に好ましくは600〜800μmであり、縁取り部の粘着剤の使用量は、好ましくは50〜300μm、更に好ましくは100〜300μmである。
【0044】
〔粘着剤層の粘着力〕
皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物を用いて形成された粘着剤層は、創傷部位を含む貼付皮膚面に貼付されるものであり、創傷部位及び健常皮膚に損傷を与えることなく剥離できるものでなければならないこと、及び背面に配置される支持体に対する投錨性を良好に保つ必要があることから、所定の粘着力を有することが望ましい。例えば、粘着剤層の皮膚面に対する粘着力は、好ましくは0.1〜2.0N/15mm、より好ましくは0.2〜1.5N/15mmの範囲である。
【0045】
本発明の貼付材の物理的・化学的性質については、国際公開第2013/077134号パンフレットに定義されたものを好適に適用できる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
<皮膚貼付用ハイドロコロイド型粘着剤組成物の調製>
前記カレンダー法で、加圧ニーダーを用いて表1に示す組成にて混練り温度80〜140℃で30〜50分間の混練を行い、均一な粘着剤組成物を調製した。
【0048】
<貼付材の作製>
調製した粘着剤組成物を熱延伸ロールを用いてシリコーン処理したグラシン紙(厚さ120μm)上に、300μmの厚さに展延して粘着剤層を形成した。この粘着剤層の上に基材として10μmのポリエーテル系ポリウレタンフィルムをラミネートし15×100cmのシートを作製し実施例1の貼付材を得た。
実施例2〜9、比較例1〜4は、実施例1と同様にして貼付材を作製した。
【0049】
<染み出し評価>
各貼付材を30mm×40mmのシート状に裁断したものを用いて、縁を揃えて10枚重ねて試料とした。これを縦50mm、横70mm、厚さ2mmの2枚のガラス板に挟んだ。
ガラス板の上から1000gの分銅を乗せて荷重をかけて、60℃の恒温槽に静置した。1週間静置した後に、恒温槽から取り出して、粘着剤層の側面の染み出し度合を評価した。下記の基準で目視により評価した。
○: べたつきがなく良好
△: べたつきがあるが粘着剤層の明らかな染み出しはない。
×: 粘着剤層が染み出している。
評価○、△が、実用的に問題がないレベルである。
【0050】
<保持力の評価>
各貼付材を、JIS Z 0237(保持力)に規定される手順に準じて測定する。23℃、50%RHの条件下、幅25mmの試験片Aをガラス板に幅25mm×長さ20mmの面積となるように貼付し、2kgのゴムロールで300mm/分の速度で一往復圧着し、60℃の環境下に30分放置後、試験片Aが垂直に垂れ下がるように吊るし、おもり100gの荷重を加えて、そして取り付けてから30分と60分経過後までに貼付材が移動する距離(mm)をそれぞれ測定し、その平均値(試験数n=3)を保持力とする。
(【0051】以降は省略されています)

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