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公開番号2019166851
公報種別公開特許公報(A)
公開日20191003
出願番号2018053700
出願日20180322
発明の名称側面衝撃対応の車体構造
出願人株式会社SUBARU
代理人個人
主分類B62D 25/20 20060101AFI20190906BHJP(鉄道以外の路面車両)
要約【課題】車体において、各種の側面への衝撃入力に対して好適に対応できるようにする。
【解決手段】側面衝撃対応の車体構造は、車体2の車室3の外縁に沿ってフロアパネル16の高さにおいて前後方向に延在するサイドシル11と、サイドシル11から上向きに立設するピラー14と、サイドシル11の内側において車幅方向に延在するようにフロアパネル16の下側に設けられるクロスメンバ17,22と、を有する。サイドシル11は、中空の閉断面構造に形成する。中空のサイドシル11の下部および内上部には、前後方向に沿って延在する補強部材18,19を設ける。クロスメンバ17,22は、サイドシル11の下部から上部にかけてのサイドシル11に対応する高さで、補強部材18,19についての車幅方向の内側に位置するように、サイドシル11の内側に隣接してまたは近接して設けられる。
【選択図】 図4
特許請求の範囲約 1,100 文字を表示【請求項1】
車体の車室の外縁に沿ってフロアパネルの高さにおいて前後方向に延在するサイドシルと、
前記サイドシルから上向きに立設するピラーと、
前記サイドシルの内側において車幅方向に延在するように前記フロアパネルの下側に設けられるクロスメンバと、
を有し、
前記サイドシルを中空の閉断面構造に形成して、中空の前記サイドシルの下部および内上部において前後方向に沿って延在する補強部材を設け、
前記クロスメンバは、前記サイドシルの下部から上部にかけての前記サイドシルに対応する高さで、前記補強部材についての車幅方向の内側に位置するように、前記サイドシルの内側に隣接してまたは近接して設けられる、
側面衝撃対応の車体構造。
【請求項2】
前記サイドシルは、前記下部より前記上部が内側となるように階段状の内面形状を有し、
前記補強部材の上部は、前記サイドシルの階段状の内面形状に沿って、前記補強部材の下部より内側に配置され、
前記クロスメンバの下部は、前記サイドシルの階段状の内面形状に沿って、前記クロスメンバの上部より外側に配置され、
前記クロスメンバの前記下部の上側に、前記補強部材の上部が位置する、
請求項1記載の側面衝撃対応の車体構造。
【請求項3】
前記補強部材は、中空の前記サイドシルの下部に配置される下部補強部材と、中空の前記サイドシルの内上部に配置される上部補強部材と、を有する、
請求項1または2記載の側面衝撃対応の車体構造。
【請求項4】
前記クロスメンバは、前記下部補強部材の内側に配置される下側クロスメンバと、前記上部補強部材の内側に配置される上側クロスメンバと、を有する、
請求項3記載の側面衝撃対応の車体構造。
【請求項5】
前記下側クロスメンバは、前記フロアパネルの下側に取り外し可能に取り付けられるバッテリモジュールに設けられるモジュールクロスメンバである、
請求項4記載の側面衝撃対応の車体構造。
【請求項6】
前記バッテリモジュールの前記下側クロスメンバは、前記上部補強部材および前記下部補強部材と連結される、
請求項5記載の側面衝撃対応の車体構造。
【請求項7】
前記ピラーは、前記サイドシルの外側に被さる基部を有し、
前記基部は、前記サイドシルと上部で接合され、
前記補強部材についての前記サイドシルの下部に設けられる部分は、前記基部と前記サイドシルの外面との接合位置より下側に設けられる、
請求項1から6のいずれか一項記載の側面衝撃対応の車体構造。

発明の詳細な説明約 14,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、側面衝撃に対応する車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ピラーの内部に補強部材を設ける車体構造を開示する。
これにより、ピラーに対して他の自動車が当たる場合に、ピラーが内側へ曲がり難くなるように剛性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2014−080182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにピラーの内側に補強部材を設けたとしても、たとえばピラーの位置からずれた位置においてサイドシルに対して電柱が直接に衝突する場合、ピラーの補強部材は機能せず、サイドシルが内側へ変形することになる。
そこで、サイドシルにおいても、ピラーと同様に、補強部材を設けることが考えられる。
しかしながら、サイドシルの内部に補強部材を設けた場合、サイドシルの剛性が変形し難くなるように高まり、その結果として、ピラーに対して他の自動車が当たる場合にピラーとサイドシルとの接合が剥がれてしまう可能性がある。
【0005】
このように車体では、各種の側面への衝撃入力に対して好適に対応できるようにすることが求められている。
特に、車体では、サイドシルに対する直接的に衝撃の入力への対応性能を高めつつ、衝撃が大きくなる可能性がある他の自動車がピラーに当たる際の衝撃への対応性能を確保できるようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る側面衝撃対応の車体構造は、車体の車室の外縁に沿ってフロアパネルの高さにおいて前後方向に延在するサイドシルと、前記サイドシルから上向きに立設するピラーと、前記サイドシルの内側において車幅方向に延在するように前記フロアパネルの下側に設けられるクロスメンバと、を有し、前記サイドシルを中空の閉断面構造に形成して、中空の前記サイドシルの下部および内上部において前後方向に沿って延在する補強部材を設け、前記クロスメンバは、前記サイドシルの下部から上部にかけての前記サイドシルに対応する高さで、前記補強部材についての車幅方向の内側に位置するように、前記サイドシルの内側に隣接してまたは近接して設けられる。
【0007】
好適には、前記サイドシルは、前記下部より前記上部が内側となるように階段状の内面形状を有し、前記補強部材の上部は、前記サイドシルの階段状の内面形状に沿って、前記補強部材の下部より内側に配置され、前記クロスメンバの下部は、前記サイドシルの階段状の内面形状に沿って、前記クロスメンバの上部より外側に配置され、前記クロスメンバの前記下部の上側に、前記補強部材の上部が位置する、とよい。
【0008】
好適には、前記補強部材は、中空の前記サイドシルの下部に配置される下部補強部材と、中空の前記サイドシルの内上部に配置される上部補強部材と、を有する、とよい。
【0009】
好適には、前記クロスメンバは、前記下部補強部材の内側に配置される下側クロスメンバと、前記上部補強部材の内側に配置される上側クロスメンバと、を有する、とよい。
【0010】
好適には、前記下側クロスメンバは、前記フロアパネルの下側に取り外し可能に取り付けられるバッテリモジュールに設けられるモジュールクロスメンバである、とよい。
【0011】
好適には、前記バッテリモジュールの前記下側クロスメンバは、前記上部補強部材および前記下部補強部材と連結される、とよい。
【0012】
好適には、前記ピラーは、前記サイドシルの外側に被さる基部を有し、前記基部は、前記サイドシルと上部で接合され、前記補強部材についての前記サイドシルの下部に設けられる部分は、前記基部と前記サイドシルの外面との接合位置より下側に設けられる、とよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、車体の車室の外縁に沿ってフロアパネルの高さにおいて前後方向に延在するサイドシルは中空の閉断面構造に形成され、その内部に設けられる補強部材は、中空の下部から内上部にかけて前後方向に沿って延在する。
補強部材は、サイドシルに被さる基部とサイドシルの外側についてのピラーが重なるまたは接合される部分の内側には設けられない。
また、補強部材についてのサイドシルの下部に設けられる部分は、たとえば、ピラーについてのサイドシルの外側に被さる基部とサイドシルの外面との接合位置より下側に設けられる。
よって、サイドシルから上向きに立設することで車室の側面において立設されるピラーに対して他の自動車が当たり、ピラーを内側へ曲げるように側面から入力がある場合、ピラーおよびサイドシルの外上部は、補強部材が設けられない状態と同様に内側へ変形し始めることにより衝撃を吸収することができる。これに対して、仮にたとえばサイドシルの中空の外上部に前後方向に沿って延在する補強部材を設けた場合、側面入力に対してサイドシルは全体的に内側へ変形し難くなる。その結果、ピラーが内側へ変形しようとする際に、内側へ変形し難いサイドシルからピラーが外れてしまう可能性がある。
また、中空の閉断面構造のサイドシルの下部および内上部には、補強部材が前後方向に沿って延在して設けられ、クロスメンバは、サイドシルの下部から上部にかけてのサイドシルに対応する高さで、サイドシルの内側に隣接してまたは近接して設けられ、補強部材についての車幅方向の内側に位置する。
よって、たとえば電柱などがサイドシルに直接に衝突することでサイドシルが内側へ移動するように変形する場合、その変形を補強部材およびクロスメンバにより抑えることができる。側面からの衝撃を、クロスメンバへ効果的に逃がすことができる。
その結果、本発明では、サイドシルに対する直接的に衝撃の入力への対応性能を高めつつ、衝撃が大きくなる可能性がある他の自動車がピラーに当たる際の衝撃への対応性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車の車体を模式的に示す説明図である。
図2は、図1の車体の側面に対して他の自動車が衝突する状況の説明図である。
図3は、図1の車体の側面に電柱が衝突する状況の説明図である。
図4は、図1の車体における側面衝撃に対応する車体構造の説明図である。
図5は、図4の車体構造に対して、他の自動車が衝突する際の変形状態の説明図である。
図6は、比較例の車体構造での変形状態の説明図である。
図7は、車体構造の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車1の車体2を模式的に示す説明図である。図1(A)は、車体2の側面図である。図1(B)は、車体2の側面図である。
図1の自動車1は、車両の一例である。自動車1は、車体2の中央部に、乗員が乗車する車室3を有する。
【0017】
図1(A)に示すように、車体2についての車室3の側面部分には、サイドシル11、ルーフレール12、Aピラー13、Bピラー14、Cピラー15といった骨格部材が設けられる。
サイドシル11は、車室3の外縁に沿ってフロアパネル16の高さにおいて前後方向に延在する。
ルーフレール12は、車室3の外縁に沿ってルーフの高さにおいて前後方向に延在する。
Aピラー13は、Bピラー14、およびCピラー15は、車体2の側面において前後方向に並べて上下方向に延在する。
Aピラー13は、Bピラー14、およびCピラー15は、サイドシル11とルーフレール12とに連結される。
Aピラー13とBピラー14との間には、図示外の前ドアが開閉可能に配置される。
Bピラー14とCピラー15との間には、図示外の後ドアが開閉可能に配置される。
乗員は、前ドアまたは後ドアを開閉して、車室3に乗降する。
【0018】
図1(B)に示すように、車体2のフロアパネル16の下側には、バッテリモジュール20が設けられる。バッテリモジュール20は、複数のバッテリセルなどを有する。自動車1は、バッテリセルの蓄電電力により駆動モータを動作させ、駆動モータによる駆動力で走行することができる。
バッテリモジュール20は、左右のサイドシル11の間に収まる略立方体形状のモジュールケース21を有する。モジュールケース21内には、車幅方向に延在する複数のモジュールクロスメンバ22を有する。バッテリモジュール20は、複数のモジュールクロスメンバ22により、車体2の床面の下側に取り外し可能に取り付けられる。車体2に取り付けられたモジュールクロスメンバ22は、左右のサイドシル11の間に位置することで、車体2のクロスメンバとして機能し得る。
【0019】
ところで、図1の自動車1は、公道を走行するものであり、走行中に他の自動車61の車体2や電柱62などと衝突することがある。
自動車1の車体2は、各種の衝突において、車室3に乗っている乗員を保護できるようにすることが望ましい。
【0020】
図2は、図1の車体2の側面に対して他の自動車61が衝突する状況の説明図である。
図2において、他の自動車61の車体2は、左方向から車体2の左側面へ向かって衝突する。
この場合、車体2では、他の自動車61のフロントバンパーの高さ位置にあるBピラー14に衝撃が入力される。
このため、車体2では、Bピラー14が内側へ曲がって車室3へ入り込み難くなるように、Bピラー14の内部に補強部材を設けることがある。
【0021】
図3は、図1の車体2の側面に電柱62が衝突する状況の説明図である。
図3では、右方向へ滑るように移動する車体2の左側面に電柱62が衝突する。
この場合、電柱62は、Bピラー14から前後にずれた位置において、サイドシル11に衝突する可能性がある。
このため、車体2では、Bピラー14と同様に、サイドシル11の内部に補強部材を設けることが考えられる。
【0022】
しかしながら、車体2においてこのような複数の種類の衝突のそれぞれに対して個別に対策を講じる場合、以下のような問題が生じる可能性がある。
すなわち、たとえばサイドシル11の内部に補強部材を設けた場合、当然にサイドシル11の剛性は変形し難くなるように高まる。
その結果、Bピラー14に対して他の自動車61が衝突する場合に、Bピラー14の基部42とサイドシル11との溶接などによる接合部43に対して未対策の場合よりも大きな力が作用し、接合部43が剥がれて破断してしまう可能性が高まる。
このように車体2では、側面に対する複数種類の衝撃入力に対して好適に対応できるようにすることが求められている。
【0023】
図4は、図1の車体2における側面衝撃に対応した車体2の構造の説明図である。
図4(A)は、車体2の構造を前方から見た説明図である。図4(B)は、車体2の構造を前上方から見た説明図である。
図4には、車体2の構造の骨格部材として、サイドシル11、Bピラー14、フロアクロスメンバ17、バッテリモジュール20のモジュールクロスメンバ22、が図示されている。
【0024】
サイドシル11は、内側ハット部材31、外側ハット部材32、中央板33、を有する。
内側ハット部材31および外側ハット部材32は、断面が略ハット形の長尺鋼材である。中央板33は、板状の長尺鋼材である。
内側ハット部材31と外側ハット部材32とは、中央板33を間に挟んでハット形状が向かい合うように重ねて、たとえばスポット溶接により互いに接合される。これにより、断面の外形が略四角形となる基本骨格部34が形成される。
サイドシル11は、内側ハット部材31が車体2の内側となるように、車室3のフロアパネル16の高さにおいて、車室3の外縁に沿って前後方向に延在させて設けられる。
【0025】
また、サイドシル11は、基本骨格部34から下向きに突出する下突出部35を有する。
下突出部35は、たとえば外側ハット部材32のハット形状部分を、内側ハット部材31より下へ突出させることにより形成できる。
この場合、サイドシル11は、下突出部35を含めた全体が、中空の閉断面構造となる。
下突出部35は、断面外形が略四角形のサイドシル11の車幅方向の幅より狭い幅で、車体2の前後方向に延在するように下向きに突出する。
下突出部35は、フロアクロスメンバ17の高さ位置より下側へ向けて、または車室3のフロアパネル16の高さ位置より下側へ向けて下向きに突出する。
また、断面外形が略四角形のサイドシル11には、下突出部35の内側に、本体下面36が形成される。
このようにサイドシル11は、下突出部35による下部よりも、基本骨格部34による上部が内側に突出するように、階段状の内面形状を有する。
【0026】
Bピラー14は、中空の略四角形断面を有する柱状骨格部材である。Bピラー14は、サイドシル11から上向きに立設するピラー本体41と、ピラー本体41から下向き突出する基部42とを有する。
基部42の外側部分は、サイドシル11の基本骨格部34の外側に被さる状態で、サイドシル11の基本骨格部34の上部外面と、たとえばスポット溶接により接合される。
基部42の内側部分は、サイドシル11の基本骨格部34の内側に被さる状態で、サイドシル11の基本骨格部34の上部内面と、たとえばスポット溶接により接合される。
これにより、Bピラー14は、サイドシル11に基部42が接合された状態で、サイドシル11から上向きに立設する。
【0027】
フロアクロスメンバ17は、車室3のフロアパネル16の下側に固定して設けられる骨格部材である。フロアクロスメンバ17は、車体2の両側に設けられる一対のサイドシル11の間において、車幅方向に延在するように設けられる。フロアクロスメンバ17の端部は、サイドシル11の基本骨格部34の内側に位置する。フロアクロスメンバ17は、サイドシル11の基本骨格部34と、たとえばスポット溶接により接合されてよい。
【0028】
モジュールクロスメンバ22は、フロアパネル16の下側に取り外し可能に取り付けられるバッテリモジュール20に設けられるクロスメンバである。
モジュールクロスメンバ22は、たとえばフロアクロスメンバ17の下側に重ねて、フロアクロスメンバ17とネジ56によりねじ止めされる。
取り付けた状態においてモジュールクロスメンバ22の端部は、サイドシル11の下突出部35の内側に隣接してまたは近接して位置する。モジュールクロスメンバ22は、車体2の両側に設けられる一対のサイドシル11の下突出部35の間において、車幅方向に延在する。
この場合、モジュールクロスメンバ22の端面は、サイドシル11の下突出部35の内面と対向する荷重受面51として機能する。
また、モジュールクロスメンバ22の端面である荷重受面51の高さは、サイドシル11の下突出部35の内面より一回り小さい。これにより、サイドシル11が内側へ向かって変形する場合、モジュールクロスメンバ22はその端面である荷重受面51の全体に対してサイドシル11が当たることになる。
内側へ向かって変形しようとするサイドシル11の荷重は、モジュールクロスメンバ22の端面の全体に作用できる。
これに対し、モジュールクロスメンバ22の端面である荷重受面51の一部に荷重が作用する場合には、モジュールクロスメンバ22の荷重受面51が部分的に変形し、モジュールクロスメンバ22が軸方向の入力に対して有する剛性を、サイドシル11の荷重を受けるために利用し難くなる。なお、モジュールクロスメンバ22の荷重受面51の高さがサイドシル11の下突出部35の内面の高さ以下であれば、同様の効果を期待できると考えられる。
【0029】
そして、本実施形態では、さらに中空の閉断面構造のサイドシル11の下部および内上部に、下部補強部材18と、上部補強部材19と、を設ける。
【0030】
下部補強部材18および上部補強部材19は、サイズの断面略四角形の鋼材である。
下部補強部材18は、中空のサイドシル11の下突出部35に収まるように配置される。下部補強部材18は、サイドシル11の前端から後端にかけて全体的に延在するように長尺に形成される。下部補強部材18は、Bピラー14の基部42とサイドシル11の上部外面との接合部43の位置より下側に収まる。
モジュールクロスメンバ22は、下部補強部材18の内側に配置される。モジュールクロスメンバ22についての車幅方向の端面は、サイドシル11の下突出部35に対応する高さで、下部補強部材18についての車幅方向の内側に位置するように、サイドシル11の下突出部35の内側に隣接してまたは近接して設けられる。
【0031】
上部補強部材19は、中空のサイドシル11の内上部に収まるように配置される。上部補強部材19は、サイドシル11の前端から後端にかけて全体的に延在するように長尺に形成される。
フロアクロスメンバ17は、上部補強部材19の内側に配置される。フロアクロスメンバ17についての車幅方向の端面は、サイドシル11の基本骨格部34に対応する高さで、上部補強部材19についての車幅方向の内側に位置するように、サイドシル11の基本骨格部34の内側に隣接してまたは近接して設けられる。
これにより、上部補強部材19は、サイドシル11の階段状の内面形状に沿って、下部補強部材18より内側に配置される。
また、モジュールクロスメンバ22は、サイドシル11の階段状の内面形状に沿って、フロアクロスメンバ17より外側に配置される。
モジュールクロスメンバ22の上側に、上部補強部材19が位置する。
そして、下部補強部材18および上部補強部材19を、閉断面構造のサイドシル11の内部の全体にではなく、基本骨格部34の外上部分を除いて設けることにより、サイドシル11の基本骨格部34は、補強部材が無い場合と同様に変形することができる。
【0032】
サイドシル11の下突出部35およびそこに収まる下部補強部材18は、モジュールクロスメンバ22と、ネジ56によりねじ止めにより連結される。これにより、サイドシル11は、初期変形においてモジュールクロスメンバ22の上下へずれるように内側へ変形し難くなる。
また、モジュールクロスメンバ22は、下突出部35の内側に位置する本体下面36において、サイドシル11の基本骨格部34および上部補強部材19に、下側からネジ56によりねじ止めされる。
このようにモジュールクロスメンバ22とサイドシル11とを、サイドシル11の変形方向に対して交差する方向でねじ止めすることにより、サイドシル11が変形し始めた後において、モジュールクロスメンバ22の位置を、サイドシル11の下突出部35の内側に維持することができる。
【0033】
このため、図4において破線矢印で図示するように、電柱62などがサイドシル11とBピラー14との接合部43に衝突した場合でも、サイドシル11についてのその前後の位置に衝突した場合であっても、補強部材18により剛性が向上したサイドシル11は、変形し難くなる。
しかも、サイドシル11が変形しようとする場合には、サイドシル11をモジュールクロスメンバ22の端面である荷重受面51の全体に当たるように変形させ、さらにサイドシル11が変形しようする場合にはサイドシル11をモジュールクロスメンバ22により支えて、サイドシル11そのものが内側へ向けて大きく変形してしまうことを抑制できる。サイドシル11に対して入力される力の一部は、モジュールクロスメンバ22に伝わり、モジュールクロスメンバ22から逃がすことができる。
【0034】
図5は、図4の車体構造に対して、他の自動車61が衝突する際の変形状態の説明図である。図5(A)は、他の自動車61が衝突し始めた入力開始時の状態である。図5(B)は、車体2の変形が進んだ状態である。
図5(A)に示すように、他の自動車61は、バンパーの高さ位置において、Bピラー14に衝突する。
これにより、Bピラー14は、ルーフレール12とサイドシル11との間で内側へ向けて折れるように変形し始める。
変形し始めたBピラー14が他の自動車61の荷重によりさらに内側へ向けて変形する場合、図5(B)に示すように、Bピラー14の基部42と接合されたサイドシル11では、その上部の基本骨格部34が内上方向へ向けて引き上げられるように変形する。
これにより、Bピラー14は、その基部42とサイドシル11との接合が破断しない状態のまま、内側へ向けて変形することができる。
【0035】
図6は、比較例の車体構造での変形状態の説明図である。
図6の比較例は、図5(B)に対応する変形状態である。
比較例の補強部材60は、断面外形が略四角形となる閉断面構造のサイドシル11の外側部分の全体に収まるように設けられる。
この比較例の場合、補強部材60が設けられることにより、サイドシル11の剛性が上がり、図4のように電柱62がサイドシル11に直接あたる場合でも、サイドシル11が内側へ向けて変形し難くなる。
しかしながら、Bピラー14の基部42と接合されるサイドシル11の上部の剛性も補強部材60により向上している。
このため、図6に示すように他の自動車61がBピラー14に衝突する場合、サイドシル11の上部は、Bピラー14の変形につられて内側へ向けて変形し難くなる。
その結果、Bピラー14の基部42とサイドシル11との接合部43に過大な引っ張り力が作用し、接合部43が破断し易くなる。
【0036】
以上のように、本実施形態では、車体2の車室3の外縁に沿ってフロアパネル16の高さにおいて前後方向に延在するサイドシル11は中空の閉断面構造に形成され、下部補強部材18および上部補強部材19が、中空の下部から内上部にかけて前後方向に沿って延在する。
下部補強部材18および上部補強部材19は、サイドシル11に被さる基部42とサイドシル11の外側についてのピラーが重なるまたは接合される部分の内側には設けられない。
また、サイドシル11の下突出部35に設けられる下部補強部材18は、たとえば、Bピラー14についてのサイドシル11の外側に被さる基部42とサイドシル11の外面との接合部43の位置より下側に設けられる。
よって、サイドシル11に基部42が接合され、サイドシル11から上向きに立設することで車室3の側面において立設されるBピラー14に対して他の自動車61が衝突し、Bピラー14を内側へ曲げるように側面から入力がある場合、Bピラー14およびサイドシル11の外上部は、補強部材が設けられない状態と同様に内側へ変形し始めることができる。これにより、衝撃を吸収することができる。
これに対して、仮にたとえばサイドシル11の中空の外上部に前後方向に沿って延在する補強部材を設けた場合、側面入力に対してサイドシル11は全体的に内側へ変形し難くなる。
その結果、Bピラー14が内側へ変形しようとする際に、サイドシル11とBピラー14の基部42との接合が破断して、内側へ変形し難いサイドシル11からBピラー14が外れて剥がれてしまう可能性がある。
また、中空の閉断面構造のサイドシル11の下部および内上部には、下部補強部材18および上部補強部材19が前後方向に沿って延在して設けられる。モジュールクロスメンバ22およびフロアクロスメンバ17についての車幅方向の端面は、サイドシル11の下部から上部にかけてのサイドシル11に対応する高さで、サイドシル11の内側に隣接してまたは近接して設けられ、下部補強部材18および上部補強部材19についての車幅方向の内側に位置する。よって、たとえば電柱62などがサイドシル11に直接に衝突することでサイドシル11が内側へ移動するように変形する場合、その変形を下部補強部材18、上部補強部材19、モジュールクロスメンバ22およびフロアクロスメンバ17により抑えることができる。側面からの衝撃を、モジュールクロスメンバ22およびフロアクロスメンバ17へ効果的に逃がすことができる。
その結果、本発明では、車体2の側面に対して他の自動車61が衝突した場合にはBピラー14がサイドシル11から外れてしまうことを抑制してその衝撃をBピラー14およびサイドシル11の変形により吸収でき、しかも、車体2の側面のサイドシル11に対して直接に電柱62などが衝突した場合にはその衝撃を、下部補強部材18および上部補強部材19を通じてモジュールクロスメンバ22およびフロアクロスメンバ17へ効果的に逃がすことができる。各種の側面への衝撃入力に対して好適に対応できるようにすることができる。
【0037】
本実施形態では、サイドシル11は、下部より上部が内側となるように階段状の内面形状を有し、上部補強部材19は、サイドシル11の階段状の内面形状に沿って、下部補強部材18より内側に配置される。モジュールクロスメンバ22は、サイドシル11の階段状の内面形状に沿って、フロアクロスメンバ17より外側に配置される。
これにより、モジュールクロスメンバ22の上側に、上部補強部材19が位置するようになる。上部補強部材19は、モジュールクロスメンバ22の上側に重なり上下方向などへずれ難くなる。その結果、上部補強部材19は、モジュールクロスメンバ22の上側に保持され、フロアクロスメンバ17を、サイドシル11の内側まで延長した部分として機能し得る。フロアクロスメンバ17がサイドシル11の内側までにかけて外向きに延長された構造を実質的に実現することにより、車体2の側面のサイドシル11に対して電柱62などにより直接的に衝撃が入力されたとしても、その力を、サイドシル11の変形が始まる早い段階から、実質的に外へ延長されたクロスメンバへ効果的に逃がすことができる。
【0038】
本実施形態では、補強部材が、中空のサイドシル11の下部の下突出部35に収まるように配置される下部補強部材18と、中空のサイドシル11の内上部の基本骨格部34に収まるように配置される上部補強部材19と、で構成される。
このように補強部材を上下に分けて設けることにより、衝撃に対して下部補強部材18と上部補強部材19とを別々に機能させることができる。特に、上部補強部材19の外面を、下部補強部材18の外面より内側とすることにより、補強部材を上下別々に二段階の衝撃吸収構造として機能させることができる。
【0039】
本実施形態では、クロスメンバは、下部補強部材18の内側に配置される下側のモジュールクロスメンバ22と、上部補強部材19の内側に配置される上側のフロアクロスメンバ17と、を有する。これにより、補強部材を上下別々に分けたことと相まって、二段階に独立した衝撃吸収構造として機能させることができる。
【0040】
本実施形態では、下側のモジュールクロスメンバ22は、フロアパネル16の下側に取り外し可能に取り付けられるバッテリモジュール20に設けられるモジュールクロスメンバ22である。
よって、本実施形態では、床下にバッテリモジュール20を有する車体2において、バッテリモジュール20のモジュールクロスメンバ22をサイドシル11から下向きに突出する下突出部35の内側に隣接してまたは近接して設けて、各種の側面への衝撃入力に対して好適に対応できるようにすることができる。
【0041】
本実施形態では、バッテリモジュール20のモジュールクロスメンバ22が、上部補強部材19および下部補強部材18と、ねじ止めにより連結される。
これにより、サイドシル11の全体が内側へ向かって変形するようになっても、バッテリモジュール20のモジュールクロスメンバ22とサイドシル11との連結状態を維持できる可能性が高くなる。バッテリモジュール20の脱落を効果的に抑制できる。
【0042】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0043】
図7は、車体構造の変形例の説明図である。
【0044】
図7(A)においてサイドシル11は、断面の外形が略四角形となる基本骨格部34のみで構成されている。そして、下部補強部材18は、中空の閉断面構造のサイドシル11についてのBピラー14との接合部43より下側となる下部に収めて設けられる。上部補強部材19は、中空の閉断面構造のサイドシル11についての内側部分に収めて設けられる。サイドシル11の基本骨格部34の内側には、縦方向に幅広のモジュールクロスメンバ22が設けられる。この場合でも、サイドシル11の上部は、Bピラー14の変形につられて内側へ変形できる。しかも、補強部材18の内側には、モジュールクロスメンバ22が位置しており、サイドシル11についての内側への変形を、モジュールクロスメンバ22で抑えることができる。
なお、下部補強部材18と上部補強部材19とは、図7(B)に示すように、一体化された補強部材71として設けられてもよい。
また、下部補強部材18は、図7(C)に示すように、中空の閉断面構造のサイドシル11についての内下部に収めて設けられてもよい。
【0045】
図7(D)においてサイドシル11は、縦長の略四角形となる基本骨格部34のみで構成されている。そして、下部補強部材18は、中空の閉断面構造のサイドシル11についての、下側へ延長した部分に収めて設けられる。上部補強部材19は、中空の閉断面構造のサイドシル11についての内側部分に収めて設けられる。また、サイドシル11の上部の内側には、フロアクロスメンバ17が別に設けられている。この場合でも、サイドシル11の上部は、Bピラー14の変形につられて内側へ変形できる。しかも、補強部材18の内側には、モジュールクロスメンバ22が位置しており、サイドシル11についての内側への変形を、モジュールクロスメンバ22で抑えることができる。
【0046】
図7(E)は、図7での比較のために図示したものであり、上記実施形態と同様の車体2の構造である。
なお、サイドシル11の基本骨格部34の内側には、図7(F)のように、縦方向に幅広のモジュールクロスメンバ22が設けてもよい。
【0047】
図7(G)において、サイドシル11は、略四角形となる基本骨格部34の下側へ突出する下突出部35とともに、基本骨格部34の内側へ突出する内突出部37を有する。そして、サイドシル11は、基本骨格部34、下突出部35および内突出部37の全体において、閉断面構造に形成される。サイドシル11は、三段の階段状の内面形状を有する。そして、下部補強部材18は、中空の閉断面構造のサイドシル11についての、下突出部35に収めて設けられる。しかも、補強部材18の内側には、モジュールクロスメンバ22が位置しており、サイドシル11についての内側への変形を、モジュールクロスメンバ22で抑えることができる。上部補強部材19は、中空の閉断面構造のサイドシル11についての、基本骨格部34の内側部分および内突出部37に収めて設けられる。フロアクロスメンバ17は、内突出部37の内側に設けられる。
【0048】
図7(H)において、Bピラー14の基部42は、サイドシル11の外側を覆うようにサイドシル11の下部までにかけて延長して形成される。これ以外は、図7(E)と同様である。この場合でも、Bピラー14の基部42とサイドシル11との接合部43を、サイドシル11の上部外面とすることにより、Bピラー14の変形にしたがってサイドシル11の上部を変形させることができる。
そして、図7に示す各変形例においても、本実施形態と同様の効果を期待できる。
【符号の説明】
【0049】
1…自動車(車両)、2…車体、3…車室、11…サイドシル、12…ルーフレール、13…Aピラー、14…Bピラー(ピラー)、15…Cピラー、16…フロアパネル、17…フロアクロスメンバ、18…下部補強部材、19…上部補強部材、20…バッテリモジュール、21…モジュールケース、22…モジュールクロスメンバ、31…内側ハット部材、32…外側ハット部材、33…中央板、34…基本骨格部、35…下突出部、36…本体下面、37…内突出部、41…ピラー本体、42…基部、43…接合部、51…荷重受面、56…ネジ、60…補強部材、61…他の自動車、62…電柱、71…一体化した補強部材

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