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公開番号2019165553
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190926
出願番号2018051455
出願日20180319
発明の名称二次電池ユニットの充電装置
出願人三菱自動車工業株式会社
代理人個人
主分類H02J 7/02 20160101AFI20190830BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】複数の二次電池で構成される二次電池ユニットを効率よく充電する二次電池ユニットの充電装置を提供する。
【解決手段】
複数の二次電池4を直列に接続して構成された電池パック20を充電する二次電池ユニットの充電装置であって、複数の二次電池4を独立して充放電させる充放電制御部6と、複数の二次電池4の夫々の電圧を測定する電圧センサ7と、複数の二次電池4の充電可能容量を推定する充電容量算出部16と、二次電池ユニット20を充電する際に、充電容量算出部16により複数の二次電池4の充電可能容量を夫々推定し、複数の二次電池4の充電可能容量の差を減少させるように充放電制御部6によって二次電池4を充放電する充放電指令部17と、を備える。
【選択図】図4
特許請求の範囲約 1,100 文字を表示【請求項1】
複数の二次電池を直列に接続して構成された二次電池ユニットを充電する二次電池ユニットの充電装置であって、
前記複数の二次電池を独立して充放電させる充放電制御部と、
前記複数の二次電池の夫々の電圧を測定する電圧センサと、
前記複数の二次電池の充電可能容量を推定する充電可能容量推定部と、
前記二次電池ユニットを充電する際に、前記充電可能容量推定部により前記複数の二次電池の充電可能容量を夫々推定させ、前記複数の二次電池の充電可能容量の差を減少させるように前記充放電制御部によって前記二次電池を充放電させる充電バランス制御部と、
を備えたことを特徴とする二次電池ユニットの充電装置。
【請求項2】
前記充電バランス制御部は、前記二次電池ユニットの充電中において、いずれかの前記二次電池が満充電になる前に前記複数の二次電池の充電可能容量を夫々検出した後に、前記複数の二次電池の充電可能容量が互いに一致するように前記複数の二次電池を充放電制御させることを特徴とする請求項1に記載の二次電池ユニットの充電装置。
【請求項3】
前記複数の二次電池それぞれの入出力電流を測定する電流センサと、
前記電圧センサ及び前記電流センサによって検出される前記二次電池ユニットを充電した際の前記二次電池の電圧及び入出力電流の変化に基づいて、前記二次電池の劣化指標を推定する劣化指標推定部と、
前記二次電池の充電率を検出する充電率検出部と、を有し、
前記充電可能容量推定部は、前記劣化指標推定部により推定した前記二次電池の劣化指標と、前記充電率検出部により検出した前記二次電池の充電率とに基づいて、前記二次電池の充電可能容量を演算することを特徴とする請求項1または2に記載の二次電池ユニットの充電装置。
【請求項4】
前記劣化指標推定部は、前記二次電池の電圧Vと、前記二次電池の充電容量Qの変化量dQに対する前記二次電池の電圧Vの変化量dVの割合であるdV/dQとの関係を示す微分曲線V-dV/dQにおける特徴点の電圧Vに基づいて、前記二次電池の劣化指標を推定することを特徴とする請求項3に記載の二次電池ユニットの充電装置。
【請求項5】
前記劣化指標推定部は、前記二次電池の電圧Vと、前記二次電池の電圧Vの変化量dVに対する前記二次電池の充電容量Qの変化量dQの割合であるdQ/dVとの関係を示す微分曲線V-dQ/dVにおける特徴点の電圧Vに基づいて、前記二次電池の劣化指標を推定することを特徴とする請求項3に記載の二次電池ユニットの充電装置。

発明の詳細な説明約 11,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池の充電装置に係り、特に複数の二次電池で構成される二次電池ユニットの充電技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されている二次電池ユニットは、電圧及び容量を確保するために、複数の二次電池を接続して構成されている。
このような二次電池ユニットに使用される二次電池は、例え同一の仕様であっても、劣化の進み具合や充放電特性が異なる可能性がある。したがって、各二次電池の満充電容量、満充電電圧や、充電した際の電圧の上昇度合いが異なる場合がある。このような二次電池ユニットを充電すると、いずれかの二次電池が満充電となった場合には、更に二次電池ユニットを充電すると、満充電となった二次電池が過充電となる虞があるため、それ以上の充電を停止する必要がある。しかしながら、このように充電を停止すると、満充電となった二次電池以外の二次電池は満充電とならないので、二次電池ユニット全体としての充電可能容量が低下してしまうといった問題点がある。
【0003】
そこで、充電の際に複数の二次電池の電圧を一定にするバランサーが広く使用されている。例えば特許文献1には、複数の二次電池の電圧差を検出し、当該電圧差に基づいて、各二次電池を独立して充放電させて、全ての二次電池の充電電圧をバランスさせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2003−309931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、二次電池の電圧の差分量に基づいて充放電を制御する二次電池の充電装置においては、二次電池の電圧が他の二次電池の電圧より所定値以上高くなった場合に、電圧の高い二次電池を放電し、他の二次電池を充電させることで、二次電池の電圧をバランスさせるように制御することが一般的である。これにより、全ての二次電池を満充電に近い状態にすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、上記のように二次電池の電圧差が所定値以上になった場合に、電圧の高い二次電池を放電し、電圧の低い二次電池を充電させるようにすると、満充電となるまでに充放電を繰り返し実行する可能性がある。このように放電を頻繁に行うと、充電完了するまでに必要な電力量や充電時間が増加するといった問題点があった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の二次電池で構成される二次電池ユニットを効率よく満充電に近い状態に充電する二次電池ユニットの充電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の二次電池ユニットの充電装置は、複数の二次電池を直列に接続して構成された二次電池ユニットを充電する二次電池ユニットの充電装置であって、前記複数の二次電池を独立して充放電させる充放電制御部と、前記複数の二次電池の夫々の電圧を測定する電圧センサと、前記複数の二次電池の充電可能容量を推定する充電可能容量推定部と、前記二次電池ユニットを充電する際に、前記充電可能容量推定部により前記複数の二次電池の充電可能容量を夫々推定させ、前記複数の二次電池の充電可能容量の差を減少させるように前記充放電制御部によって前記二次電池を充放電させる充電バランス制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これにより、二次電池ユニットを充電させる際に、複数の二次電池の充電可能容量を夫々推定し、複数の二次電池の充電可能容量の差が減少するように二次電池を充放電させるので、無駄な二次電池の放電を抑えて、全ての二次電池を満充電に近い状態に充電させることができる。
また、好ましくは、前記充電バランス制御部は、前記二次電池ユニットの充電中において、いずれかの前記二次電池が満充電になる前に前記複数の二次電池の充電可能容量を夫々検出した後に、前記複数の二次電池の充電可能容量が互いに一致するように前記複数の二次電池を充放電制御させるとよい。
【0009】
これにより、二次電池ユニットの充電中に、始めに二次電池の充電可能容量を夫々推定し、その後に複数の二次電池の充電可能容量を互いに一致させるので、充電時間を抑制しつつ、充電完了時に複数の二次電池を全て満充電に近い状態にすることができる。
また、好ましくは、前記複数の二次電池それぞれの入出力電流を測定する電流センサと、前記電圧センサ及び前記電流センサによって検出される前記二次電池ユニットを充電した際の前記二次電池の電圧及び入出力電流の変化に基づいて、前記二次電池の劣化指標を推定する劣化指標推定部と、前記二次電池の充電率を検出する充電率検出部と、を有し、前記充電可能容量推定部は、前記劣化指標推定部により推定した前記二次電池の劣化指標と、前記充電率検出部により検出した前記二次電池の充電率とに基づいて、前記二次電池の充電可能容量を演算するとよい。
【0010】
これにより、二次電池の充電中に、二次電池の劣化指標を推定し、二次電池の充電可能容量を容易に演算することが可能となる。
また、好ましくは、前記劣化指標推定部は、前記二次電池の電圧Vと、前記二次電池の充電容量Qの変化量dQに対する前記二次電池の電圧Vの変化量dVの割合であるdV/dQとの関係を示す微分曲線V-dV/dQにおける特徴点の電圧Vに基づいて、前記二次電池の劣化指標を推定するとよい。
【0011】
これにより、二次電池の劣化指標を、電圧及び入出力電流の変化に基づいて早期に推定することが可能となる。
また、好ましくは、前記劣化指標推定部は、前記二次電池の電圧Vと、前記二次電池の電圧Vの変化量dVに対する前記二次電池の充電容量Qの変化量dQの割合であるdQ/dVとの関係を示す微分曲線V-dQ/dVにおける特徴点の電圧Vに基づいて、前記二次電池の劣化指標を推定するとよい。
【0012】
これにより、二次電池の劣化指標を、電圧及び入出力電流の変化に基づいて早期に推定することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の二次電池ユニットの充電装置によれば、二次電池ユニットを充電させる際に、複数の二次電池の充電可能容量を夫々検出し、複数の二次電池の充電可能容量の差が減少するように二次電池を充放電させるので、無駄な二次電池の充放電を抑えて、全ての二次電池を満充電に近い状態に効率よく充電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本実施形態の二次電池システムを示す概略構成図である。
微分曲線V−dV/dQの一例を示す特性図である。
本実施形態に係る電池パックの充電制御手順を示すフローチャートである。
本実施形態での充電時における二次電池の電圧の推移の一例を示すグラフである。
充電開始からの経過時間t1における各二次電池の充電容量を示すグラフである。
充電開始からの経過時間t2における各二次電池の充電容量を示すグラフである。
充電開始からの経過時間t3における各二次電池の充電容量を示すグラフである。
従来の二次電池システムによる、充電時における二次電池の電圧の推移の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した二次電池システムの一実施形態を説明する。
図1は本実施形態の二次電池システムを示す概略構成図である。
本実施形態の二次電池システム1は電気自動車に搭載されており、走行用動力源である走行モータに電力を供給している。全体として二次電池システム1は、その全体を統合制御するメインコントローラ2、及び電池パック20(二次電池ユニット)から構成されている。電池パック20は、メインコントローラ2に接続されるとともに互いに直列に接続された複数の二次電池モジュール3から構成されている。
【0016】
二次電池モジュール3は、二次電池4、サブコントローラ5及び充放電制御部6から構成されている。
二次電池4は、所期の電池容量及び出力電圧を達成するために複数の単電池を並列及び直列に組み合わせて構成されている。本実施形態の二次電池4は、その正極電極板にLiMn2O4及びLiMO2(Mは、Co,Ni,Al,Mn,Feの内、少なくとも1つを含む遷移金属元素)が含まれている。
【0017】
二次電池4には電圧センサ7、電流センサ8及び温度センサ9が接続されている。電圧センサ7により二次電池4の電圧Vが検出され、電流センサ8により二次電池4の入出力電流Iが検出され、温度センサ9により二次電池4の温度Tが検出され、それらの検出情報はサブコントローラ5に入力される。
サブコントローラ5は、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等から構成されている。サブコントローラ5は充放電制御部6を駆動して二次電池4の充放電を制御する機能を奏する。なお、本実施形態においては、二次電池4の劣化指標として、新品時の満充電容量に対する現状の満充電容量の比率であるSOH(State Of Health)を使用する。
【0018】
また、サブコントローラ5は、二次電池4のSOHを推定するために必要な微分曲線を算出する微分曲線算出部10を備えている。本実施形態では微分曲線としてV-dV/dQを用いている。微分曲線V-dV/dQとは、二次電池4の電圧Vと、二次電池4の充電容量Qの変化量dQに対する電圧Vの変化量dVの割合である微分値dV/dQとの関係を示すものである。
【0019】
微分曲線算出部10は、二次電池4の充電時または放電時に所定時間毎に二次電池4の充電容量Qを逐次算出すると共に、これに同期して電圧Vを取得し、二次電池4の充電容量Qの変化量dQに対する電圧Vの変化量dVの割合である微分値dV/dQを算出する。そして、得られた微分値dV/dQと電圧Vとの関係を示す曲線として微分曲線V-dV/dQを算出する。
【0020】
図2は微分曲線V-dV/dQの一例を示す特性図である。図2では、微分値dV/dQを縦軸とし、電圧Vを横軸として微分曲線V-dV/dQが表されている。二次電池4の充電に伴って二次電池4の充電率(SOC:State of Charge)と共に電圧Vが増加し、それに応じて微分値dV/dQが変化することにより、例えば図2に示すように微分曲線V-dV/dQ上には、電圧値Vの所定範囲(例えば3.5V〜3.8V付近)において、2つの変曲点P1、P2が現れる。
【0021】
微分曲線算出部10は、算出した変曲点P1、P2を含む微分曲線V-dV/dQ及び温度センサ9により検出された電池温度T(以下、これらを実測データと称する)をメインコントローラ2に出力する。
また、サブコントローラ5は、二次電池4の充放電に伴う入出力電流I及び電圧Vをメインコントローラ2に出力する。
【0022】
一方、メインコントローラ2はサブコントローラ5と同様に、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等から構成されている。
メインコントローラ2は、入出力部12、データ保存部13、SOH推定部14(劣化指標推定部)、SOC算出部15(充電率検出部)、充電容量算出部16(充電可能容量推定部)及び充放電指令部17(充電バランス制御部)を備えている。
【0023】
データ保存部13は、入出力部12を介して各二次電池モジュール3のサブコントローラ5から入力された実測データを記憶する。またデータ保存部13には、予め微分曲線V−dV/dQ上の特定の特徴点と二次電池4のSOHとの相関関係を示すデータ(以下、基準データと称する)が温度域毎に記憶されている。
基準データの作成処理は、以下の通りである。
【0024】
まず、本実施形態の二次電池4と同一規格の二次電池4の劣化試験を実施し、未使用の二次電池4の充放電を繰り返して寿命限界まで段階的に劣化させる。劣化過程の各SOHにおいて、異なる複数の温度域の下で二次電池4を充放電させる。
そして、二次電池4の充電時に所定時間毎に二次電池4の充電容量Qを逐次算出すると共に、これに同期して電圧Vを取得する。このように、充放電により得られた電圧V及び充電容量Qに基づき微分値dV/dQを算出し、電圧Vと微分値dV/dQとの関係を示す微分曲線V−dV/dQを算出する。そして、微分曲線V−dV/dQ上に出現した特定の特徴点の位置(V,dV/dQ)を求める。特徴点は、例えば電圧Vの所定の範囲で微分曲線V−dV/dQに現れた2つの変曲点P1、P2の中点にすればよい。結果として特定の特徴点と二次電池4のSOHとの相関関係が温度域毎に定められ、各二次電池モジュール3の共通の基準データとして予めデータ保存部13に記憶される。
【0025】
SOH推定部14は、微分曲線算出部10から出力された微分曲線V−dV/dQ、基準データ、及び実測データを用いて、夫々の二次電池4のSOHを推定する。例えば、基準データのうち、実測データに一致または近似するデータと、微分曲線算出部10から出力された微分曲線V−dV/dQ上に現れる特徴点とを照らし合わせ、一致または近似する基準データからSOHを推定する。なお、SOHの推定方法は、他の方法であってもよい。例えば、微分曲線算出部10において、二次電池4の電圧Vの変化量dVに対する二次電池4の充電容量Qの変化量dQの割合であるdQ/dVとの関係を示す微分曲線V-dQ/dVを算出し、この微分曲線V-dQ/dVから特徴点を特定して、二次電池4のSOHを推定してもよい。この場合、例えば電圧Vの所定の範囲において、微分曲線V-dQ/dVの傾きが最大となる点を特徴点としたり、1つのピークを所定のdQ/dVで横切る2つの点の中点を特徴点としたりすればよい。
【0026】
このときの実測データは微分曲線の全領域が算出されている必要はなく、上記所定範囲の電圧Vの領域を含むものであれば特徴点の特定が可能である。本発明の劣化指標推定部は、このような部分的な微分曲線を算出する場合も含むものとする。
なお、各SOH間及び各温度域間は基準データを特定できないため、補間処理により基準データを算出してもよい。
【0027】
SOC算出部15は、すべての二次電池4それぞれのSOC(State Of Charge)を、電圧センサ7及び電流センサ8によって算出される電圧及び電流に基づいて算出する。
充電容量算出部16は、SOH推定部14により推定したSOHとSOC算出部15により算出したSOCに基づいて、各二次電池4の充電容量及び充電可能容量を算出する。
充放電指令部17は、SOH推定部14により推定されたSOH等に基づき、各二次電池モジュール3のサブコントローラ5に入出力部12を介して充放電制御の指令を出力する。例えば所定値未満のSOHが推定された二次電池モジュール3に対しては、充放電時の最大許容電流や最大許容電圧を制限する指令を出力する。この指令に基づくサブコントローラ5による充放電制御により、劣化の進行した二次電池4の保護が図られる。
【0028】
また、充放電指令部17は、いずれかの二次電池4において寿命限界を下回るSOHが推定された場合等には、運転席に設けられた表示部18に車両点検を促すメッセージを表示する。これにより販社等で車両点検が実施されて、必要に応じて二次電池4が交換される。
また、充放電指令部17は、各充放電制御部6を制御して、各二次電池4の電圧の差を低減させるバランサー機能を実行させる。
【0029】
上記の説明では、各二次電池モジュール3の二次電池4全体を対象として、電圧V、入出力電流I及び温度Tの検出処理、微分曲線V-dV/dQの算出処理、SOHの推定処理を実施したが、これに限るものではない。例えば、二次電池4が複数の単電池によって構成されている場合には、この単電池毎に各処理を実施してもよい。また、微分曲線算出部10については、メインコントローラ2に備えてもよく、SOH推定部14、SOC算出部15、充電容量算出部16については、メインコントローラ2ではなくサブコントローラ5に夫々備えてもよい。
【0030】
本実施形態の二次電池システム1は、以上のように各二次電池4のSOH及び充電容量を夫々算出可能な構成であり、特に電池パック20の充電装置における充電制御について特徴を有する。
図3は、メインコントローラ2によって実行する、本実施形態に係る電池パック20の充電制御手順を示すフローチャートである。
【0031】
以下、電池パック20の充電制御について、図3を用いて説明する。
本ルーチンは、低充電状態からの電池パック20の充電時に、詳しくは電池パック20の全ての二次電池4が所定電圧Vpより低い状態からの充電時に、本ルーチンを開始させる。所定電圧Vpは、複数の二次電池4の電圧の差を低減させるバランサー機能の実行開始を許可する最低電圧であり、SOHの推定が可能な電圧以上に設定するとよい。
【0032】
始めに、ステップS10では、電池パック20の充電を開始させる。これにより、電池パック20の各二次電池4の電圧が夫々上昇する。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、SOH推定部14によって、各二次電池4のSOHを夫々推定する。そして、ステップS30に進む。
ステップS30では、ステップS20においてSOH推定部14によって演算した各二次電池4のSOHと、SOC算出部15よって演算した各二次電池4の現状のSOCを夫々入力して、各二次電池4の充電可能容量Qnを算出する。そして、ステップS40に進む。
【0033】
ステップS40では、ステップS30において演算した各二次電池4の充電可能容量Qnより、バランサー機能における放電可能容量を演算する。放電可能容量は、各二次電池4の充電可能容量Qnから、各充電可能容量Qnのうち最も少ない充電可能容量Qminを減算した値である。そして、ステップS50に進む。
ステップS50では、ステップS40で演算した放電可能容量に基づいて、バランサー機能により各二次電池4の放電を実行させる。そして、ステップS60に進む。
【0034】
ステップS60では、各バランサー機能によって各二次電池4に対し、夫々の放電可能容量の放電を完了させる。そして、本ルーチンを完了させる。
上記のように充電制御を行う二次電池システム1において、当該充電制御した際の各二次電池4の電圧Vの推移及び充電容量Qの推移の一例を、図4〜図7を用いて説明する。
図4は、本実施形態での充電時における二次電池4(A、B)の電圧Vの推移の一例を示すグラフである。図5は、充電開始t0からの経過時間t1における各二次電池A、Bの充電容量Qを示すグラフである。図6は、充電開始t0からの経過時間t2における各二次電池A、Bの充電容量Qを示すグラフである。図7は、充電開始からの経過時間t3における各二次電池A、Bの充電容量Qを示すグラフである。
【0035】
図4において、実線は二次電池Aを、破線は二次電池Bの電圧の推移を示す。図5〜図7において、棒グラフのうちの斜線部は各経過時間における充電容量Qを示し、棒グラフ全体は満充電容量を示し、棒グラフ中の白抜き部、即ち満充電容量から充電容量Qを除いた部分が充電可能容量を示す。
なお、図4〜図7は、二次電池A及び二次電池Bによって電池パック20が構成されている場合を示している。
【0036】
図4に示すように、二次電池A及び二次電池Bの両方が、所定電圧Vpよりも低い電圧の状態から充電を開始すると、充電によって二次電池A及び二次電池Bの両方の電圧が上昇していく(図4中のt0〜t1間)。なお、ここではバランサー機能が実行されずに充電しており、このような場合には、二次電池A及び二次電池Bのいずれも同容量ずつ、充電容量Qが増加していく。但し、二次電池Aと二次電池Bとは、SOH及び満充電容量の違いから、同じ容量ずつ充電しても電圧Vの上昇度合いは異なる。
【0037】
また、この経過時間t0〜t1の間で、上記ステップS20に示すようにSOH推定部14によって各二次電池A、B夫々のSOHが推定される。
二次電池A及び二次電池Bの両方の電圧Vが、所定電圧Vp以上になったときに(t1)、二次電池Aの電圧Vaと二次電池Bの電圧Vbとの差が所定値以上であると判定された際に、上記ステップS30に示すように充電可能容量Qn(Qa、Qb)が算出される。なお、経過時間t1のときには、図5に示すように、二次電池Aの充電可能容量Qaと二次電池Bの充電容量Qbとは異なる値となっている。
【0038】
バランサー機能の実行により二次電池Aの電力が消費されるため、二次電池Aの充電容量の単位時間当たりの増加量が低下する。これにより、二次電池Aの電圧の上昇速度もt1までの上昇速度より低下する(t1〜t2)。そして、図6に示すように二次電池Aの充電可能容量Qaと二次電池Bの充電可能容量Qbとが一致するまで、バランサー機能を実行させる。
【0039】
二次電池Aの充電可能容量Qaと二次電池Bの充電可能容量Qbとが一致した状態(図4中のt2)以降は、バランサー機能の実行を停止させ二次電池A及び二次電池Bの充電を続行させる。
二次電池Aの充電可能容量Qaと二次電池Bの充電可能容量Qbとが一致した状態から充電を続行させると、二次電池Aと二次電池Bの電圧が上昇する(図4中のt2→t3)。そして、二次電池A及び二次電池Bを満充電容量まで充電させると、図7に示すように同時期に二次電池A及び二次電池Bの両方が満充電Vmaxとなり、図4に示すように電圧Vが一致する(t3)。
【0040】
以上のように、本実施形態の二次電池システム1では、充電する際に各二次電池A、Bの充電可能容量を演算し、バランサー機能によって各二次電池A、Bの充電可能容量が一致するように制御する。これにより、バランサー機能の実行後の充電によって、二次電池A及び二次電池Bの充電量が同量ずつ増加していくので、二次電池A及び二次電池Bは同時に満充電になる。
【0041】
なお、上記実施形態では、二次電池4が2つの電池パック20の場合を示しているが、二次電池4を2個よりも多く接続した電池パック20では、全ての二次電池4の電圧が所定電圧に達したときに、充電可能容量の最も大きい二次電池4を基準として、それ以外の二次電池4をバランサー機能によって放電して充電可能容量を合わせるようにすればよい。
【0042】
図8は、比較例として、従来の二次電池システムによる、充電時における二次電池4の電圧の推移の一例を示すグラフである。
比較例の二次電池システムは、本実施形態と同様に二次電池A及び二次電池Bから構成される電池パック20であり、バランサー機能を各二次電池A、Bに対して備えているが、その制御方法が本実施形態と異なる。
【0043】
図8に示すように、比較例の二次電池システムは、電池パック20を充電した際に、二次電池A及び二次電池Bの両方の電圧が上昇していく(図8中のt0〜t4間)が、全ての二次電池A及びBが適宜設定された所定電圧Vq以上であるとともに、二次電池Aの電圧と二次電池Bとの電圧差(図8中のVr)が所定値Vs以上である場合に、電圧の高い二次電池Bに対してバランサー機能により電力を消費して、二次電池Bの電圧の上昇を抑える(図8中のt4)。そして二次電池Aの電圧と二次電池Bとの電圧差ΔABが0になった時点でバランサー機能の実行を停止させる(図8中のt5)。以降もこの制御を繰り返して充電を継続する。なお、図8においては、t6〜t7、t8〜t9において二次電池Aに対してバランサー機能を実行して、二次電池Aの電圧の上昇を抑えている。
【0044】
このように、従来の充電制御では、二次電池Aの電圧と二次電池Bとの電圧差が所定値Vs以上になる毎にバランサー機能を実行させるので、満充電になるまでにバランサー機能を繰り返し実行させる可能性がある。例えば、図8に示すように、経過時間t4〜t5において二次電池Bの充電容量を消費し、t6〜t7及びt8〜t9においては二次電池Aの充電容量を消費する。このように、バランサー機能の実行回数が複数回になるとともに、電力消費の対象となる二次電池が入れ替わる可能性もある。したがって、満充電までの1回の充電において、バランサー機能による合計電力消費量が増加するとともに、充電時間が増加する可能性がある。
【0045】
また、二次電池A及び二次電池Bいずれかが満充電状態に達した際に、他の二次電池が満充電状態に達しない可能性もあり、電池パック20全体の満充電容量が低下する可能性もある。
これに対し、本実施形態では、満充電となるまでの1回の充電において、バランサー機能の実行は1回で済み、バランサー機能による電力消費量を最低限に抑えることができる。したがって、電力消費や充電時間を抑えた効率のよい全ての二次電池4の充電を行うことが可能となる。
【0046】
また、本実施形態では、充電終了時に全ての二次電池4が同時に満充電となるので、二次電池ユニット20全体の満充電容量を最大限利用することが可能となる。
また、本実施形態では、SOH推定部14において、二次電池4の電圧Vと、二次電池4の充電容量Qの変化量dQに対する二次電池4の電圧Vの変化量dVの割合であるdV/dQとの関係を示す微分曲線V−dV/dQにおける特徴点の電圧V、または二次電池4の電圧Vと、二次電池4の電圧Vの変化量dVに対する二次電池4の充電容量Qの変化量dQの割合であるdQ/dVとの関係を示す微分曲線V−dQ/dVにおける特徴点の電圧Vに基づいて、二次電池4のSOHを推定する。
【0047】
したがって、二次電池4のSOHを、電圧及び入出力電流の変化に基づいて早期に推定することができる。これにより、充電の初期において、各二次電池4のSOHを推定して、充電可能容量を算出することができるので、以降の充電の際に余裕をもって全ての二次電池4の電圧をバランスさせることが可能となる。
以上で本発明に係る二次電池の劣化度合測定装置の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0048】
例えば、本実施形態では、二次電池4毎にSOHを推定して、複数の二次電池4がいずれも満充電になるように充電制御するが、二次電池4を構成する単電池毎にSOHを推定して、複数の単電池がいずれも満充電になるように充電制御してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 二次電池システム
4 二次電池
7 電圧センサ
6 充放電制御部
8 電流センサ
14 SOH推定部(劣化指標推定部)
15 SOC算出部(充電率検出部)
17 充放電司令部(充電バランス制御部)
16 充電容量算出部(充電可能容量推定部)
20 電池パック(二次電池ユニット)

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