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公開番号2019163438
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190926
出願番号2018140958
出願日20180727
発明の名称エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法
出願人帝人株式会社
代理人個人
主分類C08G 59/32 20060101AFI20190830BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】優れた保存安定性を有するプリプレグや優れた圧縮特性を有する繊維強化複合材料を製造することができるエポキシ樹脂組成物の提供。
【解決手段】下記エポキシ樹脂[A]とグリシジルエーテル基を有する芳香族エポキシ樹脂(グリシジルエーテル個数/芳香環個数=2)[B]を含むエポキシ樹脂組成物。
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【選択図】なし
特許請求の範囲約 870 文字を表示【請求項1】
下記化学式(1)
(ただし、化(1)中、R

〜R

は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表し、Xは−CH

−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO

−から選ばれる1つを表す。)
で示されるエポキシ樹脂[A]と、
グリシジルエーテル基を有する芳香族エポキシ樹脂であって、グリシジルエーテル個数/芳香環個数が2のエポキシ樹脂[B]と、
を含んで成ることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂[A]がテトラグリシジル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂[B]がジグリシジルレゾルシノールである請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記エポキシ樹脂[A]と、前記エポキシ樹脂[B]と、の質量比が、2:8 〜 9:1である請求項1〜3の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
強化繊維基材と、
前記強化繊維基材内に含浸された請求項1〜4の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物と、
から成ることを特徴とするプリプレグ。
【請求項6】
前記強化繊維基材が炭素繊維から成る強化繊維基材である請求項5に記載のプリプレグ。
【請求項7】
請求項1〜4の何れか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【請求項8】
請求項5又は6に記載のプリプレグを積層して、圧力0.05〜2MPa、温度150〜210℃で1〜8時間加熱することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。

発明の詳細な説明約 24,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法に関する。更に詳述すれば、優れた保存安定性を有するプリプレグや優れた圧縮特性を有する繊維強化複合材料を製造することができるエポキシ樹脂組成物;該エポキシ樹脂組成物を用いて作製するプリプレグ;該プリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料;及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
強化繊維と樹脂とからなる繊維強化複合材料は、軽量、高強度、高弾性率等の特長を有し、航空機、スポーツ・レジャー、一般産業に広く応用されている。この繊維強化複合材料は、強化繊維と、マトリクス樹脂と呼ばれる樹脂と、が予め一体化されているプリプレグを経由して製造されることが多い。
【0003】
プリプレグを構成する樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が使用されている。特に、そのタック性、ドレープ性による成形自由度の高さから、熱硬化性樹脂を用いたプリプレグが広く使用されている。熱硬化性樹脂は、一般に低靱性であるため、プリプレグを構成する樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、このプリプレグを用いて作製されるCFRPは耐衝撃性が低くなるという課題がある。そのため、耐衝撃性を改善する方法が検討されている。
【0004】
かかる耐衝撃性を改善する方法としては、特許文献1〜4に記載の方法が従来知られている。
特許文献1には、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させることにより、熱硬化性樹脂に靱性を付与させる方法が記載されている。この方法によれば、熱硬化性樹脂に対してある程度の靱性を付与させることができる。しかし、高い靱性を付与させるためには、熱硬化性樹脂に多量の熱可塑性樹脂を溶解させなければならない。その結果、多量の熱可塑性樹脂が溶解している熱硬化性樹脂は、粘度が著しく高くなり、炭素繊維からなる強化繊維基材内部に、十分な量の樹脂を含浸させることが困難となる。この様なプリプレグを用いて作製されるコンポジットは、ボイド等の多くの欠陥を内在する。その結果、コンポジット構造体の圧縮性能及び損傷許容性などにマイナスの影響を及ぼす。
特許文献2〜4には、プリプレグ表面に熱可塑性樹脂微粒子を局在化させたプリプレグが記載されている。これらのプリプレグは、表面に粒子形状の熱可塑性樹脂が局在しているため、初期のタック性が低い。また、表層に内在する硬化剤との硬化反応が進行するため、保存安定性が悪く、経時的にタック性やドレープ性が低下する。さらに、この様な硬化反応の進行してしまったプリプレグを用いて作製されるコンポジットは、多くのボイド等の欠陥が内在し、コンポジット構造体の機械物性が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開昭60−243113
特開平07− 41575
特開平07− 41576
特開平07− 41577
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、優れた保存安定性を有するプリプレグや優れた圧縮特性を有する繊維強化複合材料を製造することができるエポキシ樹脂組成物;該エポキシ樹脂組成物を用いて作製するプリプレグ;該プリプレグを用いて作製する繊維強化複合材料;及びそれらの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討した結果、所定のエポキシ樹脂の組み合わせから成るエポキシ樹脂組成物を用いてプリプレグを作製し、該プリプレグを用いて繊維強化複合材料を製造することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
上記課題を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0009】
〔1〕 下記化学式(1)
【0010】
【0011】
(ただし、化(1)中、R

〜R

は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表し、Xは−CH

−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO

−から選ばれる1つを表す。)
で示されるエポキシ樹脂[A]と、
グリシジルエーテル基を有する芳香族エポキシ樹脂であって、グリシジルエーテル個数/芳香環個数が2のエポキシ樹脂[B]と、
を含んで成ることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0012】
〔2〕 前記エポキシ樹脂[A]がテトラグリシジル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルである〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0013】
〔3〕 前記エポキシ樹脂[B]がレゾルシノールジグリシジルエーテルである〔1〕又は〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0014】
上記〔1〕〜〔3〕に記載の発明は、所定のエポキシ樹脂を組み合わせて用いることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
【0015】
〔4〕 前記エポキシ樹脂[A]と、前記エポキシ樹脂[B]と、の質量比が、2:8 〜 9:1である〔1〕〜〔3〕の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【0016】
上記〔4〕に記載の発明は、前記エポキシ樹脂[A]と、前記エポキシ樹脂[B]と、が所定の割合で混合されて成るエポキシ樹脂組成物である。この割合で混合されることにより、プリプレグの取扱性が特に優れたものとすることができる。
【0017】
〔5〕 強化繊維基材と、
前記強化繊維基材内に含浸された〔1〕〜〔4〕の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物と、
から成ることを特徴とするプリプレグ。
【0018】
上記〔5〕に記載の発明は、〔1〕〜〔4〕の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて作製するプリプレグである。このプリプレグは、エポキシ樹脂組成物の組成に起因して取扱性が高い。
【0019】
〔6〕 前記強化繊維基材が炭素繊維から成る強化繊維基材である〔5〕に記載のプリプレグ。
【0020】
上記〔6〕に記載の発明は、強化繊維基材を構成する材料として炭素繊維を用いる。
【0021】
〔7〕 〔1〕〜〔4〕の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を強化繊維基材内に含浸させることを特徴とするプリプレグの製造方法。
【0022】
上記〔7〕に記載の発明は、〔1〕〜〔4〕の何れかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いたプリプレグの製造方法であり、そのエポキシ樹脂組成物の組成に起因して強化繊維基材への含浸性が高い。
【0023】
〔8〕 〔5〕又は〔6〕に記載のプリプレグを積層して、圧力0.05〜2MPa、温度150〜210℃で1〜8時間加熱することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
【0024】
上記〔8〕に記載の発明は、〔5〕又は〔6〕に記載のプリプレグを用いる、圧縮特性が高い繊維強化複合材料の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、グリシジル基の数や立体的な位置関係に起因して、室温時におけるプリプレグの保存安定性が特異的に向上するとともに、硬化反応後には架橋密度が高い硬化体を形成する。そのため、長期間保存した後のプリプレグを用いても架橋密度が高く、高物性の繊維強化複合材料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグ、繊維強化複合材料、及びそれらの製造方法の詳細について説明する。
【0027】
1. エポキシ樹脂組成物
本発明のエポキシ樹脂組成物は、少なくともエポキシ樹脂[A]と、エポキシ樹脂[B]を含むとともに、アミン系硬化剤を含んで成る。本発明のエポキシ樹脂組成物は、これらの他に、熱可塑性樹脂やその他の添加剤を含んでいても良い。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、100℃における粘度が、0.1〜500Pa・sであることが好ましく、1〜100Pa・sであることがより好ましい。0.1Pa・s未満である場合、プリプレグから樹脂が流出し易くなる。500Pa・sを超える場合、プリプレグに未含浸部分が生じ易くなる。その結果、得られる繊維強化複合材料においてボイド等が形成され易くなる。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化樹脂は、ガラス転移温度が150℃以上であることが好ましく、170〜400℃であることがより好ましい。150℃未満である場合は耐熱性が不十分である。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化させて得られる硬化樹脂は、JIS K7171法で測定する曲げ弾性率が3.0GPa以上であることが好ましく、3.5〜30GPaであることがより好ましく、4.0〜20GPaであることが更に好ましい。3.0GPa未満である場合、得られる繊維強化複合材料の特性が低下し易い。
【0031】
(1−1) エポキシ樹脂[A]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記化学式(1)
【0032】
【0033】
(ただし、化(1)中、R

〜R

は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子からなる群から選ばれる1つを表し、Xは−CH

−、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−O−C(=O)−、−NHCO−、−CONH−、−SO

−から選ばれる1つを表す。)
で示されるエポキシ樹脂[A]を含む。R

〜R

が、脂肪族炭化水素基または脂環式炭化水素基である場合、その炭素数は1〜4であることが好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂[A]は2つの芳香環がX基を介して結合しており、各芳香環にはジグリシジル基がそれぞれ結合している。そのうち、1つの芳香環においてはX基とジグリシジル基とがパラ位で結合しており、他の1つの芳香環においてはX基とジグリシジル基とがメタ位で結合している。この構造により生じる硬化樹脂の特殊な立体構造に起因して、硬化樹脂の弾性率及び耐熱性が高くなると本発明者らは推定している。
【0035】
エポキシ樹脂[A]としては、テトラグリシジル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルであることが好ましい。R

〜R

が水素原子である場合、硬化樹脂の特殊な立体構造形成が阻害されにくいため好ましい。また、当該化合物の合成が容易になるためXが−O−であることが好ましい。
【0036】
本発明のエポキシ樹脂組成物における、エポキシ樹脂の総量に対する、エポキシ樹脂[A]が占める割合は、20〜95質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、55〜90質量%であることが更に好ましい。20質量%未満の場合、得られる硬化樹脂の耐熱性及び弾性率が低下する場合がある。95質量%を超える場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高く、強化繊維基材への含浸性が低下し易い。その結果、何れの場合も、得られるCFRPの各種物性が低下する場合がある。
【0037】
(1−2) エポキシ樹脂[B]
本発明のエポキシ樹脂組成物は、グリシジルエーテル基を有する芳香族エポキシ樹脂であって、グリシジルエーテル個数/芳香環個数が2のエポキシ樹脂[B]を含む。なお、本発明において、ナフタレン環やアントラセン環など縮環構造は1つの芳香環とみなす。
エポキシ樹脂[B]は、エポキシ樹脂[A]の粘度を低下させて、プリプレグ作製時の樹脂含浸性を向上させるとともに、硬化樹脂の弾性率を向上させる。そのため、エポキシ樹脂[A]とエポキシ樹脂[B]とを組み合わせて用いることにより、耐熱性及び高弾性率を維持しつつ、FRPの各種物性を向上できる。
【0038】
エポキシ樹脂[B]としては、グリシジルエーテル個数/芳香環個数が2のエポキシ樹脂であれば特に限定されないが、o−ハイドロキノン、レゾルシノール、p−ハイドロキノン及びこれらの誘導体のようなグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂を用いることが好ましく、特にレゾルシノール及びその誘導体を用いることが好ましい。
【0039】
本発明のエポキシ樹脂組成物における、エポキシ樹脂[A]とエポキシ樹脂[B]との質量比は、2:8 〜 9:1であることが好ましく、4:6〜9:1であることがより好ましく、6:4 〜 8:2であることが更に好ましい。この比率で配合することにより、プリプレグの作製に適した粘度を有するエポキシ樹脂組成物を作製でき、かつ架橋密度が高い硬化体を得ることができる。
【0040】
エポキシ樹脂[B]は、エポキシ樹脂[A]の粘度を低下させる減粘剤であり、エポキシ樹脂[A]及び後述のアミン系硬化剤と組み合わせて用いることにより、架橋密度が高い硬化体を与える。
【0041】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記2種類のエポキシ樹脂を必須とするが、その他のエポキシ樹脂を含んでいても良い。
本発明のエポキシ樹脂組成物における、全エポキシ樹脂量に対する、エポキシ樹脂[A]及びエポキシ樹脂[B]が占める割合は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
【0042】
その他のエポキシ樹脂としては、従来公知のエポキシ樹脂を用いることができる。具体的には、以下に例示されるものを用いることができる。これらの中でも芳香族基を含有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン構造、グリシジルエーテル構造のいずれかを含有するエポキシ樹脂が好ましい。また、脂環族エポキシ樹脂も好適に用いることができる。
グリシジルアミン構造を含有するエポキシ樹脂としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−3−メチル−4−アミノフェノール、トリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体などが例示される。
グリシジルエーテル構造を含有するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が例示される。
また、これらのエポキシ樹脂は、必要に応じて、芳香族環構造などに、非反応性置換基を有していても良い。非反応性置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基やフェニルなどの芳香族基やアルコキシル基、アラルキル基、塩素や臭素などの如くハロゲン基などが例示される。
【0043】
(1−3) アミン系硬化剤
本発明のエポキシ樹脂組成物は、公知のアミン系硬化剤が用いられる。アミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン系硬化剤の各種異性体、アミノ安息香酸エステル類が挙げられる。
【0044】
ジシアンジアミドは、プリプレグの保存安定性に優れるため好ましい。また、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン化合物及びそれらの非反応性置換基を有する誘導体は、耐熱性の良好な硬化物を与えるという観点から特に好ましい。ここで、非反応性置換基は、エポキシ樹脂の説明において述べた非反応性置換基と同様である。
【0045】
アミノ安息香酸エステル類としては、トリメチレングリコールジ−p−アミノベンゾエートやネオペンチルグリコールジ−p−アミノベンゾエートが好ましく用いられる。これらを用いて硬化させた複合材料は、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体と比較して耐熱性は劣るが、引張伸度に優れる。そのため、複合材料の用途に応じて、使用する硬化剤の種類は適宜選択される。
【0046】
エポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤の量は、少なくともエポキシ樹脂組成物に配合されているエポキシ樹脂を硬化させるのに適する量である。硬化剤の量は、用いるエポキシ樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜調節すればよい。硬化剤の量は、他の硬化剤や硬化促進剤の有無と添加量、エポキシ樹脂との化学反応量論及び組成物の硬化速度などを考慮して、適宜調整する。プリプレグに含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して、硬化剤を30〜100質量部配合することが好ましく、30〜70質量部配合することがより好ましい。
【0047】
(1−4) 熱可塑性樹脂
本発明のエポキシ樹脂組成物は熱可塑性樹脂を含んでいても良い。熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂とが挙げられる。
【0048】
(1−4−1) エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を含有することもできる。このエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整するとともに、得られるFRPの耐衝撃性を向上させる。
【0049】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂とは、FRPを成形する温度又はそれ以下の温度において、エポキシ樹脂に一部又は全部が溶解し得る熱可塑性樹脂である。ここで、エポキシ樹脂に一部が溶解するとは、エポキシ樹脂100質量部に対して、平均粒子径が20〜50μmの熱可塑性樹脂10質量部を混合して190℃で1時間撹拌した際に粒子が消失するか、粒子の大きさが10%以上変化することを意味する。
一方、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂とは、FRPを成形する温度又はそれ以下の温度において、エポキシ樹脂に実質的に溶解しない熱可塑性樹脂をいう。即ち、エポキシ樹脂100質量部に対して、平均粒子径が20〜50μmの熱可塑性樹脂10質量部を混合して190℃で1時間撹拌した際に、粒子の大きさが10%以上変化しない熱可塑性樹脂をいう。なお、一般的に、FRPを成形する温度は100〜190℃である。また、粒子径は、顕微鏡によって目視で測定され、平均粒子径とは、無作為に選択した100個の粒子の粒子径の平均値を意味する。
【0050】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂が完全に溶解していない場合は、エポキシ樹脂の硬化過程で加熱されることによりエポキシ樹脂に溶解し、エポキシ樹脂組成物の粘度を増加させることができる。これにより、硬化過程における粘度低下に起因するエポキシ樹脂組成物のフロー(プリプレグ内から樹脂組成物が流出する現象)を防止することができる。
【0051】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、190℃でエポキシ樹脂に80質量%以上溶解する樹脂が好ましい。
【0052】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の具体的例としては、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネート等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用しても良い。エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mw)が8000〜100000の範囲のポリエーテルスルホン、ポリスルホンが特に好ましい。重量平均分子量(Mw)が8000よりも小さいと、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となり、また100000よりも大きいと粘度が著しく高くなり取扱性が著しく悪化する場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の分子量分布は均一であることが好ましい。特に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である多分散度(Mw/Mn)が1〜10の範囲であることが好ましく、1.1〜5の範囲であることがより好ましい。
【0053】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂と反応性を有する反応基又は水素結合を形成する官能基を有していることが好ましい。このようなエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂の硬化過程中における溶解安定性を向上させることができる。また、硬化後に得られるFRPに靭性、耐薬品性、耐熱性及び耐湿熱性を付与することができる。
【0054】
エポキシ樹脂との反応性を有する反応基としては、水酸基、カルボン酸基、イミノ基、アミノ基などが好ましい。水酸基末端のポリエーテルスルホンを用いると、得られるFRPの耐衝撃性、破壊靭性及び耐溶剤性が特に優れるためより好ましい。
【0055】
エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量は、粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜90質量部が好ましく、5〜40質量部がより好ましく、15〜35質量部がさらに好ましい。5質量部未満の場合は、得られるFRPの耐衝撃性が不十分となる場合がある。エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の含有量が高くなると、粘度が著しく高くなり、プリプレグの取扱性が著しく悪化する場合がある。
【0056】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂には、アミン末端基を有する反応性芳香族オリゴマー(以下、単に「芳香族オリゴマー」ともいう)を含むことが好ましい。
【0057】
エポキシ樹脂組成物は、加熱硬化時にエポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応により高分子量化する。高分子量化により二相域が拡大することによって、エポキシ樹脂組成物に溶解していた芳香族オリゴマーは、反応誘起型の相分離を引き起こす。この相分離により、硬化後のエポキシ樹脂と、芳香族オリゴマーと、が共連続となる樹脂の二相構造をマトリックス樹脂内に形成する。また、芳香族オリゴマーはアミン末端基を有していることから、エポキシ樹脂との反応も生じる。この共連続の二相構造における各相は互いに強固に結合しているため、耐溶剤性も向上している。
【0058】
この共連続の構造は、FRPに対する外部からの衝撃を吸収してクラック伝播を抑制する。その結果、アミン末端基を有する反応性芳香族オリゴマーを含むプリプレグを用いて作製されるFRPは、高い耐衝撃性及び破壊靭性を有する。
【0059】
この芳香族オリゴマーとしては、公知のアミン末端基を有するポリスルホン、アミン末端基を有するポリエーテルスルホンを用いることができる。アミン末端基は第一級アミン(−NH

)末端基であることが好ましい。
【0060】
エポキシ樹脂組成物に配合される芳香族オリゴマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量が8000〜40000であることが好ましい。重量平均分子量が8000未満である場合、マトリクス樹脂の靱性向上効果が低い。また、重量平均分子量が40000を超える場合、樹脂組成物の粘度が高くなり過ぎて、強化繊維層内に樹脂組成物が含浸しにくくなる等の加工上の問題点が発生しやすくなる。
【0061】
芳香族オリゴマーとしては、「Virantage DAMS VW−30500 RP(登録商標)」(Solvay Specialty Polymers社製)のような市販品を好ましく用いることができる。
【0062】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の形態は、特に限定されないが、粒子状であることが好ましい。粒子状のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂は、樹脂組成物中に均一に配合することができる。また、得られるプリプレグの成形性が高い。
【0063】
エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の平均粒子径は、1〜50μmであることが好ましく、3〜30μmであることが特に好ましい。1μm未満である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が著しく増粘する。そのため、エポキシ樹脂組成物に十分な量のエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂を添加することが困難となる場合がある。50μmを超える場合、エポキシ樹脂組成物をシート状に加工する際、均質な厚みのシートが得られ難くなる場合がある。また、エポキシ樹脂への溶解速度が遅くなり、得られるFRPが不均一となるため、好ましくない。
【0064】
(1−4−2) エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂
エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の他に、エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂を含有しても良い。本発明において、エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂及びエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の両者を含有していることが好ましい。
【0065】
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂の一部(硬化後のマトリクス樹脂において溶解せずに残存したエポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂)は、その粒子がFRPのマトリクス樹脂中に分散する状態となる(以下、この分散している粒子を「層間粒子」ともいう)。この層間粒子は、FRPが受ける衝撃の伝播を抑制する。その結果、得られるFRPの耐衝撃性が向上する。
【0066】
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾールが例示される。これらの中でも、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドは、靭性及び耐熱性が高いため好ましい。ポリアミドやポリイミドは、FRPに対する靭性向上効果が特に優れている。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても良い。また、これらの共重合体を用いることもできる。
【0067】
特に、非晶性ポリイミドや、ナイロン6(登録商標)(カプロラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ナイロン11(ウンデカンラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ナイロン12(ラウリルラクタムの開環重縮合反応により得られるポリアミド)、ナイロン1010(セバシン酸と1,10−デカンジアミンとの共重合反応により得られるポリアミド)、非晶性のナイロン(透明ナイロンとも呼ばれ、ポリマーの結晶化が起こらないか、ポリマーの結晶化速度が極めて遅いナイロン)のようなポリアミドを使用することにより、得られるFRPの耐熱性を特に向上させることができる。
【0068】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の含有量は、エポキシ樹脂組成物の粘度に応じて適宜調整される。プリプレグの加工性の観点から、エポキシ樹脂組成物に含有されるエポキシ樹脂100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜45質量部であることがより好ましく、20〜40質量部であることがさらに好ましい。5質量部未満の場合、得られるFRPの耐衝撃性が不十分になる場合がある。50質量部を超える場合、エポキシ樹脂組成物の含浸性や、得られるプリプレグのドレープ性などを低下させる場合がある。
【0069】
エポキシ樹脂不溶性熱可塑性樹脂の好ましい平均粒子径や形態は、エポキシ樹脂可溶性熱可塑性樹脂と同様である。
【0070】
(1−5) その他の添加剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、導電性粒子や難燃剤、無機系充填剤、内部離型剤が配合されてもよい。
【0071】
導電性粒子としては、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子及びポリエチレンジオキシチオフェン粒子等の導電性ポリマー粒子;カーボン粒子;炭素繊維粒子;金属粒子;無機材料又は有機材料から成るコア材を導電性物質で被覆した粒子が例示される。
【0072】
難燃剤としては、リン系難燃剤が例示される。リン系難燃剤としては、分子中にリン原子を含むものであれば特に限定されず、例えば、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ポリリン酸塩などの有機リン化合物や赤リンが挙げられる。
【0073】
無機系充填材としては、例えば、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、グラファイト、硫酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸塩鉱物が挙げられる。特に、ケイ酸塩鉱物を用いることが好ましい。ケイ酸塩鉱物の市販品としては、THIXOTROPIC AGENT DT 5039(ハンツマン・ジャパン株式会社 製)が挙げられる。
【0074】
内部離型剤としては、例えば、金属石鹸類、ポリエチレンワックスやカルバナワックス等の植物ワックス、脂肪酸エステル系離型剤、シリコンオイル、動物ワックス、フッ素系非イオン界面活性剤を挙げることができる。これら内部離型剤の配合量は、前記エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.2〜2質量部であることがさらに好ましい。この範囲内においては、金型からの離型効果が好適に発揮される。
【0075】
内部離型剤の市販品としては、“MOLD WIZ(登録商標)” INT1846(AXEL PLASTICS RESEARCH LABORATORIES INC.製)、Licowax S、Licowax P、Licowax OP、Licowax PE190、Licowax PED(クラリアントジャパン社製)、ステアリルステアレート(SL−900A;理研ビタミン(株)製が挙げられる。
【0076】
(1−6) エポキシ樹脂組成物の製造方法
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂[A]およびエポキシ樹脂[B]と、必要に応じて、エポキシ樹脂[A]、[B]以外のエポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂やその他の成分と、を混合することにより製造できる。これらの混合の順序は問わない。
【0077】
エポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いてもよい。混合温度としては、40〜120℃の範囲が例示できる。120℃を超える場合、部分的に硬化反応が進行して強化繊維基材層内への含浸性が低下したり、得られるエポキシ樹脂組成物及びそれを用いて製造されるプリプレグの保存安定性が低下したりする場合がある。40℃未満である場合、エポキシ樹脂組成物の粘度が高く、実質的に混合が困難となる場合がある。好ましくは50〜100℃であり、さらに好ましくは50〜90℃の範囲である。
【0078】
混合機械装置としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な例としては、ロールミル、プラネタリーミキサー、ニーダー、エクストルーダー、バンバリーミキサー、攪拌翼を備えた混合容器、横型混合槽などが挙げられる。各成分の混合は、大気中又は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。大気中で混合が行われる場合は、温度、湿度が管理された雰囲気が好ましい。特に限定されるものではないが、例えば、30℃以下の一定温度に管理された温度や、相対湿度50%RH以下の低湿度雰囲気で混合することが好ましい。
【0079】
2. プリプレグ
本発明のプリプレグは、強化繊維基材と、前記強化繊維基材内に含浸された上記エポキシ樹脂組成物と、から成る。
【0080】
本発明のプリプレグは、強化繊維基材の一部又は全体に上記エポキシ樹脂組成物が含浸されたプリプレグである。プリプレグ全体におけるエポキシ樹脂組成物の含有率は、プリプレグの全質量を基準として、15〜60質量%であることが好ましい。樹脂含有率が15質量%未満である場合、得られる繊維強化複合材料に空隙などが発生し、機械物性を低下させる場合がある。樹脂含有率が60質量%を超える場合、強化繊維による補強効果が不十分となり、実質的に質量対比機械物性が低いものになる場合がある。樹脂含有率は、20〜55質量%であることが好ましく、25〜50質量%であることがより好ましい。
【0081】
(2−1) 強化繊維基材
本発明で用いる強化繊維基材としては、特に制限はなく、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などが挙げられる。
【0082】
これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましい。比強度、比弾性率が良好で、軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる点で、炭素繊維がより好ましい。引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
【0083】
強化繊維にPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は、100〜600GPaであることが好ましく、200〜500GPaであることがより好ましく、230〜450GPaであることが特に好ましい。また、引張強度は、2000〜10000MPaであることが好ましく、3000〜8000MPaであることがより好ましい。炭素繊維の直径は、4〜20μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。このような炭素繊維を用いることにより、得られる繊維強化複合材料の機械的性質を向上できる。また、本発明において、サイジング剤が付着した強化繊維の質量に対して、サイジング剤が0.01〜10質量%付着した強化繊維束であることが好ましく、0.05〜3.0質量%の付着量であることがより好ましく、0.1〜2.0質量%の付着量であることが特に好ましい。サイジング剤の付着量が多い方が、強化繊維とマトリクス樹脂の接着性が強くなる傾向がある。一方、付着量が低い方が得られる複合材料の層間靱性が優れる傾向にある。最も好ましいサイジング剤の付着量は、強化繊維とマトリクス樹脂の接着性の観点からは1.0〜2.0質量%であり、得られる複合材料の層間靱性の観点からは0.1〜1.0質量%である。
【0084】
強化繊維はシート状に形成して用いることが好ましい。強化繊維シートとしては、例えば、多数本の強化繊維を一方向に引き揃えたシートや、平織や綾織などの二方向織物、多軸織物、不織布、マット、ニット、組紐、強化繊維を抄紙した紙を挙げることができる。これらの中でも、強化繊維を連続繊維としてシート状に形成した一方向引揃えシートや二方向織物、多軸織物基材を用いると、より機械物性に優れた繊維強化複合材料が得られるため好ましい。シート状の強化繊維基材の厚さは、0.01〜3mmが好ましく、0.1〜1.5mmがより好ましい。
【0085】
(2−2) プリプレグの製造方法
本発明のプリプレグの製造方法は、特に制限がなく、従来公知のいかなる方法も採用できる。具体的には、ホットメルト法や溶剤法が好適に採用できる。
【0086】
ホットメルト法は、離型紙の上に、樹脂組成物を薄いフィルム状に塗布して樹脂組成物フィルムを形成し、強化繊維基材に該樹脂組成物フィルムを積層して加圧下で加熱することにより樹脂組成物を強化繊維基材層内に含浸させる方法である。
【0087】
樹脂組成物を樹脂組成物フィルムにする方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いることもできる。具体的には、ダイ押し出し、アプリケーター、リバースロールコーター、コンマコーターなどを用いて、離型紙やフィルムなどの支持体上に樹脂組成物を流延、キャストをすることにより樹脂組成物フィルムを得ることができる。フィルムを製造する際の樹脂温度は、樹脂組成物の組成や粘度に応じて適宜決定する。具体的には、前述のエポキシ樹脂組成物の製造方法における混合温度と同じ温度条件が好適に用いられる。樹脂組成物の強化繊維基材層内への含浸は1回で行っても良いし、複数回に分けて行っても良い。
【0088】
溶剤法は、エポキシ樹脂組成物を適当な溶媒を用いてワニス状にし、このワニスを強化繊維基材層内に含浸させる方法である。
【0089】
本発明のプリプレグは、これらの従来法の中でも、溶剤を用いないホットメルト法により好適に製造することができる。
【0090】
エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で強化繊維基材層内に含浸させる場合の含浸温度は、50〜150℃の範囲が好ましい。含浸温度が50℃未満の場合、エポキシ樹脂の粘度が高く、強化繊維基材層内へ十分に含浸しない場合がある。含浸温度が140℃を超える場合、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が進行し、得られるプリプレグの保存安定性が低下したり、ドレープ性が低下したりする場合がある。含浸温度は、60〜130℃がより好ましく、70〜120℃が特に好ましい。
【0091】
エポキシ樹脂組成物フィルムをホットメルト法で強化繊維基材層内に含浸させる際の含浸圧力は、その樹脂組成物の粘度・樹脂フローなどを勘案し、適宜決定する。
具体的な含浸圧力は、線圧 0.01〜250(N/cm)であり、0.1〜200(N/cm)であることが好ましい。
【0092】
3. 繊維強化複合材料
本発明のプリプレグを特定の条件で加熱加圧して硬化させることにより、繊維強化複合材料(FRP)を得ることができる。本発明のプリプレグを用いて、FRPを製造する方法としては、オートクレーブ成形やプレス成形等の公知の成形法が挙げられる。
【0093】
(3−1) オートクレーブ成形法
本発明のFRPの製造方法としては、オートクレーブ成形法が好ましく用いられる。オートクレーブ成形法は、金型の下型にプリプレグ及びフィルムバッグを順次敷設し、該プリプレグを下型とフィルムバッグとの間に密封し、下型とフィルムバッグとにより形成される空間を真空にするとともに、オートクレーブ成形装置で、加熱と加圧をする成形方法である。成形時の条件は、昇温速度を1〜50℃/分とし、0.2〜0.7MPa、130〜180℃で10〜300分間、加熱及び加圧することが好ましい。
【0094】
(3−2) プレス成形法
本発明のFRPの製造方法としては、プレス成形法が好ましく用いられる。プレス成形法によるFRPの製造は、本発明のプリプレグ又は本発明のプリプレグを積層して形成したプリフォームを、金型を用いて加熱加圧することにより行う。金型は、予め硬化温度に加熱しておくことが好ましい。
【0095】
プレス成形時の金型の温度は、150〜210℃が好ましい。成形温度が150℃以上であれば、十分に硬化反応を起こすことができ、高い生産性でFRPを得ることができる。また、成形温度が210℃以下であれば、樹脂粘度が低くなり過ぎることがなく、金型内における樹脂の過剰な流動を抑えることができる。その結果、金型からの樹脂の流出や繊維の蛇行を抑制できるため、高品質のFRPが得られる。
【0096】
成形時の圧力は、0.05〜2MPaであり、0.2〜2MPaが好ましい。圧力が0.05MPa以上であれば、樹脂の適度な流動が得られ、外観不良やボイドの発生を防ぐことができる。また、プリプレグが十分に金型に密着するため、良好な外観のFRPを製造することができる。圧力が2MPa以下であれば、樹脂を必要以上に流動させることがないため、得られるFRPの外観不良が生じ難い。また、金型に必要以上の負荷をかけることがないため、金型の変形等が生じ難い。
成形時間は1〜8時間が好ましい。
【実施例】
【0097】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用する成分や試験方法を以下に記載する。
【0098】
〔成分〕
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂[A]
・テトラグリシジル−3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(合成例1の方法で合成、以下「3,4’−TGDDE」と略記する)
エポキシ樹脂[B]
・レゾルシノールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製 EX−201、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=2、以下「Resorcinol−DG」と略記する)
その他エポキシ樹脂
・テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(ハンツマン社製 Araldite MY721、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=0、以下「TGDDM」と略記する)
・ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル(三菱化学社製 jER825、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=1、以下「DGEBA」と略記する)
・トリグリシジル−m−アミノフェノール(ハンツマン社製 Araldite MY0600、グリシジルエーテル個数/芳香環個数=1、以下「TG−mAP」と略記する)
(アミン系硬化剤)
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(小西化学工業株式会社製、以下、「3,3’−DDS」と略記する)
(エポキシ樹脂不溶熱可塑性樹脂)
・ポリアミド12(エムスケミージャパン社製 TR−55、平均粒子径20μm、以下「PA12」と略記する)
(エポキシ樹脂可溶熱可塑性樹脂)
・ポリエーテルスルホン(住友化学工業株式会社製 スミカエクセルPES−5003P、平均粒子径20μm、以下「PES」と略記する)
(炭素繊維)
・“テナックス(登録商標)”IMS65 E23 830tex(炭素繊維ストランド、引張強度 5.8GPa、引張弾性率 290GPa、サイジング剤付着量 1.2質量%、帝人(株)製)
・“テナックス(登録商標)”IMS65 E22 830tex(炭素繊維ストランド、引張強度 5.8GPa、引張弾性率 290GPa、サイジング剤付着量 0.5質量%、帝人(株)製)
【0099】
〔合成例1〕 3,4’−TGDDEの合成
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリン1110.2g(12.0mol)を仕込み、窒素パージを行いながら温度を70℃まで上げて、これにエタノール1000gに溶解させた3,4’−ジアミノジフェニルエーテル200.2g(1.0mol)を4時間かけて滴下した。さらに6時間撹拌し、付加反応を完結させ、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)−3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得た。続いて、フラスコ内温度を25℃に下げてから、これに48%NaOH水溶液500.0g(6.0mol)を2時間で滴下してさらに1時間撹拌した。環化反応が終わってからエタノールを留去して、400gのトルエンで抽出を行い5%食塩水で2回洗浄を行った。有機層からトルエンとエピクロロヒドリンを減圧下で除くと、褐色の粘性液体が361.7g(収率85.2%)得られた。主生成物である3,4’−TGDDEの純度は、84%(HPLC面積%)であった。
【0100】
[評価方法]
(1) 樹脂硬化物の物性
(1−1) エポキシ樹脂組成物の調製
表1に記載する割合で、攪拌機を用いてエポキシ樹脂に溶解性熱可塑性樹脂を120℃で溶解させた。その後、80℃まで降温し、硬化剤および非溶解性熱可塑性樹脂を添加して30分間混合し、エポキシ樹脂組成物を調製した。なお、表1に記載の組成においては、エポキシ樹脂のグリシジル基と硬化剤のアミノ基は当量となる。
【0101】
(1−2) 樹脂硬化物の作成
(1−1)で調製したエポキシ樹脂組成物を真空中で脱泡した後、4mm厚のシリコン樹脂製スペーサーにより厚み4mmになるように設定したシリコン樹脂製モールド中に注入した。180℃の温度で2時間硬化させ、厚さ4mmの樹脂硬化物を得た。
【0102】
(1−3) 粘度
ティー・エイ・インスツルメント社製レオメーターARES−RDAを用い、直径25mmのパラレルプレートを用い、パラレルプレート間のエポキシ樹脂組成物の厚さを0.5mmとし、角速度10ラジアン/秒の条件で昇温速度2℃/分で180℃まで(1−1)で調整したエポキシ樹脂組成物の粘度測定を行い、温度−粘度曲線から100℃における粘度を測定した。
【0103】
(1−4) 樹脂曲げ強度及び樹脂曲げ弾性率
JIS K7171法に準じて、試験を実施した。その際の樹脂試験片の寸法は、80mm×10mm×4mmで準備した。支点間距離Lは16×h(厚み)とし、試験速度2m/minで曲げ試験を行い、曲げ強度と曲げ弾性率を測定した。
【0104】
(1−5) DMA−Tg
SACMA 18R−94法に準じて、ガラス転移温度を測定した。
樹脂試験片の寸法は50mm×6mm×2mmで準備した。UBM社製動的粘弾性測定装置Rheogel−E400を用い、測定周波数1Hz、昇温速度5℃/分、ひずみ0.0167%の条件で、チャック間の距離を30mmとし、50℃からゴム弾性領域まで貯蔵弾性率E’を測定した。logE’を温度に対してプロットし、logE’の平坦領域の近似直線と、E’が転移する領域の近似直線との交点から求められる温度をガラス転移温度(Tg)として記録した。
【0105】
(2) プリプレグ取扱性
(2−1) プリプレグの作製
リバースロールコーターを用いて、離型紙上に、(1−1)で得られたエポキシ樹脂組成物を塗布して50g/m

目付の樹脂フィルムを作製した。次に、単位面積当たりの繊維質量が190g/m

となるように炭素繊維を一方向に整列させてシート状の強化繊維基材層を作製した。この強化繊維基材層の両面に上記樹脂フィルムを積重し、温度95℃、圧力0.2MPaの条件で加熱加圧して、炭素繊維含有率が65質量%の一方向プリプレグを作製した。
【0106】
(2−2) 保存安定性
(2−1)で得られたプリプレグを温度26.7℃、湿度65%に10日間保存した後に、プリプレグをカットし、金型に積層することにより評価した。評価結果は以下の基準(○〜×)で表した。
○:金型へ積層しても十分追従し、製造直後とほとんど変わらない取扱性。
×:プリプレグの硬化反応が進行し、タック・ドレープ性が著しく低下しており、金型へ積層することが困難な状況。
【0107】
(2−3) 成形ボイド
(2−1)で得られたプリプレグを温度26.7℃、湿度65%に10日間保存した後に、プリプレグを150mm×150mmにカットし、積層構成[0]
10
で積層し、積層体をコンパクション処理(真空パックで積層体を保管)を施し、温度23℃の環境下で保管した。
積層32日後に通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。試験片を切り出し、断面研磨を行い、ボイドの有無を顕微鏡により観察を行った。
○:ボイド無
×:ボイド有
【0108】
(2−4) タック性
プリプレグのタック性は、タッキング試験装置 TAC−II(RHESCA CO., LTD.)を用いて以下の方法により測定した。試験方法として、27℃に保持された試験ステージに(2−1)で得られたプリプレグをセットし、27℃に保持されたφ5のタックプローブで初期荷重100gfの荷重をかけて、10mm/secの試験速度で引き抜いた際の最大の荷重を求めた。
製造直後のプリプレグと、温度26.7℃、湿度65%に10日間保存したプリプレグに、それぞれタックプローブ試験を実施した。評価結果は以下の基準(○〜×)で表した。
○:製造直後の荷重が200gf以上で、10日間保存後のタック保持率が50%以上100%未満
×:製造直後の荷重が200gf以上で、10日間保存後のタック保持率が50%未満
【0109】
(2−5) ドレープ性
プリプレグのドレープ性は、ASTM D1388に準拠して、以下の試験により評価した。(2−1)で得られたプリプレグを0°繊維方向に対し90°方向にカットし、傾斜角度 41.5°の傾斜に対するドレープ性(flexural rigidity, mg*cm)を評価した。この評価は、プリプレグの製造直後と、温度26.7℃、湿度65%で所定の期間保存した後とに、それぞれ実施した。評価結果は以下の基準(○〜×)で表した。
○:20日間経過時のドレープ性は製造直後と変わらない。
×:20日間経過時のドレープ性が製造直後と比較して50%以上低下
【0110】
(3) CFRP物性
(3−1) OHC
(2−1)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]
3S
の積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅38.1mm × 長さ304.8mmの寸法に切断し、試験片中心に直径6.35mmの穴あけ加工を施し、有孔圧縮強度(OHC)試験の試験片を得た。
試験片と試験は、SACMA SRM3に則って測定し、最大点荷重から有孔圧縮強度を算出した。
【0111】
(3−2)面内せん断強度(IPSS)および面内せん断弾性率(IPSM)
(2−1)で得られたプリプレグを一辺が300mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/−45]
2S
の積層体を得た。
測定試料は、通常の真空オートクレーブ成形法を用いて、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅25mm × 長さ230mmの寸法に切断し、SACMA SRM7に則って測定し、最大点荷重からIPS強度、弾性率を算出した。
【0112】
(3−3) 衝撃後圧縮強度(CAI)
(2−1)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカット、積層し、積層構成[+45/0/−45/90]
3S
の積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物を幅101.6mm × 長さ152.4mmの寸法に切断し、衝撃後圧縮強度(CAI)試験の試験片を得た。供試体(サンプル)は各試験片の寸法測定後、衝撃試験は落錘型衝撃試験機(インストロン社製 Dynatup)を用いて、30.5Jの衝撃エネルギーを与えた。衝撃後、供試体の損傷面積は、超音波探傷試験機(クラウトクレーマー社製 SDS3600、HIS3/HF)にて測定した。衝撃後、供試体の強度試験は、供試体の上から25.4mmでサイドから25.4mmの位置に、歪みゲージを左右各1本ずつ貼付し、同様に表裏に合計4本/体の歪みゲージを貼付けた後、試験機(島津製作所製オートグラフ)のクロスヘッド速度を1.27mm/minとし、供試体の破断まで荷重を負荷した。
【0113】
(3−4) 層間破壊靭性モードI(GIc)
(2−1)で得られたプリプレグを一辺が360mmの正方形にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを発生させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]
20
のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(FRP)を幅12.7mm × 長さ330.2mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードI(GIc)の試験片を得た。
GIcの試験方法として、双片持ちはり層間破壊靱性試験法(DCB法)を用い、離型シートの先端から12.7mmの予亀裂(初期クラック)を発生させた後に、さらに亀裂を進展させる試験を行った。予亀裂の先端から、亀裂進展長さが127mmに到達した時点で試験を終了させた。試験片引張試験機のクロスヘッドスピードは12.7mm/分とし、n=5で測定を行った。
亀裂進展長さは顕微鏡を用いて試験片の両端面から測定し、荷重、及び亀裂開口変位を計測することにより、GIc算出した。
【0114】
(3−5) 層間破壊靭性モードII(GIIc)
(2−1)で得られたプリプレグを所定の寸法にカットした後、積層し、0°方向に10層積層した積層体を2つ作製した。初期クラックを形成させるために、離型シートを2つの積層体の間に挟み、両者を組み合わせ、積層構成[0]
20
のプリプレグ積層体を得た。通常の真空オートクレーブ成形法を用い、0.59MPaの圧力下、180℃の条件で2時間成形した。得られた成形物(繊維強化複合材料)を幅12.7mm × 長さ330.2mmの寸法に切断し、層間破壊靭性モードII(GIIc)の試験片を得た。この試験片を用いて、GIIc試験を行った。
GIIc試験方法として、3点曲げ荷重を負荷するENF試験(end notched flexure test)を行った。支点間距離は101.6mmとした。厚さ25μmのPTFEシートにより作製したシートの先端が、支点から38.1mmとなるように試験片を配置し、この試験片に2.54mm/分の速度で曲げの負荷を与えて初期クラックを形成させた。
その後、クラックの先端が、支点から25.4mmの位置になるように試験片を配置し、2.54mm/分の速度で曲げの負荷を与えて試験を行った。同様に3回の試験を実施し、それぞれの曲げ試験の荷重―ストロークから各回のGIIcを算出した後、それらの平均値を算出した。
クラックの先端は顕微鏡を用いて、試験片の両端面から測定を行った。GIIc試験の測定は、n=5の試験片で測定を行った。
【0115】
〔実施例1〜6、比較例1〜5〕
表1に記載する成分を攪拌機を用いて混合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物の各種物性を表1に示した。実施例1〜5は、100℃において130Pa・s以下の低粘度、180MPa以上の高曲げ強度、4.3GPa以上の高曲げ弾性率、190℃以上の高Tgを示した。
【0116】
上記で得られた各エポキシ樹脂組成物とIMS65 E23 830texを用いてプリプレグを作製した。得られたプリプレグの各種取扱い性を表1に示した。実施例1〜6は、保存安定性、成形ボイド、タック性、ドレープ性のいずれの評価においても良好な結果を示した。
【0117】
得られたプリプレグを用いて作製したCFRPの各種物性を表1に示した。実施例1〜6は、320MPa以上の高OHC、120MPa以上の高IPSS、5.7GPa以上の高IPSM、310MPa以上の高CAI、4.0cm

以下の低CAI損傷面積、620J/m

以上の高GIc、2200J/m

以上の高GIIcを示した。
【0118】
【0119】
比較例1、4は、エポキシ樹脂[B]を用いずに、DGEBAを用いて粘度を低下させたが、樹脂物性およびCFRPの物性が低くなった。
比較例2は、エポキシ樹脂[B]を用いずに、TG−mAPを用いて粘度を低下させたが、プリプレグの保存安定性が低くなった。
比較例3、5は、エポキシ樹脂[A]を用いずに、TGDDMを用いたが、樹脂物性CFRPの物性が低くなった。
比較例4は、エポキシ樹脂[B]を用いずに、TG−mAPを用いて粘度を低下させたが、CFRPの物性が低くなった。
【0120】
〔実施例7〜10〕
表1に記載する成分を攪拌機を用いて混合してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物の各種物性を表1に示した。実施例7〜10は、100℃において130Pa・s以下の低粘度、180MPa以上の高曲げ強度、4.3GPa以上の高曲げ弾性率、190℃以上の高Tgを示した。
【0121】
上記で得られた各エポキシ樹脂組成物とIMS65 E22 830texを用いてプリプレグを作製した。得られたプリプレグの各種取扱い性を表1に示した。実施例7〜10は、保存安定性、成形ボイド、タック性、ドレープ性のいずれの評価においても良好な結果を示した。
【0122】
得られたプリプレグを用いて作製したCFRPの各種物性を表1に示した。実施例7〜10は、320MPa以上の高OHC、120MPa以上の高IPSS、5.7GPa以上の高IPSM、310MPa以上の高CAI、4.0cm

以下の低CAI損傷面積、660J/m

以上の高GIc、2200J/m

以上の高GIIcを示した。
【0123】

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