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公開番号2019156942
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190919
出願番号2018044150
出願日20180312
発明の名称ポリカーボネート樹脂組成物および成形品
出願人三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
代理人特許業務法人特許事務所サイクス
主分類C08L 69/00 20060101AFI20190823BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 表面硬度、透明性および耐熱性に総合的に優れたポリカーボネート樹脂組成物およびポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品の提供。
【解決手段】(1)式(1)で表される構造単位を、50モル%以上含むポリカーボネート樹脂と、(2)ガラス転移温度が160℃以上のポリカーボネート樹脂とを含み、(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の質量比が10〜90:90〜10であり(但し、合計が100質量部である)、(2)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が1,000〜18,000であるポリカーボネート樹脂組成物;R1はメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す。
式(1)
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【選択図】 なし
特許請求の範囲約 990 文字を表示【請求項1】
(1)下記式(1)で表される構造単位を、50モル%以上含むポリカーボネート樹脂と、
(2)ガラス転移温度が160℃以上のポリカーボネート樹脂とを含み、
前記(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の質量比が10〜90:90〜10であり(但し、合計が100質量部である)、(2)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が1,000〜18,000であるポリカーボネート樹脂組成物;
式(1)
式(1)中、R
1
はメチル基を表し、R
2
は水素原子またはメチル基を表し、X
1
は下記のいずれかの式を表し、

3
およびR
4
は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
【請求項2】
前記式(1)におけるR
2
がいずれも水素原子である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
前記(1)ポリカーボネート樹脂のISO 15184に従って測定した鉛筆硬度がH以上である、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
前記(2)ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が160〜220℃である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項5】
前記(2)ポリカーボネート樹脂は、下記式(2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物;
式(2)
式(2)中、R
5
〜R
8
は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基を表す;n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。

発明の詳細な説明約 25,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物および前記ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、強度や電気的特性に優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性等にも優れることから、電気電子機器の筐体類、自動車用内装部品類、または、精密成形部品類の製造用原料樹脂として広く使用され、特に、家電機器、電子機器、液晶ディスプレイ表示機器の部品等においては、その美麗な外観を活かし、商品価値の高い商品が得られる。
【0003】
例えば、特許文献1には、下記一般式(1)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が20,000〜35,000のポリカーボネート樹脂(A)および下記一般式(2)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が16,000〜28,000のポリカーボネート樹脂(B)を、(A)/(B)の質量比で80/20〜20/80の割合で含有し、ASTM D2794に従って測定した25℃におけるデュポン衝撃強度が10J以上、JIS K5600に従って測定した鉛筆硬度がF以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
(一般式(1)中、R
1
はメチル基、R
2
は水素原子またはメチル基を表し、Xは、
を表し、R
3
およびR
4
は水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。)
(一般式(2)のXは、前記一般式(1)と同義である。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2013−064045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1を検討したところ、耐熱性が求められる用途には、必ずしも適していないことが分かった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、表面硬度、透明性および耐熱性に総合的に優れたポリカーボネート樹脂組成物および前記ポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、上記一般式(1)で表されるようなポリカーボネート樹脂に、ガラス転移温度が高く、粘度平均分子量が比較的小さいポリカーボネート樹脂を配合し、それらの配合量を調整することにより、表面硬度、透明性および耐熱性に総合的に優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<6>により、上記課題は解決された。
<1>(1)下記式(1)で表される構造単位を、50モル%以上含むポリカーボネート樹脂と、(2)ガラス転移温度が160℃以上のポリカーボネート樹脂とを含み、前記(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の質量比が10〜90:90〜10であり(但し、合計が100質量部である)、(2)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が1,000〜18,000であるポリカーボネート樹脂組成物;
式(1)
式(1)中、R
1
はメチル基を表し、R
2
は水素原子またはメチル基を表し、X
1
は下記のいずれかの式を表し、

3
およびR
4
は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
<2>前記式(1)におけるR
2
がいずれも水素原子である、<1>に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<3>前記(1)ポリカーボネート樹脂のISO 15184に従って測定した鉛筆硬度がH以上である、<1>または<2>に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<4>前記(2)ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が160〜220℃である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
<5>前記(2)ポリカーボネート樹脂は、下記式(2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物;
式(2)
式(2)中、R
5
〜R
8
は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基を表す;n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
<6><1>〜<5>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、表面硬度、透明性および耐熱性に総合的に優れたポリカーボネート樹脂組成物および前記ポリカーボネート樹脂組成物から成形される成形品を提供可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0009】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(1)下記式(1)で表される構造単位を、50モル%以上含むポリカーボネート樹脂と、(2)ガラス転移温度が160℃以上のポリカーボネート樹脂とを含み、前記(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の質量比が10〜90:90〜10であり(但し、合計が100質量部である)、(2)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が1,000〜18,000であることを特徴とする。
式(1)
式(1)中、R
1
はメチル基を表し、R
2
は水素原子またはメチル基を表し、X
1
は下記のいずれかの式を表し、

3
およびR
4
は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
【0010】
上記構成とすることにより、表面硬度が高く、透明性が相対的に低く、耐熱性が高いポリカーボネート樹脂組成物および成形品が得られる、特に、(2)ポリカーボネート樹脂として、粘度平均分子量の小さいものを用いることにより、(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の2成分のブレンドでも、透明性を低くできた点に高い技術的意義がある。
【0011】
<(1)式(1)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(1)式(1)で表される構造単位を、50モル%以上含むポリカーボネート樹脂を含む。
式(1)
式(1)中、R
1
はメチル基を表し、R
2
は水素原子またはメチル基を表し、X
1
は下記のいずれかの式を表し、

3
およびR
4
は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
【0012】
式(1)中の2つのR
2
は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、好ましくは同一である。R
2
はいずれも水素原子であることが好ましい。
【0013】
Zは、上記式(1)中の2個のフェニル基と結合する炭素Cと結合して、炭素数6〜12の二価の脂環式炭化水素基を形成するが、二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シキロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基、シクロドデシリデン基等のシクロアルキリデン基が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シキロヘキシリデン基のメチル置換体(好ましくは3,3,5−トリメチル置換体)、シクロドデシリデン基が好ましい。
【0014】
式(1)中、X
1
は下記構造が好ましい。

3
およびR
4
は、少なくとも一方がメチル基であることが好ましく、両方がメチル基であることがより好ましい。
【0015】
上記(1)ポリカーボネート樹脂としての好ましい具体例としては、以下のi)〜iv)のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
i)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから構成される構造単位を有するもの、すなわち、R
1
がメチル基、R
2
が水素原子、X
1
が−C(CH
3

2
−である構造単位を有するもの、
ii)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから構成される構造単位、すなわち、R
1
がメチル基、R
2
がメチル基、X
1
が−C(CH
3

2
−である構造単位を有するもの、
iii)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンから構成される構造単位、すなわち、R
1
がメチル基、R
2
が水素原子、X
1
がシクロヘキシリデン基である構造単位を有するもの、
iv)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンから構成される構造単位、すなわち、R
1
がメチル基、R
2
が水素原子、X
1
がシクロドデシリデン基である構造単位を有するもの。
これらの中で、上記i)、ii)およびiii)が好ましく、上記i)およびiii)がより好ましく、上記i)がさらに好ましい。
【0016】
本発明では、(1)ポリカーボネート樹脂を構成する構造単位を50モル%以上含有する。好ましくは50モル%を超えて、より好ましくは60モル%以上が、さらに好ましくは70モル%以上が、一層好ましくは80モル%以上が、より一層好ましくは90モル%以上が、さらに一層好ましくは95モル%以上が、式(1)で表される構造単位である。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0017】
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、例えば以下のような芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができる;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキジフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3

5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、4,4'−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4'−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−6−メチル−3−tert−ブチルフェニル)ブタン。
【0018】
上記(1)ポリカーボネート樹脂における、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位の共重合量は、50モル%以下であり、好ましくは50モル%未満、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、一層好ましくは20モル%以下、より一層好ましくは10モル%以下、さらに一層好ましくは5モル%以下である。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0019】
上記(1)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、下限値が15,000以上であることが好ましく、17,000以上であることがより好ましく、18,000超であることがさらに好ましく、19,000以上であることがさらに好ましく、20,000以上であることが一層好ましい。また、Mvの上限値は、35,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましく、28,000以下であることがさらに好ましい。
粘度平均分子量を上記下限値以上とすることにより、耐熱性と成形性が向上し、かつ、機械的強度の大きい成形品が得られる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の流動性が向上し、薄肉の成形品なども効率的に製造することができる。さらに、上記粘度平均分子量(Mv)の範囲とすることにより、高透明性と高硬度のバランスに優れた成形品を得ることが可能になる。
粘度平均分子量(Mv)は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、Mvについて同じ)。
粘度平均分子量は、2種以上のポリカーボネート樹脂をブレンドして、上記範囲となるように調整してもよい。
【0020】
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、ISO 15184に従って測定した鉛筆硬度がH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、2H〜3Hであることがさらに好ましく、2Hであることが一層好ましい。鉛筆硬度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、鉛筆硬度について同じ)。
【0021】
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、118℃以上であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、140℃以下であり、さらには、13℃以下である。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、ガラス転移温度について同じ)。
【0022】
上記(1)ポリカーボネート樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法およびプレポリマーの固相エステル交換法を挙げることができる。これらの中でも、界面重合法および溶融エステル交換法が好ましい。
【0023】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂を組成物の10〜90質量%の範囲で含むことが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0024】
<(2)ガラス転移温度が160℃以上のポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、(2)ガラス転移温度が160℃以上のポリカーボネート樹脂であって、粘度平均分子量(Mv)が1000〜18,000であるポリカーボネート樹脂を含む。このような樹脂を含むことにより、耐熱性を向上させることができる。さらには、Mvが相対的に小さいポリカーボネート樹脂を用いることにより、上記(1)ポリカーボネート樹脂との相溶性を向上させ、得られる成形品のヘイズを相対的に低くできる。
【0025】
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、下記式(2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
式(2)
式(2)中、R
5
〜R
8
は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基を表す。
n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
【0026】

5
〜R
8
が炭素原子を有する場合は、これらの炭素原子は、さらに、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれる置換基を有していてもよい。

5
およびR
7
は、それぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜9のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが一層好ましい。また、置換基を有していない方が好ましい。

6
は、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜9のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であることがさらに好ましく、メチル基またはフェニル基であることが一層好ましく、メチル基であることがより一層好ましい。また、置換基を有している場合、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。しかしながら、置換基を有さない方が好ましい。

8
は、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜9のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが一層好ましい。また、置換基を有していない方が好ましい。
n1およびn2は、それぞれ独立に、0〜2が好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
n3は、0〜2が好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、式(2)で表される構造単位を50モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは50モル%を超えて、さらに好ましくは60モル%以上が、一層好ましくは70モル%以上が、より一層好ましくは80モル%以上が、さらに一層好ましくは90モル%以上が、特に一層好ましくは95モル%以上が、式(2)で表される構造単位である。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、式(2)で表される構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0027】
式(2)は、下記式(2−1)で表されることが好ましい。
式(2−1)
上記式(2−1)におけるR
5
〜R
8
ならびにn1、n2およびn3は、それぞれ独立に、式(2)におけるR
5
〜R
8
ならびにn1、n2およびn3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0028】
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、前記式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、上述した(1)ポリカーボネート樹脂のところで述べた、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位が例示される(但し、式(2)で表される構造単位に該当するものを除く。)。
【0029】
上記(2)ポリカーボネート樹脂における、式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位の共重合量は、好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは50モル%未満、さらに好ましくは40モル%以下、一層好ましくは30モル%以下、より一層好ましくは20モル%以下、さらに一層好ましくは10モル%以下、特に一層好ましくは5モル%以下である。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0030】
上記(2)ポリカーボネート樹脂としては、また、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキジフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4'−ジヒドロキシビフェニルおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−5−トリメチルシクロヘキサンから選択される化合物から構成される構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましく、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ジフェニルメタン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−ジフェニルメタンから選択される化合物から構成される構造単位を含むポリカーボネート樹脂であることがより好ましく、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンから構成される構造単位を含むポリカーボネート樹脂がさらに好ましい。
【0031】
上記(2)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、下限値が1,000以上であり、5,000以上であることが好ましく、6,000以上であることがより好ましく、8,000以上であることがさらに好ましく、10,000以上であることが一層好ましい。また、Mvの上限値は、18,000以下であり、17,000以下であることが好ましく、16,000以下であることがより好ましく、15,000以下であることがさらに好ましく、14,000以下であることが一層好ましく、13,000以下であることがより一層好ましい。
粘度平均分子量を上記下限値以上とすることにより、耐熱性と成形性が向上し、かつ、機械的強度の大きい成形品が得られる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の流動性が向上し、薄肉の成形品なども効率的に製造することができる。さらに、上記粘度平均分子量(Mv)の範囲とすることにより、高透明性と高硬度のバランスに優れた成形品を得ることが可能になる。
粘度平均分子量は、2種以上のポリカーボネート樹脂をブレンドして、上記範囲となるように調整してもよい。
【0032】
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、ISO 15184に従って測定した鉛筆硬度が、例えば、B〜Fであり、さらには、HB以上であってもよい。
【0033】
(2)ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、160℃以上であり、165℃以上であることがより好ましく、168℃以上であることがさらに好ましく、さらには、170℃以上、173℃以上、175℃以上、180℃以上、185℃以上であってもよい。前記ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、220℃以下であり、さらには、210℃以下である。
【0034】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(2)ポリカーボネート樹脂を組成物の10〜90質量%の範囲で含むことが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(2)ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0035】
<(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂のブレンド比>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の質量比が10〜90:90〜10であり、13〜85:87〜15であることが好ましく、15〜85:85〜15であることがさらに好ましく、20〜80:80〜20であることが一層好ましく、25〜75:75〜25であることがより一層好ましい。但し、上記(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の合計が100質量部である。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂の合計量が60質量%以上を占めることが好ましく、65質量%以上を占めることがより好ましく、さらには70質量%以上、特には90質量%以上を占めてもよい。
【0036】
<他のポリカーボネート樹脂>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂および(2)ポリカーボネート樹脂以外の他のポリカーボネート樹脂を含んでいてもよい。
他のポリカーボネート樹脂の例としては、式(3)で表される構造単位を、50モル%を超えて含むポリカーボネート樹脂(以下、「(3)ポリカーボネート樹脂」と呼ぶことがある)があげられる。
式(3)
式(3)中、X
2
は下記のいずれかの式を表し、

3
およびR
4
は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
上記X
2
は、上記式(1)で説明したX
1
と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0037】
上記式(3)で表される構造単位の好ましい具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、即ち、ビスフェノール−Aから構成される構造単位(カーボネート構造単位)である。
本発明では、(3)ポリカーボネート樹脂は、上記式(3)で表される構造単位を、50モル%を超えて含む。好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上が、さらに好ましくは70モル%以上が、一層好ましくは80モル%以上が、より一層好ましくは90モル%以上が、さらに一層好ましくは95モル%以上が、式(3)で表される構造単位である。
上記(3)ポリカーボネート樹脂は、式(3)で表される構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0038】
上記(3)ポリカーボネート樹脂は、前記式(3)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、上述した(1)ポリカーボネート樹脂のところで述べた、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位が例示される(但し、式(3)で表される構造単位に該当するものを除く。)。
【0039】
上記(3)ポリカーボネート樹脂における、式(3)で表される構造単位以外の他の構造単位の共重合量は、50モル%未満であり、好ましくは45モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、一層好ましくは20モル%以下、より一層好ましくは10モル%以下、さらに一層好ましくは5モル%以下である。
上記(3)ポリカーボネート樹脂は、式(3)で表される構造単位以外の他の構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0040】
上記(3)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、下限値が9,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、12,000以上であることがさらに好ましく、特に好ましくは15,000以上、一層好ましくは20,000以上であってもよい。また、Mvの上限値は、30,000以下であることが好ましく、28,000以下であることがより好ましく、26,000以下であることがさらに好ましい。
粘度平均分子量を上記下限値以上とすることにより、成形性がより向上し、かつ、機械的強度のより高い成形品が得られる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の流動性がより向上し、薄肉の成形品などもより効率的に製造することができる。
粘度平均分子量は、2種以上のポリカーボネート樹脂をブレンドして、上記範囲となるように調整してもよい。
【0041】
上記(3)ポリカーボネート樹脂は、ISO 15184に従って測定した鉛筆硬度が3B〜Bであることが例示され、さらには、2Bであることが例示される。
【0042】
上記(3)ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、125℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることがさらに好ましく、135℃以上であることが一層好ましく、140℃以上であることがより一層好ましい。前記ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、通常160℃未満であり、さらには155℃以下であり、特には150℃以下である。
【0043】
上記(3)ポリカーボネート樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法およびプレポリマーの固相エステル交換法を挙げることができる。これらの中でも、界面重合法および溶融エステル交換法が好ましく、界面重合法がより好ましい。
【0044】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が、上記(3)ポリカーボネート樹脂を含む場合、その含有量は、1質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。また、前記含有量の上限は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、さらには、30質量%以下、10質量%以下であってもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記(3)ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0045】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の好ましい一実施形態として、樹脂成分の90質量%以上(好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上)がポリカーボネート樹脂である形態が挙げられる。
【0046】
<その他の成分>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記以外の他成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、上記したポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂(例えば、アクリル樹脂等)、各種樹脂添加剤などが挙げられる。
樹脂添加剤としては、例えば、離型剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染顔料、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
【0047】
<<アクリル樹脂>>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、他の熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含んでいてもよい。アクリル樹脂は、好ましくは、下記式(X)で表される構造単位を有するアクリル樹脂である。
式(X)
式(X)中、R
6
、R
7
およびR
8
は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、R
9
は置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい炭素数6〜17の芳香族炭化水素基で置換された炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を表す。
【0048】
本発明で用いられるアクリル樹脂は、上述の他、WO2014/038500号公報、WO2013/094898号公報、特開2006−199774号公報、特開2010−116501号公報に記載のものを採用することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
アクリル樹脂を配合する場合、配合量は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0049】
<<離型剤>>
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0050】
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
【0051】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
【0052】
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0053】
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸および/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸およびアルコールは、それぞれ、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
【0054】
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル(ステアリン酸ステアレート)、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
【0055】
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
【0056】
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
【0057】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂成分および必要に応じて配合されるその他の樹脂成分の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。離型剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることにより、離型性の効果が効果的に発揮され、前記範囲の上限値以下とすることにより、耐加水分解性の低下および射出成形時の金型汚染などをより効果的に抑制することができる。離型剤の含有量によらず、透明性の優れた成形品を得られるが、前記範囲の上限値を超えることにより、硬度と耐熱性が低下する傾向がある。
離型剤は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0058】
<<安定剤>>
安定剤としては、熱安定剤や酸化防止剤が挙げられる。
熱安定剤としては、リン系安定剤が挙げられる。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
【0059】
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
【0060】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系安定剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0061】
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなヒンダードフェノール系安定剤としては、具体的には、例えば、BASF社製「Irganox1010」、「Irganox1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
【0062】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物における安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂成分および必要に応じて配合されるその他の樹脂成分の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。安定剤の含有量を前記範囲とすることにより、安定剤の添加効果がより効果的に発揮さる。
【0063】
<<紫外線吸収剤>>
紫外線吸収剤としては、特開2016−216534号公報の段落0059〜0062の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0064】
<<帯電防止剤>>
帯電防止剤としては、特開2016−216534号公報の段落0063〜0067の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0065】
<<難燃剤>>
難燃剤としては、特開2016−216534号公報の段落0068〜0075の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0066】
<ポリカーボネート樹脂組成物の特性>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、低いヘイズを達成できる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を2mm厚さに成形した成形品のヘイズを85%以下とすることができ、さらには、30%以下、10%以下、5.0%以下、3.0%以下、2.0%以下、1.0%以下とすることもできる。ヘイズの下限値としては、0%が理想であるが、0.1%以上、さらには0.3%以上でも実用レベルである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、高い硬度を達成できる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物のISO 15184に従って測定した鉛筆硬度をHB以上とすることができ、さらには、F以上、H以上、2H以上とすることもできる。鉛筆硬度の上限値については、特に定めるものではないが、例えば3H以下、さらには2H以下でも、実用上、意義のあるレベルである。尚、鉛筆硬度は、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの順に硬くなる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた耐熱性を達成できる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の、ISO 75−2に従って測定した荷重たわみ温度を103℃以上とすることができ、さらには、105℃以上、108℃以上、110℃以上、113℃以上、115℃以上、120℃以上とすることもできる。荷重たわみ温度の上限値については、特に定めるものではないが、例えば、140℃以下、さらには135℃以下でも、実用レベルである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記ヘイズ、鉛筆硬度および荷重たわみ温度のすべてを満たすことが好ましい。
【0067】
<ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、上記(1)ポリカーボネート樹脂および(2)ポリカーボネート樹脂、および、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常240〜320℃の範囲である。
【0068】
<成形品>
上記したポリカーボネート樹脂組成物(例えば、ペレット)は、各種の成形法で成形して成形品とされる。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム状、ロッド状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状、ボタン状のもの等が挙げられる。
【0069】
成形品を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ−ティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
中でも、成形は射出成形法により行われることが好ましく、例えば、射出成形機、超高速射出成形機、射出圧縮成形機等の公知の射出成形機を用いて射出成形される。射出成形時における射出成形機のシリンダー設定温度は、好ましくは240〜340℃であり、より好ましくは、260〜320℃である。また、射出成形時の射出速度は、好ましくは10〜1,000mm/秒であり、より好ましくは10〜500mm/秒である。
【0070】
本発明の成形品は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる。本発明の成形品は、電気電子機器、OA機器、携帯情報末端、機械部品、家電製品、車輌部品、各種容器、照明機器等の部品等に好適に用いられる。これらの中でも、特に、電気電子機器、OA機器、情報端末機器および家電製品の筐体、照明機器および車輌部品(特に、車輌内装部品)、スマートフォンやタッチパネル等の表層フィルムに好適に用いられる。
【実施例】
【0071】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0072】
1.原材料
<製造例1:ポリカーボネート樹脂(1)の製造>
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「BPC」と記す。)26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)を、撹拌機および溜出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(Cs
2
CO
3
)を、BPC1モルに対し1.5×10
-6
モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを溜出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を284℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに60分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の撹拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は289℃、撹拌動力は0.75kWであった。
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してポリカーボネート樹脂(1)のペレットを得た。
【0073】
【0074】
上記原材料であるポリカーボネート樹脂について、以下の測定を行った。
【0075】
<粘度平均分子量(Mv)の測定>
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度(η)(単位:dL/g)を求め、以下のSchnellの粘度式から算出した。
η=1.23×10
-4
Mv
0.83
【0076】
<鉛筆硬度の測定>
ポリカーボネート樹脂ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、(1)ポリカーボネート樹脂と(3)ポリカーボネート樹脂は、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃にて、(2)ポリカーボネート樹脂は、シリンダー設定温度340℃、金型温度80℃にて、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/秒の条件下にて、平板状試験片(90mm×50mm×2mm厚)を作製した。この平板状試験片について、ISO 15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機(株)製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
【0077】
<ガラス転移温度の測定>
ガラス転移温度はJIS K7122に準拠して、下記のDSCの測定条件のとおりに、昇温、昇降を2サイクル行って測定した。測定装置は、示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製、「DSC−60」)を使用した。
測定開始温度:25℃
昇温速度:10℃/分
到達温度:300℃
降温速度:5℃/分
【0078】
2.実施例1〜8、比較例1〜3
<ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの製造>
上記表1に記載した各成分を、下記の表2に示す割合(全て質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)を用いて、シリンダー設定温度300℃、スクリュー回転数180rpm、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
【0079】
<HAZE(ヘイズ)の測定>
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度300℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/秒の条件下にて、90mm×50mm×2mm厚の平板状試験片を射出成形した。得られた平板状試験片について、日本電色工業(株)製のNDH−2000型ヘイズメーターでヘイズ(単位:%)を測定した。
【0080】
<鉛筆硬度の測定>
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度300℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/秒の条件下にて、90mm×50mm×2mm厚の平板状試験片を射出成形した。得られた平板状試験片について、上記原材料のポリカーボネート樹脂の鉛筆硬度の測定と同様の方法で測定した。
【0081】
<耐熱性(荷重たわみ温度、DTUL)の測定>
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを100℃、5時間乾燥後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度300℃、金型温度80℃、射出時間2秒、成形サイクル40秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。ISO75−1およびISO75−2に準拠して荷重1.80MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。単位は、℃で示した。
【0082】
<総合評価>
ヘイズ、鉛筆硬度および耐熱性(DTUL)の結果に基づき、以下の基準に従って総合的に評価した。
A:以下のそれぞれの基準内の要件を3つ全て満たす。
B:以下のそれぞれの基準内の要件を2つ満たす。
基準a:鉛筆硬度が2H以上、DTULが105℃以上、ヘイズが5.0%以下
基準b:鉛筆硬度がH、DTULが113℃以上、ヘイズが5.0%以下
基準c:鉛筆硬度がF、DTULが118℃以上、ヘイズが5.0%以下
C:鉛筆硬度がHB以下もしくは、DTULが105℃未満であり、または、ヘイズが85%を超えるもの
【0083】
【0084】
上記表2から明らかなとおり、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた透明性を有し、鉛筆硬度が高く、耐熱性に優れたものであった(実施例1〜8)。
(2)ポリカーボネート樹脂を含まない場合、耐熱性が劣ってしまった(比較例1)。また、耐熱性の高いポリカーボネート樹脂を含んでいても、粘度平均分子量(Mv)が18,000を超える場合(比較例2)、ヘイズが高くなってしまった。さらに、(1)ポリカーボネート樹脂を含まない場合(比較例3)、鉛筆硬度が低くなってしまった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、表面硬度、透明性および耐熱性に総合的に優れた材料であるので、電気電子機器、OA機器、携帯情報末端、機械部品、家電製品、車輌部品、各種容器、照明機器等の部品等に好適に用いられる。これらの中でも、特に、電気電子機器、OA機器、情報端末機器および家電製品の筐体、照明機器および車輌部品(特に、車輌内装部品)、スマートフォンやタッチパネル等の表層フィルムに好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

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