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公開番号2019154406
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190919
出願番号2018049603
出願日20180316
発明の名称発酵麦芽飲料及びその製造方法
出願人アサヒビール株式会社
代理人個人,個人全 9 件を表示,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12C 5/02 20060101AFI20190823BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】桜を想起させる香味を有する発酵麦芽飲料を提供すること。
【解決手段】発酵麦芽飲料は、2ppm以上の酢酸イソアミルと、100ppb以上のクマリンとを含有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲約 390 文字を表示【請求項1】
2ppm以上の酢酸イソアミルと、100ppb以上のクマリンとを含有する、発酵麦芽飲料。
【請求項2】
上面発酵により得られた飲料である、請求項1に記載の発酵麦芽飲料。
【請求項3】
小麦麦芽由来成分を含む飲料である、請求項1又は2に記載の発酵麦芽飲料。
【請求項4】
酢酸イソアミル濃度が2ppm以上になるように、麦芽を含む植物原料の水溶液を調製し、発酵させる工程と、
前記水溶液中のクマリン濃度を、100ppb以上になるように調整する工程と、
を備える、
発酵麦芽飲料の製造方法。
【請求項5】
前記発酵させる工程が、上面発酵を行う工程を含んでいる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記麦芽が、小麦麦芽を含む、請求項4又は5に記載の製造方法。

発明の詳細な説明約 6,300 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵麦芽飲料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビールなどの発酵麦芽飲料が知られている。発酵麦芽飲料としては、消費者の多様な嗜好性に応じて、様々な香味を有する飲料が市販されている。
【0003】
発酵麦芽飲料の香味を設計する技術に関連して、例えば、特許文献1(特開2017−205035号公報)には、渋味が抑制されているとともに、酸味がまろやかなビールテイスト飲料を得ることを課題とした発明が記載されている。特許文献1に記載されたビールテイスト飲料は、総ポリフェノールが200ppm以下であり、酢酸イソアミルの含有量が3〜8ppmである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017−205035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者らは、春になると桜を想起させる飲食品の需要があることに着目し、発酵麦芽飲料に桜の香味を付与しようと試みている。しかしながら、桜を想起させる香味を発酵麦芽飲料に付与することは、容易ではなかった。
そこで、本発明の課題は、桜を想起させる香味を有する発酵麦芽飲料及びその製造方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の事項を含んでいる。
[1]2ppm以上の酢酸イソアミルと、100ppb以上のクマリンとを含有する、発酵麦芽飲料。
[2]上面発酵により得られた飲料である、[1]に記載の発酵麦芽飲料。
[3]小麦麦芽由来成分を含む飲料である、[1]又は[2]に記載の発酵麦芽飲料。
[4]酢酸イソアミル濃度が2ppm以上になるように、麦芽を含む植物原料の水溶液を調製し、発酵させる工程と、前記水溶液中のクマリン濃度を、100ppb以上になるように調整する工程と、を備える、発酵麦芽飲料の製造方法。
[5]前記発酵させる工程が、上面発酵を行う工程を含んでいる、[4]に記載の製造方法。
[6]前記麦芽が、小麦麦芽を含む、[4]又は[5]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、桜を想起させる香味を有する発酵麦芽飲料及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
桜感の官能評価結果を示す。
果実感の官能評価結果を示す。
シナモン感の官能評価結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施態様について説明する。
本実施態様に係る発酵麦芽飲料は、2ppm以上の酢酸イソアミルと、100ppb以上のクマリンとを含有する。
クマリンは、桜の花や葉などに含まれる香気成分である。しかしながら、単に発酵麦芽飲料にクマリンを含有させるだけでは、シナモン様の香気が強調され、桜を想起させる香味を付与することができない。一方、酢酸イソアミルは、バナナ様の果実感を与える香気成分として知られている。ここで、特定濃度のクマリンを特定濃度の酢酸イソアミルと組み合わせることにより、単にクマリンを含有させるだけでは得られない、桜を想起させる香味が付与される。
【0010】
以下、本実施態様に係る発酵麦芽飲料について詳述する。
【0011】
(発酵麦芽飲料)
本発明において、「発酵麦芽飲料」とは、麦芽を含む植物原料から得られた飲料であって、発酵工程を経て得られた飲料をいう。
【0012】
麦芽としては、大麦麦芽、及び小麦麦芽などを挙げることができる。好ましくは、麦芽は、小麦麦芽を含む。より好ましくは、麦芽の20質量%以上が、小麦麦芽である。小麦麦芽を用いた飲料では、クマリン濃度を所定量に調整することにより、桜感を付与しやすくなる。
【0013】
原料である植物原料には、麦芽以外の成分が含まれていてもよい。麦芽以外の成分としては、例えば、麦芽以外の麦類;米、トウモロコシ、大豆等の豆類;及びイモ類などが挙げられる。より好ましくは、麦芽以外の原料として、大麦、及びコーンスターチ等のトウモロコシが挙げられる。
【0014】
発酵麦芽飲料の麦芽使用比率は、好ましくは25%以上、より好ましくは50%以上、更に好ましくは67%以上、最も好ましくは80%以上である。尚、麦芽使用比率とは、水を除く全原料に対する麦芽の割合(質量%)である。
【0015】
発酵麦芽飲料は、アルコール(エタノール)度数が1容量%以上であるアルコール飲料であってもよく、アルコール度数が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。好ましくは、発酵麦芽飲料はアルコール飲料である。アルコール度数は、より好ましくは3〜10容量%、更に好ましくは4〜6容量%である。
【0016】
発酵麦芽飲料は、上面発酵及び下面発酵のいずれの発酵工程を経て得られた飲料であってもよいが、好ましくは、上面発酵により得られた飲料である。上面発酵により得られた飲料を用いれば、クマリン濃度を所定量に調整することにより、桜感を付与しやすくなる。
【0017】
発酵麦芽飲料は、好ましくは、原料としてホップ(ホップ抽出物であってもよい)を含む。
【0018】
発酵麦芽飲料の原麦汁エキスは、特に限定されるものではないが、通常のビールと当程度の値とすることができる。原麦汁エキスは、例えば5〜20質量%、好ましくは8〜15質量%、より好ましくは10〜12質量%である。原麦汁エキスは、国際法として公定されているSCABA(Servo Chem Automatic Beer Analyzer)法にしたがって、アルコール濃度とエキス濃度から測定することができる。
【0019】
(酢酸イソアミル)
本実施態様に係る発酵麦芽飲料は、上述のように、酢酸イソアミルを2ppm以上含む。酢酸イソアミルの含有量は、好ましくは2.5ppm以上15ppm以下、より好ましくは3ppm以上10ppm以下、更に好ましくは4ppm以上7ppm以下である。
酢酸イソアミルは、原料である植物原料由来のものであってもよいし、植物原料とは別に添加されたものであってもよいし、発酵により生成されたものであってもよい。
【0020】
酢酸イソアミルの濃度は、例えば、原料の組成、及び発酵条件などをコントロールすることにより、制御することができる。
発酵麦芽飲料中の酢酸イソアミルの濃度は、例えば、ビール分析の国際基準とされているEBC(European Brewery Convention)のAnalytica−EBC標準法に準じて、GCを用いて測定することができる。
【0021】
(クマリン)
本実施態様に係る発酵麦芽飲料は、上述のように、クマリンを100ppb以上含有する。クマリンの含有量は、好ましくは200ppb以上1400ppb以下、より好ましくは340ppb以上700ppb以下である。
クマリンの含有量は、例えば、合成されたクマリンを含む添加剤、又は、クマリンを含む天然物の抽出物を添加剤として添加することにより、調整することができる。このましくは、クマリンを含む天然物の抽出物を添加することにより、クマリンの含有量が調整される。クマリンを含む天然物の抽出物としては、例えば、桜葉の抽出物等が好ましく挙げられる。
【0022】
発酵麦芽飲料中のクマリン含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー質量法により分析することができる。ジクロロメタン液々抽出を用いたガスクロマトグラフィー質量分析により測定することができる。具体的には、まず、容器にサンプルを採取し、硫酸アンモニウムを加え、次にジクロロメタンを加えて内部標準物質を添加した後、振とう抽出する。この際に、容器内にガスがある場合にはガス抜きを行うことが好ましい。その後、遠心分離処理を行い、溶媒層を回収する。回収した溶媒層に無水硫酸なトリムを加えて脱水する。その後、窒素パージにて溶媒層を濃縮した後に、ガスクロマトグラフィー質量分析する。
【0023】
(その他の添加剤)
本発明に係る発酵麦芽飲料には、必要に応じて、食物繊維、pH調整剤、苦味料、酸味料、甘味料、香料等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量については、これらの添加剤について、慣用されている量を採用すればよい。
【0024】
(発酵麦芽飲料の製造方法)
続いて、本実施態様に係る発酵麦芽飲料の製造方法の一例について説明する。
【0025】
まず、麦芽(好ましくは小麦麦芽)の粉砕物を原料として用意する。必要に応じて、副原料として、米やコーンスターチ等のデンプン質材料を、原料に混合する。次いで、原料に温水を加え、加温する。これにより、主に麦芽の酵素により、原料が糖化し、糖化液が麦汁として得られる。酵素としては、例えば、グルコアミラーゼ等が挙げられる。
【0026】
続いて、得られた麦汁を濾過する。必要に応じて、濾過後、麦汁にホップを添加する。ホップの添加後、煮沸釜において麦汁を煮沸する。尚、ホップの添加タイミングは、必ずしも煮沸前である必要はなく、例えば、麦汁の煮沸中、または煮沸後であってもよい。
【0027】
煮沸後、麦汁を沈殿槽(ワールプール等と呼ばれる)に移送し、ホップ粕等の沈殿物を除去する。沈殿物の除去後、熱交換器(プレートクーラー)により、適切な発酵温度にまで冷却する。
【0028】
冷却後、麦汁に酵母を接種して発酵させる。好ましくは、上面発酵酵母を使用して、発酵を行う。また、発酵条件(温度及び時間など)は、酢酸アミル濃度が2ppm以上となるような条件が用いられる。
発酵後、クマリンを含む添加剤が、所定濃度(100ppb以上)となるように発酵液に添加される。更に、発酵後、必要に応じて発酵液を熟成させる。その後、発酵液を濾過し、目的の発酵麦芽飲料が得られる。
なお、クマリンを含む添加剤の添加タイミングは、必ずしも発酵後である必要はなく、任意の段階とすることができる。
【0029】
(実施例)
酢酸イソアミル濃度が異なる3種類の市販の発酵麦芽飲料A1、B1及びC1を準備した。各飲料の詳細は、以下のとおりである。
【0030】
発酵麦芽飲料A1は、麦芽原料として大麦麦芽を用いた飲料であり、下面発酵により得られた飲料であった。発酵麦芽飲料A1の麦芽使用比率は67%〜100%であり、アルコール度数は5容量%であり、原麦汁エキスは11.2質量%であり、原料としてホップを含む飲料であった。発酵麦芽飲料A1の酢酸イソアミル濃度を測定したところ、1.4ppmであった。また、発酵麦芽飲料A1のクマリン濃度を測定したところ、0ppbであった。
【0031】
発酵麦芽飲料B1は、麦芽原料として小麦麦芽を用いた飲料であり、上面発酵により得られた飲料であった。発酵麦芽飲料B1の麦芽使用比率は100%であり、アルコール度数は5容量%であり、原麦汁エキスは11.2質量%であり、原料としてホップを含む飲料であった。発酵麦芽飲料B1の酢酸イソアミル濃度を測定したところ、4.0ppmであった。また、発酵麦芽飲料A1のクマリン濃度を測定したところ、0ppbであった。
【0032】
発酵麦芽飲料C1は、麦芽原料として大麦麦芽を用いた飲料であり、上面発酵により得られた飲料であった。発酵麦芽飲料C1の麦芽使用比率は67%〜100%であり、アルコール度数は5容量%であり、原麦汁エキスは11.2質量%であり、原料としてホップを含む飲料であった。発酵麦芽飲料B1の酢酸イソアミル濃度を測定したところ、7.0ppmであった。また、発酵麦芽飲料A1のクマリン濃度を測定したところ、0ppbであった。
【0033】
発酵麦芽飲料A1に、クマリンを含む添加剤を、クマリン濃度が340ppb及び700ppbになるように添加し、発酵麦芽飲料A2及びA3を調製した。
同様に、発酵麦芽飲料B1に、クマリンを含む添加剤を添加し、それぞれクマリン濃度が340ppb及び700ppbである発酵麦芽飲料B2及びB3を調製した。
更に、発酵麦芽飲料C1に、クマリンを含む添加剤を添加し、それぞれクマリン濃度が340ppb及び700ppbである発酵麦芽飲料C2及びC3を調製した。
表1に、発酵麦芽飲料A1乃至C3における酢酸イソアミル濃度及びクマリン濃度を示す。
【0034】
(官能評価)
得られた発酵飲料A1乃至C3について、よく訓練されたパネリスト5名による官能評価を行った。評価項目は、(1)桜感(桜を想起させる香味)、(2)果実感(バナナ感)、及び(3)シナモン感とした。評価基準は、下記のとおりとした。
【0035】
(桜感)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
【0036】
(果実感)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
【0037】
(シナモン感)
5:大変強い
4:強い
3:ある程度強い
2:やや弱い
1:弱い
【0038】
図1は、桜感の官能評価結果を示す。図2は、果実感の官能評価結果を示す。図3は、シナモン感の官能評価結果を示す。
【0039】
図1乃至3に示されるように、酢酸イソアミル濃度が1.4ppmである発酵麦芽飲料A1乃至A3(大麦麦芽を原料として使用し、下面発酵により得られた飲料であるともいえる)においては、クマリンを含有させることにより、シナモン感が増強されたものの、桜感及び果実感はさほど変化しなかった。
【0040】
一方、酢酸イソアミル濃度が4.0ppmである発酵麦芽飲料B1乃至B3(小麦麦芽を原料として使用し、上面発酵により得られた飲料であるとも言える)、及び、酢酸イソアミル濃度が7.0ppmである発酵麦芽飲料C1乃至C3(大麦麦芽を原料として使用し、上面発酵により得られた飲料であるともいえる)においては、クマリンを含有させることにより、桜感が増強された。
すなわち、2ppm以上の酢酸イソアミルを含有する発酵麦芽飲料において、クマリンを100ppb以上含有させることにより、桜感を付与できることが理解される。
【0041】

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