TOP特許意匠商標
特許ウォッチ DM通知 Twitter
24個以上の画像は省略されています。
公開番号2019144389
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190829
出願番号2018027985
出願日20180220
発明の名称電子機器及び画像形成装置
出願人株式会社リコー
代理人個人
主分類G03G 21/16 20060101AFI20190802BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】稼動状態の変更に応じて稼動音を吸音することが可能となる電子機器及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】空洞部601を形成する空洞部形成部材(604及び605)に空洞部601と外部とを連通する連通部603を設けた吸音装置600を備える電子機器において、空洞部の体積を変更する体積変更手段を備え、体積変更手段は、空洞部形成部材の一部である可動部605を他の部分604に対して移動させ、空洞部601の体積を変化させる移動手段606と、移動手段606を駆動する移動手段駆動源ステッピングモータ102と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲約 1,500 文字を表示【請求項1】
空洞部を形成する空洞部形成部材に前記空洞部と外部とを連通する連通部を設けた吸音装置を備える電子機器において、
前記空洞部の体積を変更する体積変更手段を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1の電子機器において、
前記体積変更手段の駆動源は、前記体積変更手段と他の被駆動部とを駆動することを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2の電子機器において、
前記他の被駆動部は、搬送対象に搬送力を付与する搬送部材であり、
前記駆動源は、ステッピングモータであることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の電子機器において、
前記体積変更手段は、前記空洞部形成部材の一部である可動部を他の部分に対して移動させ、前記空洞部の体積を変化させる移動手段と、
前記移動手段を駆動する移動手段駆動源と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4の電子機器において、
前記移動手段駆動源から前記移動手段に駆動を伝達する駆動伝達機構が電磁クラッチを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5の電子機器において、
前記電磁クラッチを「ON」にしたときに前記移動手段への駆動を伝達することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項4乃至6の何れか一項に記載の電子機器において、
前記可動部は、前記空洞部形成部材のうち前記空洞部の内壁面の一面を形成し、他の内壁面を形成する部分に対して移動可能な移動壁部であることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7の電子機器において、
前記空洞部の内部から前記移動壁部を付勢する付勢手段を備え、
前記移動手段は、前記移動壁部の外壁面に接触し、前記移動手段駆動源からの駆動が入力することで、前記移動壁部に対する押し込み量を変更可能な押圧部材を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の電子機器において、
前記吸音装置の吸音周波数は、100[Hz]以上、1500[Hz]以下の範囲であることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
記録媒体に画像を形成する画像形成装置において、
請求項1乃至9の何れか一項に記載の電子機器の構成を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
前記画像が形成された前記記録媒体を加圧する加圧機構を有し、前記画像を定着させる定着装置を備え、
前記体積変更手段の駆動源は、前記体積変更手段と前記加圧機構とを駆動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11の画像形成装置において、
前記加圧機構は、加圧状態と脱圧状態とを加圧脱圧カムの回転によって切り替える構成であり、
前記体積変更手段は、体積変動用カムの回転によって前記空洞部の体積を変更する構成であり、
前記駆動源から駆動が伝達されることで、前記加圧脱圧カムと前記体積変動用カムとが同期して回転することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12の画像形成装置において、
前記加圧脱圧カムの回転位置を検出する検出手段を備え、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記加圧機構の前記加圧状態と前記脱圧状態とを制御することを特徴とする画像形成装置。

発明の詳細な説明約 32,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空洞部を形成する空洞部形成部材に空洞部と外部とを連通する連通部を設けた吸音装置を備える電子機器が知られている。
例えば、特許文献1には、空洞部を形成するベース部材及びカバー部材と、連通部を形成するダクト部材とを備え、ダクト部材を形状が異なる交換用ダクト部材に交換して、吸音周波数を変更する吸音装置を備えた画像形成装置(電子機器)が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の吸音装置では、ダクト部材を選択することで吸音周波数を選択できるが、選択したダクト部材を組み付けた後は吸音周波数を変更できない。
画像形成装置では、記録媒体の搬送速度を変更するために駆動モータの回転数を変更する等、稼動状態を変更することにより、モータ等の音源から生じる吸音すべき音の周波数が変化する場合がある。周波数が変化する前と後との音を特許文献1に記載の吸音装置で吸音しようとすると、周波数に応じた複数の吸音装置を設置する必要が生じる。稼動状態を変更することにより、吸音すべき音の周波数が変化することは、画像形成装置に限らず、稼動音が生じる音源と、吸音装置とを備える電子機器であれば生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、本発明は、空洞部を形成する空洞部形成部材に前記空洞部と外部とを連通する連通部を設けた吸音装置を備える電子機器において、前記空洞部の体積を変更する体積変更手段と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、電子機器の稼動状態の変更に応じて稼動音を吸音することが可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
吸音装置の可動壁への駆動伝達機構の模式図。
プリンタの概略構成図。
給紙搬送ユニットを図2の紙面裏側から見た斜視図。
ヘルムホルツ共鳴器を用いた吸音装置の模式図。
本実施形態に係る吸音装置の模式図。
本実施形態の吸音装置と、体積調整カムとの模式図。
吸音装置の可動壁への駆動伝達機構であって、出力ギヤに噛み合う入力アイドラギヤを設けた構成の模式図。
電磁クラッチを「ON」としたときの駆動伝達機構の模式図。
電磁クラッチを「OFF」としたときの駆動伝達機構の模式図。
実施例1の体積調整カムと、ステッピングモータと、吸音周波数との関係を示す説明図。
体積調整カム、電磁クラッチ及びステッピングモータのタイミングチャート。
実施例2に係る定着装置の加圧脱圧機構の概略説明図。
加圧カム駆動伝達機構の説明図。
加圧カム回転軸とともに一体的に回転する定着圧最終ギヤ、加圧ローラ移動カム及び加圧位置検知フィラーの斜視説明図。
加圧カム回転軸に体積調整カムが固定された構成の説明図。
加圧カム回転軸と隣り合う体積調整カム回転軸に体積調整カムが固定された構成の説明図。
加圧位置検知フィラー及び加圧ローラ移動カムの位置と、体積調整カムの位置と、吸音周波数との関係を示す説明図。
固定壁面形成部に設けた螺子溝と、可動壁に設けた螺子山とが移動手段として機能する吸音装置の模式図。
移動手段として、ラックアンドピニオンを備える吸音装置の模式図。
移動手段として可動シャフトを備え、移動手段駆動源としてソレノイドを備える吸音装置の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単に「プリンタ1」という。)の一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係るプリンタ1の基本的な構成について説明する。
図2は、プリンタ1の概略構成図である。プリンタ1は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー(以下、Bk,M,C,Yと記す)のトナー像を形成するための四つのプロセスユニット31(Bk,M,C,Y)を備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のBk,M,C,Yトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。
【0008】
四つのプロセスユニット31は使用するトナーの色が異なる点以外は同様であるため、使用するトナーの色を示す添え字(Bk,M,C,Y)は適宜省略して説明する。
プロセスユニット31は、潜像担持体としてのドラム状の感光体32と、感光体クリーニング装置35と、除電装置と、帯電装置33と、現像装置34とを備えている。画像形成ユニットとしてのプロセスユニット31は、プリンタ1本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0009】
図2に示すように、四つのプロセスユニット31の鉛直方向上方には、光書込ユニット2が配設されている。光書込ユニット2は、光源から発したレーザー光を、ポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光しながら、複数の光学レンズやミラーを介してそれぞれの感光体32に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0010】
四つのプロセスユニット31の鉛直方向下方には、無端状の中間転写ベルト43を張架しながら図2中の反時計回り方向に無端移動させるベルト装置としての転写ユニット4が配設されている。転写ユニット4は、中間転写ベルト43の他に、駆動ローラ41、テンションローラ42、四つの一次転写ローラ45(Bk,M,C,Y)、二次転写ローラ46及びベルトクリーニング装置44などを備えている。
【0011】
ベルト部材であり、転写ベルトである中間転写ベルト43は、そのループ内側に配設された駆動ローラ41、テンションローラ42及び四つの一次転写ローラ45(Bk,M,C,Y)によって張架されている。そして、駆動手段によって図2中の反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ41の回転力により、同方向(図2中の矢印「A」方向)に無端移動される。
【0012】
四つの一次転写ローラ45(Bk,M,C,Y)は、中間転写ベルト43を感光体32(Bk,M,C,Y)との間に挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト43のおもて面と、感光体32(Bk,M,C,Y)の表面とが当接するBk,M,C,Y用の四箇所の一次転写ニップが形成されている。一次転写ローラ45(Bk,M,C,Y)には、転写バイアス電源によってそれぞれ一次転写バイアスが印加されており、これにより、感光体32(Bk,M,C,Y)の静電潜像と、一次転写ローラ45(Bk,M,C,Y)との間に転写電界が形成される。なお、一次転写ローラ45に代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0013】
二次転写ローラ46は、中間転写ベルト43のループ外側に配設されて、ループ内側の駆動ローラ41との間に中間転写ベルト43を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト43のおもて面と、二次転写ローラ46とが当接する二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ46には、転写バイアス電源によって二次転写バイアスが印加される。この印加により、二次転写ローラ46と、アース接続されている駆動ローラ41との間には、二次転写電界が形成される。
【0014】
転写ユニット4の鉛直方向下方には、記録媒体である用紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容する給紙カセット51と、給紙カセット51内の用紙Pを給紙する給紙ローラ52とを備える給紙装置5が配置されている。給紙カセット51は、プリンタ1の筐体に対してスライド着脱可能に配設されている。給紙ローラ52は、給紙カセット51内の紙束の一番上の用紙Pに当接しており、給紙ローラ52を所定のタイミングで図2中の反時計回り方向に回転させることで、用紙Pを図2中の二点鎖線で示す用紙搬送路6に向けて送り出す。
【0015】
プリンタ1の鉛直方向の転写ユニット4と、給紙カセット51との間には、廃トナー収容部47が配置されている。
【0016】
用紙搬送路6における給紙ローラ52の搬送方向下流側、且つ、二次転写ニップの搬送方向上流側には、二つのレジストローラから構成されるレジストローラ対61が配設されている。また、用紙搬送路6における二次転写ニップの搬送方向下流側には定着装置7が排紙されており、用紙搬送路6の搬送方向下流側端部には排紙ローラ対81が配置されている。
【0017】
定着装置7は、発熱源としてハロゲンランプ等のヒータ71を内包する定着ローラ72と、定着ローラ72に所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ73とを備え、定着ローラ72と加圧ローラ73とによって定着ニップを形成している。
【0018】
画像形成時には、帯電装置33が、駆動手段によって図2中の時計回り方向に回転駆動される感光体32の表面を一様帯電する。一様帯電された感光体32の表面は、潜像形成手段である光書込ユニット2が画像情報に基づいてから発したレーザー光により光走査され、この光走査により、感光体32上に各色用の静電潜像が形成される。この静電潜像は、トナーを用いる現像装置34によってトナー像に現像される。
このようなトナー像の形成が、それぞれのプロセスユニット31で行われ、各色のトナー像がプロセスユニット31のそれぞれの感光体32上に形成される。
【0019】
感光体32の表面に形成されたトナー像は、感光体32の回転に伴って上述した一次転写ニップに進入する。一次転写ニップでは、転写電界やニップ圧の作用により、感光体32上のトナー像が中間転写ベルト43上に一次転写される。
中間転写ベルト43は、その無端移動に伴って各色用の一次転写ニップを通過する際に、感光体32(Y,M,C,Bk)上のトナー像が、順次重ね合わせて一次転写される。この重ね合わせの一次転写により、中間転写ベルト43上には四色トナー像が形成される。
【0020】
一次転写工程を経た後の感光体32表面に付着している転写残トナーは、感光体クリーニング装置35によって除去され、廃トナー収容部47に搬送される。また、上述した除電装置は、クリーニング後の感光体32の残留電荷を除電する。この除電により、感光体32の表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0021】
一方、給紙装置5では給紙ローラ52が所定のタイミングで回転して、給紙カセット51内の用紙Pをレジストローラ対61に向けて送り出す。レジストローラ対61は、給紙カセット51から送り出された用紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ用紙Pを上述の二次転写ニップ内で中間転写ベルト43上の四色トナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、用紙Pを二次転写ニップに向けて送り出す。
【0022】
二次転写ニップで用紙Pに密着した中間転写ベルト43上の四色トナー像は、二次転写電界やニップ圧の影響を受けて用紙P上に一括二次転写され、用紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された用紙Pは、二次転写ニップを通過すると、二次転写ローラ46や中間転写ベルト43から曲率分離する。そして、定着手段である定着装置7に送り込まれる。
【0023】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト43には、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト43のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置44によってベルト表面からクリーニングされ、廃トナー収容部47に搬送される。
【0024】
定着装置7内に送り込まれた用紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ72に密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化されて、フルカラー画像が定着される。
定着装置7を通過した用紙Pは、排紙ローラ対81によって機外へと排出され、プリンタ1の筐体の上面で構成する排紙トレイ82にスタックされる。
【0025】
図2中の破線は、給紙搬送系ユニットを駆動する給紙搬送ユニット101と、吸音装置600とのレイアウトの概略を示している。
給紙搬送系ユニットとは、給紙ローラ、レジストローラ、手差しローラ及び両面ローラ等の各搬送部材のユニットであり、用紙Pに搬送力を付与する搬送部材を備えたユニットのことである。図2に示す搬送部材では、給紙ローラ52とレジストローラ対61に対して駆動を伝達する。また、図2に示すように、給紙搬送ユニット101の付近に吸音装置600が配置されている。
吸音装置600を配置する数は、一つでも二以上でもよい。
【0026】
図3は、給紙搬送ユニット101を図2の紙面裏側から見た斜視図である。図3に示すように、保持基盤101aに三つのステッピングモータ102(102a、102b及び102c)が取り付けられている。第一ステッピングモータ102aはレジストローラ対61の駆動源であり、第二ステッピングモータ102bは、手差しローラ及び両面ローラの駆動源であり、第三ステッピングモータ102cは、給紙ローラ52の駆動源である。
本実施形態のプリンタ1が備える吸音装置600は、ヘルムホルツ共鳴器を用いた吸音装置である。
図4は、ヘルムホルツ共鳴器を用いた吸音装置600の模式図である。
図4に示すように、ヘルムホルツ共鳴器は、入口が狭まった容器のような形状であり、ある程度の体積を有する空洞部601と、それよりも小さい連通部603とによって構成され、連通部603に入ってくる特定の周波数の音を吸音する。
空洞部601の体積を「V」、連通部603における開口部602の開口面積を「S」、連通部603の長さを「H」、音速を「c」とし、吸音装置600での吸音周波数を「f」とすると、以下の(1)式が成り立つ。
【0027】
(Δr:開口端補正)
【0028】
(1)式における「Δr」は開口端補正であり、一般に連通部603の断面が円形のときの半径を「r」としたときに、「Δr=0.6r」を用いる。
(1)式に示すように、吸音装置600によって吸音する音の周波数「f」は、空洞部601の体積「V」、連通部603の長さ「H」及び連通部603の開口面積「S」によって求めることができる。
【0029】
本実施形態のプリンタ1が備える吸音装置600は、空洞部601の体積を変更可能な構成となっている。
図5は、本実施形態に係る吸音装置600の模式図である。本実施形態の吸音装置600は、空洞部601を形成する空洞部形成部材として、固定壁面形成部604と、固定壁面形成部604に対して移動可能な可動壁605とを備える。固定壁面形成部604に対して可動壁605を移動させることにより、固定壁面形成部604と可動壁605とによって形成される空洞部601の体積を変更することが可能となる。
【0030】
また、固定壁面形成部604に対して可動壁605を離れる方向(図5中の下方向)に付勢する付勢部材である圧縮バネ609を空洞部601内に備える。
可動壁605の外壁面(図5中の下面)を外側から一定の力をかけて押すことにより、空洞部601内の圧縮バネ609の付勢力との釣り合いによって、空洞部601の体積「V」が一定となる状態を確保することが可能となる。
【0031】
図6は、本実施形態の吸音装置600と、可動壁605に対する押し込み量を変更可能な押圧部材である体積調整カム606との模式図である。体積調整カム606は、楕円形であり、可動壁605の外壁面に接触し、回転することにより、可動壁605に対する押圧量を変更可能となっている。図6中の矢印は楕円形の体積調整カム606の長径方向を示している。図6(a)は、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向(図6中の上下方向)とが直交する状態を示しており、図6(b)は、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向(図6中の上下方向)とが平行となる状態を示している。
【0032】
図6(a)及び図6(b)に示すように、体積調整カム606の回転角度について90[°]間隔で姿勢を変化させる。
これにより、空洞部601の体積「V」の値が、図6(a)に示す状態では「V1」となり、図6(b)に示す状態では「V2」となる。
図6に示すように、体積調整カム606による可動壁605の押し込み量が図6(a)の状態よりも図6(b)に示す状態の方が大きいため、以下の(2)式の関係が成り立つ。
【0033】
【0034】
図6(a)の状態の吸音周波数を「f

」とすると、上記(1)式より、以下の(3)式が成り立つ。
【0035】
【0036】
図6(b)の状態の吸音周波数を「f

」とすると、上記(1)式より、以下の(4)式が成り立つ。
【0037】
【0038】
上記(3)式及び(4)式より、本実施形態の吸音装置600は、吸音周波数を二つの周波数で変更可能であることが分かる。
上記(2)式より、「V

≧V

」であるため、吸音周波数の「f

」と「f

」とについては以下の(5)式が成り立つ。
【0039】
【0040】
上記(5)式より、図6(a)に示す状態は稼動音が低周波数となる低回転数のときの吸音を目的としており、図6(b)に示す状態は稼動音が高周波数となる高回転数のときの吸音を目的としていることが分かる。
【0041】
画像形成装置は、オフィス内での稼動のため、静音化が求められている。そして、モータ等の駆動源およびギア等の駆動伝達部材による駆動音を、ヘルムホルツ共鳴器を用いて吸音する技術が既に知られている。
ヘルムホルツ共鳴器は、開口部を持った容器の内部にある空気がばねとしての役割を果たし、共鳴(共振)することで音を吸音している。また、容器の体積や開口部が変わることで吸音領域が変わるため、容積や開口部を調整することで、吸音領域を決定することが可能である。
しかし、今までの画像形成装置内に設置したヘルムホルツ共鳴器を用いた吸音技術では、特定の気になる音源の部品から発生する音源に対して、ある一つの回転数対象に対してのみ、対応することが可能である。
【0042】
一般的に画像形成装置は、同じ装置であっても画像形成を行う記録媒体の紙厚によって搬送速度を異ならせる等によって時間当たりの出力枚数(以下、「生産性」と呼ぶ)に違いが発生することがある。また、同じシリーズの機種であっても、装置のグレードや発売時期によって異なる生産性の画像形成装置が発売されることがある。このため、共通部品で駆動している場合でも、個々の駆動源について、異なる回転数で駆動させることがある。
【0043】
一般的なヘルムホルツ共鳴器では、温度が一定であれば吸音周波数は一定であるため、ある駆動源の稼動音を吸音するために配置した場合、その駆動源における一つの回転数のときのみ吸音効果がある。そのため、ある駆動源が他の回転数のときには、稼動音が吸音周波数から外れてしまうため、効果的に吸音することが困難である。
特に、ある駆動源において、複数の回転数が設定可能で、その全ての回転数における稼動音の音響エネルギーが、画像形成装置が稼動時に生じる音響エネルギーに占める割合が大きい場合、その駆動源の音を吸音することが困難である。
【0044】
また、複合機やプリンタ等の画像形成装置の駆動装置は、モータ、ギヤ等の回転体、またはこれらの振動が伝播して構造体から音を発生する。発生する周波数としては、ギヤの噛合い起因の周波数や摺動音、モータの電磁音など様々である。
駆動装置は画像形成装置の内部に位置しているため外装や内部部品によってある程度遮蔽されることで、画像形成装置の外部に音が低減されて伝わる。
音は周波数が高いほど物体を透過する際に減衰し易く、外装や内部部品によって遮蔽され易い。
【0045】
このため、比較的、周波数が低いギアの噛み合いに起因する音は、遮蔽され難い。また、画像形成装置では、共通部品で駆動している場合でも、個々の駆動源について、複数の回転数にて駆動させることがあるため、同じ箇所のギヤの噛み合いから生じる稼動音であっても、回転数によって、周波数の異なる稼動音が生じることがある。
さらに、最も大きい稼動音を発生させるモータ出力軸の回転によって生じる音の周波数、及び、周辺のギヤ噛み合い起因の周波数は回転数が変わっても、音自体が大きいため、これを静音化する必要がある。
【0046】
このように周波数が変化する吸音対象に対して、本実施形態の吸音装置600は、吸音周波数を自動で変更可能なヘルムホルツ共鳴器となっており、装置の稼動条件によって周波数が変化する稼動音を効果的に吸音する。これにより、プリンタ1の外部に漏れ出る駆動音を効果的に低減することが可能となる。
また、本実施形態のプリンタ1では、モータの回転数に合わせて、吸音装置600の空洞部601の壁面の一部を移動させて、空洞部601の体積を変更させる。これにより、モータにおける各回転数での駆動音周波数に対して、吸音周波数を合わせることができ、プリンタ1の外部に漏れ出る駆動音を効果的に低減することが可能となる。
【0047】
プリンタ1では、ステッピングモータ102等の移動手段駆動源によって体積調整カム606を回転させ、固定壁面形成部604に対して可動壁605を移動させて空洞部601の体積を変更させる。これにより、吸音装置600の吸音周波数を変更できる。そして、プリンタ1の生産性を変更するために吸音装置600の吸音対象である駆動源の回転数が変更されたときに、体積調整カム606の回転を制御して吸音装置600の吸音周波数を調節し、変更後の駆動源の回転数に応じた吸音周波数に設定する。これにより、ある駆動源において複数の回転数が設定可能な場合、回転数に応じて吸音装置600の吸音周波数を調整することで、複数の回転数に対して駆動源の音を効果的に吸音することが可能となる。
【0048】
プリンタ1では、吸音装置600の空洞部601の内壁面の一面のみを形成する可動壁605を体積調整カム606で移動させる構成である。これにより、他の内壁面を形成する部材(固定壁面形成部604)は、移動せずに固定となり、プリンタ1内への吸音装置600の組み付け及び固定が行い易くなる。
【0049】
プリンタ1では、吸音装置600の空洞部601の内部に圧縮バネ609を配置して可動壁605を外側に向けて付勢し、可動壁605の外壁面に体積調整カム606を接触させる構成である。吸音装置600の内部に圧縮バネ609を配置することで、体積調整カム606によって可動壁605の外側から力が作用したときに、吸音装置600の内部から外部に向かう反発力が作用する。この外側からの力と圧縮バネ609による内側からの反発力との釣り合いによって可動壁605の位置を一定に保ち、吸音装置600の空洞部601の体積を安定的に一定に保つことが可能となる。このため、吸音周波数を変更可能な構成で、空洞部601の体積を変更することで設定した吸音周波数を安定的に一定に保つことができ、吸音効果が安定する。
【0050】
吸音装置600の吸音周波数は、100[Hz]以上、1500[Hz]以下の範囲に設定することが望ましい。この範囲の周波数の音はプリンタ1の外装や内部部品によって遮蔽され難く、この範囲の周波数の音を吸音装置600で吸音することにより、プリンタ1の外部への音漏れを効率的に抑制できる。
【0051】
プリンタ1では、吸音周波数を変更可能な吸音装置600を備えることで、紙種等の条件に応じて用紙Pの搬送速度を変えた場合に、発生する稼動音の周波数が変化しても、吸音装置600での吸音が可能となり、音漏れを抑制できる。
【0052】
〔実施例1〕
次に、吸音装置600の可動壁605の駆動源が、給紙搬送ユニット101が備えるステッピングモータ102である実施例1について説明する。
図1は、吸音装置600の可動壁605への駆動伝達機構60の模式図である。
プリンタ1では、給紙搬送ユニット101が備える三つのステッピングモータ102のうちの一つの駆動を用いて、体積調整カム606を回転駆動させる構成となっている。
図1に示すステッピングモータ102は、上述した給紙搬送系ユニットの何れかの駆動源である。
【0053】
図1では、ステッピングモータ102の回転軸に固定された出力ギヤ107の回転駆動は、歯付きベルト104に伝達される。歯付きベルト104の回転駆動は、ベルト回転入力ギヤ106及び第一アイドラギヤ103aを介して、カム制御用の電磁クラッチ105へ伝達される。電磁クラッチ105が「ON」のときには、駆動伝達がされ、電磁クラッチ105よりも下流側の第二アイドラギヤ103b及び第三アイドラギヤ103cを介して、カム回転ギヤ607に回転駆動が伝達される。カム回転ギヤ607は回転軸を介して体積調整カム606に固定されており、カム回転ギヤ607の回転に同期して体積調整カム606も回転する。
【0054】
体積調整カム606は、外周面の一部が吸音装置600の可動壁605の外壁面に接触しており、体積調整カム606が回転することで、体積調整カム606における可動壁605との接触部と回転軸との距離が変動し、可動壁605に対する押圧量が変動する。押圧量が変動することで可動壁605の固定壁面形成部604に対する位置が変動し、固定壁面形成部604と可動壁605によって囲まれた吸音装置600の空洞部の体積が変動する。空洞部601の体積(吸音装置600の容積)を変更することで、吸音周波数を変更できる。
実施例1では、プリンタ1の制御部100が、ステッピングモータ102の駆動制御と、電磁クラッチ105の「ON」「OFF」を切り替える制御とを行うことで、体積調整カム606の回転を制御し、空洞部601の体積を制御する。
【0055】
図7は、吸音装置600の可動壁605への駆動伝達機構60であって、図1に示す歯付きベルト104及びベルト回転入力ギヤ106の代わりに、出力ギヤ107に噛み合う入力アイドラギヤ109を設けた構成の駆動伝達機構60の模式図である。
図7に示す構成では、ステッピングモータ102の出力ギヤ107から入力アイドラギヤ109及び第一アイドラギヤ103aを介して、電磁クラッチ105へ回転駆動が伝達される。電磁クラッチ105が「ON」のときには、駆動伝達がされ、電磁クラッチ105よりも下流側の第二アイドラギヤ103b及び第三アイドラギヤ103cを介して、カム回転ギヤ607に回転駆動が伝達される。カム回転ギヤ607は回転軸を介して体積調整カム606に固定されており、カム回転ギヤ607の回転に同期して体積調整カム606も回転する。
【0056】
体積調整カム606が回転することで、図1に示す構成と同様に、体積調整カム606が接触する可動壁605の位置を変更し、空洞部601の体積(吸音装置600の容積)を変更することで、吸音周波数を変更できる。
【0057】
図1及び図7の何れの構成についても、電磁クラッチ105よりも上流側の駆動伝達経路としては、ステッピングモータ102から給紙搬送系ユニットの被駆動部材(レジストローラ対61等)に駆動を伝達する伝達経路を途中で分岐してもよい。また、駆動伝達経路の最上流であるステッピングモータ102の出力軸から、給紙搬送系ユニットの被駆動部材への駆動を伝達する伝達経路と、電磁クラッチ105に駆動を伝達する伝達経路とを異ならせる分岐としてもよい。
【0058】
図8は、電磁クラッチ105を「ON」としたときの駆動伝達機構60の模式図であり、図9は、電磁クラッチ105を「OFF」としたときの駆動伝達機構60の模式図である。
【0059】
図8及び図9に示すように、制御部100がステッピングモータ102を回転駆動させると、出力ギヤ107が図中の矢印「R1」方向に回転する。これにより、歯付きベルト104が「R2」方向、ベルト回転入力ギヤ106が「R3」方向、第一アイドラギヤ103aが「R4」方向に回転し、電磁クラッチ105が図中の矢印「R5」方向に回転する。
電磁クラッチ105が「ON」の状態の場合、図8に示すように、電磁クラッチ105の回転が第二アイドラギヤ103bに伝達され、第二アイドラギヤ103bが「R6」方向、第三アイドラギヤ103cが「R7」方向に回転する。さらに、第三アイドラギヤ103cと噛み合うカム回転ギヤ607とともに回転する体積調整カム606が図8中の矢印「R8」方向に回転し、体積調整カム606における可動壁605と接触する部分が変位する。これにより、楕円形の体積調整カム606の回転中心から体積調整カム606における可動壁605と接触する部分までの距離が変化し、可動壁605が図8中の矢印「S」で示すように移動し、空洞部601の体積が変化する。
【0060】
電磁クラッチ105が「OFF」の状態の場合、図9に示すように、電磁クラッチ105よりも下流側には回転駆動が伝達されないため、体積調整カム606及び可動壁605は停止した状態となり、空洞部601の体積は一定のままで維持される。
図9に示す状態では、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向(図9中の左右方向)とが平行となる状態であるため、空洞部601の体積が最小の状態である。
【0061】
図10は、実施例1の体積調整カム606と、ステッピングモータ102と、吸音周波数との関係を示す説明図である。
実施例1では、図10に示すように、カムの回転角度が「0[°]」のときに、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向とが平行な状態(図6(b)に示す状態)となるように設定する。
【0062】
この設定では、カムの回転角度が「0[°]」及び「180[°]」のときに、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向とが平行な状態となる図6(b)に示す状態となり、吸音周波数「f」は大きい値となる。このため、ステッピングモータ102が高回転のときに吸音効果を発揮する。
また、この設定では、カムの回転角度が「90[°]」及び「270[°]」のときに、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向とが直交する状態となる図6(a)に示す状態となり、吸音周波数「f」は小さい値となる。このため、ステッピングモータ102が低回転のときに吸音効果を発揮する。
【0063】
図11は、体積調整カム606、電磁クラッチ105及びステッピングモータ102のタイミングチャートである。
図11に示すように、ステッピングモータ102が「ON」の状態で、電磁クラッチ105を「ON」にする。電磁クラッチ105が「ON」の状態の間は駆動伝達の下流の体積調整カム606まで回転の動力が伝達される。このとき、体積調整カム606は回転運動を行う。体積調整カム606の姿勢は、駆動源であるステッピングモータ102のパルス移動量からデータ計算し、カム回転量を算出して利用する。カム回転量は±90[°]となる。
【0064】
実施例1では、電磁クラッチ105を「ON」にしたときに、体積調整カム606を回転させる構成となっている。電磁クラッチ105を「ON」にすると、電力および負荷がモータを発生する。図11に示すように、体積調整カム606を回転させる時間は短い。このため、電磁クラッチ105を「ON」にしたときに体積調整カム606を回転させ、電磁クラッチ105を「OFF」にしたときには体積調整カム606の回転を停止させる。これにより、電磁クラッチ105を「ON」にしたときの電力消費及びモータの負荷を低減でき、省エネルギー化を実現としている。
【0065】
本実施形態のプリンタ1では、装置内の搬送系ユニットの駆動源として三つのステッピングモータ102を備え、少なくとも一つのステッピングモータ102の稼動音を吸音する吸音装置600を備えている。
プリンタ1で生産性を変更する場合には、搬送系ユニットの駆動源であるステッピングモータ102の回転数が変更され、発生する稼動音も変更される。
【0066】
実施例1では、ステッピングモータ102の各生産性に合わせて、吸音装置600の空洞部601の体積を、ステッピングモータ102からの動力を用いて、電磁クラッチ105及び体積調整カム606を有する駆動伝達機構60によって変化させる。これにより、吸音する対象の周波数を制御して変化させ、ステッピングモータ102の回転数ごとに周波数が異なる稼動音に対応して、吸音できる。実施例1では、二つの吸音周波数に対応した構成となっているが、三つ以上の吸音周波数に対応する構成としても良い。
【0067】
体積調整カム606は所望の姿勢となった状態では回転を停止させる必要がある。一方、給紙搬送系ユニットは、給紙搬送中は連続的に駆動する。このため、給紙搬送系ユニットの駆動源であるステッピングモータ102からの駆動を体積調整カム606に伝達する状態のままとすると、体積調整カム606が回転し続け、所望の姿勢となった状態で回転を停止できない。
【0068】
これに対して、実施例1の駆動伝達機構60では、電磁クラッチ105を用いることで、給紙搬送系ユニット等の連続駆動する被駆動部の駆動源から必要なときのみ駆動を受け取り、不要なときは駆動が伝達されない構成を実現できる。これにより、新たな駆動源を設けることなく、可動壁605を移動でき、ステッピングモータ102の二つ以上の回転数のそれぞれの稼動音に対して吸音でき、低騒音化を実現できる。可動壁605を移動させる駆動源を他の部材の駆動源から持ってくるため、可動壁605を移動させるための駆動源を設ける構成よりも省エネルギー化を図ることができる。
【0069】
実施例1のプリンタ1では、給紙搬送系ユニットの駆動源として、ステッピングモータ102を備え、この駆動源の近くに、ヘルムホルツ共鳴器の空洞部の体積が変更可能な吸音装置600を配置している。
また、ステッピングモータ102の駆動を吸音装置600の可動壁605に伝達する駆動伝達機構60は、ステッピングモータ102と可動壁605との間に、電磁クラッチ105と体積調整カム606とを備える構成である。
【0070】
ステッピングモータ102、電磁クラッチ105及び体積調整カム606は、アイドラギヤ103や歯付きベルト104等の駆動伝達部材によって連結している。実施例1の体積調整カム606は、ギヤ付きカムであり、電磁クラッチ105からアイドラギヤ103を介して駆動が伝達されている。体積調整カム606としては、電磁クラッチ105の回転軸に固定し、回転軸とともに回転するカムであってもよい。
実施例1では、吸音装置600の空洞部601の内壁面の一部を形成する可動壁605の外壁面に体積調整カム606が接触しており、体積調整カム606の押し引きで、可動壁605によって形成される内壁面が移動する。
【0071】
吸音周波数が可変となっている本実施形態の吸音装置600は、図5に示すように、空洞部601内に容器内に圧縮バネ609を配置し、圧縮バネ609の両端の座が対向する二つの内壁面に固定されている。圧縮バネ609の両端の座の一方が固定されている内壁面を形成する可動壁605には外壁面に体積調整カム606が接しており、体積調整カム606の姿勢によって可動壁605の位置を制御する構成となっている。これにより、体積調整カム606の姿勢を制御することで、可動壁605の位置を制御し、吸音装置600の空洞部601の体積を制御する構成となっている。
【0072】
体積調整カム606の姿勢は、動力源であるステッピングモータ102のパルス移動量からデータ計算し、カム回転量を算出して利用する。カム回転量は、電磁クラッチ105の「ON/OFF」の時間制御(=回転量制御)によって行う。
実施例1のプリンタ1では、ステッピングモータ102のパルス制御と、電磁クラッチ105の「ON/OFF」制御によって体積調整カム606の回転量を制御し、体積調整カム606の姿勢を制御する。これにより、体積調整カム606が接触する可動壁605の位置を制御し、空洞部601の体積を制御することで、吸音装置600の吸音周波数を制御できる。
【0073】
実施例1では、体積調整カム606をステッピングモータ102によって駆動することにより、位置精度が高いパルス制御が可能となるため、パルス出力量から、モータ移動量が正確に算出できる。あとは、アイドラギヤ103や電磁クラッチ105等の駆動伝達部材の回転数から、体積調整カム606の正確な回転量の算出が容易になる。制御部100は、体積調整カム606が90[°]回転したら停止するように制御する。これにより、空洞部601の体積を精度良く変更でき、吸音周波数を精度良く変更できる。
【0074】
〔実施例2〕
次に、吸音装置600の可動壁605の駆動源が、定着ローラ72に対して加圧ローラ73を加圧及び脱圧する定着部加圧・脱圧モータである実施例2について説明する。
図12は、実施例2に係る定着装置7の加圧ローラ73を定着ローラ72に向けて加圧する加圧脱圧機構70の概略説明図である。
定着装置7は、ヒータ71を内部に備えた定着ローラ72と、加圧ローラ73とを備える。加圧ローラ73は、駆動ローラであり、定着駆動モータ74からの駆動伝達により回転駆動する。
【0075】
定着装置7では、加圧ローラ73を定着ローラ72に押し当てる構成であり、この押し当てる力を定着圧とする。定着圧を常に作用させていると、定着ローラ72の表面のうち、加圧ローラ73と接触して定着ニップを形成している部分が潰れてしまい、画像の光沢ムラ等、機能が低下し、画像の質の低下を引き起こすおそれがある。このため、定着圧を常に作用させていると、結果として定着装置7の寿命が短くなってしまう。
これを防止するため、必要時以外の定着圧を低減する構成として、定着圧を掛ける必要がないときには、定着圧を弱くする構成を備えている。
【0076】
このような定着圧を変化させる構成を備えることで、様々な紙種に対応させて適切な定着圧を作用させることが可能になる。加圧ローラ73の定着圧を調整する構成として、定着装置7は加圧脱圧機構70を備える。
【0077】
図12に示す加圧脱圧機構70は、定着装置7の筐体に対して支持棒回転軸124を中心に回転可能に支持され、加圧ローラ73を押圧する加圧ローラ支持棒121を備える。また、加圧ローラ支持棒121が加圧ローラ73を押圧する方向とは逆方向に回転するように、加圧ローラ支持棒121の一端を付勢する支持棒付勢バネ129を備え、加圧ローラ支持棒121の他端には支持棒圧入力部122が配置されている。
さらに、定着装置7は、支持棒圧入力部122に接触し、回転することで支持棒圧入力部122を移動させる加圧ローラ移動カム123を備える。
【0078】
また、プリンタ1は、定着装置7の近傍に定着装置7から生じる稼動音を吸音する吸音装置600を備える。吸音装置600は、図5及び図6を用いて説明したように、吸音周波数を変更可能な構成となっている。
【0079】
図13は、加圧ローラ移動カム123が固定された加圧カム回転軸144に駆動を伝達する加圧カム駆動伝達機構40の説明図である。図14は、加圧カム回転軸144とともに一体的に回転する定着圧最終ギヤ203、加圧ローラ移動カム123及び加圧位置検知フィラー141の斜視説明図である。図14に示すように、加圧カム回転軸144には定着圧最終ギヤ203と加圧ローラ移動カム123とが固定されている。また、加圧位置検知フィラー141は、加圧カム回転軸144の一端から軸方向に突き出したフィラー支持軸143を介して加圧カム回転軸144に固定されている。
加圧ローラ支持棒121の一端を支持棒付勢バネ129が付勢することにより、他端に配置された支持棒圧入力部122は加圧ローラ移動カム123に接触する状態を維持する。
【0080】
制御部100が、加圧カム移動モータ202を制御して、回転駆動を出力させると、加圧カム移動出力ギヤ202aが回転駆動し、加圧カム駆動伝達ギヤ列201を介して、定着圧最終ギヤ203に回転駆動が伝達し、定着圧最終ギヤ203が回転駆動する。
定着圧最終ギヤ203が回転すると、定着圧最終ギヤ203と同じ回転軸(加圧カム回転軸144)に固定された加圧ローラ移動カム123及び加圧位置検知フィラー141も一体的に回転駆動する。
【0081】
加圧ローラ移動カム123は、楕円形状であり、回転することによって加圧カム回転軸144からその表面における支持棒圧入力部122に接触する部分までの距離が変化する。
このため、図12中の矢印「B1」で示すように、加圧ローラ移動カム123が回転駆動すると、支持棒圧入力部122が図12中の矢印「B2」で示すように移動する。これにより、加圧ローラ支持棒121が支持棒回転軸124を中心に図12中の矢印「B3」で示すように回動する。この回動動作によって、加圧ローラ支持棒121によって押圧される加圧ローラ73が図12中の矢印「B4」で示すように移動する。
加圧カム移動モータ202の駆動を停止することで、加圧ローラ移動カム123の姿勢が固定され、定着ローラ72に対する加圧ローラ73の位置が固定され、定着圧が一定の状態を維持することが可能となる。
【0082】
加圧ローラ移動カム123が半回転する毎に、加圧ローラ73の加圧と脱圧との動作を繰り返す。図12に示すように、定着装置7は、フィラー検知センサ142を備えている。制御部100は、加圧位置検知フィラー141がフィラー検知センサ142の検知領域を通過するタイミング検出することで、加圧位置検知フィラー141の回転方向の位置を管理する。これにより、加圧位置検知フィラー141と一体的に回転する加圧ローラ移動カム123の回転方向の位置も管理する。
【0083】
定着圧を小さくする脱圧時には、加圧ローラ移動カム123の短辺の外周が支持棒圧入力部122と接触するように、制御部100はフィラー検知センサ142の検知結果に基づいて加圧カム移動モータ202を制御する。加圧ローラ移動カム123の短辺の外周が支持棒圧入力部122と接触するように加圧ローラ移動カム123の姿勢を制御することで、加圧ローラ移動カム123が支持棒圧入力部122を図12中の左方向に押し込まない状態となる。これにより、支持棒回転軸124を中心に回転する加圧ローラ支持棒121が加圧ローラ73を定着ローラ72の側に強く押し込まない状態となり、加圧ローラ73と定着ローラ72とが強く接触していない状態となる。この状態は、非接触ではないが便宜的に脱圧状態と呼ぶ。
【0084】
定着装置7の近傍に配置された吸音装置600は、加圧カム移動モータ202から加圧カム駆動伝達機構40に入力される回転駆動を利用して、体積調整カム606を回転し、空洞部601の体積が変化する構成である。
以下、加圧カム駆動伝達機構40から体積調整カム606に回転駆動を伝達し、空洞部601の体積を変化させる二つの構成例について説明する。
【0085】
図15は、加圧カム駆動伝達機構40の加圧カム回転軸144に体積調整カム606が固定された構成の説明図である。図16は、加圧カム回転軸144と隣り合い、加圧カム回転軸144から駆動が伝達される体積調整カム回転軸612に体積調整カム606が固定された構成の説明図である。
【0086】
図15及び図16の何れの構成も、体積調整カム606は、外周面の一部が吸音装置600の可動壁605の外壁面に常に接触している。そして、体積調整カム606が回転することで、体積調整カム606の可動壁605に接触する部分と回転軸との距離が変動し、可動壁605に対する押圧量が変動する。押圧量が変動することで可動壁605の固定壁面形成部604に対する位置が変動し、固定壁面形成部604と可動壁605によって囲まれた吸音装置600の空洞部の体積が変動する。空洞部601の体積(吸音装置600の容積)を変更することで、吸音周波数を変更できる。このため、体積調整カム606の回転方向の姿勢を制御することで空洞部601の体積を制御し、吸音周波数を制御できる。
【0087】
上記二つの構成例のうち、図15に示す加圧カム回転軸144に体積調整カム606が固定された構成について説明する。
体積調整カム606は、加圧カム回転軸144と一体になって回転する。加圧ローラ移動カム123と体積調整カム606とは、同じカム形状、もしくは、回転中心からの押圧対象までの距離が常に一致する形状であり、加圧カム回転軸144が回転することで、同期するように回転する。
加圧ローラ移動カム123が加圧姿勢のときには、体積調整カム606は図6(b)で示す状態となり、吸音装置600の空洞部601の体積は最も小さくなるようにする。
また、加圧ローラ移動カム123が脱圧姿勢のときには、体積調整カム606は図6(a)で示す状態となり、吸音装置600の空洞部601の体積は最も大きくなるようにする。
【0088】
次に、図16に示す加圧カム回転軸144と隣り合う体積調整カム回転軸612に体積調整カム606が固定された構成について説明する。
加圧ローラ移動カム123及び定着圧最終ギヤ203は、加圧カム回転軸144と一体になって回転する。体積調整カム回転入力ギヤ611及び体積調整カム606は、体積調整カム回転軸612に固定されており、両者は一体で回転する構成となっている。
さらに、体積調整カム回転入力ギヤ611は、定着圧最終ギヤ203と噛み合っており、ギヤの歯数は同じとなっている。
これにより、体積調整カム回転軸612が加圧カム回転軸144と同じ回転数で回転する構成を実現できる。
【0089】
加圧ローラ移動カム123と体積調整カム606とは、同じカム形状、もしくは、回転中心からの押圧対象までの距離が常に一致する形状である。また、加圧カム回転軸144が回転することで、回転方向は反対方向となるが加圧ローラ移動カム123と体積調整カム606とは同期するように回転する。
加圧ローラ移動カム123が加圧姿勢のときには、体積調整カム606は図6(b)で示す状態となり、吸音装置600の空洞部601の体積は最も小さくなるようにする。
また、加圧ローラ移動カム123が脱圧姿勢のときには、体積調整カム606は図6(a)で示す状態となり、吸音装置600の空洞部601の体積は最も大きくなるようにする。
【0090】
図17は、加圧位置検知フィラー141及び加圧ローラ移動カム123の位置と、体積調整カム606の位置と、吸音周波数との関係を示す説明図である。
実施例2では、図17に示すように、加圧位置検知フィラー141の回転角度が「0[°]」及び「180[°]」のときに、加圧位置検知フィラー141がフィラー検知センサ142に検知され、加圧ローラ移動カム123が脱圧状態となるように設定する。このとき、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向とが直交する状態(図6(a)に示す状態)となるように設定する。
また、加圧位置検知フィラー141の回転角度が「90[°]」及び「270[°]」のときに、加圧位置検知フィラー141がフィラー検知センサ142に検知されず、加圧ローラ移動カム123が加圧状態となるように設定する。このとき、体積調整カム606の長径方向と可動壁605の移動方向とが平行な状態(図6(b)に示す状態)となるように設定する。
【0091】
実施例2では、制御部100は、加圧位置検知フィラー141の円弧の中央部がフィラー検知センサ142の検知領域に位置しているタイミングを検知し、加圧ローラ移動カム123が脱圧状態となっていることを検知する。このタイミングは、フィラー検知センサ142が加圧位置検知フィラー141のフィラーエッジ141eの通過を検知したタイミングからの、加圧カム移動モータ202の駆動量から算出する。
【0092】
図17に示すように、加圧位置検知フィラー141の回転角度が「0[°]」及び「180[°]」のときには、吸音周波数「f」は、小さい値となるため、吸音対象のモータ(加圧ローラ73を回転駆動するモータ)が低回転時の稼動音を吸音できる。一方、加圧位置検知フィラー141の回転角度が「90[°]」及び「270[°]」のときには、吸音周波数「f」は、前者よりも大きい値となるため、吸音対象のモータ(加圧ローラ73を回転駆動するモータ)が高回転時の稼動音を吸音できる。
【0093】
表1に実施例2での定着装置7の加圧・脱圧の制御の一例を示す。
【0094】
【0095】
表1では、プリンタ1の状態を「大分類」として、より詳細な状態を示す内容を「中分類」とし、「中分類」の各状態での定着装置7の加圧・脱圧の状態を示している。
表1に示すように、主に、立ち上げ時と一般的な用紙の通紙中とが加圧状態となり、それに伴い、吸音装置600の吸音周波数は高周波数となる。
反対に、ある特殊な紙種の用紙の通紙中と、待機時と、停止時と、は脱圧状態となり、それに伴い、吸音装置600の吸音周波数は低周波数となる。
【0096】
実施例2では、ヘルムホルツ共鳴器の構成を有する一つの吸音装置600を用いて、定着装置7の加圧脱圧機構70の加圧状態と脱圧状態とに同期させて、吸音装置600の空洞部601の体積を変更する制御を行う。これにより、二つ以上のヘルムホルツ共鳴器を用いることなく、小スペースかつ適切に、各紙種に対応して、吸音効果を発揮でき、二つ以上のモータ回転数でそれぞれ発生する稼動音に対して、それぞれ吸音(低騒音化)を実現することが可能になる。
【0097】
実施例2では、定着装置7の加圧・脱圧動作に合わせて、吸音装置600の可動壁605を移動させ、空洞部601の体積を変更させる。これにより、紙種やマシン状態(通紙時、待機時、過熱時、間欠時)に対応した吸音周波数に設定して、静音化を図ることができる。モータの複数の回転数のそれぞれにおける駆動音の周波数に対して、吸音周波数を合わせるように吸音装置600の空洞部601の体積を調整する。これにより、低コストで効果的に複数の周波数の駆動音を低減することが可能となる。
【0098】
一般的に画像形成装置は、定着駆動モータで駆動させる場合、同じ装置でも定着装置の通紙前(イニシャル)の加熱時と、通紙中とでは、定着ローラの回転速度が異なる場合が多く、定着駆動モータは複数のモータ回転数を持っている。そのため、定着装置および定着駆動機構(定着駆動モータ及び駆動伝達機構)から発生する稼動音が、あるモータ回転数のときの稼動音に設定されていると、そのモータ回転数のときは効率的に吸音できる。しかし、他の回転数のときには、稼動音の周波数に対して吸音周波数が外れてしまうため、効率的に吸音することが困難である。
特に、定着装置及び定着駆動機構が低速及び高速で稼動する構成であって、その音響エネルギーが、画像形成装置全体における稼動音の音響エネルギーに占める割合が大きい場合、その稼動源の音を吸音することが困難である。
【0099】
実施例2のプリンタ1は、定着駆動モータ74の回転速度を複数設定でき、定着装置7の加圧脱圧機構70を備え、さらに、空洞部601の体積を変更可能な吸音装置600を備える。そして、定着装置7の加圧・脱圧動作に同期して、空洞部601の体積を変化させる。実施例2では、加圧状態と脱圧状態との二つの状態に対応して、吸音周波数を変更可能な構成となっている。
実施例2では、定着装置7の加圧ローラ73の加圧状態と脱圧状態との変動に連動させて、吸音装置600の空洞部601の体積を制御する構成となっている。このような構成により、定着駆動モータ74、定着駆動伝達機構、その他、定着装置7から発生する稼動音を、適切な動作タイミングで低減できる。
【0100】
実施例2のプリンタ1は、定着装置7の長寿命化のため、加圧脱圧機構70を備えており、定着装置7の近くのプリンタ1本体構造体側に、定着装置7の加圧・脱圧用の駆動源である加圧カム移動モータ202を配置している。これにより、定着装置7の駆動ローラである加圧ローラ73の加圧状態及び脱圧状態について、機械装置による位置移動制御を行っている。
【0101】
加圧脱圧機構70の制御は、加圧ローラ移動カム123の回転方向の姿勢を制御することによって行われている。加圧時及び脱圧時の定着ニップでのニップ圧は、加圧ローラ移動カム123の押し込み量によって制御されている。加圧ローラ移動カム123の姿勢は、加圧ローラ移動カム123と同軸上に配置された加圧位置検知フィラー141を検知するフィラー検知センサ142の検知結果に基づいて制御する。フィラー検知センサ142による加圧位置検知フィラー141の検知は、加圧ローラ移動カム123のホームポジションの決定も含めている。このような加圧脱圧機構70の近くに、空洞部601の体積を変更可能なヘルムホルツ共鳴器の構成を備えた吸音装置600を配置している。
【0102】
吸音装置600の体積を変化させる体積調整カム606の設置方法としては、図15に示す設置方法と、図16に示す設置方法とがある。
図15に示す設置方法では、加圧ローラ移動カム123及び定着圧最終ギヤ203と同軸上に体積調整カム606を設置している。
図16に示す設置方法では、加圧ローラ移動カム123及び定着圧最終ギヤ203の回転軸である加圧カム回転軸144と隣り合う体積調整カム回転軸612に、定着圧最終ギヤ203と同じ歯数の体積調整カム回転入力ギヤ611を固定している。さらに、体積調整カム回転軸612に、体積調整カム606を固定している。この構成によって、回転方向は逆方向となるが、加圧ローラ移動カム123の動作と体積調整カム606の動作とを同期できる。
【0103】
図15及び図16の何れの構成も、体積調整カム606と吸音装置600の可動壁605とが接触しており、体積調整カム606の押し引きで可動壁605が移動する構成である。この可動壁605によって吸音装置600の空洞部601の体積を変更し、吸音周波数を変更することで、吸音対象の音源から生じる二以上の周波数の稼動音に対応して吸音することが可能となる。
【0104】
実施例2のプリンタ1は、定着装置7の加圧・脱圧用のモータである加圧カム移動モータ202と、加圧ローラ移動カム123の回転位置を検出するための加圧位置検知フィラー141と、可動壁605を移動させる体積調整カム606とを備える。そして、吸音装置600の可動壁605の位置を制御して空洞部601の体積を制御することで、吸音装置600の吸音周波数を制御する構成である。
【0105】
従来のヘルムホルツ共鳴器の構成を有する吸音装置を備える画像形成装置として、特許文献1には、空洞部を形成するベース部材及びカバー部材と、開口部を形成するダクト部材とを備え、ダクド部材が交換できる構成が記載されている。この構成では、ダクト部材を形状が異なる交換用ダクト部材に交換することで、吸音装置の吸音周波数を変更できる。
【0106】
特許文献1には、画像形成装置における駆動モータからの発生音を吸音するヘルムホルツ吸音器が記載されており、交換用ダクト部材を変更することで吸音周波数を変更できる。しかし、特許文献1では、交換用ダクト部材の具体的な変更方法は不明である。画像形成装置の工場出荷前であって、吸音装置を設置する前に交換用ダクト部材を選択して吸音装置に取り付けるものと推測される。このため、交換用ダクト部材を取り付けた吸音装置を画像形成装置に設置した後は、容易に吸音周波数を変更できない。
【0107】
これに対して、本実施形態では、吸音装置600の空洞部601の体積を変更できるように移動可能な可動壁605を設け、吸音対象となる駆動部の回転数に合わせて吸音周波数を変更できる構成となっている。また、ステッピングモータ102や加圧カム移動モータ202等の他の駆動対象を駆動する駆動源と連結する移動手段である体積調整カム606を設け、可動壁605を移動させる構成となっている。
また、駆動源を制御することで、吸音対象となる駆動部の回転数に合わせて吸音周波数を自動で変更し、吸音した周波数に対応することが可能となる。
【0108】
上述した実施形態では、可動壁605を移動させ移動手段が体積調整カム606である場合について説明した。移動手段としてはカムを用いる構成に限らない。
【0109】
図18及び図19は、移動手段としてカムを用いない構成の吸音装置600の説明図である。
図18は、固定壁面形成部604に設けた螺子溝604sと、可動壁605に設けた螺子山605sとが移動手段として機能する吸音装置600の模式図である。
図18に示す固定壁面形成部604は円筒形であり、その内周面に螺子溝604sが形成されている。可動壁605は円盤状であり、その外周面に螺子山605sが形成されていおり、可動壁605の螺子山605sが固定壁面形成部604の螺子溝604sに螺合する構成となっている。そして、可動壁605が回転すると、その回転数に応じて可動壁605が固定壁面形成部604に対して軸方向に移動する。
【0110】
可動壁605の外壁面には、可動壁回転軸608aが固定されており、可動壁回転軸608aには可動壁回転ギヤ608が固定されている。さらに、可動壁回転ギヤ608と噛み合う回転駆動伝達ギヤ619と、回転駆動伝達ギヤ619が固定された回転駆動伝達軸610とを備える。
【0111】
ステッピングモータ102や加圧カム移動モータ202等の移動手段駆動源から出力された回転駆動が伝達され、回転駆動伝達軸610及び回転駆動伝達ギヤ619が図18中の矢印「C1」方向に回転する。これにより、回転駆動伝達ギヤ619と噛み合う可動壁回転ギヤ608に回転駆動が伝達され、可動壁回転ギヤ608、可動壁回転軸608a及び可動壁605が図18中の矢印「C2」方向に回転する。可動壁605が回転することで、可動壁605が固定壁面形成部604に対して図18中の矢印「C3」方向に移動し、空洞部601の体積を小さくできる。
一方、回転駆動伝達軸610に対して図18中の矢印「C1」とは逆回転の回転駆動が伝達されることにより、可動壁605が固定壁面形成部604に対して図18中の矢印「C3」とは逆方向に移動し、空洞部601の体積を大きくできる。
【0112】
図19は、移動手段として、ラックアンドピニオンを備える吸音装置600の模式図である。
図19に示す吸音装置600の可動壁605の外壁面には、平板状の棒に歯が付けられたラック614が固定されており、さらに、ラック614と噛み合うピニオンギヤ613と、ピニオンギヤ613が固定された回転駆動伝達軸610とを備える。
【0113】
ステッピングモータ102や加圧カム移動モータ202等の移動手段駆動源から出力された回転駆動が伝達され、回転駆動伝達軸610及びピニオンギヤ613が図19中の矢印「D1」方向に回転する。これにより、ピニオンギヤ613と噛み合うラック614が固定された可動壁605が固定壁面形成部604に対して図19中の矢印「D2」方向に移動し、空洞部601の体積を小さくできる。
一方、回転駆動伝達軸610に対して図19中の矢印「D1」とは逆回転の回転駆動が伝達されることにより、可動壁605が固定壁面形成部604に対して図19中の矢印「D2」とは逆方向に移動し、空洞部601の体積を大きくできる。
【0114】
図18及び図19に示す構成でも、吸音装置600の空洞部601の体積を自動で変更することが可能である。しかし、これらの構成では、空洞部601を大きくするときと小さくするときとで、回転駆動伝達軸610に対して逆方向の回転駆動が入力される必要があり、移動手段駆動源または駆動伝達機構に正逆回転可能な構成が必要となる。
【0115】
これに対して、実施例1や実施例2の吸音装置600のように、移動手段がカムと付勢手段とを有する構成では、カムが一方向に連続して回転すると、可動壁605が固定壁面形成部604に対して往復運動する。このため、体積調整カム606の回転方向を変えることなく、一方向の回転量を制御することで、空洞部601の体積を大きくする制御と、小さくする制御とを行うことができる。このため、移動手段駆動源や駆動伝達機構に正逆回転可能な構成がなくても、空洞部601の体積を変更する制御が可能となる。
【0116】
図20は、移動手段として可動シャフト615aを備え、移動手段駆動源としてソレノイド615を備える吸音装置600の模式図である。
図20に示す吸音装置600の可動壁605の外壁面には、ソレノイド615の可動シャフト615aが固定されている。図20に示す構成では、制御部100が、ソレノイド615の駆動を制御して可動シャフト615aを図20中の矢印「E」方向に移動させる。これにより、可動壁605が固定壁面形成部604に対して図20中の矢印「E」方向に移動し、空洞部601の体積を小さくできる。
一方、可動シャフト615aを図20中の矢印「E」とは逆方向に移動させることにより、可動壁605が固定壁面形成部604に対して図20中の矢印「E」とは逆方向に移動し、空洞部601の体積を大きくできる。
【0117】
図20を用いて説明した構成のように、ソレノイド615のように可動壁605を移動させる専用の移動手段駆動源を設ける構成も、吸音装置600の空洞部601の体積を自動で変更する構成を実現できる。
しかし、実施例1及び実施例2で説明した構成や、図18及び図19で説明した構成のように、他の被駆動部を駆動する移動手段駆動源から駆動を伝達される構成とすることで、プリンタ1全体における駆動源の数が増加することを抑制できる。
【0118】
上述した実施例1及び実施例2の構成、図18〜図20を用いて説明した構成では、吸音装置600の連通部603が設けられた壁面以外の壁面を形成する壁部を可動壁605として移動可能な構成としている。可動壁605としては、連通部603が設けられた壁面を形成する壁部であってもよい。
しかし、連通部603が移動すると、吸音対象の稼動音が発生する音源に対する連通部603の位置が変動し、吸音効率のよい位置に連通部603を固定できない。これに対して、連通部603が設けられた壁面以外の壁面を形成する壁部を可動壁605とすることで、音源に対する連通部603の位置を固定しつつ、吸音周波数を変更可能な構成を実現できる。
【0119】
本実施形態では、吸音装置を備える電子機器が画像形成装置である場合について説明した。しかし、吸音装置を備える構成であれば画像形成装置以外の電子機器でも同様の構成を適用可能である。
【0120】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0121】
(態様1)
空洞部601等の空洞部を形成する固定壁面形成部604及び可動壁605等の空洞部形成部材に空洞部と外部とを連通する連通部603等の連通部を設けた吸音装置600等の吸音装置を備えるプリンタ1等の電子機器において、空洞部の体積を変更する体積調整カム606等の体積変更手段を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態で説明したように、体積変更手段が吸音装置の空洞部の体積を変更し、吸音装置の吸音周波数を変更できる。よって、電子機器の稼動状態の変化に応じて、体積変更手段を制御し、吸音周波数を制御することで、電子機器の稼動状態の変更に応じて稼動音を吸音することが可能となる。
【0122】
(態様2)
態様1において、体積変更手段の駆動源(ステッピングモータ102等)は、体積変更手段と、レジストローラ対61、手差しローラ、両面ローラ、給紙ローラ52及び加圧ローラ移動カム123等の他の被駆動部とを駆動することを特徴とする。
これによれば、上記実施形態で説明したように、画像形成装置全体における駆動源の数が増加することを抑制できる。
【0123】
(態様3)
態様2において、他の被駆動部は、搬送対象に搬送力を付与するレジストローラ対61、手差しローラ、両面ローラ及び給紙ローラ52等の搬送部材であり、駆動源は、ステッピングモータ102等のステッピングモータであることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1で説明したように、駆動源の駆動量(モータ移動量等)を正確に算出し、体積変更手段による空洞部の体積の変更量(体積調整カム606の回転量)等を算出することが容易となり、吸音装置の吸音周波数を精度良く変更できる。
【0124】
(態様4)
態様1乃至3の何れかの態様において、体積変更手段は、空洞部形成部材の一部である可動壁605等の可動部を固定壁面形成部604等の他の部分に対して移動させ、空洞部の体積を変化させる体積調整カム606等の移動手段と、移動手段を駆動するステッピングモータ102等の移動手段駆動源と、を備える。
これによれば、上記実施形態で説明したように、移動手段駆動源が移動手段を駆動し、移動手段によって可動部を移動させることで、吸音装置の空洞部の体積を変更する構成を実現できる。
【0125】
(態様5)
態様4において、移動手段駆動源から移動手段に駆動を伝達する駆動伝達機構60等の駆動伝達機構が電磁クラッチ105等の電磁クラッチを備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施例1で説明したように、給紙搬送系ユニット等の連続駆動する被駆動部の駆動源から必要なときのみ移動手段に駆動を伝達し、不要なときは駆動が伝達されない構成を実現できる。
【0126】
(態様6)
態様5において、電磁クラッチを「ON」にしたときに移動手段への駆動を伝達することを特徴とする。
これによれば、上記実施例1で説明したように、電磁クラッチを「ON」にしたときの電力消費及び移動手段駆動源の負荷を低減でき、省エネルギー化を実現としている。
【0127】
(態様7)
態様4乃至6の何れかの態様において、可動部は、空洞部形成部材のうち空洞部の内壁面の一面を形成し、他の内壁面を形成する部分に対して移動可能な可動壁605等の移動壁部であることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態で説明したように、内壁面の一面のみを形成する部材が移動し、他のない壁面を形成する部分は移動せずに固定となり、電子機器本体に対する吸音装置の組み付けや固定が行い易くなる。
【0128】
(態様8)
態様7において、空洞部の内部から移動壁部を付勢する圧縮バネ609等の付勢手段を備え、移動手段は、移動壁部の外壁面に接触し、移動手段駆動源からの駆動が入力することで、移動壁部に対する押し込み量を変更可能な体積調整カム606等の押圧部材を備えることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態で説明したように、吸音装置の空洞部の体積を安定的に一定に保ち、吸音効果が安定する。
【0129】
(態様9)
態様1乃至8の何れかの態様において、吸音装置の吸音周波数は、100[Hz]以上、1500[Hz]以下の範囲であることを特徴とする。
これによれば、上記実施形態で説明したように、電子機器の外部への音漏れを効率的に抑制できる。
【0130】
(態様10)
用紙P等の記録媒体に画像を形成するプリンタ1等の画像形成装置において、態様1乃至9の何れかの態様に係る電子機器の構成を備えたことを特徴とする。
これによれば、上記実施形態で説明したように、記録媒体の搬送速度を変えた場合等の稼動条件を変更した場合に、発しする稼動音の周波数が変化しても吸音装置での吸音が可能となり、音漏れを抑制できる。
【0131】
(態様11)
態様10において、トナー像等の画像が形成された記録媒体を加圧する加圧脱圧機構70等の加圧機構を有し、画像を定着させる定着装置7等の定着装置を備え、加圧カム移動モータ202等の体積変更手段の駆動源は、体積変更手段と加圧機構とを駆動することを特徴とする。
これによれば、上記実施例2で説明したように、加圧機構による加圧条件の変更に同期させて吸音装置の吸音周波数を変更できる。
【0132】
(態様12)
態様11において、加圧機構は、加圧状態と脱圧状態とを加圧ローラ移動カム123等の加圧脱圧カムの回転によって切り替える構成であり、体積変更手段は、体積調整カム606等の体積変動用カムの回転によって空洞部の体積を変更する構成であり、駆動源から駆動が伝達されることで、加圧脱圧カムと体積変動用カムとが同期して回転することを特徴とする。
これによれば、上記実施例2で説明したように、加圧機構における加圧状態と脱圧状態との切り替えに同期させて、吸音装置の吸音周波数を変更できる。
【0133】
(態様13)
態様12において、加圧脱圧カムの回転位置を検出する加圧位置検知フィラー141及びフィラー検知センサ142等の検出手段を備え、検出手段の検出結果に基づいて、加圧機構の加圧状態と脱圧状態とを制御することを特徴とする。
これによれば、上記実施例2で説明したように、加圧状態と脱圧状態とを制御する構成を実現できる。また、検出手段としてフィラーを用いることで、加圧カム移動モータ202等の駆動源の駆動量を検出する構成よりも、加圧脱圧カムの姿勢を制御する構成のコストダウンを図ることが可能となる。また、加圧カム移動モータ202等の駆動源と独立した検出手段を設けることで、駆動源が故障した場合でも検出手段の交換は不要であり、故障の際のリスクを分散できる。
【符号の説明】
【0134】
1 プリンタ
2 光書込ユニット
4 転写ユニット
5 給紙装置
6 用紙搬送路
7 定着装置
31 プロセスユニット
32 感光体
33 帯電装置
34 現像装置
35 感光体クリーニング装置
40 加圧カム駆動伝達機構
41 駆動ローラ
42 テンションローラ
43 中間転写ベルト
44 ベルトクリーニング装置
45 一次転写ローラ
46 二次転写ローラ
47 廃トナー収容部
51 給紙カセット
52 給紙ローラ
60 駆動伝達機構
61 レジストローラ対
70 加圧脱圧機構
71 ヒータ
72 定着ローラ
73 加圧ローラ
74 定着駆動モータ
81 排紙ローラ対
82 排紙トレイ
100 制御部
101 給紙搬送ユニット
101a 保持基盤
102 ステッピングモータ
102a 第一ステッピングモータ
102b 第二ステッピングモータ
102c 第三ステッピングモータ
103 アイドラギヤ
103a 第一アイドラギヤ
103b 第二アイドラギヤ
103c 第三アイドラギヤ
104 歯付きベルト
105 電磁クラッチ
106 ベルト回転入力ギヤ
107 出力ギヤ
109 入力アイドラギヤ
121 加圧ローラ支持棒
122 支持棒圧入力部
123 加圧ローラ移動カム
124 支持棒回転軸
129 支持棒付勢バネ
141 加圧位置検知フィラー
141e フィラーエッジ
142 フィラー検知センサ
143 フィラー支持軸
144 加圧カム回転軸
201 加圧カム駆動伝達ギヤ列
202 加圧カム移動モータ
202a 加圧カム移動出力ギヤ
203 定着圧最終ギヤ
600 吸音装置
601 空洞部
602 開口部
603 連通部
604 固定壁面形成部
604s 螺子溝
605 可動壁
605s 螺子山
606 体積調整カム
607 カム回転ギヤ
608 可動壁回転ギヤ
608a 可動壁回転軸
609 圧縮バネ
610 回転駆動伝達軸
611 体積調整カム回転入力ギヤ
612 体積調整カム回転軸
613 ピニオンギヤ
614 ラック
615 ソレノイド
615a 可動シャフト
619 回転駆動伝達ギヤ
P 用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0135】
特開2015−108812号公報

関連特許

株式会社リコー
固定装置
株式会社リコー
造形装置
株式会社リコー
造形装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像読取装置
株式会社リコー
文書操作機構
株式会社リコー
液滴形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
画像形成装置
株式会社リコー
シート処理装置
株式会社リコー
液体を吐出する装置
株式会社リコー
ワークフロー管理機構
株式会社リコー
分析装置及び分析方法
株式会社リコー
インク推定メカニズム
株式会社リコー
造形装置および造形方法
株式会社リコー
配信システム、配信方法
株式会社リコー
インク堆積曲線計算機構
株式会社リコー
光学ユニット及び光学装置
株式会社リコー
転写装置及び画像形成装置