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公開番号2019142586
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190829
出願番号2019048199
出願日20190315
発明の名称複合材料圧力容器
出願人スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
代理人個人,個人,個人
主分類B65D 88/06 20060101AFI20190802BHJP(運搬;包装;貯蔵;薄板状または線条材料の取扱い)
要約【課題】更なる重量の低減及び強度の改善が図られた繊維複合材料から形成される圧力容器を提供する。
【解決手段】繊維複合材料は、硬化性マトリックス樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含む樹脂系で含浸された繊維を含む。
【選択図】図1
特許請求の範囲約 1,400 文字を表示【請求項1】
圧力容器であって、
流体で満たされることが可能な開放容積を周囲方向に囲む壁であって、前記開放容積に隣接した内面及び前記内面の反対側の外面と、第1の末端部と、第2の末端部と、軸線方向と、を含む、壁を含み、
前記壁が、繊維で含浸された樹脂系を含む複合材料層を含み、
前記樹脂系が、硬化性マトリックス樹脂と複数の表面改質ナノ粒子と、を含む、圧力容器。
【請求項2】
少なくとも1つの複合材料層が、前記軸線方向に対して70度を超える角度で整合された繊維を含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
少なくとも1つの複合材料層が、前記軸線方向に対して40度以下の角度で整合された繊維を含む、請求項2に記載の圧力容器。
【請求項4】
少なくとも1つの複合材料層が、前記軸線方向に対して40〜70度(上限及び下限を含む)の角度で整合された繊維を含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記開放容積を更に囲む、前記第1の末端部に隣接して前記壁から延びる第1のキャップを更に含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記圧力容器を包囲する周囲環境から前記開放容積を隔離する、前記第2の末端部に隣接して前記壁から延びる第2のキャップを更に含む、請求項5に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記軸線方向に直交する、前記壁の断面が楕円形である、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記圧力容器が楕円体である、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項9】
前記硬化性マトリックス樹脂がエポキシを含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項10】
前記表面改質ナノ粒子がコアを含み、前記コアが、少なくとも1つの金属酸化物と、前記コアの表面に共有結合した表面改質剤と、を含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項11】
前記表面改質ナノ粒子がコアを含み、前記コアがシリカを含む、請求項10に記載の圧力容器。
【請求項12】
前記表面改質ナノ粒子がコアを含み、前記コアが、カルサイトと、前記コアにイオン的に会合した表面改質剤と、を含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項13】
前記樹脂系が更にゴム強化剤を含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項14】
前記壁が更にライナーを含み、前記ライナーが、前記開放空間及び外面に隣接した内面を有し、前記複合材料層が前記ライナーの前記外面に隣接している、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項15】
前記ライナーが、金属及びポリマーの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の圧力容器。
【請求項16】
前記開放容積が、少なくとも10MPaの絶対圧力における流体を収容する、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項17】
前記開放容積が、少なくとも30MPaの絶対圧力における流体を収容する、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項18】
前記開放容積が、少なくとも80MPaの絶対圧力における流体を収容する、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項19】
前記ゴム強化剤がコアシェルゴムを含む、請求項13に記載の圧力容器。

発明の詳細な説明約 30,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年6月17日に出願された米国特許仮出願第61/355,769号の利益を主張するものであり、その開示の全体は本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、繊維複合材料を使用して形成された圧力容器、例えば、パイプ及びタンクに関する。特に、本開示は、マトリックス樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含む樹脂系で含浸された繊維を含む繊維複合材料から形成される圧力容器に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、圧力容器は、圧力下で流体、例えば、液体、液化ガス、圧縮ガス、及びこれらの組み合わせを収容することが可能な構造体である。代表的な圧力容器としては、貯蔵容器(例えば、燃料タンク、携帯ガス(例えば、酸素)貯蔵瓶及び蓄圧タンク)、並びに高圧で流体を輸送するのに使用され得るパイプ及び他の導管(例えば、油圧管路)、及び一時的な高圧に晒される構造体(例えば、ロケットモーターケース及び発射管)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、圧力容器は金属から形成されていた。熱安定性、耐腐食性及び疲労性能を含む多数の因子が、材料選択に影響を与える一方、重量の低減、破裂強度の改善、及び耐用年数の延長が、圧力容器の設計者にとって重大な因子となっている。これらの要求は、圧力容器の構成において繊維強化複合材料の使用の増大をもたらした。しかしながら、更なる重量の低減及び強度の改善が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
手短に言えば、一態様において、本開示は、流体で満されることが可能な開放容積を周囲方向に囲む壁を含む圧力容器を提供する。壁は、開放容積に隣接した内面及び内面の反対側の外面と、第1の末端部と、第2の末端部と、軸線方向と、を含む。壁はまた、繊維で含浸された樹脂系を含む複合材料層を含む。樹脂系は、硬化性マトリックス樹脂と複数の表面改質ナノ粒子と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの複合材料層は、軸線方向に対して70度を超える角度で整合された繊維を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの複合材料層は、軸線方向に対して40度以下の角度で整合された繊維を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの複合材料層は、軸線方向に対して40〜70度(上限及び下限を含む)の角度で整合された繊維を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、圧力容器は、開放容積を更に囲む、それぞれ第1の末端部及び第2の末端部に隣接して壁から延びる第1のキャップ、及び場合により第2のキャップを更に含む。いくつかの実施形態では、軸線方向に直交する、壁の断面は、楕円形である。いくつかの実施形態では、圧力容器は楕円体である。
【0008】
いくつかの実施形態では、硬化性マトリックス樹脂は、エポキシを含む。いくつかの実施形態では、表面改質ナノ粒子の少なくともいくつかは、少なくとも1つの金属酸化物、例えば、シリカを含むコアを有する。いくつかの実施形態では、表面改質剤が、コアの表面に共有結合している。いくつかの実施形態では、表面改質ナノ粒子の少なくともいくつかは、カルサイトを含むコアを有する。いくつかの実施形態では、表面改質剤は、コアとイオン的に会合している。いくつかの実施形態では、樹脂系は、更にゴム強化剤を含む。いくつかの実施形態では、ゴム強化剤は、コアシェルゴムを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、壁は更にライナーを含み、ライナーは、開放空間及び外面に隣接した内面を有し、複合材料層は、ライナーの外面に隣接している。いくつかの実施形態では、ライナーは、金属及びポリマーの少なくとも1つを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも10MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも30MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも40MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも50MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも60MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも70MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも80MPaの絶対圧力における流体を収容する。いくつかの実施形態では、開放容積は、少なくとも90MPaの絶対圧力における流体を収容する。
【0011】
上記の本開示の概要は、本発明のそれぞれの実施形態を説明することを目的としたものではない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明文においても記載する。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明文から、また特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示のいくつかの実施形態による代表的な複合材料圧力容器。
図1の複合材料圧力容器の断面図。
本開示のいくつかの実施形態による、代表的な別の圧力容器の断面図。
本開示のいくつかの実施形態による代表的な円筒形の複合材料圧力容器。
本開示のいくつかの実施形態による代表的な球形の複合材料圧力容器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一般に、圧力容器は、それらの構成体に使用されている材料に基づいて、4つのカテゴリーに分類される。
【0014】
−タイプI:全−金属構成(例えば、ステンレス鋼)。
【0015】
−タイプII:ほとんどが金属であり、幾分かの繊維がフープ方向に重なっている。
【0016】
−タイプIII:金属ライナーであり、繊維複合材料が完全に重なっている。
【0017】
−タイプIV:ポリマーライナーであり、繊維複合材料が完全に重なっている。
【0018】
一般に、圧力容器は、タイプIからタイプIVへ進むにつれて、構造体の繊維複合材料部分によって支持される構造荷重の百分率が増大する。
【0019】
一般に、繊維複合材料は、度々「マトリックス樹脂」と称される樹脂で含浸された繊維を含む。構造繊維としては、例えば、ガラス、アラミド、及び炭素繊維が挙げられる。それらの繊維は、繊維への含浸に使用されて複合材料を形成する樹脂と比較して、遙かに高い剛性及び強度特性を有する。圧力容器用途の場合、繊維は連続形態である(即ち、細断され又は別様に不連続ではない)。繊維は、典型的には、繊維の長さ方向が主荷重方向と整合するように、ライナー又はマンドレルの周りに巻回される。この実践は、構造繊維の卓越した長手方向の剛性及び強度特性を利用する。
【0020】
圧力容器を設計する際、容器の破裂強度、特にフープ方向の破裂強度(即ち、フープ強度)は重要である。加圧された際、圧力容器の壁は、多軸線方向の荷重及び歪みを経験する。最も一般的な通常の圧力容器設計では、フープ荷重が軸線方向の荷重を上回るであろう。例えば、円筒形の圧力容器の場合、フープ荷重は軸線方向の荷重の2倍となり、それ故、フープ強度が圧力容器の破裂強度を支配するであろう。
【0021】
圧力容器の破裂強度を向上させることに関連した設計検討事項に関する多数の研究が存在する。繊維複合材料から調製された圧力容器に関しては、フープ歪み及び破裂強度は、繊維の機械的特性と相関していた。例えば、網目理論(netting analysis)は、応力の概算と、繊維複合材料における破損の予測とに度々使用される。この手法は、樹脂の効果を完全に排除し、繊維の機械的特性、特に繊維強度にのみ焦点を当てる。
【0022】
繊維特性に焦点が当てられるのは、主に、繊維が樹脂と比較して実質的に高い機械的特性を有するためである。例えば、約200〜約550GPaの引っ張り係数を有する炭素繊維が入手可能である。対照的に、典型的なマトリックス樹脂の引っ張り係数は、1〜2桁の規模でより小さく、例えば、ポリエステル、エポキシ類、及びシアン酸エステルの引っ張り係数は、約3〜5GPaである。繊維方向(即ち、繊維の長さ方向)における荷重は、マトリックス樹脂と比較して繊維の剛性が遙かに大きいため、ほとんどが繊維により支持される。したがって、繊維方向における強度は繊維強度により支配され、繊維強度の最良の使用は、繊維を複合材料圧力容器の主荷重方向に配向させることにより達成される。
【0023】
複合材料圧力容器の最適な設計は、構成材料、特に繊維の効率的な使用を必要とする。圧力容器の費用、重量及び強度は全て、繊維の利用により支配される。一般に、使用される繊維は、樹脂成分と比較して重量当たりの費用が高く、またより密度が大きい。ガラス繊維の密度は、約2.1gm/ccであり、炭素繊維の密度は、約1.8gm/ccである。通常のマトリックス樹脂の密度はより小さく、例えば、ビニルエステル及びエポキシ樹脂の場合、約1.2gm/ccであり、ポリエステル樹脂の場合、約1.4gm/ccである。勿論、選択される特定の製品に応じて、材料の密度が大きく変動し得るが、一般に、繊維の密度は、マトリックス樹脂の密度よりも大きい。加えて、圧力容器の製作に要する時間、したがって費用、及び設計の重要性は、製作中に配置する必要がある繊維の量を低下させることにより低減される。したがって、最少量の繊維を使用して必要な強度を達成することは、圧力容器の最適な設計により決定づけられる。
【0024】
一般に、一方向複合材料の引っ張り係数は、等式2に示すように、混合則から決定することができる。
【0025】
【0026】
(式中、

複合材料
=繊維複合材料の引っ張り係数

繊維
=繊維の引っ張り係数

樹脂
=樹脂の引っ張り係数

繊維
=繊維及び樹脂の総体積に対する繊維の体積の割合)
等式2を再配置し、E
繊維
に対するE
樹脂
の比が典型的には0.02未満(即ち、4GPaを、繊維に関する200GPaで除算する)であることを認識すると、繊維の任意の実際の体積の割合(例えば、V
繊維
>0.1)において、複合材料の弾性率は、繊維の弾性率により支配されることが明かである。
【0027】
【0028】
マトリックス樹脂の特性が係わることのない、圧力容器破裂強度に対する繊維強度の支配は、圧力容器設計に関する文献でも認められている。例えば、「An estimation of strength for composite pressure vessels」と題された論文(Composites Structures 22(1992),pp.179〜186)、Maoら、は、複合材料圧力容器の破裂強度を概算する方法を提案している。この研究では、繊維強度の統計的分布と、大体積の構造的強度を予測する、小体積の研究室標本からのデータを使用した統計的示唆と、が、マトリックス樹脂特性が係わることなく処理された。含浸繊維ストランド及びリング状試験片から誘導された統計的強度データは、複合材料の繊維面積割合に正規化された。Maoらは、「繊維のヤング率はマトリックスのヤング率よりも遙かに高いため、等式での強度計算は、全荷重が繊維により支持されると推測した」と述べている。ここで得られた解析は、複合材料圧力容器の破損強度を概算する方法に実行できることが見出された。
【0029】
圧力容器強度における繊維特性の支配とマトリックス特性の僅かな寄与とが、工業界で認識されていることを認める別の参考文献は、「Composite Overwrap Pressure Vessels:Mechanics and Stress Rupture Lifing Philosophy」、NASA/TM−2009−215683,Theskenら、である。この参考文献は、「通常のフィラメント巻回設計の実践に従えば、強度及び剛性のいずれも樹脂に帰されない」と述べている。
【0030】
以前の実験及びモデル、並びに従来の知識に反して、本発明者らは、驚くべきことに、表面改質ナノ粒子を含有するマトリックス樹脂の使用が、圧力容器設計の繊維含有量を増大させることなく、破裂強度を有意に増大させ得ることを発見した。いくつかの実施形態では、この発見は、圧力容器の設計者が、使用する繊維の量を増大させることに関連した有意な重量の不利益を有さずに、強度を増大させることを可能にする。いくつかの実施形態では、圧力容器の設計者は、複合材料層を排除することによって、所望の強度を維持しながら圧力容器の重量を低減することもできる。
【0031】
代表的な圧力容器を図1に示し、この圧力容器の断面図を、図2に示す。圧力容器100は、開放容積120を周囲方向に囲む壁110を含む。開放容積120は、高圧下の流体、例えば、液体又は気体で満たされてもよい。壁110は、開放容積120に隣接する内面112と、内面112の反対側の外面114と、を含む。壁110は、第1の末端部116、及び第2の末端部118も含む。
【0032】
図2に示すように、壁110は、繊維複合材料130を含む。繊維複合材料130は、フープ方向Hに整合された繊維133を含む。本明細書で使用され、図1及び2に示すように、フープ方向は、軸線方向Aに対して画定される。フープ方向は、圧力容器の断面により画定される、軸線方向Aに直交する圧力容器の面に対応する。繊維は、マトリックス樹脂142中に分散された複数の表面改質ナノ粒子144を含む樹脂系中に含浸されている。
【0033】
図2の圧力容器は、市販の圧力容器と比較して、非常に簡素化されている。一般に、圧力容器の壁は、同じか又は異なる繊維複合材料からなる複数の層を含む。圧力容器の軸線方向に対する繊維の角度は、様々な設計検討事項を満たすように変更されてもよい。加えて、流体と接触する所望の内部壁面を提供するように、また、所望の数の複合材料層を構築するための型(form)として、度々ライナーが使用される。
【0034】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、代表的な圧力容器200の断面図を示す。壁210は、開放容積220を包囲する多数の繊維複合材料層230を含む。各繊維複合材料層230は、樹脂系240で含浸された繊維を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの繊維複合材料層の場合、例えば、繊維複合材料層230a、フープ繊維233aは、実質的にフープ方向Hに整合されている。理想的には、フープ繊維は、正確にフープ方向に整合されるであろう。しかしながら、繊維は、典型的には繊維の連続トウ(即ち、束)として巻回される。同時に螺旋状に巻回されるトウの数に応じて、繊維は軸線方向に対して90度未満のいくつかの角度で整合されて、隣接する覆い間の重なり合いを最小限にする必要がある。いくつかの実施形態では、フープ繊維は、軸線方向に対して70度を超える、いくつかの実施形態では、軸線方向に対して80度を超える、例えば85度を超える、又は更には88度を超える角度で整合される。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ以上の繊維複合材料層、例えば、繊維複合材料層230bは、軸線方向とより厳密に整合された軸線方向の繊維233bを含む。いくつかの実施形態では、軸線方向の繊維233bは、螺旋状に巻回されてもよい。いくつかの実施形態では、軸線方向の繊維は、軸線方向に対して40度以下の角度で整合され、いくつかの実施形態では、30度以下、例えば15度以下、10度以下の角度で整合される。いくつかの実施形態では、軸線方向の繊維は、軸線方向に対して3〜15度(上限及び下限を含む)、又は例えば、3〜10度(上限及び下限を含む)、又は更には5〜10度(上限及び下限を含む)の角度で整合される。
【0037】
いくつかの実施形態では、1つ以上の繊維複合材料層は、軸線方向に対して45〜70度(上限及び下限を含む)、又は例えば、50〜60度(上限及び下限を含む)、又は更には53〜56度の角度で整合される。例えば、理想的な無限円柱を巻回する場合、54.7度の巻回角度が使用されて、フープ強度と軸線方向の強度との2:1の比が達成される。
【0038】
図3に示すように、いくつかの実施形態では、壁は、繊維複合材料層に加えてライナー270を含む。いくつかの実施形態では、ライナーは、金属、例えば、アルミニウム、鋼(例えば、ステンレス鋼)、チタン、又はこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ライナーは、ポリマー、例えば、HDPE等のポリオレフィンを含む。セラミックライナーも使用されている。いくつかの実施形態では、ライナー自体は、同じか又は異なる材料の複数の層を備えていてもよい。例えば、コーティング又はフィルムは、例えば、耐浸食性、耐腐食性、並びに/又は水分及び気体バリアを含む耐化学性及び耐拡散性を提供するよう適用されてもよい。ライナーの内面、又はライナーの内面に適用されている任意の場合による層の内面は、壁210の内面212を提供する。
【0039】
複合材料層にもコーティング又はフィルムが適用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、任意の層280は、複合材料層の外側表面に隣接して位置し、壁210の外面214を提供する。そのような場合による層の組成は、例えば耐損傷性、耐衝撃性、外観、滑らかさ、耐浸食性、耐腐食性、及び/又は耐化学性を含む多様な所望の特性を提供するように選択されてもよい。そのような層はまた、バリアとして提供されて、複合材料層の破損が生じないように繊維を束縛してもよい。
【0040】
本開示の圧力容器の少なくとも1つの繊維複合材料層における樹脂系は、マトリックス樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、フープ整合された繊維を含む繊維複合材料層の少なくとも50%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、又は更には全部の樹脂系は、マトリックス樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、繊維複合材料層(例えば、フープ整合された層と軸線方向に整合された層)の少なくとも50%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、又は更には全部の樹脂系は、マトリックス樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含む。
【0041】
圧力容器は、多様な形状を有することができるが、単位表面積当たりの容積を最大にし、また応力集中の範囲を避けるように、多くの場合、円筒形又は球形である。図1において、2つの開放端を有する圧力容器が示されている。末端部116及び118の両方が開放され又は密封されていないため、流体は、壁110により抑制された圧力下で、開放容器120を通して揚送されることができる。
【0042】
一般に、圧力容器の形状及び断面は、既知の設計検討事項に従って選択され得る。軸線方向に直交する楕円形、例えば、円形の断面を有する壁を備えた圧力容器が一般的である。そのような圧力容器は、楕円形の壁の末端部を密封する1つ以上のキャップを含んでもよい。加えて、楕円体、例えば、球体の圧力容器も既知である。図4及び5は、本開示のいくつかの実施形態による、代表的な他の数個の圧力容器を示す。
【0043】
図4は、円筒形の圧力容器300を示し、圧力容器300は、開放容積320を包囲する円筒形の壁310を含む。圧力容器310はまた、第1の末端部316に隣接して第1のキャップ356を含み、第2の末端部318に隣接して第2のキャップ358を含む。「ヘッド」とも称されるキャップは、圧力容器内の流体を束縛するよう使用される。第1のキャップ及び第2のキャップは、壁310の末端部において密封を提供し、結果として得られる囲まれた容器の加圧を可能にする。いくつかの実施形態では、キャップは、壁の末端部と一体化されてもよい。いくつかの実施形態では、キャップは、壁の末端部に取り付けられ、例えば、除去可能に取り付けられてもよい。取り付けの方法、例えば、溶接、接着剤等は、構成体の材料と、十分理解された他の設計パラメーターと、に依存するであろう。
【0044】
半球体として示しているが、任意の所望のキャップ形状を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、半楕円形状のキャップを使用してもよい。図4は、両端にキャップを有する圧力容器を示しているが、一端のみにキャップを有する圧力容器も可能である。
【0045】
図5に、球形の圧力容器400を示す。ここでは、球形の壁410が開放空間420を囲んでいる。一般に、全ての他の因子が等しい場合、球形の圧力容器は、所望の容積及び最大内圧を提供するのに最小の大きさを必要とする。
【0046】
図示していないが、円筒形の圧力容器310及び球形の圧力容器410は、典型的には1つ以上の密封可能な開口部、例えば、弁又はネジ継手(threaded fitting)を含んで、開放空間内への流体の導入を可能にするであろう。加えて、それらと同じ開口部、又は他の開口部が存在して、圧力容器からの流体の放出を可能にするであろう。
【0047】
一般に、本開示の繊維複合材料は、樹脂系で含浸された繊維を含む。樹脂系は、硬化性樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含む。
【0048】
概して、繊維複合材料での使用に好適な任意の繊維が使用されてもよい。代表的な繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維、及びポリエチレン繊維が挙げられる。また、材料の組み合わせが使用されてもよい。一般に、繊維複合材料の1つ以上の層は、個々の又は束の連続繊維、例えば、繊維のトウの一方向アレイとしての繊維を組み込んでいる。しかしながら、いくつかの層には、織物、ニットの織物、紡ぎ糸、粗紡糸、編組構成、及び繊維の不織布マットも使用することができる。
【0049】
概して、任意の既知の硬化性樹脂又は樹脂の組み合わせが使用されてもよい。いくつかの実施形態では、熱硬化性樹脂及び放射線硬化性(例えば、紫外線硬化性又は電子ビーム硬化性)樹脂が使用されてもよい。好適な樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、及びウレタンアクリレート樹脂が挙げられる。いくつかの実施形態では、脂肪族及び芳香族ポリエポキシド樹脂を含む、ポリエポキシド樹脂が使用されてもよい。代表的なエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA及びビスフェノールFに基づくもの、例えば、商品名「EPON」でMomentive(Columbus,Ohio)(以前はHexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,Ohio))から入手可能なものが挙げられる。代表的な他のエポキシ樹脂としては、商品名「HELOXY」でMomentiveから入手可能なもの等の、低粘度エポキシ類が挙げられる。
【0050】
一般に、表面改質ナノ粒子は、コアの表面に結合された1つ以上の表面改質剤を有する無機コアを含む。いくつかの実施形態では、コアは金属酸化物を含む。任意の既知の金属酸化物が使用できる。代表的な金属酸化物としては、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、バナジア、クロミア、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化亜鉛、セリア、及びこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、コアは、ある金属酸化物に付着する別の金属の酸化物を含む。いくつかの実施形態では、コアは、非金属酸化物に付着する金属酸化物を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、コアは、カーボネート、例えばカルサイトを含む。カルサイトは、炭酸カルシウムの結晶形であり、典型的には、菱面体晶を形成する。
【0052】
いくつかの実施形態では、コアは、約5ナノメートル〜約500ナノメートル、いくつかの実施形態では約5ナノメートル〜約250ナノメートル、更にいくつかの実施形態では約50ナノメートル〜約200ナノメートルの一次粒径を有する。いくつかの実施形態では、コアは、少なくとも約5ナノメートル、いくつかの実施形態では少なくとも約10ナノメートル、少なくとも約25ナノメートル、少なくとも約50ナノメートル、いくつかの実施形態では少なくとも約75ナノメートルの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、コアは、約500ナノメートル以下、約250ナノメートル以下、いくつかの実施形態では約150ナノメートル以下の平均直径を有する。粒径は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)に基づいて測定することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、樹脂系による繊維の湿潤又は含浸中、繊維によるナノ粒子の濾過を抑制し、例えば、最小にし、又は排除さえもすることが望ましい場合がある。より大きい粒子又は粒子凝集体は、連続繊維複合材料の作製プロセス中、繊維が樹脂系で飽和される間、樹脂系から濾過又は分離され得る。このことは、最終的な複合材料全体における粒子及び樹脂の非均一な分布をもたらし、その結果、物理的特性の低下と、応力が集中する欠陥部位と、を生じさせ得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子コアの少なくとも70%、例えば、少なくとも75%は、400nm未満の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、コアの少なくとも90%、いくつかの実施形態では、少なくとも95%、又は更には少なくとも98%が、400nm未満、又は例えば、200nm未満、又は更には100nm未満の平均寸法を有する。
【0054】
コアに加えて、本開示のナノ粒子は表面改質され、即ち、コアの表面に表面改質剤が結合されている。
【0055】
概して、本開示の表面改質剤は、少なくとも結合基と相溶化セグメントとを含む。
【0056】
Comp.Seg.−結合基、
(式中、「Comp.Seg.」は、表面改質剤の相溶化セグメントを指す。)
相溶化セグメントは、ナノ粒子の硬化性樹脂との相溶性を改善するように選択される。概して、相溶化基の選択は、硬化性樹脂の性質、ナノ粒子の濃度、及び所望の相溶性の度合いを含む、多数の因子に依存する。カルサイトナノ粒子を使用する場合、有用な相溶化剤としては、ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせが挙げられる。シリカナノ粒子を使用する場合、典型的な相溶化剤としては、飽和及び不飽和の芳香族又は脂肪族炭化水素、酸化アルカン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
いくつかの実施形態では、相溶化セグメントは、表面改質ナノ粒子及び硬化性樹脂を含有する組成物に対して、正の混合エンタルピーを提供するように選択されてもよい。混合エンタルピーが正である場合、樹脂中のナノ粒子の分散は、典型的には、安定している。正の混合エンタルピーを確実にするために、相溶化セグメントの溶解度パラメーターは、硬化性樹脂の溶解度パラメーターに適合されてもよい。いくつかの実施形態では、材料は、「Properties of Polymers;Their Correlation with Chemical Structure;Their Numerical Estimation and Prediction from Additive Group Contributions」、第3版、D.W.Van Krevelen編集、Elsevier Science Publishers B.V.,Chapter 7、189〜225(1990)、即ち「溶解度パラメーター手順」により求めたこれらの溶解度パラメーターの差が4J
1/2
cm
−3/2
以下、及びいくつかの実施形態では、2J
1/2
cm
−3/2
以下であるように選択されてもよい。
【0058】
相溶化セグメント又は樹脂等の材料の溶解度パラメーターを求めるいくつかの方法が知られている。例えば、材料の溶解度パラメーターは、異なる溶解度パラメーターの溶媒の範囲内で材料の平衡膨潤度の測定から求めることができる。溶媒自体の溶解度パラメーターは、それらの蒸発熱から求めることができる。溶解度パラメーターデルタ(δ)は、関係、δ=(E
coh
/V)
1/2
により凝集エネルギーE
coh
及び比体積Vに関係する。低分子量の溶媒の場合、凝集エネルギーは、E
coh
=ΔH
vap
−pΔV=ΔH
vap
−RTにより蒸発のモル熱ΔH
vap
と密接に関係する。したがって、E
coh
及びδは、溶媒の蒸発熱又は温度の関数としての蒸気圧から計算することができる。材料の溶解度パラメーターを求めるため、材料の平衡膨潤対溶媒の溶解度パラメーターのプロットを作成する。材料の溶解度パラメーターは、最大膨潤が得られるこのプロット上の点として画定される。膨潤は、材料のそれ未満である又はそれを超える溶解度パラメーターを有する溶媒に対してより小さくなる。あるいは、官能基の付加寄与に基づき、材料の溶解度パラメーターを理論的に見積もるいくつかの既知の方法がある。
【0059】
結合基はコアの表面に結合し、表面改質剤をコアに結び付ける。いくつかの実施形態では、表面改質剤は、コアに共有結合される。これは、コアがシリカの場合に一般的である。いくつかの実施形態では、表面改質剤は、コアにイオン的に結合(例えば、会合)される。これは、カルサイトコアに一般的である。
【0060】
組成物の処理中にイオン的に結合した表面改質剤を保持するために、コアに対して高結合エネルギーを有する結合基を選択することが望ましい場合がある。結合エネルギーは、密度汎関数理論計算を使用して予測することができる。いくつかの実施形態では、計算された結合エネルギーは、少なくとも0.6、例えば、少なくとも0.7電子ボルト(1.12×10
−19
J)であってもよい。概して、結合エネルギーが大きくなるほど、結合基が粒子表面とイオン的に会合した状態のままである可能性は大きくなる。いくつかの実施形態では、少なくとも0.8、例えば、少なくとも0.9、又は更には少なくとも0.95電子ボルト(1.52×10
−19
J)の結合エネルギーが有用であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、結合基は、ホスホン酸、例えば、以下の式を有する表面官能化剤を含む。
【0062】
【0063】
いくつかの実施形態では、結合基は、スルホン酸、例えば、以下の式を有する表面官能化剤を含む。
【0064】
【0065】
いくつかの実施形態では、表面改質剤はまた、反応基、即ち、例えば、硬化プロセス中に硬化性樹脂と反応することが可能な基を含む。これは、樹脂マトリックスに強く結合されるナノ粒子をもたらすことができ、得られる硬化ナノ複合材料の物理的特性の改善をもたらし得る。概して、反応基は、硬化性樹脂の性質に基づき選択される。いくつかの実施形態では、反応基は、相溶化セグメントの末端部に位置してもよい。
【0066】
Rx.Group−Comp.Seg.−結合基
(式中、「Rx.Group」は、反応基である。)いくつかの実施形態では、反応基は、相溶化セグメントの主鎖に沿って、又は主鎖にぶら下がって位置してもよい。いくつかの実施形態では、反応基は、相溶化セグメントと結合基との間に位置してもよい。
【0067】
Comp.Seg.−Rx.Group−結合基
いくつかの実施形態では、連結基が存在し、相溶化セグメントを結合基と結びつける。
【0068】
Comp.Seg.−連結基−結合基
本開示の組成物は、硬化されてもよい。いくつかの実施形態では、硬化性樹脂は、架橋される。熱エネルギー又は化学線(例えば、紫外線及び電子ビーム照射)への暴露を含む、任意の既知の架橋法が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、硬化性樹脂はまた、表面改質剤と反応してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、表面改質剤の反応基が、硬化性樹脂と反応、例えば、共有結合してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、硬化剤、硬化促進剤、触媒、架橋剤、染料、顔料、難燃剤、衝撃改質剤、及び流動制御剤等の更なる添加剤を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、組成物は、強化剤、例えば、ゴム強化剤を含んでもよい。代表的なゴム強化剤としては、コアシェルゴム及び自己組織化ブロックコポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、ナノサイズコアシェルゴム強化剤、即ち、1マイクロメートル未満の平均粒径を有するコアシェルゴム強化剤が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノサイズコアシェルゴム強化剤は、500nm未満、250nm未満、又は更には100nm未満の平均粒径を有する。代表的なナノスケールのコアシェルゴム強化剤は、例えばKaneka Texas Corporationから入手可能であり、商標名「KANE ACE」で入手可能なものが挙げられる。いくつかの実施形態では、カルボキシル末端ブタジエン−アクリロニトリル(CTBN)ゴム等の相分離ゴムも使用することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、マイクロメートルサイズコアシェルゴム強化剤、即ち、1マイクロメートルを超える、例えば、1〜10マイクロメートルの平均粒径を有するコアシェルゴム強化剤が使用されてもよい。代表的なマイクロメートルスケールのコアシェルゴム強化剤は、例えばRohm & Haasから入手可能であり、商標名「PARALOID」で入手可能なものが挙げられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、ゴム領域は、自己組織化ブロックコポリマーの添加により作製することができる。代表的な自己組織化ブロックコポリマーは、例えば、Arkema,INC.から入手可能であり、商標名「NANOSTRENGTH」で入手可能なものが挙げられる。
【0073】
概して、本開示の組成物を使用して、繊維複合材料を形成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、強化用繊維を組成物で含浸して、複合材料圧力容器を形成してもよい。次いで、樹脂は、熱エネルギー及び/又は化学線への暴露を含む、任意の既知の手段を使用して硬化されてもよい。
【0074】
圧力容器を製造する任意の既知の方法を使用することができる。代表的な方法としては、繊維トウをライナーに適用するのに先だって、トウを樹脂系で含浸する湿式フィラメントワインディングと、繊維を最初にライナーに適用し、続いて樹脂で含浸する乾式フィラメントワインディングと、が挙げられる。複合材料圧力容器の形成には、編組を用いてもよい。「トウプレグ」を用いた編組又はワインディングも、圧力容器の製造にて既知である。トウプレグは、樹脂系で予め浸透した繊維束(例えば、トウ)からなる。このトウプレグは、任意の追加の湿潤樹脂を有さずに適用することができ、適用後、直接硬化させることができる。
【実施例】
【0075】
試験方法
ガスクロマトグラフィー(GC)法
HP 7683インジェクタと、HP−5カラム(長さ30メートル及び内径320マイクロメートルの(5%フェニル)−メチルポリシロキサン(Agilent Technologies,Incorporated(Santa Clara,California)から入手可能)を備えた、商品名「AGILENT 6890N」で市販されているガスクロマトグラフを使用して、ガスクロマトグラフィーを行った。以下のパラメーターを使用した:1マイクロリットルアリコートの10%サンプル溶液(GCグレード・アセトン中)を注入した;分離流入モードを250℃、65.6kPa(9.52psi)及び111mL/分の総流入量で設定;65.6kPa(9.52psi)で設定されたカラム定圧モード;34センチメートル/秒で設定された速度;2.1mL/分のガス流量;検出器とインジェクタの温度は250℃;5分間の40℃での平衡状態後、上昇速度20℃/分で260℃までの温度シーケンス。
【0076】
熱重量分析(TGA)法
ナノ粒子エポキシ生成物の固体含有率を決定するために、生成物のおよそ20mgのサンプルを白金TGAパン内に配置した。パンをTGA(Q500、TA Instruments,Inc.・BR>INew Castle,DE))に装填し、空気パージガス中で30℃から900℃まで20℃/分の速度で高めた。
【0077】
シリカナノ粒子を含むサンプルの場合、850℃で残っているサンプルの重量(初期重量の百分率として)を不燃材料の重量パーセントとして取得し、シリカ固体である生成物の重量パーセントとして報告した。カルサイトナノ粒子を含むサンプルの場合、残重量は、900℃でカルサイトから有機物及び二酸化炭素の全部を揮発させた後、サンプル中に残っているCaOであると想定された。次いで、CaO残留物の重量パーセントを0.56で除算することにより、元のサンプル中のカルサイトの重量パーセントを計算した。
【0078】
粒径方法
ナノ粒子分散物をアセトンで約1%固体に希釈した。次いで、透過性が85%〜95%の推奨レベルの間になるまで、サンプルをアセトンで充填された測定セルに添加した。ナノ粒子の粒径は、商品名「HORIBA LA−950」でHoriba,Ltd.Corporation(Kyoto,Japan)から市販されている分析機を使用して、レーザー回折により測定した。計算のための光学モデルは、カルサイトに対して1.6000及び溶媒アセトンに対して1.3591の屈折率を使用した。平滑化のために第2の差動法が使用され、150回の反復に基づいた。
【0079】
比較例1(CE−1)
比較例1の圧力容器物品は、1.111重量部のEPON 828エポキシ樹脂(Hexion Specialty Chemicals,Inc.(Columbus,Ohio)から獲得)と、商品名「LINDRIDE 36Y」でLindau Chemicals Inc.(Columbia,South Carolina)から入手可能なもの等の、1.00重量部の、促進剤を有する液体無水物硬化剤と、をプラスチック容器内で組み合わせることにより形成された。2つの樹脂を、よく混合するまで、木製撹拌棒を用いて手で混合した(およそ1〜2分間)。この樹脂と硬化剤混合物とを使用して、CE−1のための3つの個々の圧力容器を形成した。
【0080】
実施例1(EX−1)
表面改質シリカナノ粒子を含有する樹脂系を含む繊維複合材料を、以下のように調製した。0.73重量部のNALCO 2327シリカ(Nalco Chemicals(Naperville,Illinois)製の水性分散物中41.1重量%のシリカ、ロットBP9J1622A4)を磁気撹拌棒と共にジャーに加えることにより、表面改質シリカ(SMS)ナノ粒子を調製した。ジャーを撹拌板上に乗せ、溶液を攪拌して2〜5cmの渦を形成した。次いで、1.00重量部のメトキシプロパノールを0.03674重量部のトリメトキシフェニルシラン(Gelest Inc.(Morrisville,Pennsylvania)、ロット番号1B−15944)と混合した。得られたメトキシプロパノール混合物を、磁気撹拌棒で攪拌しながら、シリカを含むジャーに徐々に注ぎ込んだ。ジャーを密閉し、80℃のバッチ炉に16時間入れた。「SMS−1」と同定された得られたサンプルは、16.9重量%のシリカを含んでいた。
【0081】
1.69重量部のシリカゾル(NALCO 2329K、水性分散物中40.7重量%、ロットBP9A1739A0)をオープンヘッドステンレス鋼混合容器に入れることにより、表面改質シリカナノ粒子を調製した。次いで、1.00重量部のメトキシプロパノールを撹拌しながらゆっくり加え、その後、混合物に0.0225重量部のトリメトキシフェニルシラン(Gelest Inc.、ロット1B−15944)をゆっくり加えた。混合物を空気圧駆動式インペラーで30分間攪拌した。
【0082】
PCT公開第WO2009/120846(A2)号に記載されているもの等の連続フロー熱水反応器を使用して、シリカナノ粒子を首尾よく表面官能化した。27リットルの反応器は、18.3メートルの外径(OD)1.27cm(内径(ID)1.09cm)のステンレス鋼管、それに続く12.2メートルのOD 0.95cm(ID 0.77cm)のステンレス鋼管、それに続く198.1メートルのID 1.27cmの高強度304ステンレス鋼編外装のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)滑腔内側管からなっていた。水熱反応器内の油温度を155℃に維持し、背圧調整器(TESCOM(Elk River,MN))をゲージ圧2.14MPaに維持した。隔壁ポンプ(LDC1 Ecoflow,American Lewa(Holliston,MA))を使用して、反応器を通した流速を760mL/分に制御し、35分間の滞留時間を得た。連続フロー熱水反応器からの流出液をHDPEドラム内に収集し、SMS−2と同定した。
【0083】
ナノ粒子エポキシ生成物の調製
以下の材料、0.92重量部のSMS−1、5.39重量部のSMS−2、1重量部のメトキシプロパノール、1.07重量部のエポキシ樹脂(EPON 828)、及び0.27重量部のシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107)を撹拌しながら380リットルのケトルに加え、フィード混合物を形成して、よく混合した。ケトルを25℃で維持し、構成要素を最低14時間攪拌した。BLBシリーズの回転外部スプールギア(rotary external spur gear)とケミカルデューティギアポンプ(chemical duty gear pump)(BUSS FILMTRUDER,Zenith Pumps(Sanford,NC))とを使用して、国際特許出願第PCT/US10/35924号(2010年5月24に出願された「Process for Making Filled Resins」)に記載されているようなワイプトフィルム蒸発器(WFE)、即ち、1平方メートルのWFE逆流ポリマー加工機の上部入口へ混合物を計量した。WFEロータ(BUSS Filmtruder型)を25馬力、340rpmに設定した。2.5〜2.8kPaのレベルの真空を適用した。フィード混合物を、表1に示された条件に供した。約15分間操作した後で、生成流出液を、溶剤を含まない青白い流体液体材料として分離した。
【0084】
【0085】
得られた、エポキシ樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含有する樹脂系が冷却するにつれて、粘度が高まって粘着性の液体樹脂となり、これを熱重量分析(TGA)法及びガスクロマトグラフィー(GC)法により分析した。TGA結果は、樹脂系中のシリカ固体が52.2重量%であることを示した。GCによる残留溶媒の分析から、樹脂系中に0.05重量%未満のメトキシプロパノールが残っており、また検出可能な量の水がないことが分かった。
【0086】
希釈ナノ粒子エポキシ生成物の調製
22.56重量部の樹脂系を1.00重量部のエポキシ樹脂(EPON 828)及び0.25重量部のシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107)と組み合わせることにより、樹脂系を希釈した。得られた、よく混合されたサンプルに関するTGA分析は、希釈ナノ粒子エポキシ生成物中のシリカ固体が49.5重量%であることを示した。
【0087】
圧力容器の形成に使用される樹脂と硬化剤との混合物の調製
2.24重量部の希釈ナノ粒子エポキシ生成物を、1.00重量部の、促進剤を有する液体無水物硬化剤(LINDRIDE 36Y)と共にプラスチックバケツ内に測定した。樹脂を、よく混合するまで、木製撹拌棒を用いて手で混合した(およそ3分間)。この樹脂系と硬化剤との混合物を使用して、実施例−1の3つの個々の圧力容器を形成した。
【0088】
実施例2(EX−2)
表面改質カルサイトナノ粒子を含有する樹脂系を含む繊維複合材料を、以下のように調製した。最初に、18,015グラムのカルサイト(SOCAL 31);9,608グラムのエポキシ樹脂(EPON 828);2,402グラムのシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107);1,352グラムのJASリガンド;及び5,500グラムのメチルエチルケトン(MEK)を、f−ブレードを備えたディスペンサー(BYK−Gardner(Columbia,MD,USA))を用いて予め混合した。取り扱いを容易にするために、JASを90℃に予熱して、その粘度を低下させた。
【0089】
JASリガンドの構造は、次の通りである。
【0090】
【0091】
JASリガンドは、国際特許出願第PCT/US2009/068359号(2009年12月17日に出願された「Nanocalcite Composites」)にてLigand Vについて記載されているように調製されてもよい。
【0092】
次いで、ステンレス鋼チャンバ及び攪拌器を備えたLME−4水平ミル(NETZCH Fine Particle Technology(Exton,PA,USA))を用いて、Mollinex構成を使用して、プレミックスの粉砕を行った。密封流体として1−メトキシ−2−プロパノールを使用した。粉砕媒体は、0.5mmのイットリウム安定化ジルコニアであった。媒体負荷は、粉砕チャンバ容積の85%であった。上記で提供した組成物の2つのバッチを粉砕した。第1の組成物は、1時間45分粉砕し、第2の組成物は、2時間30分粉砕した。粉砕した両方のバッチは、粒径方法に従って測定して、265nmの同一の平均粒径と、単一の粒径分布ピークとを有した。
【0093】
次いで、粉砕した2つのバッチを、MEKの除去のために10ガロン(37.9L)のステンレス鋼ケトル内に負荷した。100℃の公称バッチ温度に到達するまで、5時間にわたってバッチ温度を徐々に上昇させた。真空のために吸引器を使用し、88kPaの公称真空を達成した。100℃の公称バッチ温度に到達した後、100℃の公称バッチ温度を維持しながら、真空源を吸引器から真空ポンプに15分間切り替えた。真空ポンプは、91kPaの公称真空を達成した。次いで、ケトル内の内容物を流し出した。
【0094】
次いで、上述したように調製したケトル内容物26,136グラムを、商品名「KANE ACE MX−257」でKaneka Texas Corporation(Pasadena,California)から市販されている樹脂中のコアシェルゴム粒子2,927グラム;シクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107)755.1グラム;及びエポキシ樹脂(EPON 828)1,176.12グラムと組み合わせ、コウエルズブレード(cowels blade)を用いて均質になるまで混合した。最後に、このナノカルサイト配合樹脂2,721.6グラムを、促進剤を有する液体無水物硬化剤(LINDRIDE 36Y)1,143.1グラムと組み合わせた。
【0095】
圧力容器物品の調製
複合材料で包まれた圧力容器(COPV)を、HyPerComp Engineering,Inc.の設備(Brigham City,UT)にて、ENTEC Composite Machines(Salt Lake City,Utah)から市販されているプログラム可能な4軸のフィラメントワインダーを使用して製作した。繊維経路は、樹脂浴の前の6つのナイロンローラーからなり、樹脂浴の後に2つの棒鋼と2つのセラミック小穴とを有した。
【0096】
実施例1、実施例2、又は比較例1のエポキシ樹脂系中で飽和させた炭素繊維(TORAY T700SC−12000−50C、ロット# A2106M2,Toray Carbon Fibers America,Inc.(Decatur,AL))を、アルミニウムライナー(容量7.5L 6061 T6アルミニウム標準試験物品ライナー)の周囲に巻回することによって圧力容器を調製した。コーティングプロセスは、4つの繊維のトウをドラムを横切って通過させることからなり、ドラムは樹脂系のパンを通して回転する。過剰の樹脂系は、繊維と接触する前に、計量ブレード(metering blade)を使用してドラムから擦り落とされた。繊維は湿潤ドラムとの接触を介して樹脂系で飽和された状態となった後、フィラメントワインダー上に渡され、繊維はアルミニウムライナーに適用された。
【0097】
各容器は、6つのフープ層及び2つの螺旋層からなるパターンを用いて巻回された。巻回パターンの速度を、表2に列挙する。実施例2のフープ速度は、実施例1及び比較例1のフープ速度と比較して低減された。加えて、実施例1及び2の樹脂系の温度は、比較例1で使用された周囲条件(即ち、21〜24℃)に対して、27〜32℃に上昇された。これらの変更は、コーティングプロセス中、所望の樹脂/硬化剤系の移動を繊維に提供するために行われた。
【0098】
【0099】
全容器は、以下のプロトコルに従って、単一の炉内で一緒に硬化された。63℃で3時間保ち、温度を約3℃/分で91℃に上昇させ、91℃で2時間保ち、温度を約3℃/分で85℃に低下させ、85℃で6時間保つ。各アルミニウムライナーの重量及び直径をフィラメント巻回プロセスの前に記録し、巻回及び硬化工程の後に再度、記録した。結果を表3に要約する。
【0100】
【0101】
圧力容器試験
全容器を、同じ試験設定を使用して、同じ日に水圧破裂試験した。試験を続いて行う間、硬化圧力容器を水道水で満たし、10〜90分間置いた。高圧継手を使用して各圧力容器を個別に高圧水ポンプに接続し、機器を設定して(setup instrumented)、周波数100Hzで圧力を記録した。圧力が60〜90秒の時間内で40〜48MPa(6000〜7000psi)に上昇するように、圧力容器に水を加えた。
【0102】
破損直前に容器にかけられた最大圧力(圧力の劇的低下により示される)として、破裂圧力を報告した。Autodesk(San Rafael,California)から入手可能な「ALGOR FEA」ソフトウェア等の有限要素解析ソフトウェアを使用する非線形解析を用いて、容器に関する有限要素解析を行った。破裂試験の結果と総供給繊維強度の計算、及び変動係数を表4に報告する。示されるように、表面改質ナノ粒子を含む樹脂系は、平均供給繊維強度において対照サンプル繊維強度に対して劇的な7%の増大を提供した。
【0103】
【0104】
「The effect of fiber volume fraction on filament wound composite pressure vessels」と題された論文(Composites:Part B 32(2001),pp.413〜429),Cohenら、には、破損までの繊維歪みのデータを使用して、繊維の体積分率を50%から65%に増大させることによって、どのように複合材料繊維強度の10%増大が達成され得るかを報告した。しかしながら、Cohenらは、そのような高い体積分率を用いた複合材料の製造は、取るに足らない問題ではないとも示した。
【0105】
対照的に、本発明者らは、水圧破裂試験における複合材料繊維強度の7%の増大は、繊維体積分率を増大させなくても達成できることを発見した。マトリックス特性を無視する従来の手法に反して、本発明者らは、複合材料繊維強度の有意な向上は、マトリックス樹脂中に表面改質ナノ粒子を組み込むことにより達成できることを発見した。
【0106】
比較例2(CE−2)
5つの容器を調製した。それらがフィラメント巻回され、2つの別個のバッチにて硬化されたことを除いて、比較例2の圧力容器物品を比較例1の方法と同一の方法で形成した。
【0107】
実施例3(EX−3)
表面改質シリカナノ粒子を含有する樹脂系を含む繊維複合材料を、以下のように調製した。1.69重量部のシリカゾル(NALCO 2329K、水性分散物中40.87重量%のシリカ、ロットBP0D1847A0)をオープンヘッドステンレス鋼混合シリカ容器に入れることにより、表面改質シリカナノ粒子を調製した。次いで、1.00重量部のメトキシプロパノールを撹拌しながらゆっくり加え、その後、混合物に0.0197重量部のトリメトキシフェニルシランをゆっくり加えた。混合物を空気圧駆動式インペラーで30分間攪拌した。
【0108】
SMS−2の作製に記載したものと同じ連続フロー熱水反応器及び反応条件を使用して、SMS−3を調製した。熱水反応器からの流出液を、SMS−3と同定した。
【0109】
0.73重量部のシリカゾル(NALCO 2327、水性分散物中41.1重量%のシリカ、ロットBP9J1622A4)をオープンヘッドステンレス鋼混合容器に入れることにより、表面改質シリカナノ粒子を調製した。次いで、1.00重量部のメトキシプロパノールを撹拌しながらゆっくり加え、その後、混合物に0.0237重量部のトリメトキシフェニルシランをゆっくり加えた。混合物を空気圧駆動式インペラーで30分間攪拌した。
【0110】
TESCOM背圧ゲージを2.21MPaのゲージ圧に維持し、滞留時間が35.5分間であったことを除いて、SMS−2の作製に記載したものと同じ連続フロー熱水反応器と反応条件とを使用して、SMS−4を調製した。熱水反応器からの流出液を、SMS−4と同定した。
【0111】
ナノ粒子エポキシ生成物を、以下の材料を撹拌しながら380リットルケトルに加えてフィード混合物を形成したことを除いて、EX−1と同じ方法で調製した。5.36重量部のSMS−3、0.88重量部のSMS−4、1重量部のメトキシプロパノール、1.24重量部のエポキシ樹脂(EPON 826)、及び0.31重量部のシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107)。このフィード混合物を表5に示された条件に供した。
【0112】
【0113】
得られた、エポキシ樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含有する樹脂系が冷却するにつれて、粘度が高まって粘着性の液体樹脂となり、これをTGA及びGCにより分析した。TGAは、樹脂系中のシリカ固体が48.54重量%であることを示した。GCによる残留溶媒の分析から、樹脂系中に検出可能な量のメトキシプロパノールは存在せず、また検出可能な量の水が存在しないことが分かった。
【0114】
圧力容器を形成するための樹脂と硬化剤との混合物の調製。2.03重量部のナノ粒子エポキシ生成物を1.00重量部の、促進剤を有する液体無水物硬化剤(LINDRIDE 36Y)と共にプラスチックバケツ内へ測定した。樹脂を、よく混合するまで、木製撹拌棒を用いて手で混合した(およそ3〜5分間)。この樹脂系と硬化剤との混合物を使用して、実施例−3の2つの個々の圧力容器を形成した。
【0115】
EX−3の圧力容器の形成に使用した樹脂と硬化剤との混合物の温度を、37℃〜46℃に維持した。
【0116】
実施例4(EX−4)
ナノ粒子エポキシ生成物を、以下の材料を撹拌しながら380リットルケトルに加えてフィード混合物を形成したことを除いて、EX−1と同じ方法で調製した。5.36重量部のSMS−3、0.88重量部のSMS−4、1重量部のメトキシプロパノール、1.0重量部のエポキシ樹脂(EPON 826)、0.25重量部のシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107)、及び0.30重量部のコアシェルゴム(KANEKA MX−257)。このフィード混合物を、表5に示された条件に供した。
【0117】
得られた、エポキシ樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含有する樹脂系が冷却するにつれて、粘度が高まって粘着性の液体樹脂となり、これをTGA及びGCにより分析した。TGAは、樹脂系中のシリカ固体が48.73重量%であることを示した。GCによる残留溶媒の分析から、樹脂系中に検出可能な量のメトキシプロパノールは存在せず、また検出可能な量の水が存在しないことが分かった。
【0118】
圧力容器を形成するための樹脂と硬化剤との混合物の調製。2.22重量部のナノ粒子エポキシ生成物を1.00重量部の、促進剤を有する液体無水物硬化剤(LINDRIDE 36Y)と共にプラスチックバケツ内へ測定した。樹脂を、よく混合するまで、木製撹拌棒を用いて手で混合した(およそ3〜5分間)。この樹脂系と硬化剤との混合物を使用して、実施例−4の2つの個々の圧力容器を形成した。
【0119】
EX−4の圧力容器の形成に使用した樹脂と硬化剤との混合物の温度を、41℃〜51℃に維持した。
【0120】
CE−2、EX−3及びEX−4の圧力容器は、同じ機器を用いて、同じ繊維のロット(T700SC)、同じアルミニウムライナーのタイプを使用して同じ方法で調製され、CE−1並びにEX−1及びEX−2と同じ方法で硬化された。EX−3及びEX−4に明白に列挙した、異なる樹脂浴温度のみが例外であった。巻回パターン速度は、CE−2、EX−3及びEX−4に関して記録しなかった。各アルミニウムライナーの重量及び直径をフィラメント巻回プロセスの前に記録し、巻回及び硬化工程の後に再度、記録した。結果を表6に要約する。
【0121】
【0122】
EX−3及びEX−4の容器の硬化後の重量及び直径は、CE−2の容器の硬化後の重量及び直径よりも大きかった。CE−1、CE−2、EX−1、EX−2、EX−3及びEX−4の全容器は、同じ機器上で、同じ繊維のロットを使用して同じフィラメント巻回パターンで形成されたため、それぞれ等しい重量の炭素繊維を含んでいた。EX−3及びEX−4の重量の増大(CE−2に対する)は、樹脂コーティング及び樹脂浴温度の最適化の不足による容器上の過剰な樹脂を原因とする。過剰な樹脂のほとんどは、硬化中に容器の外部に強制されたため(硬化容器の外部の樹脂に富んだ外観に注目して)、CE−2並びにEX−3及びEX−4容器の繊維体積は、樹脂重量の相違にも係わらずCE−2の容器とほぼ等しいと予想された。
【0123】
CE−2、EX−3及びEX−4の圧力容器の水圧破裂試験に先だって、空の容器を落下ダート(4.54kgの棒鋼、直径およそ5.1cm、半球形末端部を有する)からの衝撃に供し、落下ダートは静止容器の側壁の中央を打った。ダートの衝撃エネルギーは、落下前のダートの高さを操作することにより調節した。衝撃エネルギーは、ダートの質量を、ダートが解放された高さにより乗算して計算した。落下ダートが試験高さから解放された後、落下ダートは、最初の落下後、エネルギーが消費され、ダートが容器の側壁と接触して動かなくなるまで、容器の側壁を数回打つことが可能であった。ダートが衝突した損傷領域内で、複合材料圧力容器が容器の元の輪郭からくぼんだときに、複合材料圧力容器の損傷領域の永久ゆがみの深さ測定値を記録した。
【0124】
CE−2、EX−3及びEX−4の容器がダート衝撃に供された後、これらはCE−1、EX1及びEX−2に関して使用されたものと同じ方法により水圧破裂試験され、同じ有限要素解析方法が遂行された。衝撃による損傷の深さの結果及び水圧破裂試験の結果は、表7に含まれる。CE−1の水圧破裂結果を表7に含めて、水圧破裂試験に先だって衝撃損傷に供されなかった対照容器として比較した。
【0125】
【0126】

対照サンプルの繊維強度の平均百分率は、365.8cmの衝撃落下後の物品の供給繊維強度(又は適用可能な場合、2つの物品の平均)を、2944MPa(427.0ksi)を示した対照試験容器(CE−2容器#5)の供給繊維強度で除算し、100で乗算することにより計算した。
【0127】
**
元の繊維強度の平均百分率は、物品の供給繊維強度(又は適用可能な場合、2つの物品の平均)を、供給繊維強度5018MPa(727.7ksi)を示した元の(衝撃なし)対照試験容器(CE−1容器#1〜3)の平均供給繊維強度で除算し、100で乗算することにより計算した。
【0128】
比較例3(CE−3)
4つの容器が調製され、それらが異なる複合材料パターンでフィラメント巻回されて、繰り返し(疲労)試験により適切な容器を提供した以外は、比較例1及び2と同一の方法で比較例3の圧力容器物品を形成した。CE−1及びCE−2の容器は、破裂試験のみが意図され、繰り返し(疲労)試験は意図されていなかった。CE−1、CE−2の容器とCE−3の容器との相違は、硬化後のライナー直径及び重量の増大(それぞれ表3、表6及び表8)、水圧破裂圧力、並びに水圧破裂等式からの供給繊維強度の増大により示される(表9)。CE−3容器の複合材料層の厚さは、CE−1及びCE−2の容器のおよそ2倍であった。表9に示すように、水圧破裂試験によるCE−3容器の供給繊維強度は、4268MPa(619.1ksi)であった一方、CE−1容器の場合、水圧破裂試験による平均繊維供給強度は、およそ5018MPa(727.7ksi)であった。圧力容器構成体に一般的なように、任意の特定の繊維の供給繊維強度は、容器上の複合材料層の厚さが増大するにつれて低下する。
【0129】
実施例5(EX−5)
表面改質シリカナノ粒子を含有する樹脂系を含む繊維複合材料を、以下のように調製した。1.69重量部のシリカゾル(NALCO 2329K、水性分散物中40.67重量%のシリカ、ロットBP0F1998A0)をオープンヘッドステンレス鋼混合シリカ容器に入れることにより、表面改質シリカナノ粒子を調製した。次いで、1.00重量部のメトキシプロパノールを撹拌しながらゆっくり加え、その後、混合物に0.0208重量部のトリメトキシフェニルシランをゆっくり加えた。混合物を空気圧駆動式インペラーで30分間攪拌した。
【0130】
SMS−2の作製に記載したものと同じ連続フロー熱水反応器及び反応条件を使用して、SMS−5を調製した。熱水反応器からの流出液を、SMS−5と同定した。
【0131】
ナノ粒子エポキシ生成物を、以下の材料を撹拌しながら380リットルケトルに加えてフィード混合物を形成したことを除いて、EX−1と同じ方法で調製した。5.36重量部のSMS−5、0.87重量部のSMS−4、1重量部のメトキシプロパノール、1.18重量部のエポキシ樹脂(EPON8 26)、及び0.30重量部のシクロヘキサンジメタノールのグリシジルエーテル(HELOXY 107)。このフィード混合物を、表5に示された条件に供した。
【0132】
得られた、エポキシ樹脂中に分散された表面改質ナノ粒子を含有する樹脂系が冷却するにつれて、粘度が高まって粘着性の液体樹脂となり、これをTGA及びGCにより分析した。TGA結果は、樹脂系中のシリカ固体が49.16重量%であることを示した。GCによる残留溶媒の分析から、樹脂系中に検出可能な量のメトキシプロパノールは存在せず、また検出可能な量の水が存在しないことが分かった。
【0133】
圧力容器を形成するための樹脂と硬化剤との混合物の調製
2.13重量部のナノ粒子エポキシ生成物を1.00重量部の、促進剤を有する液体無水物硬化剤(LINDRIDE 36Y)と共にプラスチックバケツ内へ測定した。樹脂を、よく混合するまで、木製撹拌棒を用いて手で混合した(およそ3〜5分間)。この樹脂系と硬化剤との混合物を使用して、実施例−5の3つの個々の圧力容器を形成した。
【0134】
3つのみの容器を調製し、繊維コーティング浴内の樹脂の温度を27℃〜32℃に維持した以外は、CE−3の圧力容器と同一の方法でEX−5の圧力容器を調製した。各アルミニウムライナーの重量及び直径をフィラメント巻回プロセスの前に記録し、巻回及び硬化工程の後に再度、記録した。CE−3及びEX−5の容器に関する結果を、表8に要約する。
【0135】
【0136】
EX−5の容器の硬化後の重量及び直径は、CE−3の容器の硬化後の重量及び直径よりも大きかった。CE−3及びEX−5の容器は、同じ機器上で、同じ繊維のロットを使用して同じフィラメント巻回パターンで形成されたため、それぞれ等しい重量の炭素繊維を含んでいた。EX−5の重量の増大(CE−3に対する)は、樹脂コーティング及び樹脂浴温度の最適化の不足による容器上の過剰な樹脂を原因とする。過剰な樹脂のほとんどは、硬化中に容器の外部に強制されたため(硬化容器の外部の樹脂に富んだ外観に注目して)、CE−3及びEX−5容器の繊維体積は、樹脂重量の相違にも係わらず、ほぼ等しいと予想された。
【0137】
CE−3の硬化容器#1を、圧力増大速度を含む、CE−1、CE−2、及びEX−1〜EX−4に記載したものと同じ方法で水圧破裂評価にて試験したが、最終的な破裂圧力に到達するのに要した時間は、CE−3の高い破裂圧力に起因して、CE−1、CE−2、EX−1〜EX−4よりも長かった。表9は、CE−3及びCE−1の容器に関する破裂圧力の比較と、以前記載したCE−1並びにEX−1及びEX−2で使用した有限要素モデル解析により計算した供給繊維強度とを含む。
【0138】
【0139】
CE−3の破裂圧力は、異なるフィラメント巻回パターンと、遙かに厚い複合材料層(繰り返し(疲労)試験に適切であった)とに起因して、CE−1の破裂圧力と比較して有意に増大した。しかしながら、とりわけ、同じ炭素繊維(同じ繊維のロット)、同じ樹脂、及び同じ硬化条件を使用したにも係わらず、CE−3の供給繊維強度は、CE−1の供給繊維強度よりも低かった。供給繊維強度の低下は、複合材料層の厚さの増大の結果であるとして工業界で容認されている。
【0140】
繰り返し試験
繰り返し(疲労)試験に意図されたCE−3の残りの3つのシリンダーとEX−5の3つのシリンダーとを、繰り返し試験に先だって自緊に供した。自緊は、繰り返し試験前の58.6MPa(8500psi)での2分間の保持と37.9MPa(5500psi)での1分間の水圧試験とからなっていた。繰り返しの試験では、重量比25/75のグリコールと水の液体溶液を使用して、10回繰り返し/分を超えない速度で、3.1MPa〜31.0MPa(4500psi)(以下)を容器に対して繰り返した。上位周期圧(upper cyclic)の圧力範囲90〜100パーセントにおける最小滞留時間は、1.2秒以上であった。マニフォルド設定を使用して容器を平行させて繰り返し試験し、したがって全容器は同じ繰り返し試験に晒された。各容器に関して、破損までの繰り返し数(上位周期圧の繰り返し)を破損位置と共に報告した。CE−3及びEX−5の全容器は、容器の側壁に破損を示した。
【0141】
CE−3及びEX−5に関する繰り返し(疲労)試験の結果の要約は、表10に含まれる。
【0142】
【0143】

これら2つの繰り返し試験は、10,000回の繰り返しで数日間停止した後、再開した。
【0144】
工業界で容認されている繰り返し(疲労)評価の変動係数は、20%である。CE−3及びEX−5の容器の両方は、20%未満の変動係数を示す。
【0145】
表10は、EX−5の容器の破損までの繰り返しの平均が、CE−3の容器と比較して55%増加したことを示す。これは、CE−3とEX−5とで容器設計が同じであり、マトリックス樹脂のみが異なっていたことを考慮すれば、容器の繰り返し寿命における非常に有意な増加である。より長い繰り返し寿命は、より小さい重量及びより長い寿命を有する圧力容器のために複合材料を再設計することを可能にする。
【0146】
本発明者らは、衝撃損傷後の非常に有意な複合材料繊維強度の向上が、表面改質ナノ粒子、及び(ある場合)コアシェルナノ粒子をマトリックス樹脂中に組み込むことにより達成できることを発見した。例えば、表面改質ナノ粒子をマトリックス樹脂中に組み込むことにより、表面改質ナノ粒子を有さない対照と比較した際、衝撃後の供給繊維強度の29.6%の向上が達成された。例えば、表面改質ナノ粒子及びコアシェル粒子をマトリックス樹脂中に組み込むことにより、表面改質ナノ粒子及びコアシェル粒子を有さない対照と比較した際、衝撃後の供給繊維強度の40.3%の向上が達成された。本発明者らは、表面改質ナノ粒子をマトリックス樹脂中に含めることによる、圧力容器の繰り返し寿命の非常に有意な向上も示した。
【0147】
一般に、本開示の圧力容器は、少なくとも2MPa、例えば、少なくとも5MPa、少なくとも10MPa、少なくとも20MPa、少なくとも30MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、又は更にはそれ以上の絶対圧力における流体を収容するように設計されてもよい。本開示の圧力容器は、例えば、パイプ及び導管、貯蔵容器、並びに一時的な高圧に晒される構造体を含む圧力容器に関連した非常に様々な用途のいずれにも使用することができる。
【0148】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。

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