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公開番号2019138152
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190822
出願番号2018019148
出願日20180206
発明の名称機械制御装置
出願人株式会社日立製作所
代理人青稜特許業務法人
主分類F02D 45/00 20060101AFI20190726BHJP(燃焼機関;熱ガスまたは燃焼生成物を利用する機関設備)
要約【課題】
エンジンなどの機械の制御において、少ない学習モデルを用いても特定の条件を満たす指令値を得る。
【解決手段】
機械に設置されたセンサで取得されたデータから変換された前記機械の状態量を取得し、取得した状態量に応じて2つ以上の学習モデルを選択する選択部と、前記選択部により選択された2つ以上の学習モデルそれぞれへ、前記選択部により取得された状態量を入力し、学習モデルのそれぞれから出力される指令値を用いて合成値を算出する合成部と、前記合成部により算出された合成値に基づく範囲で、前記機械に対する指令値を出力し、前記機械の状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せから特定の条件の指令値を検索し、検索した指令値を前記機械に対して出力して新たな学習モデルを作成する学習部と、を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【選択図】 図1
特許請求の範囲約 3,300 文字を表示【請求項1】
機械に設置されたセンサで取得されたデータから変換された前記機械の状態量を取得し、取得した状態量に応じて2つ以上の学習モデルを選択する選択部と、
前記選択部により選択された2つ以上の学習モデルそれぞれへ、前記選択部により取得された状態量を入力し、学習モデルのそれぞれから出力される指令値を用いて合成値を算出する合成部と、
前記合成部により算出された合成値に基づく範囲で、前記機械に対する指令値を出力し、前記機械の状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せから特定の条件の指令値を検索し、検索した指令値を前記機械に対して出力して新たな学習モデルを作成する学習部と、
を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械制御装置であって、
前記合成部は、
前記選択部により選択された2つ以上の学習モデルそれぞれの状態量の特性比で、学習モデルのそれぞれから出力される指令値を重み付けして平均し、合成値を算出すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の機械制御装置であって、
前記選択部は、
取得した状態量と学習モデルのラベルの状態量との距離の小さい順に2つ以上の学習モデルを選択すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の機械制御装置であって、
前記学習部は、
前記合成部により算出された合成値を中心値として、予め設定された探索幅の探索範囲を設定し、設定した探索範囲と予め設定された設定刻みから決定される指令値を出力し、前記機械の状態量を取得して、出力した指令値と取得した状態量の組合せを生成すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の機械制御装置であって、
前記学習部は、
設定した探索範囲と予め設定された設定刻みから決定される1つの指令値を第1の設定回数繰り返して出力し、
検索した1つの指令値を第1の設定回数より多い第2の設定回数繰り返して出力し、新たな学習モデルを作成すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の機械制御装置であって、
前記機械は燃料を燃焼させるエンジンであり、
前記選択部は、
前記エンジンでの燃焼に応じた状態量を取得し、取得した状態量に応じて2つ以上の学習モデルを選択し、
前記合成部は、
前記選択部により選択された2つ以上の学習モデルそれぞれへ、前記選択部により取得された前記エンジンの状態量を入力し、学習モデルのそれぞれから出力される空燃比あるいは点火時期を含む指令値を用いて合成値を算出し、
前記学習部は、
前記合成部により算出された合成値に基づく範囲で、前記エンジンに対する指令値を出力し、前記エンジンの状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せから特定の条件の指令値を検索し、検索した指令値を前記エンジンに対して出力して新たな学習モデルを作成すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の機械制御装置であって、
前記エンジンは2種類以上の燃料を燃焼させるエンジンであり、
前記合成部は、
前記選択部により選択された2つ以上の学習モデルそれぞれの燃焼に応じた状態量の特性比で、学習モデルのそれぞれから出力される指令値を重み付けして平均し、合成値を算出すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の機械制御装置であって、
前記選択部は、
取得した状態量と学習モデルのラベルの状態量との距離の小さい順に2つ以上の学習モデルを選択すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の機械制御装置であって、
前記学習部は、
前記合成部により算出された合成値を中心値として、予め設定された探索幅の探索範囲を設定し、設定した探索範囲と予め設定された設定刻みから決定される指令値を出力し、前記エンジンの状態量を取得して、出力した指令値と取得した状態量の組合せを生成すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の機械制御装置であって、
前記学習部は、
設定した探索範囲と予め設定された設定刻みから決定される1つの指令値を第1の設定回数繰り返して出力し、
検索した1つの指令値を第1の設定回数より多い第2の設定回数繰り返して出力し、新たな学習モデルを作成すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項11】
機械に設置されたセンサで取得されたデータから変換された前記機械の状態量を取得し、取得した状態量に応じて学習モデルを選択する選択部と、
前記選択部により選択された学習モデルへ、前記選択部により取得された状態量を入力し、学習モデルから出力される指令値を保存し、保存した指令値に基づいて、運転条件範囲内のキャリブレーションデータを生成するキャリブレーション部と、
前記キャリブレーション部により生成されたキャリブレーションデータに基づく範囲で、前記機械に対する指令値を出力し、前記機械の状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せから特定の条件の指令値を検索し、検索した指令値を前記機械に対して出力して新たな学習モデルを作成する学習部と、
を備えたことを特徴とする機械制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の機械制御装置であって、
前記キャリブレーション部は、
キャリブレーションデータの生成として、保存した前記機械に対する指令値を出力し、前記機械の状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せをキャリブレーションデータとし、目標指標を目標指標ずれ幅で更新し、保存した指令値を指令値ずれ幅で更新して保存し、
更新した目標指標が運転条件範囲内である限りキャリブレーションデータの生成を繰り返すこと
を特徴とする機械制御装置。
【請求項13】
請求項11に記載の機械制御装置であって、
前記機械は燃料を燃焼するエンジンであり、
前記選択部は、
前記エンジンでの燃焼に応じた状態量を取得し、取得した状態量に応じて学習モデルを選択し、
前記キャリブレーション部は、
前記選択部により選択された学習モデルへ、前記選択部により取得された前記エンジンの状態量を入力し、学習モデルから出力される空燃比あるいは点火時期を含む指令値を保存し、保存した指令値に基づいて、運転条件範囲内のキャリブレーションデータを生成、
前記学習部は、
前記キャリブレーション部により生成されたキャリブレーションデータに基づく範囲で、前記エンジンに対する指令値を出力し、前記エンジンの状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せから特定の条件の指令値を検索し、検索した指令値を前記エンジンに対して出力して新たな学習モデルを作成すること
を特徴とする機械制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の機械制御装置であって、
前記キャリブレーション部は、
キャリブレーションデータの生成として、保存した前記エンジンに対する指令値を出力し、前記エンジンの状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せをキャリブレーションデータとし、目標指標を目標指標ずれ幅で更新し、保存した指令値を指令値ずれ幅で更新して保存し、
更新した目標指標が運転条件範囲内である限りキャリブレーションデータの生成を繰り返すこと
を特徴とする機械制御装置。

発明の詳細な説明約 12,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は機械制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧米において地域のエネルギー自立化が勧められており、農産廃棄物などを用いたバイオマス発電と太陽光発電、風力発電へ移行する動きが見られる。バイオマス燃料は人の経済活動に伴って得られることからその入手性は場所や時期で変動する。そのため、複数の燃料を組み合わせた利用が想定され、それに対応した発電用エンジン制御が必要とされる。
【0003】
従来、燃料ごとに点火時期や空燃比を含む多数の制御指令値の制御マップを人手で作成し、フィードフォワードでエンジンが制御されていた。しかし、複数の燃料を組み合わせてエンジンを制御する場合、想定される多くの燃料の組み合わせやそれらの混成比ごとに、人手で制御マップを作成することは煩雑、高コストで実用化は困難である。
【0004】
そこで、エンジンをモデル化して機械学習させることも考えられる。回帰モデルにカーネルの適用と除去を繰り返して回帰モデルを洗練させていきシステムの異常状態を検出する技術がある。例えば特許文献1に記載の技術である。
【0005】
また、プラントの運転状態と運転指標の回帰モデルが、線形な場合は線形計画法を用い、非線形な場合は二次計画法を用いて、最適な運転条件を求める技術がある。例えば特許文献2に記載の技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
米国特許第7844558号明細書
特開2012−074007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術は、学習データやカーネルの入れ替えと追加によって、対象機器を運転しながら異常判別の精度を向上させている。しかし、エンジンなどの機械を制御する場合、新たに得られた学習データに、最初から特定の条件を満たすデータそのものが含まれているとは限らず、特定の条件に対して十分な精度が得られない可能性もある。
【0008】
特許文献2に記載の技術は、プラントの全運転条件の回帰モデルを作成し、最適化することによって最適な運転条件を算出している。しかし、エンジンなどの機械を制御する場合、予め多くの学習モデルを作成することは実用上困難である。
【0009】
以上を踏まえ、本発明では、エンジンなどの機械の制御において、少ない学習モデルを用いても特定の条件を満たす指令値を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。機械に設置されたセンサで取得されたデータから変換された前記機械の状態量を取得し、取得した状態量に応じて2つ以上の学習モデルを選択する選択部と、前記選択部により選択された2つ以上の学習モデルそれぞれへ、前記選択部により取得された状態量を入力し、学習モデルのそれぞれから出力される指令値を用いて合成値を算出する合成部と、前記合成部により算出された合成値に基づく範囲で、前記機械に対する指令値を出力し、前記機械の状態量を取得し、出力した指令値と取得した状態量の組合せから特定の条件の指令値を検索し、検索した指令値を前記機械に対して出力して新たな学習モデルを作成する学習部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エンジンなどの機械の制御において、少ない学習モデルを用いても特定の条件を満たす指令値を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
学習モデル出力の合成を含むエンジンシステムの構成例を示す図である。
実施例1に係る処理フローチャートの例を示す図である。
キャリブレーションを含むエンジンシステムの構成例を示す図である。
実施例2に係る処理フローチャートの例を示す図である。
実施例2に係る処理フローチャートの例を示す図である。
実施例3に係る処理フローチャートの例を示す図である。
実施例4に係る処理フローチャートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施の形態および実施例を説明する。なお、実施の形態および実施例を説明するための図1〜6において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例】
【0014】
図1は、本実施例におけるエンジンシステムの構成例を示す図である。エンジンシステムは、エンジン101、観測器102、制御器103、PC104(エンジン制御装置)、およびデータサーバ105を備える。
【0015】
観測器102はエンジン101に設置されたセンサの生データを取得し、エンジン101の燃焼状態を示すエンジン状態指標に変換してPC104へ出力する。制御器103はPC104から取得したエンジン指令値を指令信号に変換してエンジン101へ出力する。観測器102はアナログデジタル変換器を含んでもよいし、制御器103はデジタルアナログ変換器を含んでもよい。
【0016】
データサーバ105には、エンジン状態指標を入力とし、エンジン指令値を出力とする学習モデルとそのラベルが保存される。学習モデルはエンジン101の運転条件ごとに作成される。また、学習モデルはエンジン指標と目標指標の組合せを入力としてもよい。
【0017】
ここで、ラベルは学習モデルを作成するのに用いたデータセットのエンジン状態指標の代表値である。目標指標は、エンジン指令値を変更してエンジン状態指標を変化させ、エンジン状態指標を近づける目標となる指標であり、PC104の外部から入力される。
【0018】
PC104は、学習モデル選択部106、合成部107、および学習部108を有する。学習モデル選択部106は、観測器102から入力したエンジン状態指標に基づいて、データサーバ105に保存された学習モデルの中から、学習部108で用いる学習モデルであるベース学習モデル群を選択して取得する。
【0019】
合成部107は、ベース学習モデル群の出力値を合成する。学習部108は、合成部107で合成した出力値の周辺領域において熱効率が最大のエンジン指令値を探索し、エンジン指令値を制御器103へ出力し、学習モデルを生成してデータサーバ105に保存する。
【0020】
PC104は、プロセッサ121、記憶部122、入出力部123を備えたコンピュータである。記憶部122はメモリあるいは2次記憶装置を含んでもよく、入出力部123はシリアルインターフェイス、パラレルインターフェイス、あるいはネットワークインターフェイスを含んでもよい。
【0021】
学習モデル選択部106、合成部107、および学習部108の1つまたは複数は、専用回路により実装されてもよいし、記憶部122に格納されたプログラムを実行するプロセッサ121により実装されてもよい。
【0022】
図2は、本実施例におけるエンジンシステムの処理フローチャートの例を示す図である。ステップ201で、観測器102はエンジン101に設置されたセンサの生データを1制御サイクル分取得する。
【0023】
センサには例えばエンジン101の筒内圧を検出する圧力センサを用いる。1制御サイクル分の圧力センサの生データの最大値をエンジン状態指標として、PC104へ出力する。1制御サイクルはエンジンの吸入、圧縮、爆発、排気の4行程を1サイクルとしてもよい。
【0024】
センサは、圧力センサでなくともよく、ひずみセンサ、マイク、温度センサ、燃料または空気の流量計、エンジン回転数を検出するエンコーダ、あるいはエンジン101の軸トルクを検出するトルクセンサなどのエンジン101の燃焼状態を検出するものであればよい。エンジン101に複数のセンサが設置され、複数のセンサの複数の生データが取得されてもよい。
【0025】
また、エンジン状態指標は圧力センサの生データの最大値でなくともよく、圧力センサの複数の生データまたはその他のセンサの値との組合せなど、データサーバ105に保存された学習モデルに入力されるエンジン状態指標のデータ種類に対応していればよい。または、ステップ201で取得されるエンジン状態指標のデータ種類に合わせて、ステップ202で取得される学習モデルが選択されてもよい。
【0026】
ステップ202で、学習モデル選択部106はデータサーバ105からベース学習モデル群を取得する。すなわち、ステップ201で観測器102から出力されたエンジン状態指標とデータサーバ105に保存された複数の学習モデルのラベルのエンジン状態指標との距離の小さい順に2つ以上の学習モデルをベース学習モデル群として取得する。
【0027】
なお、ステップ201で取得された複数のエンジン状態指標の一部が、ステップ202で用いられてもよい。また、エンジン状態指標に限らず、要求トルク(要求圧力)などの目標指標、またはエンジン状態指標と目標指標の組合せが、ステップ202で用いられてもよい。
【0028】
さらに、観測器102から出力されたエンジン状態指標と複数の学習モデルのラベルのエンジン状態指標との距離に基づくのではなく、データサーバ105に保存された複数の学習モデルが条件なく取得されてもよい。
【0029】
エンジン状態指標の距離は、予め設定された計算式にしたがって同じ種類の複数のエンジン状態指標の複数の値から計算された距離であってもよい。また、エンジン状態指標の距離は、種類の異なる複数のエンジン状態指標の組合せに重みが予め設定されており、予め設定された計算式にしたがって種類の異なる複数のエンジン状態指標の複数の値に重みが乗算された値から計算された距離であってもよい。
【0030】
ステップ203で、合成部107は、ステップ201で取得されたエンジン状態指標をステップ202で取得された各ベース学習モデルに入力し、各々出力値を取得する。そして、ステップ204で、合成部107は、各ベース学習モデルの出力値を合成する。
【0031】
出力値の合成の計算は例えば、各ベース学習モデルに設定された合成重みを用いての重み付き平均値の計算である。合成重みには各ベース学習モデルの作成に利用されたデータセットのエンジン状態指標から得られる特性比が用いられる。
【0032】
例えば、ベース学習モデルがモデルA、モデルBの2つの場合で、作成に利用されたデータセットの筒内圧最大値の比(特性比)がA:B=3:2のとき、モデルAの合成重みW(A)=3、モデルBの合成重みW(B)=2とする。ただし、特性比は、筒内圧最大値の比に限るものではなく、エンジントルクの比などのエンジン状態指標から得られる比であればよい。
【0033】
モデルAのエンジン状態指標の値をS(A)とし、モデルBのエンジン状態指標の値をS(B)とし、モデルAの出力値をO(A)とし、モデルBの出力値をO(B)とし、現制御サイクルのエンジン状態指標の値をS(T)とすると、重み付き平均値AVEの計算は以下のようになる。
【0034】
【0035】
ただし、重み付き平均値の計算はこの式に限るものではない。
【0036】
また、合成による出力値は、重み付き平均値に限るものではなく、重みを付けない平均値、平均値または重み付き平均値にエンジン状態指標などで補正した値であってもよい。また、各ベース学習モデルのパラメータの平均値などが用いられて、新しく学習モデルが作成され、その学習モデルにエンジン状態指標が入力されて出力値が算出されてもよい。
【0037】
ステップ205で、学習部108は、ステップ204で合成された出力値に基づいて探索範囲を設定する。探索範囲は、予め設定された探索幅となるように、ステップ204で算出された出力値を中心値として設定される。ステップ204で算出された出力値を中心値としなくともよく、ステップ204で算出された出力値を境界値として探索範囲が設定されてもよい。
【0038】
また、探索幅は、予め設定された探索幅に固定されなくともよく、ステップ204で算出された出力値またはエンジン状態指標に基づいて探索幅を設定するためのテーブルまたは算出式が予め設定されてもよい。
【0039】
さらに、探索刻みが予め設定されてもよく、探索刻みは、予め設定された探索刻みに固定されなくともよく、ステップ204で算出された出力値またはエンジン状態指標に基づいて探索刻みを設定するためのテーブルまたは算出式が予め設定されてもよい。
【0040】
ステップ206で、学習部108は、ステップ205で設定した探索範囲と予め設定された探索刻みの探索から決定されたエンジン指令値を順に制御器103へ出力し、制御器103は指令信号に変換してエンジン101へ出力する。すなわち、探索範囲の境界値(範囲の端の値)から探索刻みずつエンジン指令値をずらしながら複数のエンジン指令値が順次決定されて出力される。
【0041】
これにより、ステップ206で探索幅を探索刻みで除算された数のエンジン指令値が出力される。制御器103へ出力される値は探索範囲と探索刻みから決定されるエンジン指令値自体でなくともよく、エンジン指令値にノイズが付加された値であってもよい。
【0042】
決定された1つのエンジン指令値が複数回出力され、それぞれの出力へノイズが付加されることにより、同じエンジン指令値の値が振られ、探索刻みだけでは決定できないエンジン指令値が出力される。また、エンジン101の燃焼状態にぶれが発生する可能性もあるため、ノイズの付加とは関わりなく、同じエンジン指令値が複数回出力されてもよい。
【0043】
エンジン指令値はエンジン101の点火時期と空燃比の一方または両方を制御する指令の値であってもよい。空燃比を制御する指令の値は、燃料の噴射開始時期と噴射時間の値、あるいは燃料の噴射量の値を含んでもよい。エンジン指令値はこれらの値に限らず、エンジン101の燃焼状態を制御する値であればよい。
【0044】
ステップ206で、さらに学習部108は出力したエンジン指令値に対するエンジン101の状態をエンジン状態指標として観測器102から入力する。ステップ207で、学習部108は、制御器103へ出力した複数のエンジン指令値それぞれと観測器102から入力した複数のエンジン状態指標それぞれの組合せを探索用データセットとしてデータサーバ105に保存する。
【0045】
ステップ208で、学習部108はステップ207で保存された探索用データセットの中から最大の熱効率となるエンジン指令値を検索する。学習部108は、最大の熱効率となるエンジン指令値が検索により見つかると、見つかったエンジン指令値に基づいて新たに探索範囲を設定して探索し、探索用データセットをデータサーバ105に保存して最大の熱効率となるエンジン指令値を探索することを繰り返してもよい。
【0046】
この最大の熱効率となるエンジン指令値を見つけるための処理は、探索範囲と探索刻みが予め設定されて探索が繰り返される処理に限るものではない。この処理は、例えば探索刻みを徐々に細かくしながら探索が繰り返されてもよい。
【0047】
また、この処理は、探索の対象となるデータの数を少なくするため、最大の熱効率となるエンジン指令値のデータとして発生確率分布を推定して探索範囲を絞り込んでもよいし、探索に強化学習が導入されてもよいし、探索範囲内での運転条件の振り幅が何らかのセンサの情報に基づいて設定されてもよい。
【0048】
ステップ209で、学習部108は、最大の熱効率となる1つのエンジン指令値を1000制御サイクル、制御器103へ出力する。出力制御サイクル数は1000でなくてもよく、学習モデルの作成に必要な数であればよい。また、ステップ206で同じエンジン指令値が複数回出力される場合の出力の数より、ステップ209では多くの数のエンジン指令値が出力されてもよい。
【0049】
ステップ209で、さらに学習部108は出力したエンジン指令値に対するエンジン101の状態をエンジン状態指標として観測器102から入力する。ステップ210で、学習部108は、制御器103へ出力した複数のエンジン指令値それぞれと観測器102から入力した複数のエンジン状態指標それぞれの組合せを学習用データセットとしてデータサーバ105に保存する。
【0050】
ステップ211で、学習部108は学習用データセットを用いて学習モデルを作成する。学習部108は、学習モデルを新規に作成するのではなく、ベース学習モデルのパラメータを初期値として、学習用データセットを用いてパラメータを学習させて学習モデルを作成してもよい。
【0051】
ステップ212で、学習部108は、作成した学習モデルのラベルを作成し、データサーバ105に保存する。保存された学習モデルは、次の処理のベース学習モデルの1つとなる。
【0052】
以上で説明したように本実施例によれば、2つの学習モデルしかない場合であっても、2つの学習モデルの状態指標の特性比に応じた2つの学習モデルの出力の合成が可能となり、2つの学習モデルのそれぞれでは出力できない出力値を合成値として得ることができる。
【0053】
そして、得られた合成値を基に探索することにより探索用データセットを保存し、探索用データセットの中で熱効率が最大となる指令値を検索することにより、合成値では得られない最大の熱効率となる指令値であっても得ることが可能になる。また、最大の熱効率となる指令値を用いて新たな学習モデルを作成することも可能になる。
【実施例】
【0054】
本実施例では、探索範囲を設定するために、運転条件毎に異常燃焼の起きないエンジン指令値を取得しておく例を説明する。本実施例では、実施例1との違いを主に説明し、実施例1と同じ説明は省略する。図3は、本実施例のエンジンシステムの構成例を示す図である。
【0055】
図3に示したPC104は、図1に示した学習モデル選択部106と学習部108に加えて、キャリブレーション部301を有する。キャリブレーション部301は、エンジン101が始動された後、予め設定された運転条件の範囲で異常燃焼の起きないエンジン指令値を取得する。なお、図1に示したプロセッサ121、記憶部122、および入出力部123は図示を省略した。
【0056】
運転条件はエンジン101の動作に影響する条件であればどのような条件であってもよい。例えばエンジンが複数の燃料を燃焼して動作するのであれば、複数の燃料の混成比であってもよいが、これに限るものではない。そして、運転条件の異常燃焼の起きない範囲が予めPC104の外から設定されてもよい。
【0057】
図4A、4Bは、本実施例におけるエンジンシステムの処理フローチャートの例を示す図である。図4Aに示したステップ401は図2を用いて説明したステップ201と同様の処理である。ステップ402で、学習モデル選択部106はデータサーバ105からベース学習モデルを取得する。
【0058】
すなわち、学習モデル選択部106は、ステップ401で観測器102から出力されたエンジン状態指標とデータサーバ105に保存された複数の学習モデルのラベルのエンジン状態指標との距離の最も小さい学習モデルをベース学習モデルとして取得する。
【0059】
なお、ステップ401で取得した複数のエンジン状態指標の一部が、ステップ402で用いられてもよい。また、エンジン状態指標に限らず、要求トルクなどの目標指標やエンジン状態指標と目標指標の組合せが、ステップ402で用いられてもよい。
【0060】
ステップ403で、キャリブレーション部301は、ステップ401で取得されたエンジン状態指標をステップ402で取得したベース学習モデルに入力し、出力値を取得する。ステップ404で、キャリブレーション部301は、ステップ403で取得した出力値をエンジン指令値として保存し、エンジン指令値のずれ幅と目標指標のずれ幅を設定する。
【0061】
エンジン指令値のずれ幅と目標指標のずれ幅のそれぞれは、PC104へ予め入力されたずれ幅の値に基づいて、キャリブレーション部301により設定されてもよい。
【0062】
そして、ステップ430の処理を実施するが、ステップ430の処理については図4Bを用いて説明する。図4Bに示したステップ405で、キャリブレーション部301は、保存されたエンジン指令値を制御器103へ出力し、制御器103は指令信号に変換してエンジン101へ出力する。
【0063】
ステップ405で、さらにキャリブレーション部301は出力したエンジン指令値に対するエンジン101の状態をエンジン状態指標として観測器102から入力する。ステップ406で、キャリブレーション部301は、観測器102から入力したエンジン状態指標と制御器103へ出力した指令値の組合せをキャリブレーションデータセットとしてデータサーバ105に保存する。
【0064】
ステップ407で、キャリブレーション部301は、目標指標へ目標指標のずれ幅を加算して更新し、新たな目標指標として保存する。ステップ408はステップ401と同様の処理である。ステップ409で、キャリブレーション部301は、保存されたエンジン指令値へエンジン指令値のずれ幅を加算して更新し、新たなエンジン指令値として保存する。
【0065】
ステップ410で、キャリブレーション部301は、保存された目標指標がエンジン101の運転条件範囲内であるかを判定し、範囲内であると判定すればステップ405に戻り、範囲内でないと判定すればステップ411に進む。
【0066】
なお、エンジン101に異常燃焼を検出するセンサが設置され、このセンサの生データが観測器102で異常燃焼の検出有無に関するエンジン状態指標に変換されてもよい。キャリブレーション部301は、異常燃焼の検出有無に関するエンジン状態指標を観測器102から継続的に入力し、異常燃焼を検出しない範囲を判定してもよい。
【0067】
そして、ステップ410でキャリブレーション部301は、保存された目標指標がエンジン101の運転条件範囲内であるかを判定する代わりに、異常燃焼を検出しない範囲であるかを判定してもよいし、保存された目標指標がエンジン101の運転条件範囲内であり、かつ異常燃焼を検出しない範囲であるかを判定してもよい。
【0068】
ステップ411はステップ401と同様の処理である。ステップ412で、学習部108は、データサーバ105に保存されたキャリブレーションデータの中からステップ411で観測器102から出力されたエンジン状態指標に最も近いエンジン状態指標とエンジン指令値の組合せを取得する。
【0069】
ステップ413で、学習部108は、ステップ412で取得したエンジン指令値に基づいて、図2を用いて説明したステップ205と同様に探索範囲を設定する。図4Aに戻り、ステップ414〜420のそれぞれは、図2を用いて説明したステップ206〜212と同様の処理である。
【0070】
以上で説明したように本実施例によれば、熱効率が最大となる指令値を検索する際に異常燃焼を回避することも可能になる。
【実施例】
【0071】
本実施例では、運転条件毎に異常燃焼の起きないエンジン指令値を取得する他の例を説明する。本実施例のエンジンシステムの構成例は実施例2と同様であるので、図3を参照し、新たな図示は省略する。
【0072】
図5は、本実施例におけるエンジンシステムの処理フローチャートの例を示す図である。ステップ501、502のそれぞれは、図4Aに示したステップ401、402と同様の処理である。ステップ503で、キャリブレーション部301は、ステップ501で取得されたエンジン状態指標と保存された目標指標の組合せをステップ502で取得したベース学習モデルに入力し、出力値を取得する。
【0073】
ステップ504で、学習部108は、ステップ503で取得したエンジン指令値に基づいて、ステップ413と同様に探索範囲を設定する。ステップ505〜511のそれぞれは、図4Aに示したステップ414〜420と同様の処理である。ステップ512、513のそれぞれは、図4Bに示したステップ407、410と同様である。なお、目標指標のずれ幅はステップ501より前に予め設定される。
【0074】
以上で説明したように、実施例2と同様に本実施例によれば、熱効率が最大となる指令値を検索する際に異常燃焼を回避することも可能になる。
【実施例】
【0075】
本実施例では、観測器102から出力されたエンジン状態指標によって、2つ以上のベース学習モデルの出力を合成した出力値に基づいた探索範囲の設定か、1つのベース学習モデルの出力値に基づいた探索範囲の設定かを選択する例を説明する。本実施例のエンジンシステムの構成例は実施例1と同様であるので、図1を参照し、新たな図示は省略する。
【0076】
図6は、本実施例におけるエンジンシステムの処理フローチャートの例を示す図である。ステップ601は図2を用いて説明したステップ201と同様の処理である。ステップ602で、学習モデル選択部106はデータサーバ105からベース学習モデル群を取得する。
【0077】
そして、学習モデル選択部106は、ステップ601で観測器102から出力されたエンジン状態指標とデータサーバ105に保存された複数の学習モデルのラベルのエンジン状態指標との最短距離が予め設定された閾値より小さいかを判定する。
【0078】
学習モデル選択部106は、最短距離が閾値より小さいと判定した場合、最短距離の学習モデルをベース学習モデルとして取得してステップ603に進み、最短距離が閾値より小さくないと判定した場合、距離の小さい順に2つ以上の学習モデルをベース学習モデル群として取得してステップ604に進む。
【0079】
なお、ステップ601で取得された複数のエンジン状態指標の一部が、ステップ602で用いられてもよい。また、エンジン状態指標に限らず、要求トルクなどの目標指標、またはエンジン状態指標と目標指標の組合せが、ステップ602で用いられてもよい。
【0080】
ステップ603で、学習部108は、ステップ601で取得されたエンジン状態指標をステップ602で取得されたベース学習モデルに入力し、出力値を取得して、ステップ606に進む。ステップ604〜613のそれぞれは、図2を用いて説明したステップ203〜212と同様の処理である。
【0081】
以上で説明したように本実施例によれば、エンジンの燃焼状態に合う学習モデルがデータサーバに保存された場合、合成の処理が不要となり、探索までにかかる時間が短縮化される。
【符号の説明】
【0082】
101…エンジン、102…観測器、103…制御器、104…PC、105…データサーバ、106…学習モデル選択部、107…合成部、108…学習部、301…キャリブレーション部

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