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公開番号2019137697
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190822
出願番号2019100470
出願日20190529
発明の名称機能性上皮症候群を治療するための免疫調節薬
出願人マッカロー、リッキー,MCCULLOUGH,Ricky
代理人個人,個人,個人
主分類A61K 45/06 20060101AFI20190726BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ホメオスタシス維持因子を会合させるための免疫調節組成物を提供すること。
【解決手段】ホメオスタシス維持因子を会合させるための免疫調節組成物は、有機化合物と金属キレート剤または金属イオンとを含み、有機化合物と金属キレート剤またはイオンとの間の原子価モル比が1:1〜10:1である。有機化合物は共有結合性の極性構成成分を含み、同有機化合物は、脂肪酸、ガム、デンプン、ポリヒドロール、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、複素環式化合物、多環式化合物、カルボン酸、およびカルバミル化合物からなる群から選択される。
【選択図】 なし
特許請求の範囲約 250 文字を表示【請求項1】
ホメオスタシス維持因子を会合させるための免疫調節組成物であって、前記免疫調節組成物は有機化合物と金属キレート剤または金属イオンとを含み、前記有機化合物と前記金属キレート剤または金属イオンとの間の原子価モル比が1:1〜10:1であり、前記有機化合物が、共有結合性の極性構成成分を含み、前記有機化合物が、脂肪酸、ガム、デンプン、ポリヒドロール、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、複素環式化合物、多環式化合物、カルボン酸、およびカルバミル化合物からなる群から選択される、免疫調節組成物。

発明の詳細な説明約 20,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性上皮症候群を治療するための免疫調節薬に関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物疾患において時として問題となるのは、何らかの理由で増殖因子が可能なほどには効果的に統制を行わないということである。これが起これば、病的状態が必要以上に長引くか、正規のホメオスタシスプロセスが病的状態および組織機能不全に悪化する。
【0003】
全ての組織プロセスは同調して起こり、ある特定のプロセスでは、そのプロセスをその最終目的に向かわせるために増殖因子の存在および作用が重要である。哺乳動物組織では、チロシンキナーゼ受容体部位に合うように局部的に精緻化された増殖因子の折り畳みを助ける(chaperone)ためにヘパリン様物質が使用される。免疫調節薬の一種は、薬学的に適用された際に、その段階において重要な増殖因子をそれらの個々の受容体部位に合うように折り畳む助けをし、その部位を時間効率的様式で活性化する物質である。哺乳動物のヘパリン様物質の作用を模倣する効果的な免疫調節薬は明白な解決策となろう。しかしながら、大用量の真のヘパリン様物質は抗凝固薬として働き、出血を招くであろう。
【0004】
種々のポリ陰イオン化合物の濃縮物は、それらの同種チロシンキナーゼ受容体に合うように増殖因子を非特異的に折り畳む助けをし得ることが知られている。それらの結合は、測定可能なほどに存在する場合には、疾患の治療において薬剤として使用することは実際的でない。適切な構造を有する免疫調節薬は、疾患改善またはホメオスタシス肯定の方向で、生きている生存能力のある哺乳動物組織内に存在するサイトカインの発現バランスに影響を及ぼし得る。
【0005】
炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインは、全ての組織に対してホメオスタシスの状態を維持するために有利な不均衡を備えて流動的状態にある。ホメオスタシスの状態を維持するプロセスでは、炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインの不均衡を有することが有利である。死細胞、有害物質、毒素を除去するため、または単に回復のために、哺乳動物組織は時限的な順序だった炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインの不均衡を用いて、侵襲後にホメオスタシスを回復するため、または老化細胞を新しい再生細胞に置き換える過程でホメオスタシスを維持するために、生命維持に必要な微小プロセスを段階的に遂行する。
【0006】
これらの不均衡の減退および流動は一般に、増殖因子として知られる広範なクラスのチロシンキナーゼ受容体アクチベーターにより調和が図られている。
膜結合チロシンキナーゼ受容体の活性化は、広範な一連の生理学的プロセス、例えば、組織修復、細胞増殖、胚発生、血管新生、分化、および創傷治癒に関連する。これらの受容体を時限的かつ調和の取れた様式で活性化する物質のクラスは増殖因子として知られている。
【0007】
増殖因子は構成的に作られる。それらの存在および効果は、チロシンキナーゼ受容体の産生の増加により(通常は極めてわずか)、また膜発現の増強(哺乳動物組織の増大のより好ましい選択肢と思われる)により増強され得る。
【0008】
増殖因子は粘膜内層のいたるところに存在する。増殖因子は全ての上皮細胞、線維細胞により、ならびにニューロンにより同化され得る。増殖因子は可動循環細胞、例えば、血小板、単球、および肥満細胞などによるスポット上で産生され得る。そして、どの場合でも、増殖因子はほぼ1つの単一機能、すなわち、膜結合チロシンキナーゼ受容体の活性化を遂行する。
【0009】
これらの受容体は遺伝学的には、組織内の細胞の膜での発現を誘導され、ひと度活性化されれば、これらの受容体は、ホメオスタシスの継続の再確立かまたは再肯定のいずれかのために組織に必要とされるプロセスの調和を図る。
【0010】
必要とされるプロセスの遂行を担う分子は炎症誘発性サイトカインと抗炎症性サイトカインである。それらの間の「不均衡の減退および流動」は遺伝学的には、目前の課題、例えば、組織修復および創傷治癒に必要とされるプロセス特異的シグナル伝達により決定される。
【0011】
増殖因子の役割は、細胞核内の遺伝子シグナルにより誘導されるサイトカインにより遂行される混沌としたプロセスに「有効性と秩序」を与えることであり、遺伝子シグナルはそれら自体、細胞膜から発散する刺激の結果として生じる。ひとたびそれらの刺激が停止または変化すると、遺伝子シグナルもそれに呼応して停止または変化する。
【0012】
増殖因子による順序立った、かつ有効な統制は、それらの、新たに発現される膜結合チロシンキナーゼ受容体の会合によって達成される。増殖因子の適時の存在とそれらの膜結合チロシンキナーゼ受容体の時限的誘導については、炎症誘発性サイトカインの攻撃的/破壊的作用と抗炎症性サイトカインの退行的/緩慢で温和な作用との間の有効かつ順序立ったバランスが存在する。
【0013】
例えば、WernerおよびGrose(非特許文献1)は、急性創傷の治癒の統制における増殖因子の重要性の概略を述べている。彼らは、2〜3週間にわたる、創傷を分類する3つの異なる治癒段階を特定している。第一に、創傷は好中球による浸潤物である血餅で塞がれ、これは12〜24時間以内に起こる。第二に、この好中球集団は多量の浸潤性マクロファージに取って代わられ、これが内皮細胞の移動を引き起こし、損傷後3〜7日の間に新血管を形成する。血餅は乾燥し、最初はその上面で硬化し始め、下層に進行し、同時にその下面の血餅下で肉芽組織が発達する。この間に、線維芽細胞は創傷に、特に、その肉芽組織に移動し、創傷の遠位端の上皮細胞を互いに向かって移動させ、乾燥血餅の下へ潜入し(痂皮となるようにその固化を促進し)、それを直下のより軟質の肉芽組織から離脱させる。損傷後1〜2週間で起こる第三段階では、肉芽組織で満たされた創傷は、多くの線維芽細胞が浸潤し、より古い線維芽細胞は筋線維芽細胞に変換して創傷を収縮させ、コラーゲンを蓄積する。
【0014】
上記の急性創傷治癒の各段階は、遺伝学的に調和の取れた炎症サイトカインシグナルと抗炎症性サイトカインシグナルの使用を含み、そして、増殖因子の存在、標的細胞上での増殖因子受容体の発現、およびそれらの細胞上で増殖因子により適用される作用速度によって統制される。
【0015】
上皮(内皮、表皮、または粘膜表面)が遺伝学的に制御された炎症誘発性サイトカイニンと抗炎症性サイトカインの相互作用に頼ってホメオスタシス機能(急性修復ならびに「損耗」置換を含む)を維持するあらゆる器官系は、何らかの機能不全に脆弱であり、効果的に統制され得る場合または効果的に制御されない場合がある。効果的でない制御は、機能性上皮症候群の発症および臓器不全を招く。
【0016】
他者はサイトカインの不均衡が存在すること、また、選択的免疫調節またはサイトカインの直接操作のいずれかでこれらの病的状態を軽減する可能性があることを認識しているが、実際的な解決策はほとんど提案されておらず、実質的利益をもたらすような効果的な操作もまだほとんどない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0017】
Werner S,Grose R:Regulation of wound healing by growth factors and cytokines,Physiol Rev 83:835−870,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
サイトカインの不均衡を原因とする疾患および機能性上皮症候群を首尾良く治療するために使用できる医薬組成物を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の主要な目的は、薬学的に活性な免疫調節薬を提供することである。もう1つの目的は、薬学的に活性な免疫調節薬を投与することによりサイトカインの不均衡を原因とする疾患を治療するための方法を提供することである。
【0020】
よって、本発明の一態様は、ホメオスタシス維持因子を会合させるための(for engaging)免疫調節組成物に関する。組成物は、有機化合物、金属イオン、および金属キレート剤を含む。有機化合物と金属イオンと金属キレート剤との間の原子価モル比(valency molar ratio)は1:1:1〜10:1:1であり、同有機化合物は、極性構成成分であって、同極性構成成分が最小制限立体的回転能を有するように共有結合された極性構成成分を含む。特定の実施形態では、免疫調節組成物は金属イオンを欠き、有機化合物と金属キレート剤との間の原子価モル比は、1:1〜10:1である。さらに別の実施形態では、免疫調節組成物は金属キレート剤を欠き、有機化合物と金属イオンの間の原子価モル比は、1:1〜10:1である。
【0021】
本発明の別の態様は、治療上有効な量の薬学的に活性な免疫調節薬で疾患または病態を治療するための方法に関する。同免疫調節薬は、有機化合物、金属イオン、および金属キレート剤を含む。有機化合物と金属イオンと金属キレート剤との間の原子価モル比は1:1:1〜10:1:1であり、有機化合物は脂肪酸、ガム、デンプン、ポリヒドロール(polyhydrol)、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、複素環式化合物、多環式化合物、カルボン酸、またはカルバミル化合物である。もう1つの実施形態では、同免疫調節薬は金属イオンを欠くか、または金属キレート剤を欠く。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、単胃動物または多胃動物において、有機化合物、金属イオン、および金属キレート剤を含む薬学的に活性な免疫調節薬を投与することにより消化管障害を治療するための方法に関する。有機化合物と金属イオンと金属キレート剤との間の原子価モル比は1:1:1〜10:1:1であり、同有機化合物は極性構成成分であって、同極性構成成分が最小制限立体的回転能を有するように共有結合された極性構成成分を含む。特定の実施形態では、金属イオンまたは金属キレート剤を欠く。
【0023】
また、有機分子を薬学的に活性な免疫調節薬に変換するための方法であって、同有機分子を金属キレート剤と混合して溶液を形成する工程と、多価金属陽イオンを同溶液に加えて担体と多価金属イオンと金属キレート剤との間の複合体を形成する工程と、を含む方法も提供される。
【0024】
加えて、増殖因子またはホメオスタシス維持因子をその受容体に送達するための方法が提供される。同方法は、増殖因子またはホメオスタシス維持因子を、ポリイオン性担体、金属イオン、および金属キレート剤を含む組成物と合わせることと、合わせた増殖因子またはホメオスタシス維持因子を増殖因子またはホメオスタシス維持因子の受容体を含有する標的細胞と接触させることと、によって遂行される。ポリイオン性担体は、脂肪酸、ガム、デンプン、ポリヒドロール、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、複素環式化合物、多環式化合物、カルボン酸、またはカルバミル化合物からなる群から選択される。同組成物は、増殖因子またはホメオスタシス維持因子単独に比べて、同増殖因子またはホメオスタシス維持因子の標的細胞上の受容体への結合およびその受容体の活性化を促進する。
【0025】
本発明の1以上の実施形態の詳細を下記に示す。本発明の他の特徴、目的、および利点は詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ホメオスタシス維持因子を会合させるための免疫調節組成物が提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0027】
広範なクラスの炭素系(carbonaceous)有機化合物が免疫調節薬に変換可能であることが開示される。免疫調節物質はサイトカインバランスの回復を促進し、それにより、特定の病的状態の経過を有利に変更する。
【0028】
炭素系有機化合物は、主として負原子価の置換基を有する好適な炭素系有機化合物の溶媒中に、陽イオンおよび強力な陽イオンキレート剤とともに懸濁および溶解させることによって免疫調節薬に変換することができる。主として正原子価の置換基を有する炭素系有機化合物は、それを陰イオンおよび陰イオンキレート剤とともに溶媒に懸濁および溶解させることによって免疫調節薬に変換することができる。
【0029】
炭素系有機化合物は、タンニン、レスベラトロール、粘液、ガム、胆汁酸、およびデンプンなどの天然に存在するもの、ならびにそれらの化学的に改変した誘導体であり得る。使用可能な他の化合物には、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ポリスルフェート、ポリホスホネート、フルオロキノロン、ベンジダミン、セフジトレンピボキシル、リファキシミン、ベンジダミン、セフロキシムアキセチル、エゼチミブ、およびこれらと性質が類似の化合物が含まれる。炭素系有機化合物は、極性置換基であって、同極性置換基が最小制限立体的回転能を有するように共有結合された極性置換基、を含み得る。極性置換基は、リン酸基(phosphates)、硫酸基(sulfates)、および硝酸基(nitrates)などの二酸素、三酸素、四酸素を含む金属元素を含み得る。
【0030】
一実施形態では、炭素系有機化合物を多座キレート剤および多価イオンと合わせる。別の実施形態では、単座キレート剤および一価イオンを使用することができる。
使用可能な多座キレート剤としては、カルボン酸(例えば、EDTA、DPTA、リンゴ酸塩、シュウ塩、クエン酸塩)、多フェニル化合物、有機ジアミン(例えば、EDA、BDA、DTA、MDTA、TEPA、DAP、PDA、HDA、IBPA、MIBPA、BPETA、DMPDA、およびPIP)ならびにメチレンジホスホネート、ヒドロキシルエチレンジホスホネート、およびアミノエチレンジホスホネートなどのポリホスホネートが含まれる。特に、炭素系化合物担体がテトラサイクリンまたはドキシサイクリンなどの複素環式である場合には、遷移金属酸化物、フッ化物、塩化物、または硫化物も同様に多座キレート剤として機能し得る。
【0031】
使用可能な単座キレート剤としては、限定されるものではないが、メサラミン;酪酸、プロプリオニック(proprionic)酸、酢酸、およびギ酸などの短鎖脂肪酸;ならびにガバペニチン(gabapenitin)が含まれる。
【0032】
使用可能な多価金属イオンとしては、その原子極性に起因する単一電荷、好ましくは、2以上の電荷を有する元素が含まれる。金属イオンの電荷極性は、キレート剤および炭素系化合物のイオン電荷の極性とは反対であるべきである。
【0033】
好適な陽イオンキレート剤は、理想的には、それがキレートする陽イオンの価電荷(valence charge)に厳密に等しい結合能を有するべきである。
混合の比率は、炭素系有機化合物上の置換基の極性および陽イオンとその陽イオンキレート剤または陰イオンとその陰イオンキレート剤の会合アビディティ(association avidities)に依存する。
【0034】
一般に、炭素系有機化合物は、炭素系有機化合物:キレート剤:陽イオンまたは陰イオンの混合比が1:1:1〜10:1:1であるべきであり、陽イオンまたは陰イオンの価電荷と比較して置換基の価電荷のモル寄与率(molar contribution)によって決まる。
【0035】
例えば、炭素系有機化合物が1に近い等価な負極性価電荷を有する1個の置換基を含む場合、陽イオン価電荷もまた、反対の極性で1に近似するべきであり、そのキレート剤は、−1を超えない負価電荷を有するべきである。
【0036】
多価陽イオン(2

、3

)が好ましく、互いから等距離をおき、1個の陽イオンをキレートすることができる少なくとも2つのキレート領域を含む多座キレート剤とマッチすべきである。この陽イオンおよびキレート剤混合物に、化合物中に一様の間隔で配置された1〜4個またはそれを超える負電荷置換基を含む炭素系有機化合物を加える。
【0037】
化合物中の置換基の空間的指定(spatial appointment)は、陽イオンキレート剤の軸に沿って分布した座列領域とマッチする。変換反応は、多価陽イオンを炭素系化合物およびキレート剤を含有する溶液に添加した時点で起こり、後者の2成分はそれぞれ、負電荷置換基の好ましい分布(炭素系化合物中)およびキレート座列(陽イオン型多座キレート剤の長手方向に沿った)を特徴とする。
【0038】
大きな炭素系有機化合物ほど、その化合物内に数が増加した極性置換基を収容するためにそれと混合する、より多くの陽イオン/陽イオンキレート剤を必要とする。使用する陽イオン/陽イオンキレート剤の量は、溶液中に懸濁した不完全な(非閉鎖型)包接体型の構造の形成を可能とするのに十分なものである。陽イオン、陽イオンキレート剤、および置換基が散在した炭素系化合物を含有する非閉鎖型包接体型構造は、(炭素系化合物単独よりも良好に)増殖因子を効率的に担持し得る包接体型超構造を可逆的に形成し、それにより、増殖因子をその受容体部位に導き、そこで増殖因子は、より円滑で順序立った、すなわち、そうではなく上記の組成物を用いない場合に可能なものよりも円滑で順序立った代謝組織プロセスを粘膜内で遂行する。
【0039】
代替的な実施形態では、炭素系有機化合物は、炭素系有機化合物とキレート剤の混合比が1:1〜10:1であり、陽イオンまたは陰イオンは含まない。別の実施形態では、この混合物は炭素系有機化合物および陽イオンまたは陰イオンを1:1〜10:1比で含むことができ、キレート剤を欠く。
【0040】
一実施形態では、本発明の組成物は、有効に制御されるか、または有効に制御されない組織サイトカイン不均衡により統制される様々な疾患を有する患者に対する治療として投与することができる。有効に制御されるサイトカイン不均衡がホメオスタシスを回復させる手段である場合、このようなプロセスまたは疾患は「修復」と考えられる。有効に制御されないサイトカイン不均衡がホメオスタシスを回復できず、慢性防御または慢性修復の状態として進行する場合には、この持続は、病的状態および苦痛を生じる明確な障害または疾患を発症する組織機能不全に至る。疾患は、修復期間を伴って治癒する(この場合には、ホメオスタシスが完全に回復される)かまたは慢性機能不全の期間を伴って持続する(この場合には、ホメオスタシスは完全には回復されない)かのいずれかである。それぞれはサイトカインの不均衡がプロセスを駆動する疾患である。
【0041】
いずれかのタイプの疾患の本発明による治療は、そうではない場合に可能なものよりも早急にホメオスタシスを回復させる治癒プロセスの促進、または慢性組織および器官機能不全の完全な改善、正常な機能に戻ることができないことと定義される状態に対するホメオスタシスの回復のいずれかをもたらす。例えば、炎症性腸疾患の臨床的寛解において、消化管機能は総体的には健全に見えるが、サイトカインの不均衡は持続する。
【0042】
サイトカイン不均衡が重要な役割を果たす疾患は、上記の組成物を投与することにより治療することができる。これらの疾患は機能性上皮症候群(functional epithelial syndromes)としても知られ、限定されるものではないが、上皮裂傷、創傷、火傷および潰瘍、化学放射線口腔潰瘍、口腔粘膜炎、食事性粘膜炎、胃食道逆流障害(GERD)または逆流食道炎、バレット食道炎、機能性胸やけまたはNERD(非びらん性逆流障害)、胃炎、胃腸炎、腸炎、全腸炎、機能性消化不良、セリアックスプルー、コラーゲン性またはリンパ性大腸炎、化学放射線腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(あらゆる形態)、化学放射線大腸炎、潰瘍性大腸炎、最小大腸炎、およびアテローム性動脈硬化症を含む。
【0043】
上記の組成物を投与することにより治療可能な他の炎症性障害は、サイトカイン不均衡による支配により定義される。これらには、限定されるものではないが、慢性肝炎、筋肉緊張、筋炎、腱靱帯緊張、腱炎、結合組織炎、線維症、線維筋痛症筋(fibromyalia)のような腱炎障害、骨損傷、術後の状態、機械的外傷後の状態、膀胱炎(尿の、または胆管の)、前立腺炎、前立腺肥大、睾丸炎、骨盤炎症性疾患、白痢、全腸炎、パルボウイルス性腸炎、出血性胃腸炎、家畜消化性潰瘍、胃炎、腸炎、または大腸炎が含まれる。
【0044】
加えて、上記の組成物は、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、および野生動物の胃腸管粘膜障害などの家畜における障害の治療のためにも使用可能である。
以下の具体例は単に例示であり、本開示の残りの部分を何ら限定するものではない。さらに詳述しなくとも、当業者であれば、本明細書の記載に基づき、本発明を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に引用される全ての刊行物は、その全内容が本明細書の一部として援用される。
【実施例】
【0045】
実施例1:テトラサイクリンの免疫調節懸濁液
【0046】
【0047】
実施例2:イヌリンの免疫調節懸濁液
【0048】
【0049】
実施例3:フルクトオリゴ糖の免疫調節懸濁液
【0050】
【0051】
実施例4:ポリスルフェート二糖類の免疫調節懸濁液
【0052】
【0053】
実施例5:ポリガラクツロン酸−ラムノースの免疫調節懸濁液
【0054】
【0055】
実施例6:免疫調節ポリスルフェート二糖類粉末
【0056】
【0057】
実施例7:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース粉末
【0058】
【0059】
実施例8:免疫調節テトラサイクリン、イヌリン、およびフルクトオリゴ糖懸濁液を用いた裂傷の治療
本発明の3つの実施形態を生理食塩水プラセボに対して、58歳男性ボランティアの前腕の実験的上皮創傷の治癒速度を評価するために試験した。
【0060】
試験した実施形態には、3種類の炭素系有機化合物、すなわち、テトラサイクリン、イヌリンおよびフルクトオリゴ糖をジカルボン酸キレート剤(リンゴ酸塩)および二価陽イオン(カルシウム)と、テトラサイクリンの場合には1:1:1比、イヌリンの場合には4:1:1比、およびフルクトオリゴ糖の場合には4:1:1比で合わせたもの、が含まれた。長さおよび深さの等しい4つの表在創傷を以下のようにボランティアの前腕の掌表面に作った。皮膚をイソプロピルアルコールで洗浄し、1mlの2%リドカインを皮下に注射した後、無菌の11番ブレードを用いて皮膚を切開し、長さ6mm、深さ2mm、裂溝幅3mmの寸法の4つの等しい創傷を作った。自然出血は4分以内に緩慢になり、7分までに完全に停止した。
【0061】
無菌塩化ナトリウム溶液を創傷1に綿棒を用いて塗布した。実施例3で上記された免疫調節フルクトオリゴ糖懸濁液を創傷2に塗布し、実施例2の免疫調節イヌリン懸濁液を創傷3に塗布し、実施例1の免疫調節テトラサイクリン懸濁液を創傷4に塗布した。
【0062】
創傷の治癒を7日間モニタリングした。結果の要約を下表に示す。
【0063】
【0064】
試験した本発明の3つの実施形態、すなわち、免疫調節テトラサイクリン、イヌリン、およびフルクトオリゴ糖懸濁液はそれぞれ、生理食塩水対照に比べて、(i)治癒の促進、(ii)損傷の最初の3時間以内の自発的創傷閉塞および乾燥、(iii)創傷の低い硬化(induration)、(iv)治癒中のいずれの時点においても無圧痛、および(v)7日までの完治をもたらした。他方、無菌塩化ナトリウム溶液で治療した創傷は持続し、7日目でもやはり炎症徴候および粘着性の痂皮形成が存在した。
【0065】
実施例9:免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液で治療した過敏性腸症候群(IBS)患者
二重盲検プラセボ対照消化不良治験において無作為化した60名のバングラデシュ人患者を、免疫調節(IM)ポリスルフェート二糖類懸濁液の10%懸濁液1日2回(1.5gのスクラルファート/用量)またはスクラルファートを除く同一の懸濁液からなるプラセボのいずれかで28日間治療した。50名の患者が治験を完了し、そのうち28名がRome II分類によって定義される共存性IBSを有した。
【0066】
これらの28名のIBS患者のうち、10名が便秘型(cIBS)であり、そのうち4名がプラセボを受け、6名が免疫調節(IM)ポリスルフェート二糖類懸濁液を受けた。この28名のうち18名は下痢型IBS(dIBS)であり、そのうち8名がプラセボを受け、10名が免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液を受けた。免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液で治療した患者の幾人かは、排便の改善を報告した。下痢を有する患者は、便の回数が減り、軟便でなく、切迫またはさしこみは無かったことを報告した。便秘を有する患者は、より頻繁な排便、鼓脹の少なさ、および疼痛が無かったことを報告した。プラセボを受けた患者では、cIBSを有する4名のうち1名(25%)およびdIBSを有する8名のうち2名(25%)がまさに記載の通りに応答した。これに対し、免疫調節ポリスルフェート二糖類で治療した患者では、cIBSを有する6名のうち5名(83%)およびdIBSを有する10名のうち8名(80%)が記載の通りに応答した。
【0067】
【0068】
【0069】
実施例10:免疫調節ポリスルフェート二糖類粉末で治療した便秘型IBS患者
大腸通過遅延型便秘およびIBSと診断された38歳の女性は21日間便秘であった。下剤、緩下薬、および便軟化剤の使用にかかわらず、この患者は少量の硬い便をなんとか通せるだけであった。二晩、この患者は合計500mgのスクラルファートを含有する2カプセルの免疫調節ポリスルフェート二糖類を服用した。3日目に、この患者は排便があり、不快感および鼓脹が緩和した。この患者は、夜間に1〜2カプセルの服用を続けた場合、2日毎に定期的排便があった。
【0070】
実施例11:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液で治療した便秘型IBS患者
cIBSと診断された47歳の女性は定期的排便を維持するために漸増用量の緩下薬を用いていたが、排便により完全に排出された感覚が無かった。この患者は4〜5日毎に排便があり、積極的に経口緩下薬または浣腸を用いれば、1日おきに不完全な部分的機会(incomplete partial moments)があった。初日に、本発明に従って作製した60mlの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液、すなわち、アカニレ(slippery elm)複合体を服用し、次いで、毎晩就寝前に30mlを服用したところ、この患者は2日以内に完全な排便があった。夜間に30mlのIMポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液の投与を続けたところ、完全な排便感覚を伴う1日1回の通常の排便が得られた。
【0071】
実施例12:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース粉末で治療したdIBS患者
32歳の女性は12年の間、切迫性下痢と交互する便秘歴を呈し、この両者は、排便で部分的に緩和され得る不快感を伴っていた。この患者は症状を管理するために緩下薬と止瀉薬の組合せを使用していた。この胃の問題により、この患者は好調感を全く感じたことが無かった。この患者はIBSと診断された。合計600mgのアカニレ複合体を含有する2カプセルの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース粉末を服用した後、この患者は3日以内に定期的排便があり、不快感または鼓脹は無かった。この患者が夜間に1〜2カプセルの服用を続けたところ、下痢または関連の切迫感の再発はなかった。
【0072】
実施例13:IBSの個人病歴を有する129名における免疫調節ポリスルフェート二糖類含有カプセルの使用
IBSの個人病歴を有する129名が免疫調節ポリスルフェート二糖類(スクラルファート複合体)のカプセルを要求し、自身に投与した(2晩は夜間に2カプセルを、その後、夜間に1〜2カプセル剤を服用した)。129名のうち、51名は成人男性であり、78名は成人女性であった。全ての患者が何年もの間、市販の(over−the−counter)(OTC)緩下薬および止瀉薬を自己投薬し、最適とは言えない結果であった。全ての患者が、本発明の免疫調節ポリスルフェート二糖類の自己投与の後に、OTC薬で達成されたものを超える排便の改善をみた。75%を超える患者(男性51名のうち40名および女性78名のうち59名)がOTC薬の服用を止めた。2年の治療後、男性3名および女性4名が、不定期の排便が完全に解決され、OTC薬が必要でないと訴えてカプセルの服用を止めた。1年後、男性3名のうち2名は、カプセルの服用を再開したが、2〜4日毎という低頻度で、鼓脹および疼痛無く、腸の規則性に満足のいく回復が見られた。
【0073】
実施例14:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いた機能性消化不良患者の治療
Rome II判定基準に従って機能性消化不良と診断された38歳の男性は、食後早期満腹、鼓脹、および胃消化不良に苦しんでいた。オメプラゾール、エソメプラゾール、パントプラゾール、ラベラゾール、およびスクラルファート懸濁液を投与してもこの患者の症状は改善できなかった。毎食前の15mlの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液の投与は、早期満腹感、鼓脹および消化不良を防いだ。最初に、食後消化不良の軽減のみが見られた。1〜2週間継続投与すると、機能性消化不良が総体的に消散に至った。
【0074】
実施例15:免疫調節スクラルファートまたは免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いた非酸性夜間胸やけの治療
48歳の男性は、プロトンポンプ阻害剤またはヒスタミン−2酸遮断薬に不応の非酸性夜間胸やけと診断された。この患者は、週に1〜3回、午前1時〜午前4時の間に目が覚めることとなる剣状突起下から胸骨下にかけての不快感を受けている。この不快感は一時的に、チュアブル炭酸カルシウム錠に2〜3分間応答する。
【0075】
この患者は、30mlの免疫調節ポリスルフェート懸濁液を嚥下している間に不快感の緩和を述べ、5分までに不快感が完全に収まり、一晩中持続した。この患者は同用量の免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液の嚥下後に同様の応答があった。
【0076】
実施例16:免疫調節ポリスルフェート懸濁液を用いた化学放射線潰瘍および腸炎患者の治療
ステージIVbの頭頸部扁平上皮癌に罹患した男性患者は、手術後、パクリタキセル、カルボプラチンの投与、および201 Gyの放射線処置を含む、6週間の化学療法および放射線を受けた。この患者は、口腔粘膜炎(OM:oral mucositis)および食事性粘膜炎(AM:alimentary mucositis)の発症を見越して胃ろう造設栄養管を受け、この患者は2週目の化学療法/放射線治療の終了までにこれらを発症した。3回分の一日用量の免疫調節ポリスルフェート懸濁液(1.5g/用量)を投与したところ、まず、有痛性口腔潰瘍、嚥下困難および軟便が軽減し、その後、消失した。この患者は潰瘍、悪心、および軟便のない状態に留まり、麻薬性鎮痛薬を必要とせず、胃ろう造設経管栄養を必要とすることなく通常食を許容した。この患者の症状は免疫調節ポリスルフェート懸濁液治療を中止して1週間後、化学放射線を受けている間に戻ったが、免疫調節ポリスルフェート懸濁液の再開後3日以内に軽減された。
【0077】
実施例17:免疫調節ポリスルフェート懸濁液を用いた急性皮膚創傷患者の治療
16歳の男性は、右第4指の中節骨に向かう2cm×0.4cmの斜角フラップ裂傷と診断された。この創傷は0.3cmの深さであった。一般に、このタイプの創傷は、完治に、縫合すれば10〜12日、単に包帯をして乾燥維持する場合には21日を要する。この患者の創傷を、免疫調節ポリスルフェート懸濁液で飽和させた包帯で治療した。この包帯は5日間、毎日替えた。縫合した創傷の治癒に通常必要とされる10日よりもずっと早い6日までに、完治が見られた。
【0078】
実施例18:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いた急性皮膚創傷患者の治療
左親指の先端の0.3cm×1cm剥離型裂傷と診断された25歳の男性は、創傷を免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を飽和させた包帯で処置した。裂傷の最初の痂皮形成は2日で起こり、創傷は6日で完治した。このタイプおよびサイズの創傷は一般に、最初の痂皮が生じるまでに7日、完治に16〜20日を要する。
【0079】
実施例19:免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液を投与することによる食道びらんの治癒の促進および臨床緩和
食道びらんを有する41名の患者を4つの治療群(treatment arm)に無作為化し、39名の患者(男性37および女性2名)が試験を完了した。免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液を受けたのは11名の患者(平均年齢28.5歳;1名脱落)、オメプラゾール群は10名(平均年齢28歳)、ラニチジン群は10名(平均年齢28.8歳;1名脱落)および制酸薬群は10名(平均年齢34.8歳)であった。治験期間は7日であった。
【0080】
2つのプライマリーエンドポイント、すなわち、治癒および治癒無し、および3つのセカンダリーエンドポイント、すなわち、疼痛の寛解無し、部分的寛解、および完全寛解があった。治癒は、8日目に内視鏡により、0日目に存在していたびらんのエビデンスが無いことと定義された。治癒無しは、8日目にびらんのエビデンスが残存していることと定義された。寛解無しは、重篤度にかかわらず症状の持続と定義され;部分的寛解は、1以上の症状の消失および0日目に記載されたもの持続と定義され;完全寛解は、8日目までに、0日目に存在していた全ての症状の消失と定義された。
【0081】
【0082】
免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液を投与された患者の80%が、7日以内に、オメプラゾール(30%)、ラニチジン(0%)および制酸薬(0%)よりもはるかに良好にびらんの完治を示した。免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液で治療した患者の50%は、7日以内に、オメプラゾール(40%)またはラニチジン(30%)による治療によりも良好に、また、制酸薬(50%)と同等に、完全な症候寛解をみた。
【0083】
実施例20:免疫調節ポリスルフェートおよび免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノースの懸濁液を用いた家畜における白痢の治療
獣医により白痢(下痢)と診断された3週齢の仔ウシは脱水状態であることが分かり、積極的な経口水分補給を必要とした。ビスマス含有化合物の投与では下痢を止めることができず、3日目の治療により悪化した。10mlの免疫調節ポリスルフェート懸濁液を毎日3回経口投与したところ、24〜36時間以内に下痢が停止した。この仔ウシは、免疫調節ポリスルフェート懸濁液により治療を続けると、4日目までに哺乳および草食を再開した。
【0084】
獣医により白痢と診断された5週齢の離乳ブタも、非血性下痢、脱水、食欲不振を有することが分かった。このブタを5mlの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液で毎日3回、経口治療した。この治療の結果、36〜48時間以内に下痢が停止した。
【0085】
実施例21:免疫調節ポリスルフェート二糖類懸濁液を用いたイヌパルボウイルス性腸炎の治療
コミュニティ内でのパルボウイルスの流行発生の際、1歳、30lb(13.6kg)の仔イヌは1日4〜5回の嘔吐エピソードおよび1日3〜4回の非血性下痢発作を呈し、獣医によりパルボウイルス性腸炎と診断された。この仔イヌを8mlの免疫調節ポリスルフェート懸濁液で1日2回治療したところ、12時間以内に嘔吐エピソードの寛解および24〜36時間以内に下痢の停止に至った。3日までに、この仔イヌの食欲は回復した。
【0086】
実施例22:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いたイヌ出血性胃腸炎の治療
高熱、白血球数の増加、血性下痢、食欲不振症、および脱水を呈する4歳の雑種イヌは、免許を受けた獣医により出血性胃腸炎と診断された。本症例は重篤であり、このイヌが生きながらえようとするならば、5〜7日の入院、静脈内補水、抗生物質、経管栄養を要し、そして通常食が再導入できるまでに8〜9日を要したことであろう。この動物に水分補給させ、抗生物質の静脈内治療を行った。8時間毎に10mlの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液の経口投与を行ったところ、48時間で下痢が停止し、72時間で食欲が回復した。
【0087】
実施例23:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いたウマ右背側大腸炎の治療
ウマの獣医により右背側大腸炎と診断された8歳のクォーターホースは、高用量の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID: non−steroidal anti−inflammatory)鎮痛薬バナミン下にあった。右背側大腸炎は、ウマの結腸内の潰瘍形成によって引き起こされることが知られている。NSAIDの中止および1日4回の8〜12グラムのスクラルファートの投与により治療を開始した。ウマは2日後に悪化し、静脈内補水を必要とした。このウマに8時間毎に30mlの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液の経口投与を行ったところ、24時間以内に姿勢および食欲の改善、36時間以内に下痢の完全停止、および72時間で通常食の再開に至った。
【0088】
実施例24:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いたウマ潰瘍性疝痛の治療
3週齢の仔ウマは、3日の食欲不振の後に、大型動物の獣医により胃十二指腸潰瘍と診断された。この仔ウマの状態は急速に悪化し、5日目までに、この仔ウマは完全に食欲不振となり、疝痛性腹部不快感および下痢の徴候を示した。プロトンポンプ阻害剤およびプレーンスクラルファートを用いた治療ではこれらの症状を緩和することができなかった。8時間毎に10mlの免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液の経口投与を行ったところ、36時間以内に疝痛性腹部不快感の徴候が消失し、48時間以内に軽い穀物の食餌を許容し、治療1日後に下痢が停止した。この仔ウマは、治療4日目までに通常の食餌および活動を再開した。
【0089】
実施例25:免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を用いたウマ潰瘍の治癒の促進
ウマにおける潰瘍性疝痛の治療に関する非盲検実地試験を行った。本試験では、209頭のウマのうち173頭が、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール)、ヒスタミン2遮断薬(ラニチジンもしくはシメチジン)、または制酸薬の組合せを含む標準治療計画に応答できなかった。23頭の非応答ウマは内視鏡により潰瘍を有することが分かった。次に、8頭の非応答個体を免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液(30mlを、1日目は1日3回、その後、1日2回)で治療し、他の15頭は免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液とともにオメプラゾール、ラニチジン、または制酸薬で治療した。FDA承認済みのオメプラゾール(GastroGard(登録商標))は一般に、28日間の治療の後に被験体の70%で潰瘍を治癒させる(NDA 141−123、1999年3月16日)。免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液を受けた全23頭のウマの潰瘍は、14〜20日間の治療後に完全に治癒した。これは、GastroGard(登録商標)治療の典型的な28日間に比べて8〜14日の治癒促進に当たる。この治癒促進は、免疫調節ポリガラクツロン酸−ラムノース懸濁液単独下にあったウマの潰瘍で見られたことに留意されたい。
【0090】
他の実施形態
本明細書に開示された特徴の全ては、いずれの組合せで合わせてもよい。本明細書に開示された各特徴は、同一、等価、または類似の目的を果たす別の特徴で置き換えてもよい。よって、そうではないことが明示されない限り、開示されている各特徴は、一般的な一連の等価または類似の特徴の一例に過ぎない。上記の明細書から、当業者ならば、本発明の必須の特徴を容易に確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、それを様々な用途および条件に適合させるために本発明の様々な変更および改変を行うことができよう。従って、他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。
【0091】
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]
ホメオスタシス維持因子を会合させるための免疫調節組成物であって、前記免疫調節組成物は有機化合物と金属キレート剤または金属イオンとを含み、前記有機化合物と前記金属キレート剤または金属イオンとの間の原子価モル比が1:1〜10:1であり、前記有機化合物が、共有結合性の極性構成成分を含み、前記有機化合物が、脂肪酸、ガム、デンプン、ポリヒドロール、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、複素環式化合物、多環式化合物、カルボン酸、およびカルバミル化合物からなる群から選択される、免疫調節組成物。
【0092】
[付記2]
前記免疫調節組成物は、有機化合物、金属イオン、および金属キレート剤を含み、前記有機化合物、前記金属イオン、および前記金属キレート剤の間の原子価モル比が1:1:1〜10:1:1である、付記1に記載の免疫調節組成物。
【0093】
[付記3]
前記金属キレート剤がカルボン酸、複素環式化合物、多フェニル化合物、有機ジアミン、ポリホスホン酸塩、メサラミン、短鎖、中鎖、または長鎖脂肪酸、ガバペンチン、およびカルボン酸塩からなる群から選択される、付記2に記載の免疫調節組成物。
【0094】
[付記4]
機能性上皮症候群を治療するための薬学的に活性な免疫調節薬であって、前記薬学的に活性な免疫調節薬は、有機化合物と金属キレート剤とを含み、前記有機化合物と金属キレート剤との間の原子価モル比が1:1〜10:1であり、前記有機化合物が共有結合性の極性構成成分を含み、前記有機化合物がユニスルフェートまたはポリスルフェート単糖類、ポリガラクツロン酸ラムノース、フルクトオリゴ糖、およびイヌリンからなる群から選択される薬学的に活性な免疫調節薬。
【0095】
[付記5]
金属イオンをさらに含み、前記有機化合物、前記金属イオン、および前記金属キレート剤の間の原子価モル比が1:1:1〜10:1:1であり;金属イオンがCa
2+
またはMg
2+
であり;かつ、前記金属キレート剤がリンゴ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸、またはジエチレントリアミン五酢酸である、付記4に記載の薬学的に活性な免疫調節薬。
【0096】
[付記6]
前記機能性上皮症候群が上皮裂傷、創傷、火傷、潰瘍、化学放射線口腔潰瘍、口腔粘膜炎、食事性粘膜炎、胃食道逆流障害およびびらん、バレット食道炎、非びらん性逆流障害、胃炎、胃腸炎、腸炎、全腸炎、機能性消化不良、セリアックスプルー、コラーゲン性またはリンパ性大腸炎、化学放射線腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(IBS)、化学放射線大腸炎、潰瘍性大腸炎、最小大腸炎およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、付記4に記載の薬学的に活性な免疫調節薬。
【0097】
[付記7]
前記機能性上皮症候群が上皮裂傷、創傷、火傷、潰瘍、化学放射線口腔潰瘍、口腔粘膜炎、食事性粘膜炎、胃食道逆流障害およびびらん、バレット食道炎、非びらん性逆流障害、胃炎、胃腸炎、腸炎、全腸炎、機能性消化不良、セリアックスプルー、コラーゲン性またはリンパ性大腸炎、化学放射線腸炎、クローン病、過敏性腸症候群(IBS)、化学放射線大腸炎、潰瘍性大腸炎、最小大腸炎およびアテローム性動脈硬化症からなる群から選択される、付記5に記載の薬学的に活性な免疫調節薬。
【0098】
[付記8]
前記機能性上皮症候群が便秘型IBS、下痢型IBS、または混合型、交互型、および未分化IBSである、付記6に記載の薬学的に活性な免疫調節薬。
【0099】
[付記9]
金属イオンをさらに含み、前記有機化合物、前記金属イオン、および前記金属キレート剤の間の原子価モル比が1:1:1〜10:1:1であり、前記有機化合物がテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ポリホスホネート、フルオロキノロン、セフジトレンピボキシル、リファキシミン、ベンジダミン、セフロキシムアキセチルおよびエゼチミブから選択される化合物および前記化合物がリン酸基、硫酸基、または硝酸基の1以上で共有結合的に修飾されたその誘導体、からなる群から選択される、付記4に記載の薬学的に活性な免疫調節薬。
【0100】
[付記10]
前記機能性上皮症候群が上皮裂傷であり、前記有機化合物がテトラサイクリンであり、前記金属イオンがCa
2+
であり、かつ、前記金属キレート剤がリンゴ酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸、またはジエチレントリアミン五酢酸である、付記9に記載の薬学的に活性な免疫調節薬。
【0101】
[付記11]
前記有機化合物はジホスホン酸塩であり、前記金属イオンはカルシウムである、付記1に記載の免疫調節組成物。
【0102】
[付記12]
前記有機化合物はテトラサイクリンであり、前記金属キレートがリンゴ酸塩であり、前記金属イオンがカルシウムである、付記2に記載の免疫調節組成物。
【0103】
[付記13]
前記金属キレート剤がメチレンジホスホネートであり、前記金属イオンがカルシウムである、付記3に記載の免疫調節組成物。
【0104】
[付記14]
前記金属キレート剤がメサラミンであり、前記金属イオンがカルシウムである、付記3に記載の免疫調節組成物。

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