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公開番号2019136167
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190822
出願番号2018019796
出願日20180207
発明の名称粒子線照射装置
出願人株式会社日立製作所
代理人特許業務法人YKI国際特許事務所
主分類A61N 5/10 20060101AFI20190726BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】ブラッグピークが極めて細く鋭い場合でも、ブラッグピーク幅を滑らかに拡大でき、均一な合計線量分布を容易に形成できる粒子線照射装置を提供することを目的とする。
【解決手段】粒子線照射装置50は、粒子線発生輸送装置1から輸送された粒子線10を照射対象11に照射する照射系6を備えている。照射系6は、粒子線10をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された粒子線成分により照射対象11においてブラッグピークの深さ方向の幅を拡大するブラッグピーク拡大フィルタ17と、を備えている。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、ビーム軸9に平行な方向に厚みを有する第一材料部18と、ビーム軸9に垂直な第一材料部18の面に複数配置され、ビーム軸9に平行な方向に貫通している、又はビーム軸9に平行な方向に窪んだ孔部19と、を有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲約 2,500 文字を表示【請求項1】
加速させた粒子線の発生及び輸送を行う粒子線発生輸送装置と、前記粒子線発生輸送装置から輸送された前記粒子線を照射対象に照射する照射系と、を備えた粒子線照射装置であって、
前記照射系は、輸送された前記粒子線のビーム軸に対して垂直な二方向に前記粒子線を偏向させる走査装置と、前記粒子線をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された前記粒子線成分により前記照射対象においてブラッグピークの深さ方向の幅を拡大するブラッグピーク拡大フィルタと、を備え、
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、
前記ビーム軸に平行な方向に厚みを有する第一材料部と、
前記ビーム軸に垂直な前記第一材料部の面に複数配置され、前記ビーム軸に平行な方向に貫通している、又は前記ビーム軸に平行な方向に窪んだ孔部と、を有することを特徴とする粒子線照射装置。
【請求項2】
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、少なくとも一部に複数の前記孔部が正方格子状に配列されており、
前記正方格子状に配列された前記孔部は、それぞれの開口形状が大きさの等しい円であることを特徴とする請求項1記載の粒子線照射装置。
【請求項3】
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、少なくとも一部に複数の前記孔部が六方格子状に配列されており、
前記六方格子状に配列された前記孔部は、それぞれの開口形状が大きさの等しい円であることを特徴とする請求項1記載の粒子線照射装置。
【請求項4】
前記ブラッグピーク拡大フィルタの前記孔部の直径は、最近接の前記孔部間の中心間距離の0.34倍よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の粒子線照射装置。
【請求項5】
前記ブラッグピーク拡大フィルタの前記孔部の直径は、最近接の前記孔部間の中心間距離の0.316倍よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の粒子線照射装置。
【請求項6】
前記ブラッグピーク拡大フィルタの前記孔部は、前記ビーム軸の上流側の開口面積と前記ビーム軸の下流側の開口面積とが異なることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。
【請求項7】
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、
前記第一材料部の前記孔部に、前記第一材料部の材料と異なる材料から成る第二材料部が配置されており、
前記第一材料部の前記ビーム軸に平行な方向の厚みは、前記第二材料部の前記ビーム軸に平行な方向の厚みと等しいことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。
【請求項8】
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、
前記第一材料部の前記孔部に、前記第一材料部の材料と異なる材料から成る第二材料部が配置されており、
前記第一材料部の前記ビーム軸に平行な方向の厚みは、前記第二材料部の前記ビーム軸に平行な方向の厚みと異なることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。
【請求項9】
加速させた粒子線の発生及び輸送を行う粒子線発生輸送装置と、前記粒子線発生輸送装置から輸送された前記粒子線を照射対象に照射する照射系と、を備えた粒子線照射装置であって、
前記照射系は、輸送された前記粒子線のビーム軸に対して垂直な二方向に前記粒子線を偏向させる走査装置と、前記粒子線をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された前記粒子線成分により前記照射対象においてブラッグピークの深さ方向の幅を拡大するブラッグピーク拡大フィルタと、を備え、
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、前記ビーム軸に垂直な面を有する複数のフィルタ要素により構成されており、
それぞれの前記フィルタ要素は、
前記ビーム軸に平行な方向に厚みを有する第一材料部と、
前記ビーム軸に垂直な前記第一材料部の面に複数配置され、前記ビーム軸に平行な方向に貫通している孔部を有し、
それぞれの前記フィルタ要素は、前記孔部の配置又は前記ビーム軸に垂直な方向の大きさの少なくともいずれかが異なっていることを特徴とする粒子線照射装置。
【請求項10】
加速させた粒子線の発生及び輸送を行う粒子線発生輸送装置と、前記粒子線発生輸送装置から輸送された前記粒子線を照射対象に照射する照射系と、を備えた粒子線照射装置であって、
前記照射系は、輸送された前記粒子線のビーム軸に対して垂直な二方向に前記粒子線を偏向させる走査装置と、前記粒子線をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された前記粒子線成分により前記照射対象においてブラッグピークの深さ方向の幅を拡大するブラッグピーク拡大フィルタと、を備え、
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、三次元的に複数の空洞部を有する多孔質の立体構造であることを特徴とする粒子線照射装置。
【請求項11】
前記ブラッグピーク拡大フィルタは、
前記第一材料部の前記ビーム軸に平行な方向の厚みが異なる複数の領域を有し、
それぞれの前記領域における前記第一材料部の厚みは、前記第一材料部を通過して前記粒子線が照射される前記照射対象の前記ビーム軸方向の厚みに基づいて決定されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。
【請求項12】
前記照射系の前記走査装置は、
前記粒子線発生輸送装置から輸送された前記粒子線のビーム軸に対して垂直な二方向に前記粒子線を偏向させて、前記照射対象の計画された照査位置に前記粒子線を走査することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。
【請求項13】
前記照射系の前記走査装置は、
前記粒子線発生輸送装置から輸送された前記粒子線のビーム軸に対して垂直な二方向に前記粒子線を偏向させて、前記照射対象に円形軌道を描くように前記粒子線を走査することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の粒子線照射装置。

発明の詳細な説明約 31,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本願は、粒子線(荷電粒子ビーム)を腫瘍等の患部に照射して粒子線治療を行う粒子線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粒子線治療は、加速器等の機器を用いて陽子または炭素イオンなどの荷電粒子を数百メガ電子ボルト程度まで加速し、患者に照射することで体内の照射対象である腫瘍(患部)に線量を付与し、がんを治療する方法である。このとき腫瘍に対して、医師により指示される線量分布、すなわち目標分布にできるだけ近い線量分布を形成することが重要である。多くの場合、目標分布は、腫瘍内において線量が均一であり、かつ腫瘍外において腫瘍内よりも線量ができるだけ低くなるような分布である。
【0003】
一般的に、加速器で加速された粒子線を物体(人体含む)に照射した場合、物体内での三次元線量分布はある一点で線量最大ピークを持つという特性がある。この線量最大ピークをブラッグピークと呼ぶ。また、三次元空間において一点で線量最大ピークを持つ場合、そのピーク位置をその粒子線の「照射位置」として定義する。以上のようなピーク構造を持つ粒子線を用いて、三次元的に目標分布を形成するためには何らかの工夫が必要である。
【0004】
粒子線照射装置における照射方法には、大きく分けて2つある。第一の照射方法は、粒子線を散乱体で散乱させて拡大し、拡大した粒子線を照射対象の形状に合わせて照射野を形成し、照射対象である患者の患部全体に対してビームを一斉に照射するブロード照射法である。第二の照射方法は、照射対象の形状に合わせるように、細いペンシル状のビームを走査電磁石により任意の位置に走査して照射する走査式照射法(スポットスキャニング法、ラスタースキャニング法等)である。また、いくつかあるブロード照射法の内、粒子線を回転磁場でX方向、Y方向同時に回転させて照射野を平坦化させるワブラー法では、X方向、Y方向の2台のワブラー電磁石で粒子線を円軌道に沿って高速に走査する。
【0005】
ブロード照射法では、一般的に照射対象(患部)の厚みに応じて、ブラッグピークの幅を拡大するリッジフィルタが用いられる(例えば、特許文献1)。特許文献1には、従来のリッジフィルタの問題点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2003−255093号公報(0022段〜0023段、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の楔形要素を有するリッジフィルタの各楔形要素に20数段の段部が形成されている場合には、リッジフィルタを通過する段部の数に応じたエネルギーの異なる粒子線成分により、体内に線量が高くかつ一様な合計総量分布が得られる。しかし、各楔形要素の段部の数を減らした場合には、リッジフィルタの製作は容易になるものの、体内における深さ方向の合計総量分布が不均一になってしまうことが特許文献1に指摘されている。すなわち、従来の粒子線照射装置は、ブラッグピークが極めて細く鋭い場合には、ブラッグピーク幅を滑らかに拡大するために非常に精巧なリッジフィルタが必要だった。
【0008】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、ブラッグピークが極めて細く鋭い場合でも、ブラッグピーク幅を滑らかに拡大でき、均一な合計線量分布を容易に形成できる粒子線照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示される粒子線照射装置は、加速させた粒子線の発生及び輸送を行う粒子線発生輸送装置と、粒子線発生輸送装置から輸送された粒子線を照射対象に照射する照射系と、を備えている。照射系は、輸送された粒子線のビーム軸に対して垂直な二方向に粒子線を偏向させる走査装置と、粒子線をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された粒子線成分により照射対象においてブラッグピークの深さ方向の幅を拡大するブラッグピーク拡大フィルタと、を備えている。ブラッグピーク拡大フィルタは、ビーム軸に平行な方向に厚みを有する第一材料部と、ビーム軸に垂直な第一材料部の面に複数配置され、ビーム軸に平行な方向に貫通している、又はビーム軸に平行な方向に窪んだ孔部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本願に開示される粒子線照射装置は、第一材料部の面に貫通している又は窪んだ孔部が複数配置されているブラッグピーク拡大フィルタを備えているので、ブラッグピークが極めて細く鋭い場合でも、ブラッグピーク幅を滑らかに拡大でき、均一な合計線量分布を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
実施の形態1による粒子線照射装置の概略構成図である。
図1のブラッグピーク拡大フィルタの第1例を示す斜視図である。
図2のブラッグピーク拡大フィルタのビーム軸の上流側から見た正面図である。
図1のブラッグピーク拡大フィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。
第一比較例のリッジフィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を示す図である。
第一比較例の線量分布を示す図である。
第二比較例の線量分布を示す図である。
図1の粒子線照射装置による粒子線のエネルギー頻度分布の例を示す図である。
図8の粒子線のエネルギー頻度分布に対応した線量分布を示す図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第2例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第3例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第4例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第5例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第6例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第7例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第8例を示す正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第9例を示す正面図である。
図17におけるA−Aの断面図である。
図17のブラッグピーク拡大フィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第10例を示す正面図である。
図20の第一のフィルタ要素を示す正面図である。
図20の第二のフィルタ要素を示す正面図である。
図20の第三のフィルタ要素を示す正面図である。
図20のブラッグピーク拡大フィルタにおけるビーム軸の上流側から見た孔部の正面図である。
図20のブラッグピーク拡大フィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第11例を示す正面図である。
図26の第一のフィルタ要素を示す正面図である。
図26の第二のフィルタ要素を示す正面図である。
図26の第三のフィルタ要素を示す正面図である。
図26の第四のフィルタ要素を示す正面図である。
図26のブラッグピーク拡大フィルタにおけるビーム軸の上流側から見た孔部の正面図である。
実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第12例を示す正面図である。
実施の形態2による粒子線照射装置の概略構成図である。
図33の粒子線照射装置の動作を示すフロー図である。
比較例の粒子線照射装置による粒子線のエネルギー頻度分布の例を示す図である。
図35の粒子線のエネルギー頻度分布に対応した線量分布を示す図である。
図33の粒子線照射装置による粒子線のエネルギー頻度分布の例を示す図である。
図37の粒子線のエネルギー頻度分布に対応した線量分布を示す図である。
実施の形態3による粒子線照射装置の要部を説明する図である。
図39の第一のフィルタ部の断面図である。
図40の第一のフィルタ部通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。
図39の第一のフィルタ部による線量分布の例を示す図である。
図39の第二のフィルタ部の断面図である。
図39の第二のフィルタ部通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。
図39の第二のフィルタ部による線量分布の例を示す図である。
実施の形態3による他の粒子線照射装置の要部を説明する図である。
図46の第三のフィルタ部の断面図である。
図46の第三のフィルタ部通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。
図46の第三のフィルタ部による線量分布の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は実施の形態1による粒子線照射装置の概略構成図である。図2は図1のブラッグピーク拡大フィルタの第1例を示す斜視図であり、図3は図2のブラッグピーク拡大フィルタのビーム軸の上流側から見た正面図である。図4は図1のブラッグピーク拡大フィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。実施の形態1の粒子線照射装置50は、ブロード照射法によるブロード照射を実行する例である。実施の形態1の粒子線照射装置50は、荷電粒子を必要なエネルギーまで加速して、加速された荷電粒子を粒子線10として発生させ、照射系6に輸送する粒子線発生輸送装置1と、粒子線10を患者13の照射対象11に照射野を形成するように照射する照射系6と、照射対象11に照射すべき粒子線10の予定線量値、走査装置2の走査速度情報などを記憶する記憶部3と、粒子線発生輸送装置1による粒子線10の出射開始および遮断と、走査装置2による粒子線10の走査とを制御する制御部4を備えている。
【0013】
照射系6は、粒子線発生輸送装置1により発生された粒子線10を粒子線が上流側から下流側に進行するビーム進行方向(ビーム軸方向)であるZ方向に対して垂直な二方向、すなわちXおよびY方向に偏向させて、粒子線10を例えば円形軌道を描くように走査するX方向走査装置23及びY方向走査装置24を有する走査装置2と、散乱体25と、ブラッグピーク拡大フィルタ17と、リッジフィルタ26と、レンジシフタ27と、粒子線10が照射対象11に照射される線量値を測定する線量モニタ5と、マルチリーフコリメータ28と、ボーラス(補償フィルタ)29を備えている。散乱体25は、鉛などで構成され、粒子線10を散乱させる。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、粒子線10をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された複数の粒子線成分により照射対象11においてブラッグピークを拡大する。リッジフィルタ26は、アルミニウムなどで構成され、照射対象11の厚さに応じて、粒子線10のブラッグピークの幅を拡大する。レンジシフタ27は、粒子線10のエネルギーを変更し、粒子線10の飛程を変更する。レンジシフタ27は、厚みの異なる複数の透過ユニット(図示せず)を有しており、透過ユニットを移動して透過ユニット合計厚みを変更することで、粒子線10のエネルギーを低減させて変更する。ビーム軸9は、X方向走査装置23及びY方向走査装置24により粒子線10が偏向されない場合の粒子線10が進行する軸である。また、ビーム軸9は、粒子線10を照射する際の基準であるアイソセンタ(図示せず)を通過する軸である。照射系6が回転ガントリに搭載された場合には、回転ガントリの回転軸と粒子線10のビーム軸9との交点がアイソセンタである。
【0014】
マルチリーフコリメータ28は、複数のリーフ板からなるリーフ部とリーフ板のそれぞれを駆動するリーフ駆動機構で構成され、粒子線10のビーム軸9に垂直な照射野(平面形状)を照射対象11の形状に合わせるように調整する。ボーラス(補償フィルタ)29は、照射対象11の深さ形状(ディスタル形状)に合うように粒子線10のエネルギーを調整する。リッジフィルタ26は、例えば錐状体や断面が三角形の板を面方向に多数並べたような形状にされ、これにより、面方向における分割領域毎に異なる厚みを通過する粒子線10が存在するようになっている。図1では、理解しやすいように三角柱(楔形要素)が横向きに並べられたように記載している。ブラッグピーク拡大フィルタ17により分解されたエネルギーの異なる複数の粒子線成分がリッジフィルタ26を通過することにより、ブラッグピークが拡大され、所定の幅のSOBP(Spread−Out Bragg Peak)を有するようになる。すなわち、ブラッグピーク拡大フィルタ17及びリッジフィルタ26により、照射野はビーム軸方向(深さ方向)にも広げられたことになる。
【0015】
粒子線照射装置50の動作を説明する。まず、粒子線発生輸送装置1のパラメータを、粒子線10のエネルギーが、治療計画で計画されたエネルギー値に設定する。その後、粒子線10を発生させて照射を開始し、それと同時に線量モニタ5による粒子線10の線量測定を開始する。測定された粒子線10の線量である測定線量の値が、記憶部3に記憶された予定線量値に到達するまで粒子線10の照射を継続する。測定線量の値が記憶部3に記憶された予定線量値に到達した場合は、粒子線10の照射を終了する。
【0016】
粒子線10のエネルギーを変更する際に、粒子線発生輸送装置1の加速器の種類がシンクロトロンである場合には、シンクロトロンの運転パターンを変化させることで粒子線のエネルギーを変更することが可能である。また、加速器の種類がサイクロトロンである場合には、粒子線輸送路の途中にエネルギー選択システム(ESS:Energy Selection System)を配置することで粒子線10のエネルギーを変更することが可能である。
【0017】
ブラッグピーク拡大フィルタ17について詳しく説明する。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、図2に模式的に示すように、粒子線10の進行方向すなわちビーム軸方向と垂直な面を持ち、第一材料部18と、粒子線10のビーム軸方向と平行な方向に貫通する複数の孔部19から形成される。換言すれば、ブラッグピーク拡大フィルタ17は一枚の板に複数の小さな貫通孔が空いたものであるとも言える。また、第一材料部18の厚みは、粒子線10を完全に停止できる厚さよりは小さい。第一材料部18の厚さは、例えば材料がアルミニウムの場合の厚さが0.5mm、アクリル樹脂の場合の厚さが1mmである。図3に、ブラッグピーク拡大フィルタ17を粒子線10のビーム軸の上流側から見た図を示す。孔部19の形状は例えば円形であり、孔部19の配置は例えば正方格子状である。孔部19の中心と、隣接する孔部19の中心との距離(中心間距離)Lは例えば2mmである。また、孔部19の直径Dは例えば1.5mmである。このような構造は、NC(Numerical Control)加工により製作することができる。あるいは、フォトリソグラフィによっても製作することができる。
【0018】
ブラッグピーク拡大フィルタ17は、通過する一部の粒子線10のエネルギーを低減させる。すなわち、ブラッグピーク拡大フィルタ17の第一材料部18を通過した粒子線10はエネルギーが低減され、孔部19を通過した粒子線10はエネルギーが低減されない。ブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10は、図4に示すようにエネルギーが異なる2つの粒子線成分に分かれ、2つの粒子線成分の重ね合わせによりブラッグピークの幅が大きくなる。このように、ブラッグピーク拡大フィルタ17は、患者13の体表面からの深さ方向においてブラッグピークの幅を増大させる機能を有する。図4において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。図4に示したエネルギーがE1のエネルギー成分30aは第一材料部18を通過した粒子線成分によるエネルギー成分であり、エネルギーがE2のエネルギー成分30bは孔部19を通過した粒子線成分によるエネルギー成分である。
【0019】
ブラッグピーク拡大フィルタ17を通過することで、幅が増大されたブラッグピークの形状は、2つの粒子線成分の割合によって決まる。2つの粒子線成分の割合は、ブラッグピーク拡大フィルタ17の粒子線10が通過する範囲における第一材料部18と孔部19の面積の比、すなわち粒子線10のビーム軸の上流側から見た面積の比によって決まる。例えば図3に示すような孔部19の配置は、正方格子状の配置である。孔部19が直径Dの円であり、孔部19の中心が一辺の長さがLの正方形の頂点に存在するような配置(正方格子状の配置)をしている場合には、第一材料部18と孔部19の面積比Raは式(1)のように計算できる。


−π×D

/4 : π×D

/4 ・・・(1)
【0020】
例えばL=2mm、D=1.5mmの場合、面積比Raは概ね5:4となる。孔部19の大きさおよび配置を変更することで、面積比Raはある程度自由に調節することができる。孔部19の面積が第一材料部18の面積に対してあまりに小さすぎる場合は、2つの粒子線成分のうち、エネルギーの低いほうの成分が支配的となり、ブラッグピークの形状もほとんどエネルギーの低いほうの成分によって決まる。この場合は、ブラッグピーク幅拡大の効果があまり得られない。具体的には、孔部19の面積は少なくとも、第一材料部18の面積の1/10以上であることが望ましい。そのために必要な条件は、式(1)を用いて式(2)と表すことができる。
D/L > 0.34 ・・・(2)
【0021】
ブラッグピーク拡大フィルタ17の作用を、比較例と比較しながら説明する。図5は第一比較例のリッジフィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を示す図であり、図6は第一比較例の線量分布を示す図である。図7は、第二比較例の線量分布を示す図である。図8は図1の粒子線照射装置による粒子線のエネルギー頻度分布の例を示す図であり、図9は図8の粒子線のエネルギー頻度分布に対応した線量分布を示す図である。図5、図8において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。図6、図7、図9において、横軸は深さ、すなわち照射対象11の内部におけるZ方向の位置(Z位置)であり、縦軸は粒子線の線量である。
【0022】
第一比較例は、ブラッグピーク拡大フィルタ17が配置されていない粒子線照射装置により、ブラッグピークを拡大する例である。ブラッグピーク拡大フィルタ17が配置されていない従来の粒子線照射装置では、リッジフィルタ26の各楔形要素の一面に例えば20数段の段部が形成されている。この場合には、リッジフィルタ26を通過した粒子線は、20数個のエネルギーが異なる粒子線成分を含んでいる。エネルギーに対する荷電粒子数の分布は、荷電粒子のエネルギーを決定する各段部の1つの楔形要素に占める割合によって決まる。このため、楔形要素の縦断面の形状によって、リッジフィルタ26を通過した粒子線のエネルギー分布が決まる。ブラッグピーク拡大フィルタ17が設置されない従来の照射野形成装置において、7個の段部を一面に形成した楔形要素を有するリッジフィルタ26を通過した粒子線の粒子線成分におけるエネルギー成分の分布を、図5に示した。
【0023】
粒子線が体内において到達する深さは、粒子線が持っているエネルギーによって決まる。エネルギーが大きい粒子線は深い位置まで到達し、エネルギーが小さい粒子線ほど到達する位置は浅くなる。図5のようにエネルギーが異なる7個の粒子線成分を含む粒子線においては、この粒子線を患者13に照射した場合にはエネルギーに応じて各粒子線成分が体内で到達する異なる7つの各位置でブラッグピークが形成される。そのような粒子線を照射した場合の体内の合計線量分布32は、体内の深さ方向において、それらのブラッグピークが足し合わされる。図6では、ブラッグピークが異なる7つの線量分布31a、31b、31c、31d、31e、31f、31gを示した。7つの線量分布31a、31b、31c、31d、31e、31f、31gが足し合わされた合計線量分布32は、線量が高くかつ一様になっている範囲が深さ方向に広がっている。
【0024】
リッジフィルタ26の楔形要素に形成される段部の数を減らして高さ方向における段部の間隔を粗く製作した場合を考える。第二比較例は、ブラッグピーク拡大フィルタ17が配置されておらず、かつ第一比較例のリッジフィルタ26よりも段部の数が少ないリッジフィルタ26を有する粒子線照射装置によりブラッグピークを拡大する例である。リッジフィルタ26の楔形要素に形成される段部の数を減らして高さ方向における段部の間隔を粗く製作した場合には、第一比較例のリッジフィルタ26に比べてリッジフィルタの製作は簡単になる。しかし、第二比較例のリッジフィルタ26を通過した粒子線に含まれる、エネルギーの異なる粒子線成分の数が減り、各粒子線成分間のエネルギーの差が大きくなる。このため、図7に示すように、照射対象11の内部の深さ方向における合計線量分布32が凹凸のある不均一な形状になる。図7では、ブラッグピークが異なる4つの線量分布31a、31c、31e、31gを示した。なお、図7では、図6における3つの線量分布31b、31d、31fが除かれている例を示した。
【0025】
次に、リッジフィルタ26の上流側にブラッグピーク拡大フィルタ17を設置した場合における体内の合計線量分布について説明する。ブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線は、前述したように、エネルギーが異なる2つの粒子線成分を含んでいる。図8では、ブラッグピーク拡大フィルタ17の孔部19を通過し、リッジフィルタ26の楔形要素における4つの段部を通過した、4つのエネルギーがE1、E2、E3、E4のエネルギー成分と、ブラッグピーク拡大フィルタ17の第一材料部18を通過し、リッジフィルタ26の楔形要素における4つの段部を通過した、4つのエネルギーがE1a、E2a、E3a、E4aのエネルギー成分を示した。図9では、4つの線量分布33a、33b、33c、33dと、線量分布33a、33b、33c、33dを合わせた合計線量分布34を示した。線量分布33aは、エネルギーE1a、E1のエネルギー成分による線量分布である。同様に、線量分布33bはエネルギーE2a、E2のエネルギー成分による線量分布であり、線量分布33cはエネルギーE3a、E3のエネルギー成分による線量分布であり、線量分布33dはエネルギーE4a、E4のエネルギー成分による線量分布である。
【0026】
ブラッグピーク拡大フィルタ17の下流に位置するリッジフィルタ26を通過した粒子線を照射することによって、図9に示したように、体内に形成される各ブラッグピークの幅が広くなる。実施の形態1の粒子線照射装置50は、ブラッグピーク拡大フィルタ17を設置しない従来の粒子線照射装置と比べ、リッジフィルタ26の段部の数および加工精度が同等の条件であっても、合計線量分布を均一にすることが容易になる。したがって、実施の形態1の粒子線照射装置50は、粒子線10をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解するブラッグピーク拡大フィルタ17を備えるので、ブラッグピークが極めて細く鋭い場合でも、体内に形成される各ブラッグピーク幅を滑らかに拡大でき、均一な合計線量分布を容易に形成できる。
【0027】
また、実施の形態1の粒子線照射装置50は、合計線量分布の均一度を保ったまま、リッジフィルタ26の段部の数を減らしたり、加工の要求精度を緩めることで、リッジフィルタ26の製造に要する時間を短縮できる。したがって、実施の形態1の粒子線照射装置50は、粒子線10をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解するブラッグピーク拡大フィルタ17を備えるので、段部の数の少ないリッジフィルタ26を用いても、体内に形成される各ブラッグピーク幅を滑らかに拡大でき、均一な合計線量分布を容易に形成できる。
【0028】
なお、図1ではブラッグピーク拡大フィルタ17をリッジフィルタ26の上流側に配置する例を示したが、ブラッグピーク拡大フィルタ17をリッジフィルタ26の下流側に配置しても構わない。
【0029】
ブラッグピーク拡大フィルタ17は、図2、図3に示した第1例の構成に限らず、他の構成であってもよい。ブラッグピーク拡大フィルタ17の孔部19の配置は、図10に示すように、六方格子状の配置であってもよい。図10は、実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第2例を示す正面図である。この場合、第一材料部18と孔部19の面積比Raは式(3)のように計算できる。


×√3/2−π×D

/4 : π×D

/4 ・・・(3)
【0030】
六方格子状の配置は、正方格子状の配置のときと同様に孔部19の大きさと配置を変更することで面積比Raをある程度自由に調節することが可能である。正方格子状の配置のときと同様に、孔部19の面積が第一材料部18の面積に対してあまりに小さすぎる場合は、ブラッグピーク幅拡大の効果があまり得られない。孔部19の面積は少なくとも、第一材料部18の面積の1/10以上であることが望ましい。そのために必要な条件は、式(3)を用いて式(4)と表すことができる。
D/L > 0.316 ・・・(4)
【0031】
また、孔部19の配置は、図11に示すように環状であってもよいし、図12に示すようにランダム配置であってもよい。図11は実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第3例を示す正面図であり、図12は実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第4例を示す正面図である。
【0032】
孔部19の形状は必ずしも円である必要はなく、例えば図13に示すように多角形であってもよい。また孔部19の大きさは必ずしも全て等しい必要はなく、例えば図14に示すように複数種類の異なる大きさの孔部を有する構造をしていてもよい。いずれの例においても、ブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10の2つのエネルギーを持つ粒子線成分の割合は、ブラッグピーク拡大フィルタ17を粒子線10が通過する範囲における第一材料部18と孔部19の、粒子線10のビーム軸の上流側から見た面積の比によって決まる。図13は実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第5例を示す正面図であり、図14は実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第6例を示す正面図である。
【0033】
以上の説明では、第1〜第6例のブラッグピーク拡大フィルタ17は空気中に配置され、孔部19には空気が存在していることを前提に記載している。しかし、照射系6の設計上、ブラッグピーク拡大フィルタ17は真空中に配置されても良く、その場合、孔部19を満たす要素は真空となる。また同様に、ブラッグピーク拡大フィルタ17はヘリウムガスを封入したガスチェンバー内に配置されても良く、その場合、孔部19を満たす要素はヘリウムとなる。
【0034】
さらに他の構成のブラッグピーク拡大フィルタ17であってもよい。図15は実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第7例を示す正面図であり、図16は実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第8例を示す正面図である。図15に示すように、第一材料部18の孔部19が、第一材料部18とは異なる材料から成る固体で満たされるように配置されても良い。すなわち、第7例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、第一材料部18と、第一材料部18と異なる材料から成る第二材料部52から形成されている。第一材料部18の孔部19が完全に固体で満たされた場合には、孔部19という呼称は適切ではないので、第二材料部52を用いる。
【0035】
第一材料部18と第二材料部52とで粒子線10に対するストッピング・パワー、すなわち低減力の異なる材料を用いることで、第一材料部18を通過した粒子線10と第二材料部52を通過した粒子線10とが異なるエネルギー低減を受けるため、第二材料部52が空洞である場合と同様の効果が得られる。また、第一材料部18と第二材料部52とで同じ材料を用い、厚さを変えることでもやはり同様の効果が得られる。図16に示すように、第一材料部18を一体の構造で製造することが不可能な形状であっても、第二材料部52を固体で満たすことにより、ブラッグピーク拡大フィルタ17を一体の構造物として形成することが可能になる。
【0036】
ブラッグピーク拡大フィルタ17の孔部19の大きさは、ビーム軸方向に対して一定ではなく、図17に示すように、孔部19がテーパー形状をしていても良い。図17は、実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第9例を示す正面図である。図18は図17におけるA−Aの断面図であり、図19は図17のブラッグピーク拡大フィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。図18では、図17のA−Aで示した破線とビーム軸方向を含む平面にてブラッグピーク拡大フィルタ17を切断した断面図を示した。孔部19は、粒子線10が進行する方向(ビーム軸方向)の上流側の開口が広く、下流側の開口は狭くなっている。孔部19は、上流側開口59、テーパー形状の側面であるテーパー部57、下流側開口58を有している。粒子線10がビーム軸9に平行な方向からブラッグピーク拡大フィルタ17を通過する場合、下流側開口58を通過する粒子線10cはテーパー部57によるエネルギー低減を受けない。下流側開口58は、第一材料部18を貫通している底部ということもできる。図18では、粒子線10の軌跡を模式的に3つの粒子線10a、10b、10cとして記載した。第一材料部18を通過した粒子線10aはエネルギーを低減し比較的低いエネルギーを有し、孔部19の下流側開口58を通過した粒子線10cはエネルギーが低減されず、比較的高いエネルギーを有する。さらに、孔部19のテーパー形状に形成されたテーパー部57を通過した粒子線10bは、その中間のエネルギーを有する。
【0037】
したがって、第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10は図19に示すように複数のエネルギーを有する粒子線成分によって構成される。図4に示したような、粒子線10のエネルギーの異なる粒子線成分が2つである場合に比べ、第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、粒子線10を3つ以上のエネルギーの異なる粒子線成分に分解し、分解された複数の粒子線成分により照射対象11においてブラッグピークを拡大することができる。図19では、9個の異なるエネルギーE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8、E9に対応した粒子線成分による、9個のエネルギー成分の例を示した。図19において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、3つ以上の粒子線成分によって形成される線量分布が2つの粒子線成分によって形成される線量分布よりも滑らかになるので、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状も滑らかになり、ブラッグピーク位置の異なる複数の線量分布を足し合わせることで、均一な合計線量分布の形成がより容易になる。
【0038】
なお、テーパー形状の孔部19は、ビーム軸9の上流側の開口面積とビーム軸9の下流側の開口面積とが異なっていると表現することもできる。図17、図18に示した例は、上流側の開口面積が下流側の開口面積よりも大きい例である。また、テーパー形状の孔部19は、上流側の開口面積が下流側の開口面積よりも小さい場合でもよい。この場合もテーパー部57を通過した粒子線10は、通過したテーパー部57の厚さに応じてエネルギーが低減されるので、図17、図18に示した例と同様の効果が得られる。
【0039】
ブラッグピーク拡大フィルタ17は、複数のフィルタ要素によって構成されても良い。図20は、実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第10例を示す正面図である。図21、図22、図23は、それぞれ図20の第一のフィルタ要素、第二のフィルタ要素、第三のフィルタ要素を示す正面図である。図24は、図20のブラッグピーク拡大フィルタにおけるビーム軸の上流側から見た孔部の正面図であり、図25は図20のブラッグピーク拡大フィルタ通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図である。図25において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。図20では、3枚のフィルタ要素53a、53b、53cにより構成されるブラッグピーク拡大フィルタ17の例を示した。それぞれのフィルタ要素53a、53b、53cは、第一材料部18と異なる大きさの孔部19を有している。フィルタ要素53a、53b、53cは、第1例のブラッグピーク拡大フィルタ17と同様に、第一材料部18と、粒子線10のビーム軸方向と平行な方向に貫通する複数の孔部19から形成される。図21は、3枚のフィルタ要素53a、53b、53cを重ねたときに、孔部19の1つをビーム軸の上流側から見た図である。開口54a、54b、54cは、それぞれフィルタ要素53a、53b、53cの孔部19の開口である。
【0040】
第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10のエネルギーの成分は、3枚のフィルタ要素53a、53b、53cの第一材料部18と、孔部19の開口54a、54b、54cの組合せにより、4つの領域55a、55b、55c、55dが形成される。領域55aは、粒子線10が3枚のフィルタ要素53a、53b、53cの第一材料部18を通過する領域である。領域55bは、粒子線10が3枚のフィルタ要素53a、53b、53cにおける2つの第一材料部18と、1つの孔部19を通過する領域である。図24では、領域55bは、粒子線10が2枚のフィルタ要素53b、53cにおける2つの第一材料部18と、フィルタ要素53aの孔部19の開口54aを通過する領域の例を示した。領域55cは、粒子線10が3枚のフィルタ要素53a、53b、53cにおける1つの第一材料部18と、2つの孔部19を通過する領域である。図24では、領域55cは、粒子線10が1枚のフィルタ要素53cにおける第一材料部18と、フィルタ要素53a、53bの孔部19の開口54a、54bを通過する領域の例を示した。領域55dは、粒子線10が3枚のフィルタ要素53a、53b、53cの孔部19の開口54a、54b、54cを通過する領域である。
【0041】
第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10は、通過した各領域55a、55b、55c、55dに対応して4つの異なるエネルギーE1、E2、E3、E4を有する粒子線成分に分解される。第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10のエネルギー成分の頻度分布は、例えば図25のようになる。第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17のような構成でも、近似的に、図17に示したテーパー形状の孔部19を有する第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17と同様に、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状を滑らかにする効果が得られる。
【0042】
フィルタ要素の数を増やすことで、第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状を更に滑らかにする効果が得られる。フィルタ要素の数が2つの場合は、2つの第一材料部18を通過する領域、1つの第一材料部18と1つの孔部19を通過する領域と、2つの孔部19を通過する領域が形成される。2つのフィルタ要素を備えた第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、粒子線10を3つの異なるエネルギーE1、E2、E3を有する粒子線成分に分解することができる。したがって、複数のフィルタ要素を有する第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、3つ以上の粒子線成分によって線量分布を形成できるので、第1例のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いた場合における、2つ粒子線成分によって形成される線量分布よりも滑らかになるので、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状も滑らかになる。そして、複数のフィルタ要素を有する第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、ブラッグピーク位置の異なる複数の線量分布を足し合わせることで、均一な合計線量分布の形成がより容易になる。図20に示した、3つのフィルタ要素53a、53b、53cを有する第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、4つの粒子線成分によって線量分布を形成できる。
【0043】
複数のフィルタ要素からなるブラッグピーク拡大フィルタ17の他の例を、図26〜図31を用いて説明する。図26は、実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第11例を示す正面図である。図27、図28、図29、図30は、それぞれ図26の第一のフィルタ要素、第二のフィルタ要素、第三のフィルタ要素、第四のフィルタ要素を示す正面図である。図31は、図26のブラッグピーク拡大フィルタにおけるビーム軸の上流側から見た孔部の正面図である。図26では、4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dにより構成され、それぞれのフィルタ要素53a、53b、53c、53dの孔部19の大きさが同じで、孔部19の配置が異なっている、ブラッグピーク拡大フィルタ17の例を示した。フィルタ要素53a、53b、53c、53dは、第1例のブラッグピーク拡大フィルタ17と同様に、第一材料部18と、粒子線10のビーム軸方向と平行な方向に貫通する複数の孔部19から形成される。図31は、4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dを重ねたときに、孔部19の1つをビーム軸の上流側から見た図である。開口54a、54b、54c、54dは、それぞれフィルタ要素53a、53b、53c、54dの孔部19の開口である。
【0044】
第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10のエネルギーの成分は、4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dの第一材料部18と、孔部19の開口54a、54b、54c、54dの組合せにより、5つの領域56a、56b、56c、56d、56eが形成される。領域56aは、粒子線10が4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dの第一材料部18を通過する領域である。領域56bは、粒子線10が4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dにおける3つの第一材料部18と、1つの孔部19を通過する領域である。領域56cは、粒子線10が4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dにおける2つの第一材料部18と、2つの孔部19を通過する領域である。領域56dは、粒子線10が4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dにおける1つの第一材料部18と、3つの孔部19を通過する領域である。領域56eは、粒子線10が4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dの孔部19を通過する領域である。
【0045】
図31において実線円で表示した、ビーム軸9の上流側から見た最上流側のフィルタ要素53aの開口54aの内側を例に、領域56b、56c、56d、56eを説明する。領域56bは、フィルタ要素53aの開口54aと、3枚のフィルタ要素53b、53c、53dにおける3つの第一材料部18を粒子線10が通過する領域である。領域56cは、2つ存在する。第1の領域56cは、2枚のフィルタ要素53a、53bの2つの開口54a、54bと、2枚のフィルタ要素53c、53dの2つの第一材料部18を粒子線10が通過する領域である。第2の領域56cは、2枚のフィルタ要素53a、53dの2つの開口54a、54dと、2枚のフィルタ要素53b、53cの2つの第一材料部18を粒子線10が通過する領域である。領域56dは、2つ存在する。第1の領域56dは、3枚のフィルタ要素53a、53b、53cの3つの開口54a、54b、54cと、フィルタ要素53dの1つの第一材料部18を粒子線10が通過する領域である。第2の領域56dは、3枚のフィルタ要素53a、53c、53dの3つの開口54a、54c、54dと、フィルタ要素53bの1つの第一材料部18を通過する領域である。領域56eは、4枚のフィルタ要素53a、53b、53c、53dの4つの開口54a、54b、54c、54dを粒子線10が通過する領域である。
【0046】
第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10は、通過した各領域56a、56b、56c、56d、56eに対応して5つの異なるエネルギーE1、E2、E3、E4、E5を有する粒子線成分に分解される。第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17のような構成でも、近似的に、図17に示したテーパー形状の孔部19を有する第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17と同様に、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状を滑らかにする効果が得られる。
【0047】
フィルタ要素の数を増やすことで、第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状を更に滑らかにする効果が得られる。フィルタ要素の数が2つの場合は、2つの第一材料部18を通過する領域、1つの第一材料部18と1つの孔部19を通過する領域と、2つの孔部19を通過する領域が形成される。2つのフィルタ要素を備えた第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、粒子線10を3つの異なるエネルギーE1、E2、E3を有する粒子線成分に分解することができる。したがって、複数のフィルタ要素を有する第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、3つ以上の粒子線成分によって線量分布を形成できるので、第1例のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いた場合における、2つ粒子線成分によって形成される線量分布よりも滑らかになるので、幅が拡大されたブラッグピークを有する線量分布のカーブ形状も滑らかになる。そして、複数のフィルタ要素を有する第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、ブラッグピーク位置の異なる複数の線量分布を足し合わせることで、均一な合計線量分布の形成がより容易になる。図26に示した、4つのフィルタ要素53a、53b、53c、53dを有する第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17を備えた粒子線照射装置50は、5つの粒子線成分によって線量分布を形成できる。
【0048】
ブラッグピーク拡大フィルタ17は、三次元的に複数の空洞部を有する多孔質の立体構造であってもよい。図32は、実施の形態1によるブラッグピーク拡大フィルタの第12例を示す正面図である。図32では、アクリル製の直方体形状をしたブロックである第一材料部18に、球状の孔部19が複数箇所に形成された例を示した。第12例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10には、孔部19を通過せずに比較的大きなエネルギー低減を受けた成分も存在すれば、孔部19を通過することで比較的小さなエネルギー低減を受けた成分も存在する。また、通過する孔部19の大きさや個数も粒子線10の通過位置ごとに様々であるため、第12例のブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10のエネルギーの成分の頻度分布は連続的な幅を持つ。このため、第12例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、第10例、第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17と同様に、幅が拡大されたブラッグピーク有する線量分布のカーブ形状を滑らかにする効果が得られる。図32に示したような多孔質の立体構造による、第12例のブラッグピーク拡大フィルタ17は、例えば、積層造型(3Dプリンタ)により製作することができる。
【0049】
なお、第1例〜第6例、第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17では、孔部19が貫通している例を示したが、貫通していなくてもビーム軸9に平行な方向に窪んだ孔部でもよい。後述する図47のようにビーム軸9の下流側が貫通していない底部60を有していてもよく、ビーム軸9の上流側が貫通しておらず、下流側が窪んでいてもよい。また、孔部19のビーム軸9に平行な方向の途中に肉薄部を設けて、ビーム軸9の上流側及び下流側が窪んでいてもよい。また、第10例、第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17では、各フィルタ要素の孔部19が貫通している例を示したが、貫通していなくてもビーム軸9に平行な方向に窪んだ孔部でもよい。
【0050】
以上のように、実施の形態1の粒子線照射装置50は、加速させた粒子線10の発生及び輸送を行う粒子線発生輸送装置1と、粒子線発生輸送装置1から輸送された粒子線10を照射対象11に照射する照射系6と、を備えている。照射系6は、輸送された粒子線10のビーム軸9に対して垂直な二方向に粒子線10を偏向させる走査装置2と、粒子線10をエネルギーの異なる複数の粒子線成分に分解し、分解された粒子線成分により照射対象11においてブラッグピークの深さ方向の幅を拡大するブラッグピーク拡大フィルタ17と、を備えている。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、ビーム軸9に平行な方向に厚みを有する第一材料部18と、ビーム軸9に垂直な第一材料部18の面に複数配置され、ビーム軸9に平行な方向に貫通している、又はビーム軸9に平行な方向に窪んだ孔部19と、を有する。実施の形態1の粒子線照射装置50は、第一材料部18の面に貫通している又は窪んだ孔部19が複数配置されているブラッグピーク拡大フィルタ17を備えているので、ブラッグピークが極めて細く鋭い場合でも、ブラッグピーク幅を滑らかに拡大でき、均一な合計線量分布を容易に形成できる。
【0051】
実施の形態2.
実施の形態1に示したブラッグピーク拡大フィルタ17は、走査式照射法による走査式照射(スポットスキャニング照射、ラスタースキャニング照射等)においても使用することができる。図33は、実施の形態2による粒子線照射装置の概略構成図である。実施の形態2の粒子線照射装置50は、走査式照射法による走査式照射を実行する例である。実施の形態2の粒子線照射装置50は、荷電粒子を必要なエネルギーまで加速して、加速された荷電粒子を粒子線10として発生させ、走査装置2に輸送する粒子線発生輸送装置1と、粒子線発生輸送装置1により発生された粒子線10を粒子線が上流側から下流側に進行するビーム進行方向(ビーム軸方向)であるZ方向に対して垂直な二方向、すなわちXおよびY方向に偏向させて、患者腫瘍内、すなわち照射対象11の任意の位置(治療計画で計画された照射位置)に走査させる走査装置2を備えている。通常、粒子線発生輸送装置1は、荷電粒子を加速する加速器と加速器から走査装置2まで粒子線10を輸送するための輸送系を備えている。走査装置2は、粒子線10をX方向に偏向させるX方向走査装置21と、粒子線10をY方向に偏向させるY方向走査装置22を備えている。
【0052】
粒子線発生輸送装置1は発生させる粒子線10のエネルギーを変更することが可能である。例えば粒子線発生輸送装置1がシンクロトロンである場合には、シンクロトロンの運転パラメータを変更することにより、異なるエネルギーの粒子線を発生させることができる。また、例えば粒子線発生輸送装置1がサイクロトロンである場合には、粒子線輸送経路上にエネルギー選択システム(ESS:Energy Selection System)を配置することで、異なるエネルギーの粒子線を発生させることができる。
【0053】
さらに、粒子線照射装置50は、照射対象11における各照射位置12の位置情報、各照射位置12に照射すべき粒子線10の予定線量値、走査装置2の走査速度情報などを記憶する記憶部3と、粒子線発生輸送装置1による粒子線10の出射開始および遮断と、走査装置2による粒子線10の走査とを制御する制御部4と、走査装置2で走査された粒子線10が照射対象11の各照射位置12に照射される線量値を測定する線量モニタ5を備えている。なお、記憶部3に記憶する各照射位置12の位置情報としては、例えば照射位置番号、各照射位置12のXY座標系における位置情報、および粒子線10を各照射位置12のX位置及びY位置に偏向させるための走査装置2の走査電磁石であるX方向走査装置21及びY方向走査装置22の励磁電流値、および各照射位置12のZ位置(Z方向の位置)に対応するエネルギーなどがある。
【0054】
さらに、粒子線照射装置50は、粒子線10が走査されて通過する経路上の少なくとも一部に、ブラッグピーク拡大フィルタ17を有する。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、例えば、図2に示すような、粒子線10のビーム軸9の方向と垂直な面、すなわちZ方向と垂直なXY平面を持ち、第一材料部18と、粒子線10のビーム軸9の方向と平行な方向に貫通する複数の孔部19から形成される。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、図2に示した第1例のブラッグピーク拡大フィルタに限らず、実施の形態1にて例示した他の構成や、それらの組み合わせであってもよい。走査装置2、線量モニタ5、ブラッグピーク拡大フィルタ17は、粒子線10を照射対象11に照射野を形成して照射する照射系6である。
【0055】
実施の形態2の粒子線照射装置50による走査式照射の動作を、図34を用いて説明する。図34は、図33の粒子線照射装置の動作を示すフロー図である。ステップF01にて照射動作を開始する。まず、粒子線発生輸送装置1のパラメータを、粒子線10のエネルギーが照射する最初のエネルギーになるよう設定する(ステップF02)。また、走査装置2のパラメータを、粒子線10の照射位置12が最初のエネルギーに対応する最初の照射位置12となるよう設定する(ステップF03)。その後、粒子線10を発生させて照射を開始し、それと同時に線量モニタ5による粒子線10の線量測定を開始する(ステップF04)。ステップF05にて、測定された粒子線10の線量である測定線量の値が、記憶部3に記憶された予定線量値に到達するまで粒子線10の照射を継続する。測定線量の値が記憶部3に記憶された予定線量値に到達した場合は、ステップF06に進む。
【0056】
ステップF06にて、当該照射位置12が設定されたエネルギー内の最終照射位置かどうかを判定し、最終照射位置でないと判定された場合はステップF08に進み、最終照射位置であると判定された場合はステップF07に進む。ステップF08にて、走査装置2のパラメータを、粒子線10の照射位置12が記憶部3に記憶された次の照射位置12となるよう設定し、次の照射位置12に対する照射を継続し、次の照射位置12に対する測定を開始する。ステップF05にて、次の照射位置12に対する測定線量の値が、記憶部3に記憶された予定線量値に到達したら、再びステップF06による判定を行う。
【0057】
ステップF06にて、当該照射位置12が同エネルギー内の最終照射位置かどうかを判定し、最終照射位置であると判定された場合は、ステップF07にて粒子線10の照射を停止する。次に、当該エネルギーが計画された最終のエネルギーであるかどうかを判定する(ステップF09)。ステップF09にて、最終のエネルギーでないと判定された場合は、粒子線発生輸送装置1が発生させる粒子線10のエネルギーを次のエネルギーへと変更し(ステップF10)、再び、ステップF03からの一連のステップを繰り返す。ステップF09にて、最終のエネルギーであると判定された場合は、照射を終了する(ステップF11)。
【0058】
次に、実施の形態2による走査式照射を実行する粒子線照射装置50の効果を説明する。図35は比較例の粒子線照射装置による粒子線のエネルギー頻度分布の例を示す図であり、図36は図35の粒子線のエネルギー頻度分布に対応した線量分布を示す図である。図37は図33の粒子線照射装置による粒子線のエネルギー頻度分布の例を示す図であり、図38は図37の粒子線のエネルギー頻度分布に対応した線量分布を示す図である。図35、図37において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。図36、図38において、横軸は深さ、すなわち照射対象の内部におけるZ方向の位置(Z位置)であり、縦軸は粒子線の線量である。図35は、ブラッグピーク拡大フィルタ17を使用しない場合における、粒子線照射装置により照射される粒子線のエネルギー頻度分布の例である。図36は、図35のエネルギー頻度分布に対応して、照射対象の内部におけるZ位置と線量の関係を示している。走査式照射においては本来、三次元の線量分布を考慮すべきであるが、ここでは簡単のためZ方向の一次元についてのみ説明する。また、走査式照射においては典型的には10から30段程度のエネルギー変更がなされるが、ここでは簡単のため、エネルギーE1、E2、E3、E4の4段のみを図に表記する。線量分布31a、31b、31c、31dは、それぞれエネルギーE1、E2、E3、E4のエネルギー成分による線量分布である。合計線量分布32は、線量分布31a、31b、31c、31dを合わせた合計線量分布である。
【0059】
一般的に粒子線治療においては、照射対象11の内部の線量は均一であることが望ましいとされる。しかしながら、単一のエネルギーを有する粒子線10が照射されたときの深さ方向(Z方向)の線量分布は、急峻なブラッグピークを有するため、ブラッグピークのエネルギーの間隔によっては、各エネルギーの粒子線10が形成するブラッグピークを重ね合わせた合計線量分布を均一化するのが困難である可能性がある。この問題を解決する最も単純な手段はブラッグピークのエネルギーの間隔を密にすることである。しかしながら、ブラッグピークのエネルギーの間隔を密にすると、照射対象11の全域をカバーするために必要なエネルギーの段数が増え、したがってエネルギー変更の回数が増え、トータルの照射時間が長くなってしまうデメリットがある。また、エネルギーの段数が増え、照射位置12の個数も増えることによって、一つの照射位置12に対する予定線量値が平均的に小さくなり、照射線量の精密な制御が困難になるという問題も発生しうる。
【0060】
一方、ブラッグピーク拡大フィルタ17を使用した場合には、図37、図38に示すように、粒子線10のエネルギー成分の数が比較例に比べて2倍になり、合計線量分布が比較例に比べて均一にすることができる。図37は、ブラッグピーク拡大フィルタ17を使用した場合に、照射される粒子線10のエネルギーの頻度分布の例である。また、図38は、図37のエネルギー頻度分布に対応して、照射対象11の内部におけるZ位置と線量の関係を示している。ここでは、例として、第一材料部18と孔部19の面積比が1:1であるようなブラッグピーク拡大フィルタを想定する。粒子線10は、ブラッグピーク拡大フィルタ17を通過することで、第一材料部18を通過してエネルギーが低減した低減粒子線成分、すなわちエネルギーEa1、Ea2、Ea3、Ea4を有する各粒子線成分と、孔部19を通過してエネルギーが低減しない非低減粒子線成分、すなわちエネルギーE1、E2、E3、E4を有する各粒子線成分との、エネルギーの異なる2つの粒子線成分に分解されて照射対象11へと届く。
【0061】
粒子線発生輸送装置1によって、4段のエネルギー変更を行った場合、それぞれのエネルギーの粒子線10は2つの粒子線成分に分かれる。このため、最終的に照射対象11へと届く粒子線10は、合計で8種類のエネルギーの粒子線成分を持つことになる。すなわち、図37に示すように、エネルギーEa1、E1、Ea2、E2、Ea3、E3、Ea4、E4を有する粒子線成分に分かれた粒子線10が照射対象11へ届く。粒子線発生輸送装置1によって発生する1段のエネルギーに対し、分解された低減粒子線成分、非低減粒子線成分によってそれぞれ形成される線量分布を合算した分布は、もとのブラッグピークと比べてピーク幅が拡大される。線量分布33aは、エネルギーEa1、E1を有する粒子線成分による線量分布である。同様に、線量分布33bはエネルギーEa2、E2を有する粒子線成分による線量分布であり、線量分布33cはエネルギーEa3、E3を有する粒子線成分による線量分布であり、線量分布33dはエネルギーEa4、E4を有する粒子線成分による線量分布である。合計線量分布34は、線量分布33a、33b、33c、33dを合わせた合計線量分布である。したがって、実施の形態2の粒子線照射装置50は、全ての段のエネルギーによる照射線量分布を合わせた合計線量分布34を均一化することが容易になる。
【0062】
実施の形態3.
実施の形態1に示したブラッグピーク拡大フィルタ17は、実施の形態2と異なる、すなわちエネルギー変更を伴わない走査式照射に使用することもできる。図39は、実施の形態3による粒子線照射装置の要部を説明する図である。実施の形態3の粒子線照射装置50の構成要素は、ブラッグピーク拡大フィルタ17の形状を除いて、実施の形態2による粒子線照射装置50と同一である。このため、図39では、ブラッグピーク拡大フィルタ17、粒子線10と照射対象11aについてのみ図示し、それ以外の構成要素の記載を全て省略する。また、実施の形態3の粒子線照射装置50の動作についても、エネルギーの変更をしない点を除いて実施の形態2の粒子線照射装置50と同一であり、図34のフロー図においてエネルギーの数が1段である場合と同一であるため、省略する。
【0063】
図39に示す照射対象11aは、粒子線10のビーム軸9の方向に対して、範囲35a内にある深さ方向(Z方向)の厚みが、範囲35b内にある深さ方向(Z方向)の厚みよりも、大きい例である。実施の形態3の粒子線照射装置50は、ブラッグピーク拡大フィルタ17を有し、ブラッグピーク拡大フィルタ17の第一材料部18は、照射対象11aの厚みに基づき、異なる厚みを有する。範囲35aは破線37aから破線37bの範囲であり、範囲35bは破線37bから破線37cの範囲である。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、範囲35aに対応したフィルタ部38aと、範囲35bに対応したフィルタ部38bを有する。フィルタ部38aの深さ方向(Z方向)の厚みは、フィルタ部38bの深さ方向(Z方向)の厚みよりも厚くなっている。実施の形態3のブラッグピーク拡大フィルタ17は、第一材料部18のビーム軸9に平行な方向の厚みが異なる複数の領域(フィルタ部38a、38b)を有し、それぞれの領域(フィルタ部38a、38b)における第一材料部18の厚みは、第一材料部18を通過して粒子線10が照射される照射対象11のビーム軸方向の厚みに基づいて決定されている。なお、図39において、体表面36も記載した。
【0064】
図40〜図45を用いて、実施の形態3のブラッグピーク拡大フィルタ17を説明する。図40は、図39の第一のフィルタ部の断面図である。図41は図40の第一のフィルタ部通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図であり、図42は図39の第一のフィルタ部による線量分布の例を示す図である。図43は、図39の第二のフィルタ部の断面図である。図44は図39の第二のフィルタ部通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図であり、図45は図39の第二のフィルタ部による線量分布の例を示す図である。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17(図17、図18参照)と同様に、テーパー形状の孔部19を有する。孔部19は、粒子線10が進行する方向(ビーム軸方向)の上流側の開口が広く、下流側の開口は狭くなっている。孔部19は、上流側開口59、テーパー形状の側面であるテーパー部57、下流側開口58を有している。すなわち、ブラッグピーク拡大フィルタ17は、上流側開口59と、テーパー形状の側面であるテーパー部57と、第一材料部18を貫通している底部である下流側開口58を有している。ブラッグピーク拡大フィルタ17は、厚みの異なる第一材料部18を有するフィルタ部38aとフィルタ部38bを備えている。図40ではフィルタ部38aの断面を示し、図43ではフィルタ部38bの断面を示した。図41、図44において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。図42、図45において、横軸は深さ、すなわち照射対象の内部におけるZ方向の位置(Z位置)であり、縦軸は粒子線の線量である。
【0065】
まず、フィルタ部38aを説明する。第一材料部18を通過した粒子線10aは、エネルギーが低減され比較的低いエネルギーを有する。孔部19を通過した粒子線10cは、エネルギーが低減されず、比較的高いエネルギーを有する。さらに、孔部19のテーパー部57を通過した粒子線10bは、テーパー部57の厚みに応じてその中間のエネルギーを有する。したがって、ブラッグピーク拡大フィルタ17を通過した粒子線10は図41に示すように複数のエネルギーを有する粒子線成分によって構成される。このとき、第一材料部18の厚みとテーパー部57の形状を適切に設計することで、複数のエネルギーを有する粒子線成分の頻度分布を調節し、全ての成分による線量分布を合計した合計線量分布39aが、図42のように範囲35aの照射対象11aの内部で均一になるようにすることが可能である。
【0066】
エネルギー成分40aは、第一材料部18を通過したエネルギーEa1を有する粒子線10aにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分40gは、孔部19の下流側開口58を通過したエネルギーEa7を有する粒子線10cにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分40b、40c、40d、40e、40fは、それぞれ孔部19のテーパー部57を通過したエネルギーEa2、Ea3、Ea4、Ea5、Ea6を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。例えば、エネルギー成分40bは、孔部19のテーパー部57における体表面36に遠い側、すなわちZ方向の浅い側を通過したエネルギーEa2を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分40fは、孔部19のテーパー部57における体表面36に近い側、すなわちZ方向の深い側を通過したエネルギーEa6を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。
【0067】
次に、フィルタ部38bを説明する。ブラッグピーク拡大フィルタ17のフィルタ部38bを通過した粒子線10は、範囲35aのフィルタ部38aと同様に、図44のエネルギー成分41a〜41gに示すように複数のエネルギーを有する粒子線成分によって構成される。しかしフィルタ部38bの第一材料部18の厚みはフィルタ部38aの第一材料部18よりも小さいため、フィルタ部38bの第一材料部18を通過した粒子線10aの粒子線成分は、フィルタ部38aの第一材料部18を通過した粒子線10aの粒子線成分と比べ、高いエネルギーを有する。したがって、フィルタ部38bを通過した粒子線10の粒子線成分における、最大エネルギーと最小エネルギーの隔たりは、フィルタ部38aを通過した粒子線10の粒子線成分における、最大エネルギーと最小エネルギーの隔たりと比べて小さい。
【0068】
エネルギー成分41aは、第一材料部18を通過したエネルギーEb1を有する粒子線10aにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分41gは、孔部19の下流側開口58を通過したエネルギーEb7を有する粒子線10cにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分41b、41c、41d、41e、41fは、それぞれ孔部19のテーパー部57を通過したエネルギーEb2、Eb3、Eb4、Eb5、Eb6を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。例えば、エネルギー成分41bは、孔部19のテーパー部57における体表面36に遠い側、すなわちZ方向の浅い側を通過したエネルギーEb2を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分41fは、孔部19のテーパー部57における体表面36に近い側、すなわちZ方向の深い側を通過したエネルギーEb6を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。なお、フィルタ部38aの孔部19の下流側開口58を通過した粒子線成分のエネルギー成分40gのエネルギーEa7と、フィルタ部38bの孔部19の下流側開口58を通過した粒子線成分のエネルギー成分41gのエネルギーEb7とは、エネルギー値は同じである。
【0069】
フィルタ部38bにおいても、フィルタ部38aと同様に、第一材料部18の厚みとテーパー部57の形状を適切に設計することで、複数のエネルギーを有する粒子線成分の頻度分布を調節し、全ての成分による線量分布を合計した合計線量分布39bが、図45のように範囲35bの照射対象11aの内部で均一になるようにすることが可能である。ただし、線量が均一になる部分の、深さ方向の幅は、範囲35aと比べて小さくなる。
【0070】
このとき、範囲35aにおいては、範囲35bに比べ、深さ方向により広い範囲でエネルギー成分の分布が拡大し、照射対象11a内の単位体積当たりに付与されるエネルギーが減少することに注意しなければならない(作用1)。そのため、粒子線発生輸送装置1から発せられる粒子線10の量が同じであったとしても、範囲35aでは範囲35bに比べ、照射対象11aにおいて付与される線量は低くなる。したがって、照射対象11aの全域において三次元的に均一な線量分布を形成するために、前述した作用1を考慮して、範囲35a内にある照射位置12に対しては、範囲35b内にある照射位置12よりも高い予定線量値を設定する必要がある。以上のように、照射位置12によって第一材料部18の厚みが異なるブラッグピーク拡大フィルタ17を用い、第一材料部18の厚みと孔部19のテーパー部57の形状を適切に設計することで、深さ方向(Z方向)の厚みの異なる照射対象11aに対し、均一な線量分布を形成することが可能である。
【0071】
図39では、体表面36から照射対象11aの底面(粒子線10の照射方向の上流から見て遠い方の端)までの距離がX方向及びY方向の照射位置によらず一定である例を示した。次に、体表面36から底面までの距離が異なる照射対象11bに対応したブラッグピーク拡大フィルタ17について説明する。図46は実施の形態3による他の粒子線照射装置の要部を説明する図であり、図47は図46の第三のフィルタ部の断面図である。図48は図46の第三のフィルタ部通過後の粒子線のエネルギー成分を説明する図であり、図49は図46の第三のフィルタ部による線量分布の例を示す図である。図48において、横軸は粒子線のエネルギーであり、縦軸は粒子線の各エネルギー成分の頻度である。図49において、横軸は深さ、すなわち照射対象の内部におけるZ方向の位置(Z位置)であり、縦軸は粒子線の線量である。
【0072】
図46では、体表面36から照射対象11bの底面までの距離が、範囲35aに比べ範囲35bの方が短くなっている例である。すなわち、体表面36からの照射対象11bの底面の位置が、範囲35aに比べ範囲35bの方が近くなっている例である。図46に示したブラッグピーク拡大フィルタ17は、図39と同様に、厚みの異なる第一材料部18を有するフィルタ部38aとフィルタ部38cを備えている。フィルタ部38aは図39で説明したものと同じである。フィルタ部38cは、貫通しない孔部19を有する。フィルタ部38cは、図43に示したフィルタ部38bに対し、孔の無い構造体をさらに重ねた形状をしている。フィルタ部38cの孔部19は、上流側開口59と、テーパー形状の側面であるテーパー部57と、貫通しない底部60を有している。このような構成のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いることで、図46の範囲35bを通過した粒子線10の粒子線成分が有する最大エネルギー(図48のエネルギーEc7参照)は、図39の範囲35bを通過した粒子線10の粒子線成分が有する最大エネルギー(図44のエネルギーEb7参照)よりも低いエネルギーとなる。そのため、図46の範囲35bにおいて形成される合計線量分布39cの均一領域の深い方の端は、図39の範囲35bにおいて形成される合計線量分布39bの深い方の端よりも浅い側となる。以上のようにすることで、図46の照射対象11bのように、体表面36から底面までの距離が異なる照射対象に対して、均一な線量分布を形成することが可能である。
【0073】
ブラッグピーク拡大フィルタ17のフィルタ部38cを通過した粒子線10は、図39の範囲35bのフィルタ部38bと同様に、図48のエネルギー成分42a〜42gに示すような複数のエネルギーを有する粒子線成分によって構成される。エネルギー成分42aは、第一材料部18を通過したエネルギーEc1を有する粒子線10aにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分42gは、孔部19の底部60を通過したエネルギーEc7を有する粒子線10cにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分42b、42c、42d、42e、42fは、それぞれ孔部19のテーパー部57を通過したエネルギーEc2、Ec3、Ec4、Ec5、Ec6を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。例えば、エネルギー成分42bは、孔部19のテーパー部57における体表面36に遠い側、すなわちZ方向の浅い側を通過したエネルギーEc2を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。エネルギー成分42fは、孔部19のテーパー部57における体表面36に近い側、すなわちZ方向の深い側を通過したエネルギーEc6を有する粒子線10bにおける粒子線成分のエネルギー成分である。なお、フィルタ部38bの厚みとフィルタ部38cの厚みとが同じ場合は、フィルタ部38cの第一材料部18を通過した粒子線成分のエネルギー成分42aのエネルギーEc1と、フィルタ部38bの第一材料部18を通過した粒子線成分のエネルギー成分41aのエネルギーEb1とは、エネルギー値は同じになる。
【0074】
実施の形態3の粒子線照射装置50は、テーパー形状の孔部19を有する第9例のブラッグピーク拡大フィルタ17と異なるブラッグピーク拡大フィルタ17、すなわち実施の形態1で説明した他の構成のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いることができる。例えば、大きさの異なる孔部19を有する複数のフィルタ要素53a、53b、53cを積層した構成(第10例のブラッグピーク拡大フィルタ17)、位置の異なる孔部19を有する複数のフィルタ要素53a、53b、53c、53dを積層した構成(第11例のブラッグピーク拡大フィルタ17)、三次元的に孔部19を有する多孔質の構成(第12例のブラッグピーク拡大フィルタ17)、あるいはそれらの組み合わせを用いた構成のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いることができる。これらの構成のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いる場合でも、実施の形態3の粒子線照射装置50は、図39の照射対象11aのように、体表面36から底面までの距離が一定である照射対象に対して、均一な線量分布を形成することが可能である。また、これらの構成のブラッグピーク拡大フィルタ17を用いる場合でも、実施の形態3の粒子線照射装置50は、図46の照射対象11bのように、体表面36から底面までの距離が異なる照射対象に対して、均一な線量分布を形成することが可能である。
【0075】
なお、矛盾のない範囲内において、各実施の形態を組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…粒子線発生輸送装置、2…走査装置、6…照射系、9…ビーム軸、10、10a、10b、10c…粒子線、11、11a、11b…照射対象、12…照射位置、17…ブラッグピーク拡大フィルタ、18…第一材料部、19…孔部、38a、38b、38c…フィルタ部、50…粒子線照射装置、52…第二材料部、53a、53b、53c、53d…フィルタ要素、D…直径、L…距離(中心間距離)

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