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公開番号2019134579
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190808
出願番号2018014389
出願日20180131
発明の名称回転電機
出願人株式会社日立製作所
代理人ポレール特許業務法人
主分類H02K 3/40 20060101AFI20190712BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】
鉄心スロット内に配置された固定子コイルの状態によらず、鉄心スロット内での放電を抑制した回転電機を提供する。
【解決手段】
コイル導体103a及びコイル導体103aの表面を覆う主絶縁層103bからなる固定子コイル103と、固定子コイル103を内包する鉄心スロット102と、固定子コイル103と鉄心スロット102の間に配置され、主絶縁層103bに接して巻き回される第1の半導電層110aと、第1の半導電層110aと重ねられた状態で鉄心スロット102に接して固定子コイル103に巻き回される第2の半導電層110bを備え、第1の半導電層110aは、鉄心スロット102側の面に離型層111が形成され、第1の半導電層110aが、第2の半導電層110bを介して鉄心スロット102内周面と電気的に接続される。
【選択図】図3
特許請求の範囲約 1,100 文字を表示【請求項1】
コイル導体及び前記コイル導体の表面を覆う主絶縁層からなる固定子コイルと、
前記固定子コイルを内包する鉄心スロットと、
前記固定子コイルと前記鉄心スロットの間に配置され、前記主絶縁層に接して巻き回される第1の半導電層と、前記第1の半導電層と重ねられた状態で前記鉄心スロットに接して前記固定子コイルに巻き回される第2の半導電層を備え、
前記第1の半導電層は、前記鉄心スロット側の面に離型処理が施されており、前記第1の半導電層が、前記第2の半導電層を介して前記鉄心スロット内周面と電気的接続を有していることを特徴とする回転電機。
【請求項2】
コイル導体及び前記コイル導体の表面を覆う主絶縁層からなる固定子コイルと、
前記固定子コイルを内包する鉄心スロットと、
前記固定子コイルと前記鉄心スロットの間に配置され、前記鉄心スロットに対して少なくとも2重に巻き回される半導電層を有し、
前記半導電層は、前記半導電層同士が対向する面に離型処理が施されており、前記半導電層を介して前記固定子コイルと前記鉄心スロット内周面とを電気的に接続していることを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項1において、
前記第1の半導電層及び前記第2の半導電層は、シート状部材に半導電塗料を塗布して形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項2において、
前記半導電層は、シート状部材に半導電塗料を塗布して形成されていることを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記離型処理はシート状部材にシリコン樹脂を塗布することを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項1において、
前記第1の半導電層と前記第2の半導電層とは、前記鉄心スロットの開口側において電気的に接続されていることを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項6において、
前記鉄心スロットの開口側に楔を配置したことを特徴とする回転電機。
【請求項8】
請求項1において、
前記第2の半導電層は前記鉄心スロットに対向する両側面及び反開口側に設けたことを特徴とする回転電機。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1の半導電層と前記第2の半導電層とは前記鉄心スロットの反開口側の位置で電気的に接続されていることを特徴とする回転電機。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項において、
前記回転電機は2極の誘導電動機であることを特徴とする回転電機。

発明の詳細な説明約 11,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は電動機、誘導機などの回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動機、発電機、誘導機などの回転電機においては、効率向上が求められており、インバータ等の半導体スイッチング素子を用いた駆動回路で制御される。回転電機においては、固定子コイルから固定子鉄心に向けた局所的な集中放電が問題となる。特に、インバータ等の半導体スイッチング素子を用いた駆動回路で回転電機を制御する場合、インバータのスイッチング時に急峻なサージ電圧が発生し、固定子コイルから固定子鉄心に向けた集中放電が顕著となる。この集中放電により、材料の放電劣化が進行する。材料の放電劣化を抑制するために、回転電機の絶縁協調の重要性が高まっている。
【0003】
回転電機の絶縁協調を高める技術として、回転電機の固定子コイルに半導電層を設けることが有効である。このような技術として、例えば特許文献1がある。特許文献1の図3には、鉄心スロットに挿入される固定子コイルに2枚の異なる絶縁紙を重ねて巻き、固定子コイル側に配置した絶縁紙の固定子コイル対向面側、固定子コア側に配置した絶縁紙のコア対向面側のそれぞれに半導電層を塗布して形成した技術が開示されている。特許文献1では、固定子コイルの主絶縁からスロットにかけて連続した漏れ電流路を形成し、材料の放電劣化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2015−76906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固定子コイルは、半導電層が形成された2枚の異なる絶縁紙が重ねて巻かれた状態で固定子鉄心の鉄心スロットに挿入される。半導電層が形成された2枚の異なる絶縁紙及び固定子コイルは、鉄心スロットの内面に対し、ほぼ平行に挿入されることが望ましい。特に固定子コイルの最外周の配置された半導電層を有する絶縁紙は、鉄心スロットの内面と広い面積で接触するように配置されることが望ましい。
【0006】
大型の回転電機では鉄心スロットに挿入される固定子コイルの長さが長くなり、またある一つの鉄心スロットから他の鉄心スロットへ跨る距離も長くなる。このため、大型の回転電機では、鉄心スロットに固定子コイルが挿入される過程において、固定子コイルに歪が生じ、固定子コイルが鉄心スロットの内面に対し傾斜して配置される可能性がある。固定子コイルが鉄心スロットの内面に対し傾斜して配置されたことに伴い、半導電層が形成された2枚の異なる絶縁紙も鉄心スロットの内面に対し傾斜して配置される可能性があり、固定子コイルの最外周の配置された半導電層を有する絶縁紙と鉄心スロット内面との接触面積が小さく、集中放電が発生する可能性があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記課題を解決し、鉄心スロット内に配置された固定子コイルの状態によらず、鉄心スロット内での放電を抑制した回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の特徴とするところは、コイル導体及び前記コイル導体の表面を覆う主絶縁層からなる固定子コイルと、前記固定子コイルを内包する鉄心スロットと、前記固定子コイルと前記鉄心スロットの間に配置され、前記主絶縁層に接して巻き回される第1の半導電層と、前記第1の半導電層と重ねられた状態で前記鉄心スロットに接して前記固定子コイルに巻き回される第2の半導電層を備え、前記第1の半導電層は、前記鉄心スロット側の面に離形処理が施されており、前記第1の半導電層が、前記第2の半導電層を介して前記鉄心スロット内周面と電気的接続を有していることにある。
【0009】
また、本発明の特徴とするところは、コイル導体及び前記コイル導体の表面を覆う主絶縁層からなる固定子コイルと、前記固定子コイルを内包する鉄心スロットと、前記固定子コイルと前記鉄心スロットの間に配置され、前記鉄心スロットに対して少なくとも2重に巻き回される半導電層を有し、前記半導電層は、前記半導電層同士が対向する面に離形処理が施されており、前記半導電層を介して前記固定子コイルと前記鉄心スロット内周面とを電気的に接続させたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、鉄心スロット内に配置された固定子コイルの状態によらず、鉄心スロット内での放電を抑制した回転電機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の実施例に係る回転電機の固定子を示す全体斜視図である。
本発明の実施例に係る回転電機の軸方向断面図である。
本発明の第1実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。
本発明の第2実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。
本発明の第2実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。
本発明の第3実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る回転電機の実施例を図面に基づいて説明する。本発明は以下の実施例に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例もその範囲に含むものである。
【実施例】
【0013】
本発明の第1実施例について図1〜図3を用いて説明する。図1は本発明の実施例に係る回転電機の固定子を示す全体斜視図である。図2は本発明の実施例に係る回転電機の軸方向断面図である。図1及び図2は全実施例において共通している。
【0014】
図1及び図2において、固定子100は複数の電磁鋼板が積層されて形成された固定子鉄心101と、固定子鉄心101に形成された複数の鉄心スロット102と、複数の鉄心スロット102内に配置された固定子コイル103と、固定子鉄心101の外径側を支持する固定子枠104とから構成されている。固定子コイル103は複数本の素線が束となって構成される。鉄心スロット102は、径方向内側の開口部から径方向外側に向かって凹むように形成されている。また鉄心スロット102は固定子鉄心101の軸方向に延びて形成されている。鉄心スロット102の開口部には、固定子コイル103の抜け出しを防止する楔105が備えられている。
【0015】
固定子100の内周側には回転子200が配置されている。回転子200は、複数の電磁鋼板が積層されて形成された回転子鉄心201と、回転子鉄心201の中央部に設けられた回転軸202を備えている。回転軸202は図示しない軸受により回転可能に支持されている。回転子鉄心201は、固定子鉄心101の内側に隙間を空けて配置され、回転可能に支持されている。これら固定子100及び回転子200により回転電機が構成されている。
【0016】
本実施例では、固定子の軸方向の長さが数メートル単位と長い、産業用の回転電機に適用した例で説明する。また、回転電機の種類としては、高回転を得られる2極の誘導電動機としている。
【0017】
産業用といった大型の回転電機は、固定子鉄心の長さが数メートル単位と長くなり、固定子鉄心101の鉄心スロット102に内包される固定子コイル103もその長さに応じて長くなる。また、ある一つの鉄心スロット102の配置された固定子コイル103は、他の鉄心スロット102に跨るように配置される。
【0018】
固定子鉄心101の鉄心スロット102に固定子コイル103を挿入する場合、半導電層が形成されたシートを固定子コイル103の外周に巻いて挿入する。半導電層が形成されたシート及び固定子コイル103は、鉄心スロット102の内面に対し、ほぼ平行に挿入されることが望ましい。特に固定子コイル103の最外周の配置された半導電層を有するシートは、鉄心スロット102の内面と広い面積で接触するように配置されることが好ましい。前述した大型の回転電機では鉄心スロット102に挿入される固定子コイル103の長さが長くなり、またある一つの鉄心スロット102から他の鉄心スロット102へ跨る距離も長くなる。このため、大型の回転電機では、鉄心スロット102に固定子コイル103が挿入される過程において、固定子コイル103に歪が生じ、固定子コイル103が鉄心スロット102の内面に対して傾斜して配置される可能性がある。そして、固定子コイル103の最外周に配置された半導電層を有するシートが固定子コイル103の歪みに沿って配置され、鉄心スロット102との接触面積が小さくなり、集中放電が発生する可能性があった。この集中放電を抑制する手段について、図3を用いて説明する。
【0019】
図3は本発明の第1実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。本実施例の固定子コイル103は、通電するコイル導体103aと、このコイル導体103aの表面を覆って絶縁する主絶縁層103bから構成されている。固定子コイル103の外周には、固定子コイル103の主絶縁層103bに接して巻き回される第1の半導電層110aが配置されている。本実施例の半導電層110は、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bより構成されている。第1の半導電層110aは、シート状部材の片面もしくは両面に半導電塗料を塗布して形成される。また、シート状部材の片面には、離型処理が施された離型層111が設けられている。離型層111はシート状部材にシリコン樹脂を塗布して形成される。そして、シート状部材の一方の面には第1の半導電層110aが形成され、シート状部材の他方の面(反対側の面)には離型層111が形成される。離型層111は固定子鉄心101(鉄心スロット102)に面する側に位置させる。
【0020】
また、離型層111の外側には第2の半導電層110bが設けられている。第2の半導電層110bは、シート状部材の片面もしくは両面に半導電塗料を塗布して形成される。シート状部材の片面に半導電塗料を塗布する場合には、固定子鉄心101(鉄心スロット102)に面する側に塗布する。第2の半導電層110bは、第1の半導電層110aと重ねられ固定子コイル103に巻き回された状態で鉄心スロット102に挿入され、固定子鉄心101に接する。固定子鉄心101には、楔105が配置され、鉄心スロット102の開口部が覆われ、固定子コイル103の抜け出しを防止する。
【0021】
第1の半導電層110a及び離型層111は、固定子コイル103の鉄心スロット102開口側(図3の上方)から巻き始められ、固定子コイル103の外周を一周した後、鉄心スロット102の開口側において重なり巻き終わる。第1の半導電層110a及び離型層111の巻き終わり部分は、巻き始め部分の外周側に位置し、外周側端部領域を形成する。同様に第2の半導電層110bは、固定子コイル103の鉄心スロット102の開口側(図3の上方)から巻き始められ、固定子コイル103の外周を一周した後、固定子コイル103の鉄心スロット102開口側で重なり巻き終わる。第2の半導電層110bの巻き始め部分は、離型層111と第1の半導電層110aの巻き終わりとの間に挟まれるような形で配置され、内周側端部領域を形成する。
【0022】
このように配置することで、固定子コイル103に巻き回された第1の半導電層110aの外周側端部領域と、固定子コイル103に巻き回された第2の半導電層110bの内周側端部領域が離型層111を介さずに接する面を有し、当該面と第2の半導電層110bの固定子鉄心101と接する面によって導電路を形成することができる。第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとは、鉄心スロット102の開口側において電気的に接続されている。
【0023】
本実施例ではシート状部材の一方の面には第1の半導電層110aを形成し、シート状部材の他方の面(反対側の面)には離型層111を形成している。すなわち、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとの間には、離型層111が形成されている。離型層111は、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bの接着を抑制する。離型層111により、第2の半導電層110bは第1の半導電層110aから離れて外側に広がり、固定子鉄心101に接する。この際、第2の半導電層110bは、固定子鉄心101との接触面積が拡大する。このため、鉄心スロット102に固定子コイル103が挿入される過程において、固定子コイル103に歪が生じ、固定子コイル103が鉄心スロット102の内面に対して傾斜して配置されたとしても、固定子コイル103の歪に沿わず、第2の半導電層110bは第1の半導電層110aから離れ、固定子鉄心101に接することができる。
【0024】
また、鉄心スロット102の開口部には楔105が配置されているので、固定子コイル103、半導電層110(第1の半導電層110a、第2の半導電層110b)が鉄心スロット102内に強固に押さえられ、鉄心スロット102内での電気的接触を強固にし、固定子コイル103と、第1の半導電層110aと、第2の半導電層110bと、固定子鉄心101との間で導電路を形成することができる。固定子コイルに103に接する第1の半導電層110aは、第2の半導電層110bを介して固定子鉄心101(鉄心スロット102の内周面)と電気的接続を有している。
【0025】
さらに離型層111により、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとは非接着状態となるので、固定子コイル103の温度上昇を抑制でき、固定子コイル103の発熱による主絶縁層103bの剥離を抑制することができる。
【0026】
本実施例によれば、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとの間に離型層111を設けるようにしているので、第2の半導電層110bと固定子鉄心101との接触面積を拡大でき、鉄心スロット102内に配置された固定子コイル103の状態によらず、鉄心スロット102内での放電を抑制することができる。
【実施例】
【0027】
次に本発明の第2実施例について、図4及び図5を用いて説明する。第1実施例と共通する構成は、同一の符号を付している。第2実施例では1枚のシート状部材を用いている点において、第1実施例と異なっている。図4及び図5は、本発明の第2実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。
【0028】
本実施例の固定子コイル103は、通電するコイル導体103aと、このコイル導体103aの表面を覆って絶縁する主絶縁層103bから構成されている。固定子コイル103の外周には、固定子コイル103の主絶縁層103bに対して少なくとも2重以上巻き回された半導電層110が配置されている。
【0029】
本実施例では、半導電層110のうち、固定子コイル103の主絶縁層103bと面する部分を第1の半導電層110aとし、この第1の半導電層110aと重なり2周目となる鉄心スロット102の開口側(図4の上方)から巻き終わり部分までを第2の半導電層110bとする。第1の半導電層110a及び第2の半導電層110bは、シート状部材の両面に半導電塗料を塗布して形成される。また、シート状部材の一部には離型処理が施された離型層111が設けられている。離型層111はシート状部材にシリコン樹脂を塗布して形成される。
【0030】
離型層111は、例えば半導電層110同士が対向する面における少なくとも片側面に設けられていればよい。図4においては、第2の半導電層110bに離型層111を設け、図5においては、第1の半導電層110a及び第2の半導電層110bの一部である鉄心スロット102の開口側(図5の上方)に離型層111を設けている。
【0031】
本実施例では、シート状部材に第1の半導電層110a及び第2の半導電層110bが連続して形成されている。また、第1の半導電層110aもしくは第2の半導電層110bに離型層111を形成している。すなわち、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとの間には、離型層111が形成されている。離型層111は、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bの接着を抑制する。離型層111により、第2の半導電層110bは第1の半導電層110aから離れて外側に広がり、固定子鉄心101に接する。この際、第2の半導電層110bは、固定子鉄心101との接触面積が拡大する。このため、鉄心スロット102に固定子コイル103が挿入される過程において、固定子コイル103に歪が生じ、固定子コイル103が鉄心スロット102の内面に対して傾斜して配置されたとしても、固定子コイル103の歪に沿わず、第2の半導電層110bは第1の半導電層110aから離れ、固定子鉄心101に接することができる。
【0032】
また、鉄心スロット102の開口部には楔105が配置されているので、固定子コイル103、半導電層110(第1の半導電層110a、第2の半導電層110b)が鉄心スロット102内に強固に押さえられ、鉄心スロット102内での電気的接触を強固にし、固定子コイル103と、半導電層110(第1の半導電層110a、第2の半導電層110b)と、固定子鉄心101との間で導電路を形成することができる。固定子コイルに103に接する第1の半導電層110aは、第2の半導電層110bを介して固定子鉄心101(鉄心スロット102の内周面)と電気的接続を有している。
【0033】
さらに離型層111により、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとは非接着状態となるので、固定子コイル103の温度上昇を抑制でき、固定子コイル103の発熱による主絶縁層103bの剥離を抑制することができる。
【0034】
本実施例によれば、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとの間に離型層111を設けるようにしているので、第2の半導電層110bと固定子鉄心101との接触面積を拡大でき、鉄心スロット102内に配置された固定子コイル103の状態によらず、鉄心スロット102内での放電を抑制することができる。
【0035】
また、本実施例によれば、第1の半導電層110a、第2の半導電層110bは1枚のシート状部材に連続して形成された半導電層110から成るため、半導電層110を製造するコストを低減することができる。
【実施例】
【0036】
次に本発明の第3実施例について、図6を用いて説明する。第1実施例及び第2実施例と共通する構成は、同一の符号を付している。第3実施例は、第2の半導電層110bの楔105側の面に半導電層を設けていない点において第1実施例と異なっている。また、第2の半導電層110bの楔105側と反対側には離型層111を設けていない点においても第1実施例と異なっている。図6は、本発明の第3実施例に係る固定子コイルと鉄心スロットとの関係を示す部分断面図である。
【0037】
本実施例の半導電層110は、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bより構成されている。固定子コイル103の外周には、固定子コイル103の主絶縁層103bに接して巻き回される第1の半導電層110aが配置されている。第1の半導電層110aは、シート状部材の片面もしくは両面に半導電塗料を塗布して形成される。また、シート状部材の片面の一部には、離型処理が施された離型層111が設けられている。離型層111はシート状部材にシリコン樹脂を塗布して形成される。そして、シート状部材の一方の面には第1の半導電層110aが形成され、シート状部材の他方の一部の面(反対側の面)には離型層111が形成される。離型層111は固定子鉄心101(鉄心スロット102)に面する側に位置させる。
【0038】
また、離型層111の外側には第2の半導電層110bが設けられている。第2の半導電層110bは、シート状部材の両面に半導電塗料を塗布して形成される。第2の半導電層110bは、第1の半導電層110aと重ねられ固定子コイル103に巻き回された状態で鉄心スロット102に挿入され、固定子鉄心101に接する。固定子鉄心101には、楔105が配置され、鉄心スロット102の開口部が覆われ、固定子コイル103の抜け出しを防止する。
【0039】
第1の半導電層110aは、固定子コイル103の鉄心スロット102開口側(図6の上方)から巻き始められ、固定子コイル103の外周を一周した後、鉄心スロット102の開口側において重なり巻き終わる。
【0040】
第2の半導電層110bは、固定子コイル103の外周の一部を覆う。第2の半導電層110bは、固定子コイル103の右側面(図6の右側)から巻き始められ、固定子コイル103の下方(挿入側)を回り、固定子コイル103の左側面(図6の左側)で巻き終わる。換言すると、第2の半導電層110bは、固定子コイル103の鉄心スロット102に対向する両側面及び反開口側に設けている。
【0041】
第1の半導電層110aに離型処理が施される離型層111は、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとが対向する面のうち、少なくとも固定子鉄心101(鉄心スロット102)に対向する両側面に形成されている(離型処理が施されている)。さらに本実施例では、第1の半導電層110a同士が重なる部分(図6の上方)もの離型層111が形成されている。
【0042】
このように配置することで、固定子コイル103に巻き回された第1の半導電層110aの下方と第2の半導電層110bの下方が離型層111を介さずに接する部分を有し、当該部分と第2の半導電層110bの固定子鉄心101と接する部分によって導電路を形成することができる。第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとは鉄心スロット102の反開口側の位置で電気的に接続されている。
【0043】
本実施例ではシート状部材の一方の面には第1の半導電層110aを形成し、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとが対向する面のうち、少なくとも固定子鉄心101(鉄心スロット102)と対向する両側面に離型層111を形成している。離型層111は、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bの接着を抑制する。離型層111により、第2の半導電層110bは第1の半導電層110aから離れて外側に広がり、固定子鉄心101に接する。この際、第2の半導電層110bは、固定子鉄心101との接触面積が拡大する。このため、鉄心スロット102に固定子コイル103が挿入される過程において、固定子コイル103に歪が生じ、固定子コイル103が鉄心スロット102の内面に対して傾斜して配置されたとしても、固定子コイル103の歪に沿わず、第2の半導電層110bは第1の半導電層110aから離れ、固定子鉄心101に接することができる。
【0044】
また、鉄心スロット102の開口部には楔105が配置されているので、固定子コイル103、半導電層110(第1の半導電層110a、第2の半導電層110b)が鉄心スロット102内に強固に押さえられ、鉄心スロット102内での電気的接触を強固にし、固定子コイル103と、第1の半導電層110aと、第2の半導電層110bと、固定子鉄心101との間で導電路を形成することができる。固定子コイルに103に接する第1の半導電層110aは、第2の半導電層110bを介して固定子鉄心101(鉄心スロット102の内周面)と電気的接続を有している。
【0045】
さらに離型層111により、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとは非接着状態となるので、固定子コイル103の温度上昇を抑制でき、固定子コイル103の発熱による主絶縁層103bの剥離を抑制することができる。
【0046】
本実施例によれば、第1の半導電層110aと第2の半導電層110bとの間に離型層111を設けるようにしているので、第2の半導電層110bと固定子鉄心101との接触面積を拡大でき、鉄心スロット102内に配置された固定子コイル103の状態によらず、鉄心スロット102内での放電を抑制することができる。
【0047】
また、本実施例では固定子コイル103と固定子鉄心101との間に電気的接続がある構造でありながら、第2の半導電層110bの楔側の半導電層1枚分のスペースを無くすことができるので、固定子コイル103の挿入代が少ない場合においても鉄心スロット102内への固定子コイル103の挿入が容易になる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
100 固定子
101 固定子鉄心
102 鉄心スロット
103 固定子コイル
103a コイル導体
103b 主絶縁層
104 固定子枠
105 楔
110 半導電層
110a 第1の半導電層
110b 第2の半導電層
111 離型層
200 回転子
201 回転子鉄心
202 回転軸

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