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公開番号2019129853
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190808
出願番号2016097442
出願日20160513
発明の名称医療用ポンプシステムおよび医療用ポンプ
出願人テルモ株式会社
代理人八田国際特許業務法人
主分類A61M 5/142 20060101AFI20190712BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】配合変化に対して適切な手段を講じつつ、医療用ポンプを使用した複数の薬剤の送液を迅速に行うことが可能な医療用ポンプシステムおよび医療用ポンプを提供する。
【解決手段】医療用ポンプシステム100は、一または複数の投与経路のうちの1つの投与経路を介して薬剤を患者に送液する送液部10を備えた少なくとも1つの医療用ポンプ110を有する。本発明に係る医療用ポンプシステム100は、患者に対して送液する薬剤の種類の入力を受け付ける受付部210と、入力された一または複数の薬剤の種類を記憶する記憶部220と、入力された薬剤の種類が、記憶部220に記憶された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する判断部230と、判断部230の判断結果を報知する報知部240と、をさらに有する。
【選択図】図4
特許請求の範囲約 1,200 文字を表示【請求項1】
一または複数の投与経路のうちの1つの投与経路を介して薬剤を患者に送液する送液部を備えた少なくとも1つの医療用ポンプと、
前記患者に対して送液する前記薬剤の種類の入力を受け付ける受付部と、
前記入力された一または複数の前記薬剤の種類を記憶する記憶部と、
前記入力された前記薬剤の種類が、前記記憶部に記憶された一または複数の前記薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する判断部と、
前記判断部の判断結果を報知する報知部と、を有する医療用ポンプシステム。
【請求項2】
前記判断部は、前記配合変化を生じるものと判断する場合には当該配合変化の種類も特定し、
前記報知部は、前記判断結果とともに前記配合変化の種類も報知する、請求項1に記載の医療用ポンプシステム。
【請求項3】
前記受付部は、前記判断部の前記判断結果に応じて前記入力の受け付けを制限する、請求項1または請求項2に記載の医療用ポンプシステム。
【請求項4】
複数の前記医療用ポンプを有し、
前記受付部は、前記医療用ポンプに対応付けて前記入力を受け付け、
前記記憶部は、前記医療用ポンプに対応付けて前記入力された前記薬剤の種類を記憶し、
前記判断部は、前記配合変化を生じるものと判断した場合には、前記記憶部に記憶された前記薬剤の種類のうち、当該配合変化を生じるものと判断した前記薬剤の種類に対応付けられている前記医療用ポンプを特定し、
前記報知部は、前記配合変化を生じるものと前記判断部が判断した場合には、前記判断結果を報知する際に、前記判断部において特定された前記医療用ポンプを識別する識別情報を報知する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用ポンプシステム。
【請求項5】
前記医療用ポンプと通信可能なサーバをさらに有し、
前記受付部および前記報知部は、前記医療用ポンプが備え、
前記記憶部および前記判断部は、前記サーバが備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医療用ポンプシステム。
【請求項6】
一または複数の投与経路のうちのいずれか1つの投与経路を介して薬剤を患者に送液する送液部と、
前記患者に対して送液する前記薬剤の種類の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部に入力された一または複数の前記薬剤の種類を記憶する記憶部と、前記受付部に入力された前記薬剤の種類が、前記記憶部に記憶された一または複数の前記薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する判断部と、を備えたサーバと通信可能になり、前記受付部に入力された前記薬剤の種類を前記サーバに送信するとともに前記判断部の判断結果を前記サーバから受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記判断結果を報知する報知部と、を有する医療用ポンプ。

発明の詳細な説明約 22,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用ポンプシステムおよび医療用ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
患者に対する抗癌剤、麻酔剤、化学療法剤、血液製剤、栄養剤等の薬剤の送液処置を行う装置として医療用ポンプがある(特許文献1参照)。医療用ポンプは、例えば、集中治療室(ICU)等で使用される。高精度かつ長時間に亘って送液を行う医療用ポンプとして、例えば、シリンジポンプや輸液ポンプなどがある。
【0003】
医療用ポンプを使用して送液する薬剤の中には、他の種類の薬剤と配合されることによって配合変化を生じるものがある。配合変化には、薬効に影響があるなどの理由により配合を避ける必要がある配合禁忌、配合によって何らかの物理的・化学的変化が生じる可能性があるが、適切な手段によって投与可能な状態にできる配合不適、および配合によって外観に変化を生じるが薬効に影響がない配合注意などがある。複数の薬剤を同時に投与する際には、配合変化を考慮して適切な投与経路を選択するなどの手段を講じる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2012−179099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば集中治療室(ICU)での薬剤投与など、送液される薬剤の種類が多い場合、新たに薬剤を送液するに際し、既に送液されている全ての薬剤に対して配合変化が生じるか否かを短時間で判断するのは容易ではない。配合変化に対して適切な手段を講じるためには、配合変化が生じるか否かの判断を省略することはできず、当該判断に時間を要することが、薬剤の迅速な投与の妨げになっているという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、配合変化に対して適切な手段を講じつつ、複数の薬剤の送液を迅速に行うことが可能な医療用ポンプシステムおよび医療用ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る医療用ポンプシステムは、一または複数の投与経路のうちの1つの投与経路を介して薬剤を患者に送液する送液部を備えた少なくとも1つの医療用ポンプを有する。本発明に係る医療用ポンプシステムは、前記患者に対して送液する前記薬剤の種類の入力を受け付ける受付部と、前記入力された一または複数の前記薬剤の種類を記憶する記憶部と、前記入力された前記薬剤の種類が、前記記憶部に記憶された一または複数の前記薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する判断部と、前記判断部の判断結果を報知する報知部と、をさらに有する。
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る医療用ポンプは、一または複数の投与経路のうちのいずれか1つの投与経路を介して薬剤を患者に送液する送液部と、前記患者に対して送液する前記薬剤の種類の入力を受け付ける受付部と、を有する。本発明に係る医療用ポンプは、前記受付部に入力された一または複数の前記薬剤の種類を記憶する記憶部と、前記受付部に入力された前記薬剤の種類が、前記記憶部に記憶された一または複数の前記薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する判断部と、を備えたサーバと通信可能になり、前記受付部に入力された前記薬剤の種類を前記サーバに送信するとともに前記判断部の判断結果を前記サーバから受信する通信部と、前記通信部が受信した前記判断結果を報知する報知部と、をさらに有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受付部に入力された薬剤の種類が、それまでに受付部に入力された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かが報知される。これにより、患者に対して送液される予定の薬剤が、患者に対して既に送液されている一または複数の薬剤のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるか否かを知ることができる。そのため、配合変化が生じる場合にのみ、適切な投与経路を選択するなどの手段を講じつつ、配合変化が生じない場合には、薬剤の送液を即座に開始できる。従って、配合変化に対して適切な手段を講じつつ、複数の薬剤の投与を迅速に行うことが可能な医療用ポンプシステムおよび医療用ポンプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
実施形態に係る医療用ポンプシステムの概略構成を示す図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムを使用して薬剤を患者に送液する様子を示す概略図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムの医療用ポンプを示す概略斜視図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムの構成を示す概略ブロック図である。
図5(A)は、実施形態に係る医療用ポンプシステムに薬剤の種類を入力する際の様子を示す図、図5(B)は、実施形態に係る医療用ポンプシステムに患者の情報を入力する際の様子を示す図である。
図6(A)は、実施形態に係る医療用ポンプシステムの報知部が、配合変化に係る判断結果のうち配合変化が生じない旨の判断結果を報知する際の様子を示す図であり、図6(B)は、実施形態に係る医療用ポンプシステムの報知部が、配合変化に係る判断結果のうち配合変化が生じる旨の判断結果を報知する際の様子を示す図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムのサーバに記憶される薬剤ライブラリのマスタファイルの一例を示す図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムの送液薬剤記憶領域に記憶される送液薬剤データベースの一例を示す図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムの処理内容を説明するためのシーケンス図である。
実施形態に係る医療用ポンプシステムの受付部の処理を説明するためのフローチャートである。
実施形態に係る医療用ポンプシステムの記憶部および判断部の処理を説明するためのフローチャートである。
改変例に係る医療用ポンプシステムに薬剤の種類を入力する際の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100の概略構成を示す図であり、図2は、医療用ポンプシステム100を使用して医療用ポンプ110から患者Pに薬剤を送液する様子を示す図である。図3は、本実施形態に係る医療用ポンプ110を示す概略斜視図であり、図4は、医療用ポンプシステム100の構成を示す概略ブロック図である。図5は、受付部210の説明に供する図であり、図6は、報知部240の説明に供する図である。図7は、医療用ポンプシステム100のサーバ120に記憶される薬剤ライブラリのマスタファイルの一例を示す図であり、図8は、医療用ポンプシステム100の送液薬剤記憶領域220に記憶される送液薬剤データベースの一例を示す図である。図9は、医療用ポンプシステム100の処理内容を説明するためのシーケンス図であり、図10は、医療用ポンプシステム100の受付部210の処理を説明するためのフローチャートであり、図11は、医療用ポンプシステム100の送液薬剤記憶領域220および判断部230の処理を説明するためのフローチャートである。
【0013】
図1〜4を参照して、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100の構成について概説すれば、医療用ポンプシステム100は、複数の投与経路R1〜R3のうちの1つの投与経路を介して薬剤を患者Pに送液する送液部10を備えた医療用ポンプ110と、患者Pに対して送液する薬剤の種類の入力を受け付ける受付部210と、受付部210に入力された一または複数の薬剤の種類を記憶する送液薬剤記憶領域220(記憶部に相当)と、受付部210に入力された薬剤の種類が、送液薬剤記憶領域220に記憶された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する判断部230と、判断部230の判断結果を報知する報知部240と、を有する。
【0014】
本実施形態において、医療用ポンプシステム100は、医療用ポンプ110と通信可能なサーバ120をさらに有する。そして、受付部210および報知部240は医療用ポンプ110が備え、判断部230および報知部240はサーバ120が備える。本実施形態は、医療用ポンプシステム100が複数の医療用ポンプ110を有する場合を例に説明する。
【0015】
本実施形態に係る医療用ポンプシステム100の詳細な説明に入る前に、医療用ポンプシステム100の動作について概説する。
【0016】
本実施形態に係る医療用ポンプシステム100の医療用ポンプ110は、集中治療室(ICU)等において、長時間に亘って患者Pの体内に薬剤を送液するために使用されるシリンジポンプである。医療用ポンプ110は、静脈麻酔薬等を含む種々の薬剤を患者の体内に送液することができる。適用可能な静脈麻酔薬の例として、プロポフォール、ミタゾラム、及び、レミフェンタニル等がある。なお、本実施形態では医療用ポンプ110がシリンジポンプである場合を例に説明しているが、医療用ポンプ110は、輸液バッグから患者Pの体内に薬剤を送液するために使用される輸液ポンプであってもよい。本実施形態では、集中治療室(ICU)等において、使用頻度が高く、配合変化を考慮する必要性が高い薬剤投与に多く用いるシリンジポンプのみで説明するが、本発明の医療用ポンプ110らがシリンジポンプと輸液ポンプの併用であってもよい。
【0017】
図2を参照して、医療用ポンプ110は、患者Pに設定された複数の投与経路R1〜R3のうちのいずれか1つの投与経路を介して薬剤を患者Pに対して送液する。投与経路R1〜R3は、例えば、中心静脈ルートや末梢静脈ルートなどである。本実施形態では、中心静脈ルートとして2つの投与経路R1およびR2が設定され、末梢静脈ルートして1つの投与経路R3が設定されている。
【0018】
複数の投与経路R1〜R3のうち、投与経路R1およびR3は、一の投与経路を介して、複数の医療用ポンプ110から薬剤を同時に送液可能に構成されている。投与経路R1およびR3は、最大で3台の医療用ポンプ110から同時に薬剤を送液可能に構成される。投与経路R1およびR3は、それぞれ、医療用ポンプ110にセットされたシリンジ400と患者Pの静脈とを連通自在に接続する1つの主管Mと、医療用ポンプ110にセットされたシリンジ400と主管Mとを連通自在に接続する2つの側管S1、S2と、から構成される。主管Mおよび側管S1、S2は、可撓性のチューブからなる。主管Mは、患者Pの静脈に連通した状態で留置針を介して留置される。
【0019】
一方、投与経路R2は、1台の医療用ポンプ110からのみ薬剤の送液が可能である。投与経路R2は、患者Pの静脈に連通した状態で留置針を介して留置される可撓性のチューブからなる。なお、図2では、医療用ポンプ110が、投与経路R1の主管Mおよび側管S1並びに投与経路R3の主管Mに接続されている状態を例示している。
【0020】
図4を参照して、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100では、投与経路R1〜R3を介して薬剤を送液する前に、医療用ポンプ110が備える受付部210が、患者Pに送液する薬剤の種類の入力を受け付ける。受付部210が入力を受け付けた薬剤の種類は、サーバ120が備える送液薬剤記憶領域220に記憶される。
【0021】
ここで、患者Pに対して送液する薬剤の中には、他の種類の薬剤と配合されることによって配合変化を生じるものがある。配合変化には、薬効に影響があるなどの理由により配合を避ける必要がある配合禁忌、配合によって何らかの物理的・化学的変化が生じる可能性があるが、適切な手段によって投与可能な状態にできる配合不適、および配合によって外観に変化を生じるが薬効に影響がない配合注意などがある。
【0022】
図2に図示された場合を例に説明すれば、配合変化は、投与経路R1またはR3において、主管Mに送液されている薬剤と側管S1またはS2に送液されている薬剤とが混合されることに起因して生じるほか、異なる投与経路から送液された薬剤同士が患者Pの体内で混合することに起因して生じることもある。複数の薬剤を同時に投与する際には、配合変化を考慮して適切な投与経路を選択するなどの手段を講じる必要がある。
【0023】
そこで、図9を参照して、医療用ポンプ110が備える受付部210は、入力された薬剤の種類をサーバ120が備える判断部230に送信する(ステップS104)。そして、判断部230は、受付部210に入力された薬剤の種類が、送液薬剤記憶領域220に記憶された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する(ステップS105)。
【0024】
送液薬剤記憶領域220に記憶された一または複数の薬剤の種類は、受付部210に入力された薬剤の種類であり、患者Pに対して送液している薬剤の種類に対応している。すなわち、送液薬剤記憶領域220に記憶された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるということは、患者Pに対して送液している一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じることを意味する。判断部230における配合変化に係る判断結果は医療用ポンプ110に送信され(図9においてステップS106)、報知部240は当該判断結果を報知する(図9においてステップS108)。
【0025】
以上の動作により、医療用ポンプ110のユーザは、患者Pに対して送液する予定の薬剤が、患者Pに対して既に送液されている一または複数の薬剤のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるか否かを知ることができる。そのため、配合変化が生じる場合には、適切な手段を講じることができる。適切な手段としては、例えば、薬剤が送液されていない投与経路(図2に例示する場合にあっては投与経路R2など)を介して、配合変化が生じるものと判断された薬剤を送液するなどの手段がある。
【0026】
一方、配合変化が生じない場合には、そのような手段を講じることなく薬剤の送液を即座に開始できる。したがって、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100によれば、配合変化に対して適切な手段を講じつつ、医療用ポンプ110を使用した複数の薬剤の送液を迅速に行うことが可能になる。
【0027】
なお、本実施形態では、上述した薬剤の種類の入力は、医療用ポンプ110が予め記憶している薬剤ライブラリに記録されている薬剤の種類の中から選択することによってなされる(図5(A)参照)。
【0028】
薬剤ライブラリは、送液する際の流量(注入速度)の適正値や上限値および薬剤の注入量の適正値や上限値といった薬剤の種類ごとに定められている各種パラメータを記録したファイルである(図7参照)。受付部210が、送液する薬剤の種類の入力を受け付けると、適切なパラメータが医療用ポンプ110に自動で設定される。これにより、薬剤を送液する際の各種パラメータの設定を省略できるため、より迅速に薬剤の送液を開始できる。
【0029】
以下、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100について詳説する。
【0030】
<医療用ポンプの構成>
図3および図4を参照して、医療用ポンプ110は、薬剤を患者Pに送液する送液部10と、医療用ポンプ110に係る各種情報を表示するディスプレイ20と、医療用ポンプ110全体の操作に使用される操作部30と、サーバ120と通信可能に構成された通信部40と、医療用ポンプ110に関する情報を音声によって報知するスピーカ50と、医療用ポンプ110全体の動作を制御する制御装置60と、を有する。
【0031】
送液部10は、薬剤が充填されたシリンジ400を格納するシリンジ格納部11と、シリンジ格納部11に格納されたシリンジ400の押子410を駆動してシリンジ400内に充填された薬剤を送液するシリンジ駆動機構15と、を有する。
【0032】
シリンジ格納部11は、当該シリンジ格納部11に格納されたシリンジ400を固定するクランプ12を有する。クランプ12は、当該クランプ12を回転させる動作に連動してシリンジ400のシリンジ格納部11への固定とその解除を行う。
【0033】
シリンジ駆動機構15は、モータ16と、モータドライバ17と、送りネジ18と、スライド19と、を有する。モータ16は、制御装置60からの信号に基づいてモータドライバ17により駆動され、送りネジ18を回転させてスライド19を移動させる。これにより、スライド19は、押子410を押圧して移動させる。その結果、シリンジ400内の薬剤は、投与経路R1〜R3を介して患者Pに対して送液される。
【0034】
ディスプレイ20は、制御装置60からの信号に基づいて、制御装置60から送信された情報を表示する画像表示装置である。ディスプレイ20は、例えば、カラー液晶表示装置により構成することができる。
【0035】
操作部30は、複数の操作ボタン31を有する。操作ボタン31を押下することによって、医療用ポンプ110の電源ON/OFFや薬剤の送液開始とその停止などを行うことができる。また、ディスプレイ20に表示された情報に従って操作ボタン31を押下することによって、医療用ポンプ110に対して各種情報の入力を行うことができる。また、操作ボタン31を押下することによって、制御装置60にスクロール信号を送信し、ディスプレイ20に表示された情報をディスプレイ20の上下方向にスクロールさせることができる。また、操作ボタン31を押下することによって、制御装置60に選択信号を送信し、ディスプレイ20に表示された項目を選択することができる。
【0036】
通信部40は、制御装置60からの信号に基づいて、サーバ120の通信部121と通信し、サーバ120との間で情報を送受信する。サーバ120の通信部121との通信方法は特に限定されず、無線LANなどの無線通信のほか、有線LANなどの有線通信でもよい。
【0037】
スピーカ50は、制御装置60からの信号に基づいて、医療用ポンプ110に関する情報を音声によって報知する。スピーカ50は、公知のスピーカによって構成されることができ、スピーカの種類は特に限定されない。
【0038】
制御装置60は、医療用ポンプ110の動作を制御する。本実施形態において、制御装置60は、CPU、ROMおよびRAMからなる。CPU、ROMおよびRAMの種類は特に限定されず、公知のものを適宜使用可能である。
【0039】
制御装置60は、医療用ポンプ110に関する各種情報の記憶を行う記憶領域70と、患者Pに対して送液する薬剤の種類の入力を受け付ける受付部210と、後述する判断部230の判断結果を報知する報知部240と、を有する。
【0040】
記憶領域70は、医療用ポンプ110の制御に関する情報のほか、薬剤ライブラリを記憶する。
【0041】
受付部210は、送液する薬剤の種類の入力を受け付ける。受付部210は、入力された薬剤の種類に関する情報を判断部230に送信する。
【0042】
受付部210は、薬剤の種類を特定する選択肢をユーザに提示して薬剤の種類の入力を受け付ける。受付部210は、薬剤の種類を特定する選択肢として、記憶領域70に記憶されている薬剤ライブラリが記録している薬剤の種類をユーザに提示する。
【0043】
図5(A)を参照して、薬剤の種類を特定する選択肢のユーザへの提示は、ディスプレイ20への当該選択肢の表示によってなされる。受付部210は、操作部30からのスクロール信号に基づいてディスプレイ20に表示された選択肢を上下にスクロールさせつつ、操作部30からの選択信号に基づいて薬剤の種類の入力を受け付ける。
【0044】
受付部210は、送液する薬剤の種類の入力を患者Pごとに受け付ける。本実施形態では、受付部210は、送液する薬剤の種類の入力に際して、薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する情報の入力を受け付ける。受付部210は、患者Pを特定する選択肢をユーザに提示して、薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する情報の入力を受け付ける。受付部210は、入力された患者Pを特定する情報を判断部230に送信する。
【0045】
図5(B)を参照して、本実施形態では、患者Pを特定する選択肢のユーザへの提示は、ディスプレイ20への当該選択肢の表示によってなされる。受付部210は、操作部30からのスクロール信号に基づいてディスプレイ20に表示された選択肢を上下にスクロールさせつつ、操作部30からの選択信号に基づいて患者Pを特定する情報の入力を受け付ける。
【0046】
受付部210は、送液する薬剤の種類の入力を医療用ポンプ110に対応付けて受け付ける。本実施形態では、医療用ポンプ110と受付部210との対応付けは、医療用ポンプ110が、医療用ポンプ110ごとに受付部210を1つずつ備えてなることによってなされる。医療用ポンプシステム100において、一の受付部210に対して入力された薬剤の種類は、当該一の受付部210を備える一の医療用ポンプ110を使用して送液される薬剤の種類として処理される。
【0047】
受付部210は、入力された薬剤の種類を判断部230に送信する際に、当該受付部210を備える医療用ポンプ110を識別する識別情報を合わせて送信する。本実施形態において、医療用ポンプ110を識別する識別情報は、記憶領域70に記憶されている。
【0048】
受付部210は、判断部230の判断結果を受信する。受付部210は、判断部230の判断結果に応じて薬剤の種類の入力の受け付けを制限する。受付部210の動作の詳細については、図9および図10を参照して後述する。
【0049】
報知部240は、配合変化に係る判断結果を判断部230から受信して報知する。図6を参照して、報知部240は、配合変化に係る判断結果をディスプレイ20に表示するとともに、スピーカ50を使用して配合変化に係る判断結果を音声により報知する。報知部240の動作の詳細については、図6および図9を参照して後述する。
【0050】
<サーバの構成>
図4に示すように、サーバ120は、医療用ポンプ110と通信可能に構成された通信部121と、サーバ120が提供するサービスを処理する処理装置122と、を有する。
【0051】
通信部121は、医療用ポンプ110の通信部40と通信可能に構成される。通信方法は特に限定されず、無線LANなどの無線通信のほか、有線LANなどの有線通信を使用できる。
【0052】
処理装置122は、薬剤ライブラリのマスタファイルを記憶するライブラリ記憶領域123と、受付部210に入力された一または複数の薬剤の種類を記憶する送液薬剤記憶領域220(記憶部に相当)と、受付部210に入力された薬剤の種類が配合変化を生じるものか否かを判断する判断部230と、を有する。本実施形態において、処理装置122は、CPU、ROMおよびRAMからなる。CPU、ROMおよびRAMの種類は特に限定されず、公知のものを適宜使用可能である。
【0053】
ライブラリ記憶領域123は、薬剤ライブラリのマスタファイルを記憶する。
【0054】
図7を参照して、薬剤ライブラリのマスタファイルは、送液する際の流量(注入速度)の適正値や上限値および薬剤の注入量の適正値や上限値といった薬剤の種類ごとに定められている各種パラメータを薬剤の種類ごとに記録する。
【0055】
また、薬剤ライブラリのマスタファイルは、記録している薬剤の種類ごとに、当該薬剤の種類に対して配合変化を生じる薬剤の種類を記録する。さらに、薬剤ライブラリのマスタファイルは、配合変化を生じる薬剤の種類ごとに、配合変化の種類を記録する。薬剤ライブラリのマスタファイルは、配合変化の種類を、配合禁忌、配合不適または配合注意のいずれかに分類して記録する。
【0056】
図8を参照して、送液薬剤記憶領域220は、受付部210に入力された薬剤の種類を送液薬剤データベースとして記憶する。送液薬剤記憶領域220は、受付部210に入力された薬剤の種類を、医療用ポンプ110の通信部40およびサーバ120の通信部121を介して、受付部210から受信する。
【0057】
送液薬剤記憶領域220は、入力された薬剤の種類を受付部210から受信する際に、送液する対象となる患者Pを特定する情報を受信する。送液薬剤記憶領域220は、受付部210に入力された薬剤の種類を患者Pごとに記憶する。
【0058】
また、送液薬剤記憶領域220は、入力された薬剤の種類を受付部210から受信する際に、当該薬剤の種類が入力された受付部210を備える医療用ポンプ110を識別する識別情報を受信する。実施形態に係る送液薬剤記憶領域220は、受付部210に入力された薬剤の種類を、医療用ポンプ110に対応付けて記憶する。
【0059】
判断部230は、受付部210に入力された薬剤の種類が、送液薬剤記憶領域220に記憶された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かを判断する。
【0060】
判断部230は、受付部210に入力された薬剤の種類を、医療用ポンプ110の通信部40およびサーバ120の通信部121を介して、受付部210から受信する。
【0061】
判断部230は、入力された薬剤の種類を受付部210から受信する際に、送液する対象となる患者Pを特定する情報を受信する。判断部230は、配合変化を生じるものか否かの判断を患者Pごとに行う。
【0062】
判断部230は、配合変化を生じるものと判断した場合には、送液薬剤記憶領域220に記憶された薬剤の種類(図8参照)のうち、当該配合変化を生じるものと判断した薬剤の種類に対応付けられている医療用ポンプ110を特定する。
【0063】
判断部230は、通信部40および通信部121を介して、受付部210および報知部240に判断結果を送信する。
【0064】
判断部230の動作の詳細については、図9および図11を参照して後述する。
【0065】
<医療用ポンプシステムの動作>
図9を参照して、医療用ポンプシステム100の動作は、概説すれば、薬剤ライブラリ情報をサーバ120から医療用ポンプ110に送信するステップ(S101)と、薬剤ライブラリ情報を記憶するステップ(S102)と、送液する薬剤の種類の入力および患者の情報の入力を受け付けるステップ(S103)と、送液する薬剤の種類、患者の情報および医療用ポンプを識別する識別情報を医療用ポンプ110からサーバ120に送信するステップ(S104)と、配合変化に係る判断を行うステップ(S105)と、判断結果をサーバ120から医療用ポンプ110に送信するステップ(S106)と、判断結果を報知するステップ(S107)と、薬剤を送液するステップ(S108)と、を含む。以下、各ステップについて説明する。
【0066】
ステップS101では、サーバ120が備える通信部121および医療用ポンプ110が備える通信部40を介して、サーバ120から医療用ポンプ110に薬剤ライブラリ情報が送信される(ステップS101)。薬剤ライブラリ情報は、サーバ120に記憶されている薬剤ライブラリのマスタファイル(図7参照)から所定の情報を抜粋して複製したものである。医療用ポンプに送信された薬剤ライブラリ情報は、医療用ポンプ110が備える記憶領域70に記憶される(ステップS102)。
【0067】
ステップS103では、受付部210が、患者Pに対して送液する薬剤の種類および薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する情報の入力を受け付ける(図5参照)。受付部210は、医療用ポンプ110が備える通信部40およびサーバ120が備える通信部121を介して、入力された薬剤の種類および患者Pを特定する情報をサーバ120に送信する(ステップS104)。ステップS104において、受付部210は、記憶領域70に記憶されている医療用ポンプ110を識別する識別情報も合わせてサーバ120に送信する。ステップS103の動作の詳細については図10を参照して後述する。
【0068】
ステップS105において、送液薬剤記憶領域220は、受付部210に入力された薬剤の種類を患者Pごとに医療用ポンプ110に対応付けて送液薬剤記憶領域220に記憶する。そして、判断部230は、受付部210に入力された薬剤の種類が、送液薬剤記憶領域220に記憶された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つと配合変化を生じるか否かを判断する。
【0069】
また、判断部230は、配合変化を生じるものと判断する場合には当該配合変化の種類も特定する。判断部230は、配合変化の種類を、配合禁忌、配合不適または配合注意のいずれかに分類して特定する。
【0070】
さらに、判断部230は、配合変化を生じるものと判断する場合には、送液薬剤記憶領域220に記憶された薬剤の種類のうち、当該配合変化を生じるものと判断した薬剤の種類に対応付けられている医療用ポンプ110(図8参照)を特定する。
【0071】
ステップS105の動作の詳細については、図11を参照して後述する。
【0072】
判断部230は、サーバ120が備える通信部121および医療用ポンプ110が備える通信部40を介して、配合変化に係る判断結果を医療用ポンプ110に送信する(ステップS106)。このとき、判断部230は、ステップS105において配合変化を生じるものと判断した場合には、当該配合変化の種類、および、当該配合変化を生じる薬剤の種類に対応付けられている医療用ポンプ110を識別する識別情報も合わせて医療用ポンプ110に送信する。
【0073】
ステップS107において、報知部240は、サーバ120から送信された判断結果をディスプレイ20に報知する(図6参照)とともに、スピーカ50を使用して判断結果を音声によって報知する。このとき、ディスプレイ20で判断結果を表示して報知するだけでなく、ディスプレイ20が点灯または点滅したり、さらには、医療用ポンプ110にランプが備えてある場合、そのランプが点灯または点滅したりしてもよい。
【0074】
図6(B)を参照して、報知部240は、ステップS105において配合変化を生じるものと判断部230が判断した場合には、判断結果を報知する際に、配合変化の種類も報知する。
【0075】
さらに、報知部240は、ステップS105において配合変化を生じるものと判断部230が判断した場合には、判断結果を報知する際に、ステップS105において判断部230が特定した医療用ポンプ110を識別する識別情報を報知する。
【0076】
ステップS108では、医療用ポンプ110の送液部10が薬剤を送液する。
【0077】
図10を参照して、ステップS103について詳説する。ステップS103の処理は、受付部210が行う。
【0078】
まず、受付部210は、薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する選択肢をディスプレイ20に表示して患者Pを特定する情報の入力を待つ(ステップS201)。患者Pを特定する情報が入力されると(ステップS202:YES)、ステップS203に進む。
【0079】
ステップS203において、受付部210は、薬剤ライブラリに記録されている薬剤の種類をディスプレイ20に表示して、送液する薬剤の種類の入力を待つ(図5(A)参照)。送液する薬剤の種類が入力されると(ステップS204:YES)、入力された薬剤の種類、患者Pを特定する情報および医療用ポンプ110を識別する識別情報をサーバ120に送信する(ステップS205)。
【0080】
次に、受付部210は、判断部230の判断結果を受信する(ステップS206)。
【0081】
判断結果が、配合変化を生じないという判断結果の場合(ステップS207:NO)には、薬剤の種類の入力の受け付けを完了する(ステップS209)。
【0082】
一方、判断結果が、配合変化を生じるという判断結果の場合(ステップS207:YES)には、配合変化の種類が配合禁忌か否かを判断する(ステップS208)。ステップS208における判断は、入力された薬剤の種類に対して、送液薬剤記憶領域220に記憶されている一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つが配合禁忌であればYESとなる。
【0083】
配合変化の種類が配合禁忌でない場合(ステップS208:NO)には、薬剤の種類の入力の受け付けを完了する(ステップS209)。
【0084】
一方、配合変化の種類が配合禁忌の場合(ステップS208:YES)には、薬剤の種類の入力の受け付けを完了せずに、薬剤の種類の入力を再度受け付ける(ステップS203およびステップS204)。すなわち、受付部210は、配合変化の種類が配合禁忌の場合には、薬剤の種類の入力の受け付けを制限する。
【0085】
図11を参照して、ステップS105について詳説する。ステップS105の処理は、送液薬剤記憶領域220および判断部230が行う。
【0086】
まず、判断部230は、「判断結果」をNOにセットする(ステップS301)。「判断結果」は、判断部230が保持する内部変数である。「判断結果」は、受信した薬剤の種類が、送液薬剤記憶部に記憶されている一または複数の薬剤の種類のうちのいずれか1つに対して配合変化を生じる場合にはYESとなり、配合変化を生じない場合にはNOとなる。
【0087】
次に、判断部230は、ライブラリ記憶領域123に記憶されている薬剤ライブラリのマスタファイル(図7参照)を参照して、受付部210に入力された薬剤の種類に対して配合変化を生じる薬剤の種類を取得する(ステップS302)。配合変化を生じる薬剤の種類は、複数存在することもある。
【0088】
次に、判断部230は、ステップS202で取得した配合変化を生じる一または複数の薬剤の種類の各々について、送液薬剤記憶領域220に記憶されている一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに一致するか否かを判断する(ステップS303)。一致しない場合(ステップS303:NO)には、ステップS308に進む。一致する場合(ステップS303:YES)には、「判断結果」をYESにセットして(ステップS304)、ステップS305に進む。
【0089】
次に、判断部230は、ライブラリ記憶領域123に記憶されている薬剤ライブラリのマスタファイル(図7参照)を参照して、ステップS303において一致した薬剤の種類に対して生じる配合変化の種類を取得する(ステップS305)。
【0090】
次に、判断部230は、送液薬剤記憶領域220に記憶されている送液薬剤データベース(図8参照)を参照して、ステップS303において一致した薬剤の種類に対応付けられている医療用ポンプ110を識別する識別情報を取得する(ステップS306)。
【0091】
次に、判断部230は、ステップS305において取得した配合変化の種類が配合禁忌か否かを判断する(ステップS307)。
【0092】
配合変化の種類が配合禁忌ではない場合(ステップS307:NO)には、入力された薬剤の種類を送液薬剤記憶領域に記憶して(ステップS308)、ステップS309に進む。
【0093】
一方、配合変化の種類が配合禁忌の場合(ステップS307:YES)には、入力された薬剤の種類を送液薬剤記憶領域220に記憶することなくステップS309に進む。この動作は、配合変化の種類が配合禁忌となる薬剤の種類の入力を受付部210が受け付けないという動作に対応するものである。
【0094】
最後に、判断部230は、医療用ポンプ110が備える受付部210および報知部240に判断結果を送信する(ステップS309)。ステップS309では、「判断結果」がYESの場合には、ステップS305で取得した配合変化の種類およびステップS306で取得した医療用ポンプ110を識別する情報を受付部210および報知部240に送信する。
【0095】
<医療用ポンプシステムの使用例>
以下、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100の使用例について説明する。
【0096】
まず、医療用ポンプ110の使用に先立ち、医療用ポンプ110をサーバ120に接続し、サーバ120に記憶された薬剤ライブラリのマスタファイル(図7参照)から所定の情報を抜粋した薬剤ライブラリ情報をダウンロードする。ダウンロードした薬剤ライブラリ情報は、医療用ポンプ110に記憶される。薬剤ライブラリ情報の記憶に係る操作は、ディスプレイ20に表示される情報に従って操作部30を操作することによって行う。
【0097】
次に、患者Pに対して、投与経路R1〜R3を設定する(図2参照)。
【0098】
次に、医療用ポンプ110のディスプレイ20に表示される情報(図5参照)に従って操作部30を操作することによって、患者Pに対して送液する薬剤の種類および薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する情報を入力する。
【0099】
入力された情報はサーバ120に送信されて記憶される。そして、サーバ120において、入力された薬剤の種類が、それまでに記憶した薬剤の種類と配合変化を生じるものか否かが判断される。また、配合変化が生じる場合には、配合変化の種類の特定、および、配合変化を生じる薬剤を送液している医療用ポンプ110の特定が合わせてなされる。
【0100】
サーバ120における判断が終了すると、医療用ポンプ110に判断結果が送信され、判断結果がディスプレイ20に表示されるとともにスピーカ50を使用して音声によって報知される。
【0101】
配合変化が生じる場合には、配合変化を生じる薬剤を送液している医療用ポンプ110を識別する識別情報と当該医療用ポンプ110が送液している薬剤に対して生じる配合変化の種類がディスプレイ20に表示される(図6(B)参照)。また、ディスプレイ20に表示されている情報と同様の情報が、スピーカ50を使用して音声によって報知される。
【0102】
これにより、配合変化が生じる場合において適切な手段を講じることができる。例えば、患者Pに対して設定されている投与経路R1〜R3のうち、配合変化が生じる薬剤を送液している医療用ポンプ110が接続されていない投与経路を使用して、薬剤を送液するといった手段を講じることができる。
【0103】
配合変化が生じない場合には、配合変化が生じない旨のメッセージがディスプレイ20に表示される(図6(A)参照)とともに、スピーカ50から音声によってその旨報知される。配合変化が生じない場合には、患者Pに設定されている投与経路R1〜R3のうちの任意の投与経路に医療用ポンプ110を接続して、薬剤の送液を即座に開始できる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110によれば、受付部210に入力された薬剤の種類が、それまでに受付部210に入力された一または複数の薬剤の種類のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるものか否かが報知される。これにより、患者Pに対して送液される予定の薬剤が、患者Pに対して既に送液されている一または複数の薬剤のうちの少なくとも1つに対して配合変化を生じるか否かを知ることができる。そのため、配合変化が生じる場合にのみ、適切な投与経路R1〜R3を選択するなどの手段を講じつつ、配合変化が生じない場合には、薬剤の送液を即座に開始できる。従って、配合変化に対して適切な手段を講じつつ、医療用ポンプを使用した複数の薬剤の投与を迅速に行うことが可能な医療用ポンプシステムおよび医療用ポンプを提供できる。
【0105】
また、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110によれば、受付部210に入力された薬剤の種類が配合変化を生じる場合には、判断結果が報知される際に、配合変化の種類も合わせて報知される。これにより、配合変化の種類を考慮したより適切な手段を配合変化に対して講じることができる。
【0106】
また、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110によれば、受付部210に入力した薬剤の種類に対する配合変化に係る判断結果に応じて、当該薬剤の種類の入力の受け付けが制限される。これにより、配合変化が生じる薬剤が誤って送液されるなどのリスクを低減できるため、安全性が向上する。
【0107】
また、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110によれば、受付部210に入力された薬剤の種類が配合変化を生じる場合には、判断結果が報知される際に、配合変化を生じる薬剤を送液している医療用ポンプ110を識別する識別情報が報知される。これにより、配合変化を生じる薬剤を送液している医療用ポンプ110が使用している投与経路とは別の投与経路から薬剤を送液するなどの手段をより迅速に講じることができる。
【0108】
また、本実施形態に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110によれば、受付部210および報知部240は、医療用ポンプ110が備える。これにより、薬剤の種類の入力と入力した薬剤の種類に対する判断結果の確認を、医療用ポンプ110を使用して行うことができる。そのため、医療用ポンプ110を使用して薬剤を送液する現場において、薬剤の種類の入力と入力した薬剤の種類に対する判断結果の確認を行うことができるから、配合変化を考慮した適切な手段をさらに迅速に講じることができる。
【0109】
<改変例>
上述した実施形態では、受付部210は、入力された薬剤の種類に対する配合変化の判断結果に応じて薬剤の種類の入力を制限した。
【0110】
しかしながら、受付部210は、薬剤の種類を特定する選択肢をユーザに提示する前に、ユーザに対して提示する予定の薬剤の種類を判断部230に送信し、判断部230の配合変化に係る判断結果に応じて、薬剤の種類の選択を受け付けないように構成してもよい。例えば、配合変化を生じ、かつ、配合変化の種類が配合禁忌となる薬剤の種類を受け付けないように受付部210を構成してもよい。もちろん、配合変化の種類に関わらず、配合変化を生じさせる薬剤の種類全ての選択を受け付けないように構成することができる。
【0111】
また、薬剤の種類の選択を制限する際に、受付部210は、選択を受け付けない薬剤の種類の選択肢を、選択を受け付ける薬剤の種類の選択肢とは異なる態様でユーザに提示してもよい。例えば、図12に示すように、受付部210は、選択を受け付けない薬剤の種類の選択肢を、選択を受け付ける薬剤の種類の選択肢とは異なる表示色をもってディスプレイ20に表示してもよい。図12に例示した場合では、受付部210は、選択を受け付けない薬剤の種類の選択肢を灰色で表示し、選択を受け付ける薬剤の種類の選択肢を黒色で表示している。よって、図12に例示した場合では、ユーザは、灰色で表示された選択肢を選択できない。
【0112】
本改変例に係る医療用ポンプシステムによれば、受付部210が提示した薬剤の種類を特定する選択肢の選択にあたって、例えば、配合禁忌とならない薬剤の種類をより迅速に選択できる。これにより、配合変化を考慮しつつ、薬剤の送液をさらに迅速に開始できる。
【0113】
以上、本発明に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110を実施形態および改変例に基づいて説明したが、本発明に係る医療用ポンプシステム100および医療用ポンプ110は実施形態および改変例において説明した構成のみに限定されず、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0114】
例えば、上述した実施形態および改変例では、受付部210は、薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する情報の入力を受け付け、送液薬剤記憶領域220は、送液する薬剤の種類を患者Pごとに記憶した。しかしながら、医療用ポンプシステム100を一の患者Pごとに適用する場合には、受付部210における薬剤を送液する対象となる患者Pを特定する情報の入力の受け付けや、送液薬剤記憶領域220における送液する薬剤の種類の患者Pごとの記憶は不要である。
【0115】
また、上述した実施形態および改変例では、配合変化に関する情報を薬剤ライブラリのマスタファイルに記録しているが、これに限定されず、薬剤ごとの配合変化に関する情報のみを格納した配合変化ファイルを使用し、サーバ120と医療用ポンプ110との間で配合変化に関する情報をやり取りしてもよい。この場合、薬剤ライブラリのマスタファイルと同様に、処理装置122が配合変化ファイルを有することになる。
【0116】
また、上述した実施形態および改変例では、受付部210および報知部240は医療用ポンプ110が備え、送液薬剤記憶領域220および判断部230はサーバ120が備えた。
【0117】
しかしながら、受付部210、送液薬剤記憶領域220、判断部230および報知部240の配置は特に限定されず、例えば、受付部210、送液薬剤記憶領域220、判断部230および報知部240の全てを医療用ポンプ110が備えてもよい。送液薬剤記憶領域220に記憶された情報は、医療用ポンプ110同士を通信可能に構成することによって共有できる。この場合、サーバ120は不要である。
【0118】
また、医療用ポンプシステム100が使用される病院等において新たに採用された薬剤があれば、その新たに採用された薬剤に対して配合変化を生じる薬剤の種類を薬剤ライブラリのマスタファイルに記録する必要がある。同時に、使用中止となった薬剤があれば、その情報を薬剤ライブラリのマスタファイルから削除する必要がある。このように、薬剤ライブラリのマスタファイルは、適時最新の情報にアップデートすることが好ましい。また、薬剤ライブラリのマスタファイルのアップデートは、所定の時間、例えば、午前零時や12時間毎に自動で行われるのが好ましい。このように、常に薬剤ライブラリのマスタファイルが最新の情報にアップデートされていることで、集中治療室(ICU)等での緊急時においても、配合変化に対して適切な手段を講じつつ、医療用ポンプを使用した複数の薬剤の投与を迅速に行うことが可能となる。
【0119】
また、医療用ポンプシステム100がタブレット型PCなどの携帯端末を有し、受付部210および報知部240は携帯端末が備えるように構成してもよい。
【0120】
また、上述した実施形態および改変例では、医療用ポンプシステム100が1つのサーバ120を有する場合を説明した。しかしながら、医療用ポンプシステム100は、1つの中央サーバと、中央サーバおよび医療用ポンプ110と通信可能な中継サーバと、を有してもよい。
【0121】
この場合、ライブラリ記憶領域123を中央サーバが備え、送液薬剤記憶領域220および判断部230を中継サーバが備えるように構成してもよい。当該構成によれば、最新の情報にアップデートされるべき薬剤ライブラリのマスタファイルを中央サーバで管理しつつ、医療用ポンプの数が増えることによって増大する送液薬剤記憶領域220および判断部230に係る処理の負担を中継サーバに分散させることができる。中継サーバは、例えば、集中治療室(ICU)などの治療室ごとに用意してもよい。当該構成は、多くの治療室を有し、多くの医療用ポンプ110が使用される大病院などの施設において特に有効である。
【0122】
また、上述した実施形態および改変例では、医療用ポンプ110は、医療用ポンプ110ごとに受付部210を1つずつ備えた。しかしながら、本発明に係る医療用ポンプシステムは、複数の医療用ポンプ110を有する場合において、一の医療用ポンプ110が一の受付部210を備え、他の医療用ポンプ110が受付部210を備えない構成とすることもできる。当該構成の場合、受付部210を備えていない医療用ポンプ110を使用して薬剤を送液する際には、受付部210を備えている医療用ポンプ110を使用して薬剤の種類等の入力を行うことができる。
【0123】
さらに、本発明に係る医療用ポンプシステムは、少なくとも1つの医療用ポンプ110を有している限りにおいて、医療用ポンプ110とは異なる器具によって薬剤を患者Pに送液する場合にも適用できる。例えば、PFSなどのシリンジを使用して患者Pに薬剤を送液する際に、当該シリンジで送液しようとしている薬剤の種類を、医療用ポンプ110が備えている受付部210を使用して入力することができる。また、入力した薬剤の種類に対する判断結果は、医療用ポンプ110が備えている報知部240を介して知ることができる。よって、本発明に係る医療用ポンプシステムによれば、シリンジを使用して患者Pに薬剤を送液する場合であっても、配合変化に対して適切な手段を講じつつ、薬剤の送液を迅速に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 送液部、
20 ディスプレイ、
30 操作部、
40 通信部、
50 スピーカ、
60 制御装置、
70 記憶領域、
100 医療用ポンプシステム、
110 医療用ポンプ、
120 サーバ、
121 通信部、
122 処理装置、
123 ライブラリ記憶領域、
210 受付部、
220 送液薬剤記憶領域(記憶部)、
230 判断部、
240 報知部、
400 シリンジ、
P 患者、
R1、R2、R3 投与経路。

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