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公開番号2019129016
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190801
出願番号2018008567
出願日20180123
発明の名称質量分析装置及び電子増倍管の管理方法
出願人日本電子株式会社
代理人特許業務法人YKI国際特許事務所
主分類H01J 49/06 20060101AFI20190708BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】質量分析装置のユーザーに対して電子増倍管の劣化を評価する際に参考となる情報を提供する。
【解決手段】電子増倍管20の出力(電流又は電荷)の積算により、劣化情報として、総劣化度及び単位劣化度が演算される。画面上には、それらが数値又はグラフとして表示される。総劣化度に応じて電子増倍管20の印加電圧が可変され得る。単位劣化度は、単位時間当たりの劣化度、1回の測定当たりの劣化度、1回のキャリブレーション当たりの劣化度、ユーザー単位の劣化度、等である。
【選択図】図1
特許請求の範囲約 800 文字を表示【請求項1】
電子増倍管を含む測定部と、
前記電子増倍管の出力を所定期間にわたって積算することにより、前記電子増倍管の劣化の程度を示す劣化情報を演算する演算部と、
前記劣化情報をユーザーに提供する提供手段と、
を含むことを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記所定期間は、前記電子増倍管の使用開始時から現在までの全期間、及び、前記全期間中の単位期間、の内の少なくとも一方である、
ことを特徴とする質量分析装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記所定期間は、前記全期間及び前記単位期間の両方であり、
前記劣化情報として、前記全期間に対応する総劣化情報及び前記単位期間に対応する単位劣化情報の両方が前記ユーザーに対して提供される、
ことを特徴とする質量分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の装置において、
前記提供手段は、前記劣化情報が所定条件を満たした場合に、前記ユーザーに対して前記電子増倍管の交換の必要性を予告又は通知するメッセージを提供する、
ことを特徴とする質量分析装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、
前記劣化情報に基づいて前記電子増倍管に印加する電圧を可変する制御部を含む、
ことを特徴とする質量分析装置。
【請求項6】
質量分析装置に設けられた電子増倍管の出力を所定期間にわたって積算することにより、前記電子増倍管の劣化の程度を示す劣化情報を演算する工程と、
前記劣化情報をユーザーに提供し、又は、前記劣化情報に基づいて前記電子増倍管に印加する電圧を可変する工程と、
を含むことを特徴とする電子増倍管の管理方法。

発明の詳細な説明約 9,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関し、特に、電子増倍管の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析装置は一般に測定部及び情報処理部により構成される。典型的には、測定部は、試料をイオン化するイオン源、イオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離する質量分析部、及び、質量分析部を通過してきたイオンを検出する検出部を有する。検出部には、電子増倍管(二次電子増倍管)が設けられる。電子増倍管は例えば10

〜10

の増幅率を有する。電子増倍管から出力された信号がプリアンプに入力される。そこでは電流信号が電圧信号に変換される。電圧信号はADCにおいてデジタル信号に変換され、そのデジタル信号が情報処理部へ与えられる。情報処理部は、デジタル信号に基づいてマススペクトルを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2000−57990号公報
特開昭57−60654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子増倍管はその使用により劣化する。電子増倍管において一定の劣化が生じた場合には電子増倍管を交換する必要がある。しかしながら、従来の質量分析装置においては電子増倍管の劣化の程度を客観的に認識するための情報はユーザーに対して提供されていない。このため、ユーザーにおいて、電子増倍管の劣化の現状を認識できない、電子増倍管の交換時期を予測することができない、電子増倍管の劣化を防止する観点から測定方法(メソッド)を選択できない、質量分析装置のキャリブレーション過程において電子増倍管に必要以上の劣化が生じ易い、等の問題が生じている。
【0005】
なお、特許文献1には、電子増倍管の出力信号の強度及び揺らぎに基づいて電子増倍管の劣化状態を判定する質量分析装置が開示されている。特許文献2には、質量分析装置において、検出信号を積算することによりSN比及び感度を向上させることが記載されている。いずれの文献にも電子増倍管の劣化の程度を評価するために電子増倍管の出力を積算することについては記載されていない。
【0006】
本発明の目的は、質量分析装置のユーザーに対して電子増倍管の劣化を評価する際に参考となる情報を提供することにある。あるいは、本発明の目的は、質量分析装置のユーザーに対して電子増倍管の劣化を踏まえた対処を促すことにある。あるいは、本発明の目的は、電子増倍管の劣化に応じて電子増倍管のゲインを補償することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る質量分析装置は、電子増倍管を含む測定部と、前記電子増倍管の出力を所定期間にわたって積算することにより、前記電子増倍管の劣化の程度を示す劣化情報を演算する演算部と、前記劣化情報をユーザーに提供する提供手段と、を含むことを特徴とする。
【0008】
電子増倍管の出力の積算値は、電子増倍管の使用時間又は使用量(典型的には使用中に出力した電荷量)に相当し、それは電子増倍管の劣化の程度を示す情報であるとみなせる。このような理解の下、上記構成において、電子増倍管の出力の積算値から当該電子増倍管の劣化情報が演算され、その劣化情報がユーザーに対して提供される。例えば、劣化情報は数値又はグラフとして画面上に表示される。劣化情報は比率(劣化度)等の相対値であってもよい。あるいは、劣化情報は積算値それ自体等の絶対値であってもよい。積算値及び他の関連情報から劣化情報が演算されてもよい。劣化情報の提供によれば、ユーザーにおいて、電子増倍管の現在の劣化の程度を認識でき、電子増倍管を交換すべき時期を予測することが可能となり、電子増倍管の劣化軽減の観点から測定方法を選択あるいは測定条件を変更することが可能となる。キャリブレーション時においては、劣化軽減の観点からキャリブレーション条件を変更することが可能となる。
【0009】
実施形態において、前記所定期間は、前記電子増倍管の使用開始時から現在までの全期間、及び、前記全期間中の単位期間、の内の少なくとも一方である。実施形態において、前記所定期間は、前記全期間及び前記単位期間の両方であり、前記劣化情報として、前記全期間に対応する総劣化情報及び前記単位期間に対応する単位劣化情報の両方が前記ユーザーに対して提供される。総劣化情報の参照により、現在、電子増倍管がどの程度劣化しているのかを認識できる。単位劣化情報の参照により、所定単位ごとの電子増倍管の劣化の程度を認識できる。すなわち、両情報を参照することにより、電子増倍管の劣化を総合的に把握又は分析することが可能となる。
【0010】
実施形態において、前記提供手段は、前記劣化情報が所定条件を満たした場合に、前記ユーザーに対して前記電子増倍管の交換の必要性を予告又は通知するメッセージを提供する。この構成によれば、電子増倍管の交換を予期でき、あるいは、寿命に達した電子増倍管についてその交換を促せる。
【0011】
実施形態に係る質量分析装置は、前記劣化情報に基づいて前記電子増倍管に印加する電圧を可変する制御部を含む。電子増倍管の劣化の程度に応じて電子増倍管のゲインが低下することが知られている。上記構成によれば印加電圧の調整によりゲイン補償を行える。
【0012】
実施形態に係る電子増倍管の管理方法は、質量分析装置に設けられた電子増倍管の出力を所定期間にわたって積算することにより、前記電子増倍管の劣化の度合いを示す劣化情報を演算する工程と、前記劣化情報をユーザーに提供し、又は、前記劣化情報に基づいて前記電子増倍管に印加する電圧を可変する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
上記の管理方法は、例えば、質量分析装置における情報処理部において実行されるものである。上記の管理方法は、プログラムの機能として実現される。その場合には、当該プログラムが、可搬型記憶媒体又はネットワークを介して、情報処理部へインストールされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、質量分析装置のユーザーに対して電子増倍管の劣化を評価する際に参考となる情報を提供できる。あるいは、質量分析装置のユーザーに対して電子増倍管の劣化を踏まえた対処を促せる。あるいは、電子増倍管の劣化に応じて電子増倍管のゲインを補償できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
第1実施形態に係る質量分析装置を示すブロック図である。
管理用データベースの一例を示す図である。
劣化曲線を示す図である。
表示項目選択時の動作を示す図である。
第1表示例を示す図である。
第2表示例を示す図である。
第3表示例を示す図である。
第2実施形態に係る質量分析装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1には、第1実施形態に係る質量分析装置の構成例が示されている。図示された質量分析装置は、測定部10及び情報処理部12を有する。測定部10は、試料をイオン化するイオン源、イオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離する質量分析部、質量分析部を通過したイオンを検出する検出部16を有する。検出部16は真空室14内に設置されており、図示の例において、検出部16は、コンバージョンダイノード18及び電子増倍管20を有している。コンバージョンダイノード18においてイオン21が電子に変換される。その電子が電子増倍管20における二次電子放出作用により増幅される。その増幅率は例えば10

〜10

である。
【0018】
電子増倍管20の後段には電子回路24が設けられている。電子回路24は、図示の例において、プリアンプ26及びADコンバータ28を有する。電子増倍管20の出力は電流信号又は電荷信号であり、その信号がプリアンプ26において増幅され且つ電圧信号(アナログ電圧信号)に変換される。その電圧信号がADコンバータによってデジタル信号(デジタル電圧信号)に変換される。そのデジタル信号が情報処理部12へ入力される。そのデジタル信号は、上記のように電流値又は電荷値を示すものであり、換言すれば、イオン量を示すものである。
【0019】
情報処理部12は、演算手段及び制御手段として機能する。情報処理部12は例えばPC等の情報処理装置により構成される。情報処理部12は、図示の例において、プロセッサ30、メモリ46及び表示器50を有している。この他、図示されていない入力部や通信部等を有している。プロセッサ30は、プログラムを実行するCPU等のデバイスにより構成される。図1においては、プロセッサ30が実行する複数の機能が複数のブロックで表現されている。それらの機能には電子増倍管の管理が含まれる。以下に各機能について説明する。
【0020】
マススペクトル生成部32は、入力されたデジタル信号(つまり電子増倍管の出力)に基づいてマススペクトルを生成するモジュールである。マススペクトル解析部34はマススペクトルに対してピーク判定等の解析を実行するモジュールである。制御部36は測定部10の動作を制御するモジュールである。本実施形態における制御部36は、後述するように、電子増倍管20の劣化度に基づいて電子増倍管20のゲインを自動的に調整する機能を有する。
【0021】
積算部38は、積算手段として機能し、実施形態において2つの機能を有する。第1の機能は、電子増倍管20の使用開始時から現在までの全期間にわたって電子増倍管20の出力(実際にはデジタル信号)を積算する機能である。この機能により総積算値が演算される。総積算値は電子増倍管の劣化の程度を示す指標である。第2の機能は、所定単位にわたって電子増倍管20の出力を積算する機能である。所定単位は、一定時間、測定単位、キャリブレーション単位、ユーザー単位等である。この機能により単位積算値が演算される。
【0022】
劣化度演算部40は、演算手段として機能するものであり、具体的には、総積算値に基づいて総劣化情報としての総劣化度を演算し、単位積算値に基づいて単位劣化情報としての単位劣化度を演算するものである。総劣化度は、図示の構成例において、寿命相当の総積算値に対する現在の総積算値の比率である。単位劣化度は、図示の構成例において、寿命相当の総積算値に対する現在の単位積算値の比率である。総積算値それ自体を総劣化情報として取り扱ってもよい。単位積算値それ自体を単位劣化情報として取り扱ってもよい。その場合、積算部38が劣化情報演算部を兼ねることになる。
【0023】
判定部42は、判定手段として機能するものである。図示の構成例において、判定部42は、総劣化度が一定の値に到達したことを判定するモジュールである。一定の値としては、寿命相当の総劣化度、交換予告時期に相当する総劣化度、等が考えられる。表示処理部44は、表示処理手段として機能し、表示器50の画面上に表示する情報を生成する。その情報には、総劣化度を示す数値又はグラフ、単位劣化度を示す数値又はグラフ、メッセージ、等が含まれる。
【0024】
メッセージには、予告メッセージ及び交換推奨メッセージが含まれる。予告メッセージは例えば「電子増倍管の交換時期が近付いています」又は「推定寿命まであと**%です」といったものである。その際に、予想される交換時期が併せて表示されてもよい。交換推奨メッセージは例えば「電子増倍管を交換してください」というものである。メッセージ表示に代えて又はそれと共に、メンテナンス会社内の外部装置へ現在の電子増倍管の状況を知らせる通知を行ってもよい。表示器50は、例えばLCDにより構成される。実施形態において、判定部42、表示処理部44及び表示器50が提供手段として機能している。
【0025】
メモリ46上には、管理用データベース(DB)48が構築される。管理用DB48の実体はテーブルであり、そこにおいて総積算値及び単位積算値が管理される。メモリ46には関係式群49も格納されている。関係式群49には、積算値から劣化度を求める関係式、積算値又は劣化度からゲイン補償用の印加電圧を定める関係式、等が含まれる。
【0026】
制御部36は、測定部10の動作を制御するモジュールである。制御部36は、図示の例において、電子増倍管20に対して印加電圧を供給している電源22を制御している。制御部36により、印加電圧が制御される。実施形態においては、印加電圧を手動で調整することが可能である。また、実施形態においては、総積算値に基づいてゲイン補償のために印加電圧が自動調整され得る。自動調整の有無を選択できるように構成するのが望ましい。自動調整に際してはゲイン補償用の関係式が参照される。
【0027】
図2には、管理用DB48の具体例が示されている。管理用DB48は、時系列順で並ぶ複数のレコード51を有する。個々のレコード51は、メソッド(測定方法、測定条件)を識別するための識別子、時刻(測定開始時刻、測定終了時刻)、ユーザー(測定者)、種別(測定かキャリブレーションかの区別)、印加電圧、単位積算値、総積算値等の複数の情報により構成されている。測定開始時から測定終了時までの期間にわたって電子増倍管の出力を積算することにより単位積算値が演算され、それが管理用DB48に登録される。今までの単位積算値を合計することにより、あるいは、前回の測定終了時点での総積算値に対して今回の測定での単位積算値を加算することにより、今回の測定終了時点での総積算値が演算され、それが管理用DB48に登録される。
【0028】
図3には、劣化曲線52が例示されている。横軸は時間軸であり、縦軸は総劣化度を示している。劣化曲線52は、電子増倍管の使用開始時からの総劣化度の変化を示したものである。劣化曲線52は管理用DBの内容から必要に応じて生成される。それが随時、メモリ上に管理されてもよい。
【0029】
測定終了した現時点tiにおいて、総劣化度はεiである。測定開始時点ti−1における総劣化度と現時点tiにおける総劣化度εiの差Δεが今回の測定についての単位劣化度となる。近似法等を用いて劣化曲線52を外挿して推定直線54を生成し、その推定直線54と寿命相当の総劣化度を示す直線との交点から、寿命到達時期t1が予測される。それを示す情報を表示すれば、ユーザーに対して交換時期を予告することが可能となる。現在の総劣化度が第1判定値に到達した場合には交換を予告するメッセージが表示され、現在の総劣化度が第2判定値に到達した場合には交換を通知するメッセージが表示される。
【0030】
図4には、表示項目選択時の動作が示されている。S10において、ユーザーにより、1又は複数の表示項目が選択される。例えば、総劣化度の表示が選択された場合、S12において、総劣化度が数値又はグラフとして画面上に表示される。図示の例では、複数の単位劣化度の中から、1又は複数の単位劣化度を選択して表示させることが可能である。S14では、ユーザーにより指定された時間(例えば1秒、1分又は1時間)当たりの劣化度が表示される。それは劣化速度に相当するものである。S16では、測定ごとの劣化度が表示される。これは測定条件の変更又は測定方法(メソッド)の選択において参考になるものである。過去の測定での劣化度と、現在の測定での劣化度とを比較表示するようにしてもよい。S18ではキャリブレーションごとの劣化度が表示される。そのような劣化情報の表示により、例えば、劣化を軽減できる条件でキャリブレーションを行うことが可能となる。後述するように、キャリブレーション過程において、瞬時劣化度及び累積劣化度が表示されてもよい。S20では、ユーザーごとに劣化度の合計が求められ、その合計が劣化度情報として表示される。上記以外の単位で劣化度が計算及び表示されてもよい。
【0031】
図5には第1表示例が示されている。表示器の画面上には、図示の例においては、マススペクトル56が表示されており、その近傍には、総劣化情報58及び単位劣化情報60が数値として表示されている。総劣化情報58は電子増倍管の使用開始時から現時点までの電子増倍管の劣化度を比率として表現したものである。例えば、寿命相当の総積算値に対する現在の総積算値の比率として、総劣化度が演算され得る。単位劣化情報60は、所定単位(例えば測定単位)での劣化度を比率により表現したものである。例えば、寿命相当の総積算値に対する現在の測定での積算値の比率として、単位劣化度が演算され得る。総積算値が交換予告条件を満たした場合(総積算値が第1判定値以上になった場合)、メッセージ表示欄62に交換を予告するメッセージが表示される。総積算値が交換通知条件を満たした場合(総積算値が第2判定値に到達し又はそれ以上になった場合)、メッセージ表示欄62に交換を促すメッセージが表示される。クロマトグラムの近傍に総劣化情報58及び単位劣化情報60が表示されてもよい。
【0032】
図6には第2表示例が示されている。図示の例では、総劣化情報64が棒グラフとして表示されている。同様に、単位劣化情報66が棒グラフとして表示されている。例えば、符号66aで示すレベルは、ある測定方法が適用された過去の測定(例えば1回目の測定)での単位劣化度を示しており、符号66bで示すレベルは、同じ測定方法が適用された現在の測定(例えば100回目の測定)での単位劣化度を示している。両者の対比から、同じ測定方法の実施であっても、1回の測定当たりの単位劣化度が異なること等を把握することが可能である。総劣化度に対して同様の比較表現を適用してもよい。
【0033】
上記の第1表示例及び第2表示例によれば、電子増倍管の劣化状況をユーザーに直接的に認識させることが可能であり、これにより、電子増倍管の交換を適時に行わせることが可能となる。また、一定単位ごとに劣化度を認識できるので、劣化度の観点から動作条件を見直す契機をユーザーに対して与えることができる。
【0034】
図7には第3表示例が示されている。図示の例では、キャリブレーション過程において、キャリブレーション画面70内に瞬時値71及び累積値72が表示される。瞬時値は単位時間(例えば1秒)当たりの瞬時劣化度を示すものであり、累積値はキャリブレーション開始から現時点までの累積劣化度を示すものである。瞬時値71及び累積値72を電流(電荷)積算値そのものとしてもよい。このような表示によれば、キャリブレーション過程において、電子増倍管の劣化を意識することが可能となり、ひいては電子増倍管の劣化を軽減できるキャリブレーション方法を見出すことが可能となる。
【0035】
上記実施形態では、総劣化度に応じて電子増倍管の印加電圧が自動的に調整され得る。これにより、劣化度によらずにゲインを一定に維持できるという利点も得られる。もちろん、そのような制御が不要であれば、自動調整機能をオフにすればよい。
【0036】
図8には第2実施形態に係る構成が示されている。第2実施形態において情報処理部12は、図1に示した情報処理部から積算部を除外したものに相当する。第2実施形態においては、電子回路24におけるプリアンプ26の出力が積算回路74に送られている。積算回路74はアナログ回路により構成され、プリアンプ26の出力を積算するものである。その積算値がADコンバータ76においてデジタル信号に変換されている。そのデジタル信号に基づいてプロセッサ30において総劣化情報や単位劣化情報が演算されている。このようにアナログ処理により積算値を求めるようにしてもよい。
【0037】
上記第1実施形態及び第2実施形態によれば、質量分析装置のユーザーに対して電子増倍管の劣化を評価する際に参考となる情報を提供できる。また、そのユーザーに対して電子増倍管の劣化を踏まえた対処を促せる。更に、電子増倍管の劣化に応じて電子増倍管のゲインを自動的に補償できる。
【0038】
第1実施形態及び第2実施形態において、電子増倍管の交換時に管理用DBが自動的にリセットされてもよい。試料単位で単位劣化度が演算されてもよい。総劣化度に基づいてマニュアルで電子増倍管の印加電圧が調整されてもよい。総劣化度の演算に際して、積算値に加えて、電子増倍管の印加電圧、及び/又は、電子増倍管の使用時間が考慮されてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 測定部、12 情報処理部、20 電子増倍管、24 電子回路、26 プリアンプ、28 ADコンバータ、30 プロセッサ、36 制御部、38 積算部、40 劣化度演算部、42 判定部、44 表示処理部、48 管理用DB。

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