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公開番号2019128091
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190801
出願番号2018009798
出願日20180124
発明の名称発電プラントの運用方法および火力発電プラント
出願人三菱日立パワーシステムズ株式会社
代理人個人,個人全 4 件を表示,個人,個人
主分類F22D 11/00 20060101AFI20190708BHJP(蒸気発生)
要約【課題】パウダースケールおよび白色スケールの形成を抑制できる発電プラントの運用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の幾つかの実施形態に係る発電プラント1の運用方法では、給水FのpHを9.8以上とし、復水脱塩装置6をアンモニア型で運用し、復水脱塩装置6の出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下に管理する。復水脱塩装置6は、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を備えた混床式脱塩部とすることが望ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲約 1,100 文字を表示【請求項1】
ボイラと、前記ボイラで発生した蒸気を回転エネルギに変換するタービンと、前記タービンから排出する蒸気を凝縮して復水にする復水器と、前記復水の不純物を処理して給水にする復水脱塩装置と、前記給水を前記ボイラに供給する給水ポンプを備えた発電プラントの運用方法であって、
前記給水のpHを9.8以上とし、
前記復水脱塩装置をアンモニア型で運用し、
前記復水脱塩装置の出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下に管理する発電プラントの運用方法。
【請求項2】
前記復水脱塩装置を、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を備えた混床式脱塩部とし、
前記復水脱塩装置に充填された前記アニオン交換樹脂および前記カチオン交換樹脂を比重差により分離し、分離した前記カチオン交換樹脂を再生液にて処理し、
再生後、前記復水脱塩装置に戻す前記カチオン交換樹脂におけるナトリウム型カチオン交換樹脂の未再生率を0.05%以下に管理する請求項1に記載の発電プラントの運用方法。
【請求項3】
前記復水脱塩装置として、前記混床式脱塩部の下流に、さらにカチオン交換樹脂部を設け、前記混床式脱塩部および前記カチオン交換樹脂部の順に復水を通す請求項2に記載の発電プラントの運用方法。
【請求項4】
前記復水脱塩装置として、カチオン交換樹脂部、鉄除去用フィルタ、アニオン交換樹脂部を復水の通水方向上流側から順に設け、該復水脱塩装置に復水を通す請求項1に記載の発電プラントの運用方法。
【請求項5】
ボイラと、前記ボイラで発生した蒸気を回転エネルギに変換するタービンと、前記タービンから排出する蒸気を凝縮して復水にする復水器と、前記復水の不純物を処理して給水にする復水脱塩装置と、前記給水を前記ボイラに供給する給水ポンプとを備え、
前記復水脱塩装置は、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を備えた混床式脱塩部と、該混床式脱塩部の下流に設置されたカチオン交換樹脂部とを有し、
前記混床式脱塩部および前記カチオン交換樹脂部の順に復水が通水される火力発電プラント。
【請求項6】
ボイラと、前記ボイラで発生した蒸気を回転エネルギに変換するタービンと、前記タービンから排出する蒸気を凝縮して復水にする復水器と、前記復水の不純物を処理して給水にする復水脱塩装置と、前記給水を前記ボイラに供給する給水ポンプとを備え、
前記復水脱塩装置は、復水の通水方向上流側から順に設けられたカチオン交換樹脂部、鉄除去用フィルタ、およびアニオン交換樹脂部を有する火力発電プラント。

発明の詳細な説明約 19,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は発電プラント、特に貫流ボイラを備えた火力発電プラントの運用方法および火力発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電プラントの主系統(ボイラ・タービン系統)において、水(プラント水)は循環することで、ボイラで発生した熱エネルギを蒸気タービンでの回転エネルギへと変換する。すなわち、水は、復水→ボイラ給水(給水加熱器)→ボイラ伝熱管水(ボイラ)→高温高圧蒸気→タービン膨張(タービン)→復水(復水器)へと循環している。
【0003】
火力発電プラントにおいて、ボイラ・タービン系統内での腐食発生、スケール生成・付着、タービンへのキャリーオーバーなどの障害を防止するために、プラント水処理が実施されている(特許文献1〜4参照)。
【0004】
ボイラ給水は、酸素処理(OT:Oxygenated Treatment)または揮発性物質処理(AVT:All Volatile Treatment)等により処理される。
【0005】
OTには、中性水処理(NWT:Neutral Water Treatment)および複合水処理(CWT:Combined Water Treatment)がある。貫流ボイラを備えた火力発電プラントでは、CWTが適用されている。CWTでは、スケール付着やスケール成長速度を抑制するために、アンモニアを添加してボイラ給水のpHをアルカリ性(pH8.0〜9.0)にするとともに、微量の酸素(O

)を添加することで、伝熱管内面酸化膜の保護皮膜を形成する(特許文献1参照)。
【0006】
AVTでは、系統構成材料の防食やスケール付着を抑制するため、アンモニア(NH

)を添加してボイラ給水のpHをアルカリ性(pH9.0〜9.6)にするとともに、ヒドラジン(N



)の添加などにより溶存酸素濃度を低減することで、伝熱管内面酸化膜の保護皮膜を形成する。
【0007】
また、火力発電プラントでは、AVTまたはOTによるボイラ給水の水処理とともに、復水脱塩装置による復水の処理が行われる。
【0008】
復水脱塩装置は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを備えた混床式が一般的である。図9を参照して、混床式の復水脱塩装置における不純物除去の原理を説明する。混床式の復水脱塩装置は、初期状態(または再生直後)において、OH型アニオン交換樹脂(R−OH)およびH型カチオン交換樹脂(R−H)が充填されている。「R」は樹脂を意味する。
【0009】
混床式の復水脱塩装置に不純物(Na

,Cl

)を含む水(入口水)を通すと、式(1)、式(2)に示す反応が生じ、OH型アニオン交換樹脂はCl型アニオン交換樹脂(R−Cl)になり、H型カチオン交換樹脂はNa型カチオン交換樹脂(R−Na)となる。樹脂から離れたOH

およびH

は高純度水(H

O)となり、出口水として排出される。
【0010】
R−H + Na

→ R−Na + H

・・・(1)
R−OH + Cl

→ R−Cl + OH

・・・(2)
【0011】
上記のように、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂は、イオン交換により不純物イオン(Na

,Cl

)を除去する。使用済のアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂がカチオン交換樹脂よりも若干比重が小さいことから、比重差により分離され、それぞれ図10,11に示すように、NaOHおよび酸で再生処理される。
【0012】
復水脱塩装置による復水の処理方法として、水素型運用およびアンモニア型運用が知られている。
【0013】
水素型運用では、H型のカチオン交換樹脂を用い、イオン交換により不純物を除去する。H型のカチオン交換樹脂は、水素よりもイオン選択性の高いカチオン(例えばNa

、NH


)を除去できる。水素型運用では、大部分のイオン交換樹脂がH型からNa型およびNH

型等に置換された後、運用を停止してカチオン交換樹脂を再生処理する。
【0014】
一方、アンモニア型運用では、NH

型のカチオン交換樹脂を用いる。アンモニア型運用といっても、通常、通水開始時は水素型運用される。復水には給水処理のために添加されたアンモニアが含まれており、このアンモニアによりカチオン交換樹脂はH型からHN

型に移行する。アンモニア型運用では、H型のカチオン交換樹脂の大部分がNH

型に置換された後も通水を続行する。近年の火力発電プラントでは、アンモニア型運用が多く採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
特開平7−76786号公報
特公昭62−5677号公報
特開2000−218110号公報
特開2015−147189号公報
【非特許文献】
【0016】
鈴木孝ら、平成26年度火力原子力発電大会論文集「酸素処理プラントへの復水脱塩装置アンモニア型運用の導入評価」、p.63−69
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
近年、いくつかのCWT適用プラントにおいて、ボイラ火炉壁伝熱管の内面への酸化鉄(ヘマタイト)の付着が問題となり、その要因はボイラ火炉壁伝熱管への鉄持ち込み量の増加にあることが判明している。
【0018】
ボイラへの給水中の鉄濃度が高くなると、鉄が酸化鉄(ヘマタイト)となり、伝熱管内面に付着する。また、復水脱塩装置のアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂に鉄粒子が付着する場合があり、発電プラントの負荷が大きく変動すると、樹脂に付着した鉄粒子が剥がれ、ボイラ伝熱管に持ち込まれて、酸化鉄(ヘマタイト)となる。
【0019】
ボイラの伝熱管内面に付着したヘマタイトは、熱伝導率の低い小粒径のポーラス状であることから、“パウダースケール”と称されている。パウダースケールは、伝熱性が低いためにボイラ給水による冷却が阻害されて、火炉壁伝熱管メタル温度上昇の要因となる。火炉壁伝熱管メタル温度が上昇すると、火炉壁伝熱管から給水や蒸気の漏洩トラブル等が生じるおそれがある。
【0020】
ボイラ伝熱管内面へのパウダースケールの付着を低減するには、ボイラ給水の鉄濃度を下げボイラへの鉄持ち込み量を低減すればよい。鉄濃度を下げるには、アンモニアの添加量を増やし、ボイラ給水のpHを更に上げて鉄の溶解度を下げることに効果があると考えられる。
【0021】
しかしながら、アンモニアの添加量を増やすと、それに由来してカチオン交換樹脂のHN

型への移行が早くなる。水素型運用の場合、復水脱塩装置の再生頻度が高くなり、再生スケジュールを考慮した連続運用を組めなくなる。水素型運用では、アンモニアの添加量を若干増やしてpHを少し高く設定して運用することが限界となる。また、アンモニア添加量の増加により、アンモニア排水も増えるため、排水処理設備の負荷が増加する。そのような事情から、本発明者らは、ボイラ伝熱管内面へのパウダースケールの付着を低減するために給水中のpHを上げるには、復水脱塩装置のアンモニア型運用が必要となると考えている。
【0022】
一方、本発明者らは、アンモニア型運用を行う火力発電プラントにて、タービンロータなどに白色スケールが付着している場合があることを発見している。本発明者らの分析によれば、白色スケールは、主成分として炭酸ナトリウム(Na

CO

←NaOH+CO

)、その他に炭酸水素ナトリウム(NaHCO

)、塩化ナトリウム(NaCl)を含んでいた。
【0023】
ナトリウム(Na)を含む白色スケールは、応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)の要因となるおそれがあり、微量のナトリウム(Na)が復水脱塩装置からリークを発生したことが一因と推察される。
【0024】
図12に、アンモニア型運用時の導電率およびNa濃度の変化履歴の一例を示す。混床式の復水脱塩装置におけるアンモニア型運用では、H型からHN

型へ移行する際、給水のナトリウム濃度が一時的に高くなる。これは、鉄粒子が付着した使用済のアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂は、それぞれをNaOHおよび酸で再生処理される際に課題があるためである。すなわち、再生時にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを比重差により分離する際に、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂に鉄粒子が付着すると、比重差が小さくなり分離効率が低下する。アニオン交換樹脂側にカチオン交換樹脂が混入し、NaOHで再生処理された結果、カチオン交換樹脂にNaが吸着されて、Na型カチオン交換樹脂が生成される。その後、復水脱塩装置で運用を再度継続すると、このNa型カチオン交換樹脂が、アンモニアなどの処理によりNH

型に転換される際に、ナトリウムをリークすることによるものである。
【0025】
JIS B 8223「ボイラの給水及びボイラ水の水質」によれば、従来のAVT適用プラントとOT適用プラントのボイラ給水のpHの適用範囲は、8.5〜10.0であり、ナトリウムに関する基準の記載はない。しかしながら、蒸気系にナトリウムが混入した場合に応力腐食割れなどの構成材料の腐食の原因となるため、ナトリウムの混入を極力防止することが重要であるとされながらも、蒸気中のナトリウム濃度とタービンの腐食との因果関係が明確でないことから管理値は設けていなく、経済的運転を達成しているユニットの実績を踏まえるとNa:10μg/L以下に保つことが望ましいとされるにとどまっている。
【0026】
また、ボイラ給水のpHの適用範囲と、復水脱塩装置出口でのナトリウム量に関する水質調査結果が非特許文献1にあり、AVT適用プラントのボイラ給水のpHは9.5以下のもの、OT適用プラントのボイラ給水のpHは9.1のものに対して、カチオン交換樹脂中のナトリウム含有率が増加するとナトリウムリーク濃度が増加する関係あり、実機試験でのナトリウムリーク濃度は0.2〜0.3μg/Lであることから、ナトリウム濃度の管理基準値を2μg/Lとしている記載がある。
【0027】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パウダースケールおよび白色スケールの形成の両方を抑制できる発電プラントの運用方法および火力発電プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題を解決するために、本開示の発電プラントの運用方法および火力発電プラントでは以下の手段を採用する。
【0029】
本開示の幾つかの実施形態は、ボイラと、前記ボイラで発生した蒸気を回転エネルギに変換するタービンと、前記タービンから排出する蒸気を凝縮して復水にする復水器と、前記復水の不純物を処理して給水にする復水脱塩装置と、前記給水を前記ボイラに供給する給水ポンプを備え、前記給水のpHを9.8以上とし、前記復水脱塩装置をアンモニア型で運用し、前記復水脱塩装置の出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下に管理する発電プラントの運用方法を提供する。
【0030】
pHを9.8以上とした給水とすることで、ボイラ給水中の鉄濃度1μg/Lを満足できる。ボイラ系統に持ち込まれる鉄は、構成材料から溶け出るものと、復水脱塩装置のアニオン交換樹脂に付着した鉄粒子が負荷上昇時に、はがれてボイラに持ち込まれるものとがある。鉄濃度を1μg/L以下とすることで、ボイラ火炉壁伝熱管内でのパウダースケールの形成を抑制でき、復水脱塩装置のアニオン交換樹脂への鉄粒子の付着量を低減できる。
【0031】
復水脱塩装置のカチオン交換樹脂をアンモニア型運用とすることで、pH調整用に添加されたアンモニアは復水脱塩装置を通過し、水素型運用の場合よりも再生処理の回数を減らすことができる。例えば、水素型運用の通水日数が4〜7日間程度であるのに対し、アンモニア型では約10倍程度の期間での使用が可能となる。これにより、再生スケジュールを考慮したボイラプラントの連続運用を行えるとともに、再生液の使用量および再生時に出る廃液の量を大幅に低減できる。
【0032】
復水脱塩装置の出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下としているため、給水pHを9.8以上としても、タービン内などでのナトリウムを含む白色スケールの形成を防止できる。
【0033】
本開示の一実施形態では、前記復水脱塩装置を、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を備えた混床式脱塩部とし、前記復水脱塩装置に充填されたアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を比重差により分離し、分離したカチオン交換樹脂を再生液にて処理し、再生後、前記復水脱塩装置に戻す前記カチオン交換樹脂におけるナトリウム(Na)型カチオン交換樹脂の未再生率を0.05%以下に管理するのが望ましい。
【0034】
Na型カチオン交換樹脂の未再生率が0.05%以下であれば、給水pHを9.8以上とした場合であっても、復水脱塩装置の出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下を満たすことができる。
【0035】
本開示の一実施形態では、前記復水脱塩装置として、前記混床式脱塩部の下流に、さらにカチオン交換樹脂部を設け、前記混床式脱塩部および前記カチオン交換樹脂部の順に復水を通すことが望ましい。
【0036】
混床式脱塩部のカチオン交換樹脂に付着した鉄粒子が剥がれたとしても、カチオン交換樹脂部で捕捉できる。これにより、ボイラ給水への鉄の持ち込みを低減でき、ボイラ火炉壁伝熱管内でのパウダースケールの形成を抑制できる。
【0037】
また、アンモニアはこの復水脱塩装置を通過することができるので、復水のpH濃度調整用に再度アンモニアを追加する工程を抑制できる。
【0038】
本開示の一実施形態では、前記復水脱塩装置として、カチオン交換樹脂部、鉄除去用フィルタ、アニオン交換樹脂部を復水の通水方向上流側から順に設け、該復水脱塩装置に復水を通してもよい。
【0039】
カチオン交換樹脂部とアニオン交換樹脂部とを独立した構成をすることで、使用済のアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂は、それぞれをアルカリ(NaOH)および酸(HCLまたはH

SO

)で再生処理されるため、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を比重差により分離して再生処理することが無い。このため、カチオン交換樹脂がアニオン交換樹脂に混入した場合に、再生処理でカチオン交換樹脂にNaが吸着されて、アンモニアなどの処理時にNaを漏出する恐れがなくなり、それによるナトリウムリークを防止できる。
【0040】
カチオン交換樹脂部とアニオン交換樹脂部との間に設けた鉄除去用フィルタは、カチオン交換樹脂部から出た鉄粒子を捕捉し、アニオン交換樹脂部へと流入するのを防止できる。アニオン交換樹脂部は、鉄除去用フィルタを通過した鉄粒子およびClを除去できる。その結果、アンモニアはこの復水脱塩装置を通過することができるので、復水のpH濃度調整用に再度アンモニアを追加する工程を抑制できる。
【0041】
本発明は、ボイラと、前記ボイラで発生した蒸気を回転エネルギに変換するタービンと、前記タービンから排出する蒸気を凝縮して復水にする復水器と、前記復水の不純物を処理して給水にする復水脱塩装置と、前記給水を前記ボイラに供給する給水ポンプとを備え、前記復水脱塩装置は、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を備えた混床式脱塩部と、該混床式脱塩部の下流に設置されたカチオン交換樹脂部とを有し、前記混床式脱塩部および前記カチオン交換樹脂部の順に復水が通水される火力発電プラントと提供する。
【0042】
本発明は、ボイラと、前記ボイラで発生した蒸気を回転エネルギに変換するタービンと、前記タービンから排出する蒸気を凝縮して復水にする復水器と、前記復水の不純物を処理して給水にする復水脱塩装置と、前記給水を前記ボイラに供給する給水ポンプとを備え、前記復水脱塩装置は、復水の通水方向上流側から順に設けられたカチオン交換樹脂部、鉄除去用フィルタ、およびアニオン交換樹脂部を有する火力発電プラントを提供する。
【発明の効果】
【0043】
本開示の幾つかの実施形態は、ボイラ・給水系統の鉄濃度、および、復水脱塩装置出口でのナトリウム濃度を管理することで、パウダースケールおよび白色スケールの両方の形成を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
火力発電プラントの模式図である。
pHと鉄濃度との関係を示す図である。
水質改善前後のボイラ火炉壁伝熱管断面写真をトレースした図である。
逆洗前後の混床式脱塩部内の樹脂の状態を示す模式図である。
鉄粒子が付着した樹脂について説明する図である。
pHによる未再生率とナトリウムリーク濃度との関係を示す図である。
第2実施形態に係る復水脱塩装置における不純物除去の模式図である。
第3実施形態に係る復水脱塩装置における不純物除去の模式図である。
混床式の復水脱塩装置における不純物除去の原理を説明する図である。
カチオン交換樹脂の再生処理について説明する図である。
アニオン交換樹脂の再生処理について説明する図である。
アンモニア型運用時の導電率およびナトリウム濃度の変化履歴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本開示では、発電プラントのうち、火力発電プラントおよびその運用方法について説明する。図1は、本開示の幾つかの実施形態に係る運用方法が適用される火力発電プラントの模式図である。
【0046】
火力発電プラント1は、貫流ボイラ(以下、ボイラ)2、タービン3、復水器4、復水ポンプ5、復水脱塩装置6、ブースタポンプ7、低圧給水加熱器8、脱気器9、給水ポンプ10、高圧給水加熱器11、薬液注入部12およびナトリウム検出器13を備えている。火力発電プラントの各構成は配管によって接続され、配管内を蒸気S、復水Cおよび給水F等の流体を流通させながら循環させるよう配置されている。
【0047】
図1の火力発電プラントでは、ボイラ2で高温高圧の蒸気Sを発生させ、その蒸気Sがタービン3内で膨張してタービンロータを回転駆動させる。タービン3には図示しない発電機等が連結されており、発電機にタービン3の回転動力を供給することで発電する。タービン3から出た蒸気Sは、復水器4で冷却・凝縮され、復水Cとして回収される。復水Cは復水ポンプ5により復水脱塩装置6に送り出される。復水脱塩装置6は、少なくともカチオン交換樹脂を備えており、復水中の不純物は復水脱塩装置6を通過することで除去される。
【0048】
復水から不純物が除去されてなった給水F

は、ブースタポンプ7により低圧給水加熱器8に送られる。ブースタポンプ7は、復水ポンプ5の吐出圧が所定の値よりも高い場合は省略しても良い。給水F

は、低圧給水加熱器8において温度が上昇させられて給水F

となった後、脱気器9でガスが除かれ給水F

となる。ガスが除去された給水F

は、給水ポンプ10により高圧給水加熱器11に送られ、更に温度上昇させられて給水F

となる。給水F

は、高圧給水加熱器11から出た後、ボイラ2に供給される。
【0049】
本開示の幾つかの実施形態に係る発電プラントの運用方法は、(i)給水F

のpHを9.8以上とし、(ii)復水脱塩装置6のカチオン交換樹脂をアンモニア型で運用し、(iii)復水脱塩装置6の出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下に管理することを特徴とする。
【0050】
(i)給水pH
薬液注入部12から給水にアンモニア(アンモニア溶液)を添加して、pH9.8(25℃)以上となるよう調整する。給水のpHは、好ましくは11.0以下とする。本開示の「pH」は、全て25℃で計測した値である。
【0051】
給水のpHは例えば、図示しないpH調整部で維持することができる。pH調整部は、復水脱塩装置6出口に設けた図示しない電気伝導率計や、脱気器9入口やボイラ2入口に設けた図示しない電気伝導率計の値からpHの値を推定し、給水中に追加必要なアンモニア量を算出する。アンモニアは薬液注入部12にある図示しないアンモニアタンクから送給ポンプを用いて、ブースタポンプ7の上流側で給水系統内へ所定濃度のアンモニア溶液を供給し給水系統水のpHを維持できる。
【0052】
給水のpHを9.8以上とすることで、鉄の溶解度を下げて給水中の鉄濃度を1μg/L以下に抑えることができる。ボイラ給水への鉄の持ち込みを低減でき、ボイラ火炉壁伝熱管内でのパウダースケールの形成を抑制できる。また、給水のpHは、11.0を超えて高くしていくと、ある値を境に鉄の溶解度が上昇するようになることから、給水中の鉄濃度を1μg/L以下に抑えるため、11.0以下が好ましい。また、アンモニアを用いてpH11以上とするには、相当量のアンモニアが必要となり現実的ではない。
【0053】
一例として表1に、火力発電プラントの実機において給水のpHを調整した際の、ボイラ入口での鉄量(g/hr)を示す。
【0054】
【0055】
表1によれば、給水のpHを上げることで、鉄濃度が下がることが確認された。表1には記載していないが、復水ポンプ5出口、ブースタポンプ7出口、低圧給水加熱器8ドレン出口、脱気器9入口および出口、高圧給水加熱器11ドレン出口等でも鉄濃度は下がった。
【0056】
また、図2(出典:Y.Shoda et al,“Flow Accelerated Corrosion Study Using Rotating Disc Specimen and The Outline of Iron Distribution Evaluation Code”,Proceeding of the International Conference on Water Chemistry of Nuclear Reactor System,Jeju(2006))によれば、pHを9.0から9.8まで上げると鉄濃度が1桁下がる。すなわち、ボイラ入口温度レベルである150℃〜250℃程度の給水においては、pHを9.8まで上げることで、給水中の鉄の溶解度を大きく低減できることを示している。
【0057】
また、別の火力発電プラントの実機において給水のpHを9.0から9.3に改善し、ボイラ入口の給水の鉄濃度を測定したところ、改善前(pH9.0)に3μg/Lであった鉄濃度は、改善後(pH9.3)に0.5μg/L以下となった。
【0058】
図3に、当該火力発電プラント実機の水質改善前後のボイラ火炉壁伝熱管断面写真をトレースした図を示す。同図において、(A)は改善前(pH9.0)、(B)は改善後(pH9.3)の断面である。図3によれば、pHを上げることで、火炉壁伝熱管内へのパウダースケール(ヘマタイト)の付着量は低減されていた。
【0059】
(ii)復水脱塩装置6のアンモニア型運用
給水のpHは、アンモニア濃度に依存する。例えば、25℃にて、pH9.0の給水のアンモニア濃度は0.3mg/Lである。pH9.3の給水のアンモニア濃度は0.7mg/Lである。pH9.5の給水のアンモニア濃度は1.5mg/Lである。
【0060】
給水のpHを上げると、アンモニア濃度も上昇する。アンモニア濃度が上がると、早期にカチオン交換樹脂がH型からNH

型への転換が飽和するが、本開示では、復水脱塩装置6をアンモニア型運用とすることで、水素型運用よりも樹脂の再生頻度を低くできる。それにより、アンモニア排水量を低減し、排水処理設備(不図示)の負荷を下げられる。
【0061】
(iii)復水脱塩装置6の出口におけるナトリウム濃度管理
復水脱塩装置6の出口において、ナトリウム検出器13でナトリウム濃度を連続モニターする。ナトリウムイオンは、ガラス電極法等により検出することで連続モニターできる。通水時、復水脱塩装置6出口のナトリウム濃度は1μg/L以下とする。復水脱塩装置6出口のナトリウム濃度が1μg/Lを超えた場合、通水を停止し、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の再生処理を行う。
【0062】
〔第1実施形態〕
本実施形態では、復水脱塩装置6を、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を備えた混床式脱塩部とする。混床式脱塩部に充填されているアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂は、所定のタイミングで再生処理する。
【0063】
「所定のタイミング」は、復水脱塩装置6の出口におけるナトリウム濃度が1μg/Lを超えた時点を含む。「所定のタイミング」は、規定量の復水が復水脱塩装置6に通水されたとき、復水脱塩装置6の圧力損失が規定値に達して規定値を超えた時点等を含んでもよい。また、復水脱塩装置6の出口に設けた図示しない電気伝導率計などが通常範囲でない異常な値を示すことが続いた時点を含んでもよい。
【0064】
再生処理後、カチオン交換樹脂の未再生率(R−Na%)を確認し、復水脱塩装置6に戻すカチオン交換樹脂の未再生率を0.05%以下に管理する。
【0065】
以下で、再生処理および未再生率の確認について、詳細に説明する。
(再生処理)
再生処理では、まず、使用後のアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂(不図示)をカチオン再生塔(不図示)へ移送する。水と空気による洗浄(スクラビング)実施後、逆洗し、比重差によりアニオン交換樹脂層とカチオン交換樹脂層とに分画する。
【0066】
図4に、逆洗前後の混床式脱塩部内の樹脂の状態を示す模式図を示す。同図において、(A)は通常運転時で逆洗前の状態、(B)は逆洗後の状態である。逆洗前、アニオン交換樹脂21およびカチオン交換樹脂22は、図4(A)のように混在している。図4(B)で、紙面上下方向が鉛直上下方向になるように設置して、下側から水洗流を流通して逆洗を実施する。
【0067】
アニオン交換樹脂21およびカチオン交換樹脂22の比重は、例えば、見かけ密度が0.82−0.92g/mlのカチオン交換樹脂22と、例えば0.8−0.9g/mlのアニオン交換樹脂21とを用いた混床式脱塩部であれば、水流で各樹脂粒が上流側へと流動化されることで、理論的には逆洗を行った後に、図4(B)のように比重差で重い方のカチオン交換樹脂層24が鉛直下側に配置されて、アニオン交換樹脂層23とカチオン交換樹脂層24とに分画される。
【0068】
アニオン交換樹脂21とカチオン交換樹脂22に鉄粒子25が付着している場合、両者の比重差が小さくなり、分画効率が低下する。分画効率が低下すると、図5に示すように、鉄粒子25が付着したアニオン交換樹脂21がカチオン交換樹脂層に混入する。
【0069】
その後の再生時にアニオン交換樹脂層にカチオン交換樹脂22が混入した状態で、NaOHで再生処理された結果、カチオン交換樹脂22にNaが吸着されて、Na型カチオン交換樹脂が生成されて、アニオン交換樹脂層にNa型カチオン交換樹脂が混入する。そうなると、復水脱塩装置で運用を再度継続すると、このNa型カチオン交換樹脂が、アンモニアなどの処理によりNH

型に転換される際に、ナトリウムをリークすることが危惧される。
【0070】
本実施形態では、給水pHを9.8以上として、給水中の鉄濃度を1μg/L以下にしている。これにより、アニオン交換樹脂21とカチオン交換樹脂22に付着する鉄粒子量を低減されるため、結果としてアニオン交換樹脂21とカチオン交換樹脂22との分画効率の低下を抑制できる。
【0071】
分画後、アニオン交換樹脂21をアニオン再生塔(不図示)に移送する。また、図4(B)に示したアニオン交換樹脂層23とカチオン交換樹脂層24とが接触する境界部分Mの樹脂(中間樹脂)は、別途、中間樹脂貯槽(不図示)へと移送する。移送する中間樹脂量は、樹脂メーカの推奨に従って設定すればよい。移送した中間樹脂は、1回後の再生処理サイクルで、逆洗前の混合樹脂に戻すことで、Na型カチオン交換樹脂の生成が抑制される。
【0072】
アニオン再生塔では、分離したアニオン交換樹脂21にアニオン再生液を通液し、イオン交換能を再生させる。その後、アニオン再生液を洗い流すため水洗する。アニオン再生液は、水酸化ナトリウム(NaOH)である。
【0073】
カチオン再生塔では、カチオン交換樹脂22にカチオン再生液を通液し、イオン交換能を再生させる。その後、アニオン再生液を洗い流すため水洗する。カチオン再生液は、硫酸または塩酸である。カチオン再生液は、イオン交換能を再生させるだけでなく、カチオン交換樹脂に付着した鉄粒子25(Fe



)を溶解・除去できる。このため、カチオン交換樹脂22の再生率は高い。
【0074】
(未再生率確認)
水洗したカチオン交換樹脂22から一部をサンプリングして未再生率を測定する。測定は、カチオン交換樹脂を採取して酸溶液に添加し、電磁波を照射してカチオン交換樹脂を溶解し、カチオン交換樹脂を溶解した液中のイオン濃度を分析し、得られたイオン濃度を基に未再生率を算出する。「未再生率」は、再生処理されたイオン交換樹脂(アニオン交換樹脂21およびカチオン交換樹脂22)中のNa型カチオン交換樹脂(R−Na)含有率(モル分率)であり、式(3)で算出される。
未再生率(モル分率)=Na型カチオン交換樹脂(R−Na)含有量/
(再生処理されたイオン交換樹脂量(カチオン交換樹脂)
・・・(3)
【0075】
未再生率が0.05%以下であった場合、カチオン再生塔に水洗後のアニオン交換樹脂を移送し、再生処理されたカチオン交換樹脂と混合し、混合樹脂とする。混合樹脂は水洗後、復水脱塩装置に戻す。
【0076】
未再生率が0.05%を超えた場合、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂は、復水脱塩装置(混床式脱塩部)6には戻さず、再び再生処理に供する。
【0077】
未再生率が0.05%を超えた場合の再生処理では、再生液の前に、除錆剤を含む洗浄液(25℃)に浸漬し(漬け置き)で樹脂表面に付着した鉄粒子25を除去するとよい。
これは、アニオン再生塔でのアニオン交換樹脂21へのアニオン再生液は、水酸化ナトリウム(NaOH)であり、アニオン交換樹脂21に付着した鉄粒子25(Fe



)を溶解・除去できないためである。このため、アニオン交換樹脂21の比重が増加し、カチオン交換樹脂22の比重との差が少なくなり、カチオン交換樹脂22の分離効率が低下する。アニオン交換樹脂21にカチオン交換樹脂22が混入していることで、NaOHで再生処理時にカチオン交換樹脂22にNaが吸着されたNa型カチオン交換樹脂が生成されることで、未再生率が上昇している。
従い、再生処理では、再生液の前に、除錆剤を含む洗浄液(25℃)に浸漬し(漬け置き)で樹脂表面に付着した鉄粒子25(Fe



)を溶解・除去処理を実施する。
【0078】
防錆剤は、キレート剤、還元剤、またはキレート剤と還元剤の混合剤である。キレート剤は、例えばEDTA、BAPTA、DOTA、EDDS、INN、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA-OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDSなどのアミノカルボン酸やこれらの塩などのアミノカルボン酸系キレート剤、クエン酸、グルコン酸、ヒドロキシ酢酸などのオキシカルボン酸やこれらの塩などのオキシカルボン酸系キレート剤、ATMP、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMP等の有機リン酸やこれらの塩などの有機リン系キレート剤である。還元剤は、例えば、Fe
2+
、Sn
2+
などの各種金属イオン、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、シュウ酸、蟻酸、アスコルビン酸、ピロガロールなどの有機化合物、ヒドラジン、水素などである。防錆剤を含む洗浄液は、pHが4〜8であり、好ましくはpHが5〜7である。キレート剤と還元剤の混合剤の場合、キレート剤が3〜5重量%、還元剤が1.5〜2.5重量%の間で適宜条件を選定するとよい。
【0079】
防錆剤には腐食抑制剤が添加されていても良い。洗浄液は、所望の洗浄力及び洗浄時間が得られるように、キレート剤、還元剤及び腐食抑制剤の濃度が適切に調整されている。洗浄液は、発泡を防止するための消泡剤を含んでいても良いし、含まなくても良い。本実施形態では公知の消泡剤を使用することができる。
【0080】
ここで、未再生率と、復水脱塩装置6出口でのナトリウムリーク量との関係について説明する。図6に、pHの違いによる未再生率(R−Na%)とナトリウムリーク濃度との関係を示す。同図において、横軸が未再生率(樹脂中のナトリウム含有率)、縦軸がナトリウムリーク量(μg/kg)である。図6によれば、同じ未再生率であれば、pHが高いほどナトリウムリーク量は増加した。
【0081】
復水脱塩装置6出口でのナトリウムリーク量(μg/kg)は、未再生率([RNa]%)とpHを指定することで、以下の式から算出したナトリウム濃度([Na]mol/L)から換算できる。
【0082】
K[Na/NH

]=([RNa]/[RNH

])×([NH

]/[Na])
・・・(4)
[RNa]=1−[RNH

]・・・(5)
(4)式、(5)式より
[Na]=(1/[RNH

]−1)×([NH

]/K[Na/NH

])
・・・(6)
Kは選択係数であり、pHを指定することで算定される。選択係数は樹脂の架橋剤含有量を前提とする。
【0083】
上記式(6)によれば、例えばpH9.6においては、R−Na%0.08%でナトリウムリーク量は1μg/Lを超える。
【0084】
上記式(6)によれば、例えばpH9.8においては、未再生率(R−Na%)が0.06%であるとナトリウムリーク量が1.2μg/L、未再生率が0.05%であるとナトリウムリーク量が1.0μg/Lとなる。
【0085】
本実施形態では、未再生率(R−Na%)を式(3)で算出して、0.05%以下に管理することで、アンモニア型運用した場合の復水脱塩装置6出口におけるナトリウム濃度を1μg/L以下にできる。
【0086】
発明者らにより、タービンロータなどに白色スケールの付着を確認してSCCの発生が危惧された火力発電プラントにおいて、復水脱塩装置出口のナトリウム濃度を測定したところ、定常のナトリウム濃度が約2μg/Lであった。また、当該火力発電プラントで復水脱塩装置6出口のナトリウム濃度を1μg/L以下に管理したところ、白色スケールの付着は無くなり、SCCの発生の心配を解消できた。
【0087】
本実施形態では、給水pHを9.8以上として、給水中の鉄濃度を1μg/L以下にしていることで、ボイラ伝熱管内面へのパウダースケールの付着を抑制する。また、鉄濃度を1μg/L以下にしていることで、復水脱塩装置6のアニオン交換樹脂21とカチオン交換樹脂22との分画効率の低下を抑制して再生処理後の性能回復を維持する。このときの再生処理の回復状況は、未再生率を算出して0.05%以下に管理することで、復水脱塩装置6出口のナトリウム濃度を1μg/L以下に管理することができ、白色スケールの形成を抑制できる。
【0088】
給水pHを9.8以上として、給水中の鉄濃度を低減してボイラ伝熱管内面へのパウダースケールの付着を抑制する。このとき図6に示したように、pHが9.8以上へと高くなると、復水脱塩装置6出口のナトリウムリーク濃度が増加し易くなる。このため、未再生率を0.05%以下に管理をすることで、復水脱塩装置6出口のナトリウム濃度を1μg/L以下とし、白色スケールの形成を抑制することができる。すなわち、パウダースケールの付着の抑制と、白色スケールの形成の抑制を一緒に行うことで、火力発電プラント1の運用に極めて重要な管理を同時に行うことができるので、さらに好ましい。
【0089】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、復水脱塩装置として、混床式脱塩部の下流に、カチオン交換樹脂部を設けている点が、第1実施形態と相違する。
【0090】
図7は、本実施形態に係る復水脱塩装置26での不純物除去の模式図である。本実施形態では、復水を混床式脱塩部27、カチオン交換樹脂部28の順に通水する。混床式脱塩部27では、NaおよびClの大部分と、Feの一部が除去される。混床式脱塩部27を通過したFeの大部分は、カチオン交換樹脂部28で除去できる。アンモニアは、混床式脱塩部27を通過し、カチオン交換樹脂部28で除去される。
【0091】
混床式脱塩部27に充填されたアニオン交換樹脂(不図示)およびカチオン交換樹脂(不図示)は、第1実施形態と同様に再生処理する。カチオン交換樹脂部28は、カートリッジなどで交換式のカチオン交換樹脂を交換してもよいし、再生処理して再利用してもよい。カチオン交換樹脂部28を、交換式とする場合は、火力発電プラント1の運転計画に基づいて、例えば数か月毎に定期的に交換するようにしてもよい。
【0092】
カチオン交換樹脂部28は、カチオン交換樹脂のみが充填されている。そのため、再生処理の際に、Na型カチオン交換樹脂がアニオン交換樹脂に混入する心配はない。アニオン交換樹脂21に混入したカチオン交換樹脂22が無いので、アニオン交換樹脂21をNaOHで再生処理された結果、Na型カチオン交換樹脂が生成されないので、NH

型に転換される際に、ナトリウムをリークすることない。また、カチオン交換樹脂の再生液は、鉄(鉄粒子25)を溶解・除去できるため、カチオン交換樹脂の比重が変わることがなく、アニオン交換樹脂21にカチオン交換樹脂22が混合することがなく、アニオン交換樹脂21をNaOHで再生処理された結果、Na型カチオン交換樹脂が生成されないので、NH

型に転換される際に、ナトリウムをリークすることない。すなわち、再生処理後に鉄およびナトリウムのリーク要因とはなりえない。
【0093】
カチオン交換樹脂部28は、混床式脱塩部27で除去しきれなかった一部のNaおよびClを除去できる。また、負荷変動により混床式脱塩部のイオン交換樹脂に付着していた鉄粒子25がはがれたとしても、カチオン交換樹脂部28で捕捉できる。これにより、ボイラ給水への鉄の流入を防止でき、ボイラ火炉壁伝熱管内でのパウダースケールの形成を抑制できる。
【0094】
また、復水脱塩装置26の再生処理後の性能回復を容易に維持するので、復水脱塩装置26出口のナトリウム濃度を管理することができ、白色スケールの形成を抑制できる。
なお、アンモニアはこの復水脱塩装置26を通過することができるので、ボイラ給水のpH濃度調整用に再度アンモニアを追加する工程を抑制できる。
【0095】
〔第3実施形態〕
本実施形態において、復水脱塩装置として、カチオン交換樹脂部、鉄除去用フィルタ、およびアニオン交換樹脂部を、復水の通水方向上流から順に設置する。
【0096】
図8は、本実施形態に係る復水脱塩装置36での不純物除去の模式図である。本実施形態では、復水をカチオン交換樹脂部37、鉄除去用フィルタ38、アニオン交換樹脂部39の順に通水する。カチオン交換樹脂部37では、Naの大部分と、Feの一部が除去される。カチオン交換樹脂部37を通過したFeの大部分は、鉄除去用フィルタで除去される。鉄除去用フィルタ38を通過した鉄およびClの大部分は、アニオン交換樹脂部39で除去される。アンモニアは、カチオン交換樹脂部37、鉄除去用フィルタ38、およびアニオン交換樹脂部39を通過するため、復水脱塩装置36の出口からはアンモニアを含む給水が排出される。また、アンモニアはこの復水脱塩装置36を通過することができるので、復水のpH濃度調整用に再度アンモニアを薬液注入部12でアンモニアタンクから送給ポンプを用いて、ブースタポンプ7の上流側で給水系統内へ所定濃度のアンモニア溶液を供給し給水系統水のpHを調整することを抑制できる。
【0097】
鉄除去用フィルタ38は、ポリプロピレン系プリーツ型エレメント等の交換式フィルタとするとよい。鉄除去用フィルタ38を、交換式とする場合は、火力発電プラント1の運転計画に基づいて、例えば数か月毎に定期的に交換するようにしてもよいし、鉄除去用フィルタ38の圧力損失が規定値に達して規定値を超えた時点等のタイミングに交換するようにしてもよいし、アニオン交換樹脂または/およびカチオン交換樹脂の再生処理を行うタイミングに交換するようにしてもよい。
【0098】
本実施形態では、カチオン交換樹脂部37とアニオン交換樹脂部39とが独立した構成とされることで、使用済のカチオン交換樹脂部37およびアニオン交換樹脂部39は、それぞれをNaOHおよび酸で再生処理されるため、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を比重差により分離して再生処理することが無い。このため、アニオン交換樹脂にカチオン交換樹脂が混入することがなく、カチオン交換樹脂がアニオン交換樹脂に混入した場合に、再生処理でカチオン交換樹脂にNaが吸着されて、アンモニアなどの処理時にナトリウムを漏出する心配はない。
【0099】
鉄除去用フィルタ38で捕捉された鉄粒子は、ボイラ・給水系統の負荷変動により捕捉した鉄がはがれ、アニオン交換樹脂部39へと流れることはない。これにより、アニオン交換樹脂部39に流入する鉄量を低減できる。このため、アニオン交換樹脂部39を再生する場合はアニオン再生液である水酸化ナトリウム(NaOH)では、アニオン交換樹脂に付着した鉄粒子(Fe



)を溶解・除去できないが、アニオン交換樹脂部39に流入する鉄量を低減されるので、再生までの期間を長くすることが出来る。さらに、アニオン交換樹脂部39へ流入するClの大部分は長期間にわたり再生しなくても処理を継続できるので、再生までの期間をさらに長くすることができる。
【0100】
また、ボイラ給水への鉄の流入を防止でき、ボイラ火炉壁伝熱管内でのパウダースケールの形成を抑制できる。
【0101】
復水脱塩装置36の再生処理後の性能回復を容易に維持するので、復水脱塩装置36出口のナトリウム濃度を管理することができ、白色スケールの形成を抑制できる。
【0102】
なお、アニオン交換樹脂部39は、鉄除去用フィルタ38を通過した鉄粒子およびClを除去できる。その結果、アンモニアはこの復水脱塩装置36を通過することができるので、復水のpH濃度調整用に再度アンモニアを追加する工程を抑制できる。
【0103】
アニオン交換樹脂部は、交換式のアニオン交換樹脂を交換してもよいし、再生処理して再利用してもよい。新品のアニオン交換樹脂であれば、Na型のカチオン交換樹脂の混入はないため、これに起因したナトリウムリークも生じない。
【符号の説明】
【0104】
1 火力発電プラント(発電プラント)
2 貫流ボイラ(ボイラ)
3 タービン
4 復水器
5 復水ポンプ
6,26,36 復水脱塩装置
7 ブースタポンプ
8 低圧給水加熱器
9 脱気器
10 給水ポンプ
11 高圧給水加熱器
12 薬液注入部
21 アニオン交換樹脂
22 カチオン交換樹脂
23 アニオン交換樹脂層
24 カチオン交換樹脂層
25 鉄粒子
27 混床式脱塩部
28,37 カチオン交換樹脂部
38 鉄除去用フィルタ
39 アニオン交換樹脂部

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