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公開番号2019111600
公報種別公開特許公報(A)
公開日20190711
出願番号2017245881
出願日20171222
発明の名称ダンパ装置、及び制振装置、
出願人株式会社日立製作所
代理人特許業務法人湘洋内外特許事務所
主分類B23Q 11/00 20060101AFI20190621BHJP(工作機械;他に分類されない金属加工)
要約【課題】 広い周波数帯の振動を抑制する。
【解決手段】 ダンパ装置は、中心軸の軸方向に移動可能な移動体と、前記移動体を往復運動させる往復運動制御部と、前記移動体と接触して前記移動体の往復運動を抑制する抑制部と、前記移動体と前記抑制部とを接触させる調整部と、を備え、前記往復運動制御部及び前記調整部の少なくとも一方は、制振対象となる被加工物の振動の測定結果に基づいて制御されることを特徴とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲約 2,000 文字を表示【請求項1】
中心軸の軸方向に移動可能な移動体と、
前記移動体を往復運動させる往復運動制御部と、
前記移動体と接触して前記移動体の往復運動を抑制する抑制部と、
前記移動体と前記抑制部との接触度合いを調整する調整部と、
を備え、
前記往復運動制御部及び前記調整部の少なくとも一方は、制振対象となる被加工物の振動の測定結果に基づいて制御される
ことを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のダンパ装置であって、
前記往復運動制御部及び前記調整部の少なくとも一方を制御するための、前記被加工物の振動の測定結果に基づいて生成された制御情報が入力される制御情報入力部を、
備えることを特徴とするダンパ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のダンパ装置であって、
前記被加工物の振動を測定するセンサ部を、
備えることを特徴とするダンパ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のダンパ装置であって、
前記抑制部の断面は、テーパ形状、凹円弧状、凸円弧状、または階段状である
ことを特徴とするダンパ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のダンパ装置であって、
前記抑制部は、前記調整部による前記移動体との接触度合いの調整により、前記移動体との接触面積が変化する
ことを特徴とするダンパ装置。
【請求項6】
請求項1に記載のダンパ装置であって、
前記移動体は、磁石から成り、
前記往復運動制御部は、コイルから成る
ことを特徴とするダンパ装置。
【請求項7】
制振対象となる被加工物の振動を測定するセンサ部と、
前記被加工物に取り付けられ、前記被加工物の振動を抑制するダンパ部と、
前記センサ部による測定結果に応じて前記ダンパ部の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記ダンパ部は、
中心軸の軸方向に移動可能な移動体と、
前記移動体を往復運動させる往復運動制御部と、
前記移動体と接触して前記移動体の往復運動を抑制する抑制部と、
前記移動体と前記抑制部との接触度合いを調整する調整部と、
を有する
ことを特徴とする制振装置。
【請求項8】
請求項7に記載の制振装置であって、
前記制御部は、
前記センサ部による測定結果を分析する周波数分析部と、
前記周波数分析部の分析結果に基づき、前記ダンパ部の制御モードとして、前記往復運動制御部を制御する第1制御モード、または前記調整部を調整する第2制御モードを選択する制御モード選択部と、
選択された前記制御モードに応じて、前記ダンパ部に対する制御情報を生成する生成部と、
を有する
ことを特徴とする制振装置。
【請求項9】
請求項8に記載の制振装置であって、
前記制御モード選択部は、
前記周波数分析部の分析結果として得られる前記被加工物の振動の周波数が所定の閾値未満である場合、前記第1制御モードを選択し、
前記被加工物の振動の前記周波数が前記所定の閾値以上である場合、前記第2制御モードを選択する
ことを特徴とする制振装置。
【請求項10】
請求項9に記載の制振装置であって、
前記生成部は、
前記第1制御モードが選択された場合、前記往復運動制御部を制御するための、前記センサ部による測定結果に追従して変化する制御信号を前記制御情報として生成し、
前記第2制御モードが選択された場合、前記調整部を制御するための、前記移動体と前記抑制部との接触度合いを調整する調整値を前記制御情報として生成する
ことを特徴とする制振装置。
【請求項11】
請求項10に記載の制振装置であって、
前記生成部は、
前記第1制御モードが選択された場合、前記調整値も前記制御情報として生成する
ことを特徴とする制振装置。
【請求項12】
請求項7に記載の制振装置であって、
前記移動体は、磁石から成り、
前記往復運動制御部は、コイルから成る
ことを特徴とする制振装置。
【請求項13】
請求項12に記載の制振装置であって、
前記抑制部の断面は、テーパ形状、凹円弧状、凸円弧状、または階段状である
ことを特徴とする制振装置。
【請求項14】
請求項13に記載の制振装置であって、
前記抑制部は、前記調整部による前記移動体との接触度合いの調整により、前記移動体との接触面積が変化する
ことを特徴とする制振装置。

発明の詳細な説明約 12,000 文字を表示【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置、及び制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
振動を能動的に抑制する構成として、例えば特許文献1には「伸縮可能なアクチュエータと、ポンプと、アクチュエータとポンプとの間に設けられてポンプから吐出される液体をアクチュエータへ供給してアクチュエータを伸縮させる液圧回路と、ポンプを駆動制御するコントローラとを備え、アクチュエータの伸縮速度に基づいてポンプの目標回転数を求めてポンプを制御する」サスペンション装置が開示されている。
【0003】
また、例えば特許文献2には「ラム6に設けられるウェイトWと、ウェイトWを振動変位させるアクチュエータ21〜24と、ラム6とウェイトWとの相対変位を計測する変位計25と、制御回路部30X,30Yと、制御回路部30X(30Y)により演算された制御信号に基づく電流をアクチュエータに供給する駆動部34,35とを備えている。制御回路部30Xは、ラム6の位置に対応するラム6の固有振動数に応じて制御定数ωを設定する制御定数設定部31と、制御定数ωおよび相対変位に基づいて、制御信号のゲインおよび位相を設定する演算部(目標値設定部32および位相シフトフィルタ33)とを備えている」制振装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2017−94808号公報
特開2014−184548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のサスペンション装置は、液体を媒体とするポンプ駆動によって制御されるため、応答速度が低く、対応できる振動の周波数帯が限定的である。
【0006】
特許文献2に記載の制振装置は、ラム6の固有振動数と、工具がワークを打撃する強制振動とに対しては制振効果を発揮するが、実際の加工ではこれら以外の振動要因が存在するので、より広い周波数帯の振動に対応して制振できることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、広い周波数帯の振動を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係るダンパ装置は、中心軸の軸方向に移動可能な移動体と、前記移動体を往復運動させる往復運動制御部と、前記移動体と接触して前記移動体の往復運動を抑制する抑制部と、前記移動体と前記抑制部とを接触させる調整部と、を備え、前記往復運動制御部及び前記調整部の少なくとも一方は、制振対象となる被加工物の振動の測定結果に基づいて制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、広い周波数帯の振動を抑制することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に係る一実施の形態である制振装置10の使用例を示す図である。
制振装置10の構成例を示すブロック図である。
ピーク周波数とゲイン値の関係の例を表す図である。
ピーク周波数と伝達関数の関係の例を表す図である。
制振装置10のダンパ部20の外観の一例を示す図である。
第1制御モードにおけるダンパ部20の断面の一例を示す図である。
制振装置10による制振処理の一例を説明するフローチャートである。
第2制御モードにおけるダンパ部20の断面の一例を示す図である。
第2制御モードにおけるダンパ部20の断面の一例を示す図である。
ダンパ部20の第1変形例を示す断面図である。
ダンパ部20の第2変形例を示す断面図である。
ダンパ部20の第3変形例を示す外観図である。
ダンパ部20の第3変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施の形態(以下、本実施の形態と称する)を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の本実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の本実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0012】
<本実施の形態である制振装置10の使用例>
図1は、本実施の形態である制振装置10の使用例を示している。
【0013】
制振装置10(のダンパ部20)は、加工装置1によって加工されている、制振対象と成る被加工物4の鉛直方向に固定された状態で使用される。
【0014】
加工装置1は、例えば切削工具2を有し、切削工具2を回転駆動させることによって、被加工物4を所望の形状に加工する。被加工物4は、この加工に際して振動してしまい、所望の形状からずれて加工されてしまうことがある。このような不具合の発生を防止するため、制振装置10のダンパ部20は、加工中の被加工物4に生じた振動を抑制するように駆動する。
【0015】
被加工物4に対するダンパ部20の固定方法は、治具等による固定、磁石による固定、溶接等の接着による固定等が想定される。なお、固定方法は、上述した例に限られず、加工中の振動によって外れない程度に固定できればよい。なお、制振装置10のダンパ部20を固定する位置は被加工物4に限らず、被加工物4の加工中に振動する位置であれば、例えば、被加工物4を固定する治具や加工装置1のテーブル(不図示)等であってもよい。
【0016】
次に、図2は、制振装置10の構成例を示すブロック図である。制振装置10は、ダンパ部20、及び制御部30から構成される。上述したように、ダンパ部20は、被加工物4に固定されるが、制御部30の配置は任意である。例えば、制御部30をダンパ部20と一体的に配置してもよいし、制御部30をダンパ部20から分離して被加工物4の振動が伝わらない位置に配置してもよい。制御部30とダンパ部20とを分離する場合、制御部30とダンパ部20との間の通信は有線を介して行ってもよいし、所定の無線規格を用いて行ってもよい。
【0017】
ダンパ部20(本発明のダンパ装置に相当する)は、センサ部21とコイル部22とを有する。センサ部21は、加速度センサ、速度センサ、変位センサ等の振動の挙動が測定できる機器から成り、被加工物4の振動を継続的に測定し、その測定結果を制御部30に出力する。コイル部22(本発明の往復運動制御部に相当する)は、制御部30からの制御情報に従い、ダンパ部20の内部で往復運動するマス50(本発明の移動体に相当する)(図6)の動きを抑制する。
【0018】
制御部30は、ダンパ部20のセンサ部21から入力される振動の測定結果に基づき、ダンパ部20の駆動を制御するための制御情報を生成してダンパ部20に出力する。
【0019】
制御部30は、周波数分析部31、制御モード選択部32、目標値設定部33、制御情報生成部34、及び入出力部35を有する。
【0020】
周波数分析部31は、ダンパ部20のセンサ部21から入力される、被加工物4の振動の測定結果を分析する。具体的には、振動の測定結果に対してFFT(高速フーリエ変換)を行い、その結果得られる周波数分析結果から、振動のピーク周波数を検出して制御モード選択部32に通知する。
【0021】
制御モード選択部32は、制御モードとして、振動の測定結果に追従してダンパ部20の駆動を制御する第1制御モード、または、振動の測定結果には追従せずにダンパ部20の駆動を制御する第2制御モードを選択する。
【0022】
なお、第1制御モードのように、振動の測定結果に追従してダンパ部20の駆動を制御するためには、演算処理に要するある程度の時間が必要であり、振動のピーク周波数が高くなると、それに追従できなくなる。一方、第2制御モードのように、振動の測定結果には追従しない場合、演算処理に要するある程度の時間が不要である。したがって、制御モード選択部32では、振動のピーク周波数と所定の閾値(例えば、1000Hz)とを比較し、振動のピーク周波数が所定の閾値未満である場合には第1制御モードを選択し、反対に、振動のピーク周波数が所定の閾値以上である場合には第2制御モードを選択するようにする。
【0023】
振動のピーク周波数と比較する所定の閾値については、予め決定されているが、ユーザが入出力部35を用いて変更することができる(詳細後述)。
【0024】
上述したように、第1制御モードでは振動の測定結果に追従してダンパ部20の駆動が制御されるので、第1制御モードをアクティブモードと称してもよい。一方、第2制御モードでは振動の測定結果に追従せずにダンパ部20の駆動が制御されるので、第2制御モードをセミアクティブモードと称してもよい。
【0025】
目標値設定部33は、第1制御モードが選択された場合、振動のピーク周波数に追従するダンパ部20のゲイン値を目標値として設定して制御情報生成部34に通知する。なお、目標値設定部33は、振動のピーク周波数とゲイン値との関係を表すテーブル等を保持しており、該テーブルを参照して、ダンパ部20のゲイン値を設定することができる。
【0026】
図3は、目標値設定部33が保持する該テーブルが表す、振動のピーク周波数とゲイン値との関係の一例を表すグラフである。該グラフは、横軸が振動のピーク周波数、縦軸がゲイン値を表しており、例えば、ピーク周波数が100Hzの場合、ゲイン値は1.0E+02に設定される。
【0027】
図2に戻る。また、目標値設定部33は、第2制御モードが選択された場合、目標値としてダンパ部20の減衰比ζ

と剛性k

を設定して制御情報生成部34に通知する。
【0028】
ダンパ部20の減衰比ζ

と剛性k

とは、例えば次式(1),(2)を用いて算出できる。
【0029】
【0030】
【0031】
式(1),(2)におけるμは、被加工物4とダンパ部20との質量比であり、質量比μ=m

/m

である。ここで、m

は被加工物4のモード質量であり、m

はダンパ部20のモード質量である。
【0032】
制御情報生成部34(本発明の生成部に相当する)は、第1制御モードが選択された場合、ダンパ部20が、目標値設定部33にて設定されたゲイン値を得られるような波形を有する制御信号を生成してダンパ部20に出力する。この制御信号は、ダンパ部20のコイル部22が電気駆動されるモータ等から成る場合、該モータ等を駆動する電圧値や電流値を決定するものとなる。
【0033】
また、制御情報生成部34は、第2制御モードが選択された場合、ダンパ部20が、目標値設定部33にて設定された減衰比ζ

と剛性k

を得ることができる、マス50に対するエラストマ52(図6)の接触度合いを表す調整値を出力する。なお、減衰比ζ

及び剛性k

と調整値との対応関係については、制御情報生成部34が予め保持しているものとする。
【0034】
入出力部35(本発明の設定部に相当する)は、ユーザからの入力を受け付ける入力デバイスと、ユーザに対して各種の情報を表示する表示デバイスとを有する。例えば、入出力部35は、制振装置10による制振処理の開始または終了を指示するユーザの操作を受け付ける。また例えば、入出力部35は、振動のピーク周波数とダンパ部20の伝達関数との関係を表すグラフを表示してユーザに提示し、該グラフを参照して周波数の閾値を変更するユーザの操作入力を受け付けて、制御モード選択部32に通知する。さらに例えば、入出力部35は、ユーザから制振の対象となる被加工物4の減衰比ζ

および剛性k

の入力を受け付けて目標値設定部33に入力する。なお、被加工物4の減衰比ζ

および剛性k

は、FEM(有限要素法)による周波数応答解析や、インパルス試験によって得ることができる。
【0035】
次に、図4は、振動のピーク周波数とダンパ部20の伝達関数との関係の一例を表すグラフである。該グラフは、横軸が振動のピーク周波数、縦軸がダンパ部20の第1制御モード(アクティブモード)における出力比(伝達関数)を示している。該グラフには、ダンパ部20のアクティブモードにおける得意とするピーク周波数と不得意とするピーク周波数が示される。例えば図4の場合、ピーク周波数が1000Hz以上になると伝達関数が低下し、十分な出力が得られなくなることがわかる。ユーザは該グラフを参照して周波数の閾値を変更すれば、ダンパ部20の駆動を調整することができる。
【0036】
なお、制御部30は、ハードウェアとして構成してもよし、ソフトウェアにより実現してもよい。制御部30をソフトウェアにより実現する場合、該ソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
【0037】
次に、ダンパ部20の詳細について、図5及び図6を参照して説明する。
【0038】
図5は、ダンパ部20の外観の一例を示している。図6は、ダンパ部20の断面の一例を示している。なお、図5及び図6に示されたダンパ部20は、図面の下側が被加工物4に固定される面となる。以下、ダンパ部20の図面下側の被加工物4に固定される面を固定面、図面上側の面を非固定面と称する。
【0039】
ダンパ部20は、その中心軸となるロッド65を有する。ダンパ部20は、非固定面側に、調整プレート駆動部67と調整プレート51を有し、固定面側に、ロッド65を中心とするベースプレート53を有する。なお、ロッド65は、ベースプレート53に固定されている。
【0040】
調整プレート駆動部67(本発明の調整部に相当する)は、制御部30から制御情報として通知される調整値に従い、調整プレート51を固定面側に移動させることにより、マス50をエラストマ52に押し付けて、マス50に対するエラストマ52の接触度合いを調整する。調整プレート駆動部67には、例えばリニアアクチュエータ、リニアモータを採用することができる。
【0041】
調整プレート51とベースプレート53の間には、ネオジム、フェライト等の永久磁石から成るマス50が、ロッド65を中心として設置されている。マス50は、粘弾性体61を介してロッド65に固定されている。粘弾性体61は、押さえ60によってマス50に固定されている。これにより、マス50は、限られた一定の範囲で、ロッド65をガイドとし、その軸方向に往復運動することができる。
【0042】
マス50には、ロッド65の軸方向に円筒状に溝が形成されており、該溝にはコイル部22を備えたコイル治具63が挿入されている。ただし、コイル治具63及びコイル部22は、マス50には接しないように設置されている。
【0043】
ベースプレート53は、被加工物4に対して固定される。ベースプレート53には、マス50に接触することによってマス50の往復運動を抑制するエラストマ52(本発明の抑制部に相当する)がロッド65を中心として固定されている。
【0044】
エラストマ52は、断面形状がテーパ形状を有しており、調整プレート駆動部67が調整プレート51を移動させる移動量71(図8)に応じて、マス50との接触面積が変化する。接触面積と、ダンパ部20の減衰比ζ

及び剛性k

との対応関係は、制御情報生成部13が、例えばテーブルとして保持している。一般的に、接触面積と剛性は比例の関係があるので、移動量71を増やすと接触面積が増加し、剛性を高くすることができる。
【0045】
なお、第1制御モードにおいては、図6に示されるように、エラストマ52がマス50に接触せず、これらの間にギャップ70ができるように調整されている。
【0046】
さらに、ベースプレート53にはセンサ部21が固定されている。ただし、センサ部21は加工中の振動が測定できればよいので、その固定位置はベースプレート53以外であってもよい。例えば、被加工物4や被加工物4を固定する治具等にセンサ部21を直接固定するようにしてもよい。
【0047】
またさらに、ベースプレート53には、端子54(本発明の制御情報入力部に相当する)が設けられている。端子54には、マス50を駆動するための電流や、制御部30からの制御情報が供給される。
【0048】
このような構成されるダンパ部20に対し、端子54から電流が供給されると、永久磁石から成るマス50の磁界においてコイル部22に電流が流れることによってローレンツ力が生じ、マス50が軸方向に移動することになる。第1制御モードでは、該ローレンツ力を推力とし、粘弾性体61を介してロッド65に固定されているマス50が、被加工物4の振動と逆位相で往復運動されて、被加工物4の振動を抑制する効果を得ることができる。
【0049】
<制振装置10による制振処理について>
次に、図7は、制振装置10に制振処理の一例を説明するフローチャートである。
【0050】
この制振処理は、例えば、加工装置1による被加工物4の加工を行うユーザ(作業者)からの開始指示に応じて開始される。
【0051】
はじめに、センサ部21が振動計測を開始し、その計測結果を制御部30に順次出力する(ステップS1)。次に、制御部30では、周波数分析部31がセンサ部21から入力される計測結果に対して周波数分析、具体的には、FFTを行い、その結果得られる周波数分析結果から、振動のピーク周波数を検出して制御モード選択部32に通知する(ステップS2)。
【0052】
次に、制御モード選択部32では、振動のピーク周波数と所定の閾値とを比較し、比較結果に応じて制御モードを選択する(ステップS3)。具体的には、振動のピーク周波数が所定の閾値未満である場合には第1制御モードを選択して処理をステップS4に進め、反対に、振動のピーク周波数が所定の閾値以上である場合には第2制御モードを選択して処理をステップS7に進める。
【0053】
ステップS3で第1制御モードが選択された場合、目標値設定部33は、振動のピーク周波数に追従するダンパ部20のゲイン値を目標値として設定して制御情報生成部34に通知する(ステップS4)。
【0054】
次に、制御情報生成部34は、ダンパ部20が、目標値設定部33で設定されたゲイン値を得られるような波形を有する制御信号を生成してダンパ部20に出力する(ステップS5)。ダンパ部20では、該制御信号に基づいて調整された電流が端子54を介してコイル部22に供給される。これにより、マス50が、被加工物4の振動と逆位相で往復運動し、被加工物4の振動を抑制することになる。この後、処理はステップS8に進められる。
【0055】
一方、ステップS3で第2制御モードが選択された場合、目標値設定部33は、目標値としてダンパ部20の減衰比ζ

と剛性k

を設定して制御情報生成部34に通知する(ステップS6)。
【0056】
次に、制御情報生成部34は、ダンパ部20が、目標値設定部33にて設定された減衰比ζ

と剛性k

を得ることができる調整値をダンパ部20に出力する(ステップS7)。ダンパ部20では、該調整値に基づき、調整プレート駆動部67が調整プレート51を固定面側に移動させることにより、マス50に対するエラストマ52の接触度合いを調整する。これにより、マス50の往復運動が抑制される。
【0057】
図8及び図9は、第2制御モードが選択されている場合のダンパ部20の断面の一例を示している。
【0058】
図8と図9を比較すると、図9の場合は、図8の場合よりも、調整プレート駆動部67による調整プレート51の移動量71が大きく、マス50のエラストマ52に対する押し付け量が増大し、マス50とエラストマ52との接触面積が増している。したがって、図9の場合は、図8の場合よりも、減衰比ζ

及び剛性k

が増した状態といえる。
【0059】
なお、上述した説明では、第1制御モードが選択された場合、マス50とエラストマ52との間にギャップ70を設けるようにしたが、第1制御モードが選択された場合において、該ギャップ70を設けずに、マス50をエラストマ52に押し付けるようにしてもよい。換言すれば、第1制御モードの制御と第2制御モードの制御を併用してもよい。
【0060】
図7に戻る。ステップS5またはステップS7の後、処理はステップS8に進められる。ステップS8では、入出力部35が、ユーザ(作業者)から終了指示があるか否かを判断する。ここで、終了指示がないと判断した場合(ステップS8でNO)、処理はステップS2に戻されて、それ以降が繰り返される。反対に、終了指示があると判断した場合(ステップS8でYES)、該制振処理は終了される。
【0061】
以上に説明した制振処理によれば、被加工物4の振動のピーク周波数が所定の閾値未満である場合には、被加工物4の振動に応じてマス50の往復運動を制御する第1制御モード(アクティブモード)が選択されるので、例えば、加工により被加工物4の形状が変化してその固有振動周波数が変化した場合でも、被加工物4の振動をより効果的に抑制することができる。
【0062】
また、被加工物4の振動のピーク周波数が所定の閾値以上である場合には、往復運動するマス50に対するエラストマ52の接触度合いが調整される第2制御モード(セミアクティブモード)が選択されるので、第1制御モードには劣るものの、被加工物4の振動を抑制することができる。
【0063】
したがって、制振装置10は、特定の周波数帯に限らず、広い周波数帯の振動を抑制することが可能となる。
【0064】
<ダンパ部20の第1変形例>
次に、図10は、ダンパ部20の第1変形例の断面図を示している。該第1変形例は、ダンパ部20の構成例(図6)におけるエラストマ52を、エラストマ80に置換したものであり、その他の共通する構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する。
【0065】
エラストマ80は、エラストマ52と断面形状が異なる。すなわち、エラストマ52の断面がテーパ形状であったのに対し、エラストマ80の断面は、凹円弧状であることが特徴である。
【0066】
断面がテーパ形状であったエラストマ52では、調整プレート駆動部67による調整プレート51の移動量71と、マス50とエラストマ52との接触面積とが比例関係であり、比例係数を考慮すれば、調整値を容易に設定できた。一方、該第1変形例におけるエラストマ80は、断面が凹円弧状であるため、移動量71と、マス50とエラストマ80との接触面積とは比例せず、移動量71を増やしても接触面積の変化が小さい。
【0067】
このような特性を有する第1変形例は、第2制御モードにおいて、ダンパ部20の減衰比ζ

及び剛性k

の感度を低くしたい場合、例えば、被加工物4の切削量が少ない加工に仕上げ段階での使用に適していると言える。
【0068】
<ダンパ部20の第2変形例>
次に、図11は、ダンパ部20の第2変形例の断面図を示している。該第2変形例は、ダンパ部20の構成例(図6)におけるエラストマ52を、エラストマ81に置換したものであり、その他の共通する構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する。
【0069】
エラストマ81は、エラストマ52と断面形状が異なり、その断面が凸円弧状であることが特徴である。
【0070】
該第2変形例におけるエラストマ81は、断面が凸円弧状であるため、移動量71と、マス50とエラストマ81との接触面積とは比例せず、移動量71が微増でも接触面積の増加が急激となる。
【0071】
このような特性を有する第2変形例は、第2制御モードにおいて、ダンパ部20の減衰比ζ

及び剛性k

の感度を高くしたい場合、例えば、被加工物4の切削量が多い粗加工の階での使用に適していると言える。
【0072】
<ダンパ部20の第3変形例>
次に、図12は、ダンパ部20の第3変形例の外観図を、図13は、ダンパ部20の第3変形例の断面図を示している。該第3変形例は、ダンパ部20の構成例(図6)におけるエラストマ52を、エラストマ82に置換したものであり、その他の共通する構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する。
【0073】
エラストマ82は、エラストマ52と断面形状が異なり、その断面が階段状であることが特徴である。
【0074】
該第3変形例におけるエラストマ82は、断面が階段状であるため、移動量71の変化に対して、マス50とエラストマ82との接触面積を離散的に変化させることができる。よって、ダンパ部20の減衰比ζ

及び剛性k

を段階的に変化させることができる。例えば、図13の場合、エラストマ82は、5段階の階段状であるため、ダンパ部20の減衰比ζ

及び剛性k

を5段階に調整することができる。また、ダンパ部20の減衰比ζ

及び剛性k

を無段階とする場合に比較して、調整値を容易に決定することができる。
【0075】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能となる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1・・・加工装置、2・・・切削工具、4・・・被加工物、10・・・制振装置、20・・・制振装置、20・・・ダンパ部、21・・・センサ部、22・・・コイル部、30・・・制御部、31・・・周波数分析部、32・・・目標値設定部、32・・・制御モード選択部、33・・・目標値設定部、34・・・制御情報生成部、35・・・入出力部、50・・・マス、51・・・調整プレート、52・・・エラストマ、53・・・ベースプレート、54・・・端子、61・・・粘弾性体、63・・・コイル治具、65・・・ロッド、67・・・調整プレート駆動部、70・・・ギャップ、71・・・移動量、80・・・エラストマ、81・・・エラストマ、82・・・エラストマ

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