TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024058679
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-26
出願番号2022165180
出願日2022-10-14
発明の名称リシール細胞セット及びその製造方法
出願人国立大学法人東京工業大学,国立大学法人 東京大学
代理人個人
主分類C12N 5/10 20060101AFI20240418BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明の目的は、疾患(例えば糖尿病)の病態の解析のための効率的なモデル細胞を提供することである。
【解決手段】前記課題は、本発明の2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む、リシール細胞、及びその製造方法によって解決することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む、リシール細胞。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である請求項1に記載のリシール細胞。
【請求項3】
2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む、2つ又は3つ以上のリシール細胞セットであって、前記2つ又は3つ以上のリシール細胞における外来性細胞質の比率が異なる、前記細胞セット。
【請求項4】
前記2つの異なる細胞の、一方の細胞の細胞質のみを含むリシール細胞、及び/又は他方の細胞の細胞質のみを含むリシール細胞を更に含む、請求項3に記載の細胞セット。
【請求項5】
前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である、請求項4に記載の細胞セット。
【請求項6】
請求項2に記載のリシール細胞、又は請求項5に記載の細胞セットを分析することを特徴とする、生命現象の解析方法。
【請求項7】
請求項2に記載のリシール細胞、又は請求項5に記載の細胞セットに、疾患の治療又は予防用候補物質を接触させることを特徴とする、治療又は予防用化合物のスクリーニング方法。
【請求項8】
(a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、
(b)2つの異なる細胞の外来性細胞質の混合物を添加し、インキュベートする工程、及び
(c)カルシウムイオンを添加し、インキュベートする工程、
を含む、リシール細胞の製造方法。
【請求項9】
前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である、請求項8に記載のリシール細胞の製造方法。
【請求項10】
(a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、
(b)2つの異なる細胞の外来性細胞質の混合物及びATPを添加し、インキュベートする工程、及び
(c)カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする工程、
を含み、前記(b)工程において、2つの異なる細胞の外来性細胞質の混合比率の異なる2つ又は3つ以上の混合物を用い、2つ又は3つ以上のリシール細胞のセットを調製する、リシール細胞セットの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リシール細胞セット及びその製造方法に関する。本発明によれば、例えば、疾患細胞の病態を、簡便に解析することができる。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
セミインタクト細胞リシール技術は、コレステロール依存性の膜穿孔活性を持つタンパク質毒素を利用することによって細胞膜に孔を形成させ、そして膜不透過性の化合物、生体分子、又は細胞質成分などを細胞内に導入し、その後、カルシウム依存的に、細胞膜の孔を封入し、リシール細胞を作製する技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
「サイエンティフィック・リポート(Scientific Reports)」(英国)2017年、第7巻、p1-14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、セミインタクト細胞リシール技術を用いて、正常細胞又は糖尿病細胞の細胞質をリシール細胞に封入し、正常細胞又は糖尿病細胞のモデル細胞を作製した(非特許文献1)。しかしながら、糖尿病の病態の解析を行うことは容易ではなかった。
本発明の目的は、疾患(例えば糖尿病)の病態の解析のための効率的なモデル細胞を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、疾患の病態の解析のための効率的なモデル細胞について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、セミインタクト細胞リシール技術により、2つの異なる細胞(例えば、疾患細胞と正常細胞)の細胞質の混合物をリシール細胞に封入することにより、容易に疾患の病態解析のための優れたモデル細胞を作製できることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1]2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む、リシール細胞、
[2]前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である[1]に記載のリシール細胞、
[3]2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む、2つ又は3つ以上のリシール細胞セットであって、前記2つ又は3つ以上のリシール細胞における外来性細胞質の比率が異なる、前記細胞セット、
[4]前記2つの異なる細胞の、一方の細胞の細胞質のみを含むリシール細胞、及び/又は他方の細胞の細胞質のみを含むリシール細胞を更に含む、[3]に記載の細胞セット、
[5]前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である、[3]又は[4]に記載の細胞セット、
[6][2]に記載のリシール細胞、又は[5]に記載の細胞セットを分析することを特徴とする、生命現象の解析方法、
[7][2]に記載のリシール細胞、又は[5]に記載の細胞セットに、疾患の治療又は予防用候補物質を接触させることを特徴とする、治療又は予防用化合物のスクリーニング方法、
[8](a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、(b)2つの異なる細胞の外来性細胞質の混合物を添加し、インキュベートする工程、及び(c)カルシウムイオンを添加し、インキュベートする工程、を含む、リシール細胞の製造方法、
[9]前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である、[8]に記載のリシール細胞の製造方法、
[10](a)細胞を含む培地に穿孔活性を持つ生物毒素を添加し、インキュベートする工程、(b)2つの異なる細胞の外来性細胞質の混合物及びATPを添加し、インキュベートする工程、及び(c)カルシウムイオンを含む培地を添加し、インキュベートする工程、を含み、前記(b)工程において、2つの異なる細胞の外来性細胞質の混合比率の異なる2つ又は3つ以上の混合物を用い、2つ又は3つ以上のリシール細胞のセットを調製する、リシール細胞セットの製造方法、及び
[11]前記2つの異なる細胞が、正常細胞及び疾患由来細胞、又は若齢細胞及び老齢細胞である、[10]に記載のリシール細胞セットの製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のリシール細胞によれば、容易に疾患の病態を解析することができる。また、疾患の病態の時間的経過を解析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
2つの異なる細胞(A細胞及びB細胞)の細胞質を用い、5つのリシール細胞のセットを作製した場合の模式図である。
2つの異なる細胞の細胞質を、不連続の混合比率でセミインタクト細胞に封入する実施態様(A)、及び連続した混合比率でセミインタクト細胞に封入する実施態様(B)を示した図である。
図3Aは、インスリン刺激後30分後に固定した病態進行モデル細胞系列において、20種類のタンパク質の核、細胞質、細胞全体でのこれらのタンパク質の変化するパターンを解析した結果である。図3Aの右の図は、インタクト細胞をインスリン刺激してからの60分間の細胞内蛋白質の時間的同調性を、PLOM-CON解析法により解析した図である。図3Bは、解析対象とするタンパク質の単一細胞内の「タンパク質量」を「特徴量」として、横軸を「病態進行過程」と考えて、バイオマーカーの探索を行った結果である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1]リシール細胞セット
本発明のリシール細胞セットは、2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む、少なくとも1つのリシール細胞を含む。
【0009】
《リシール細胞》
本発明のリシール細胞は、2つの異なる細胞の外来性細胞質を含む。本明細書において、「リシール細胞」とは、セミインタクト細胞リシール技術を用いて作製された細胞を意味する。具体的には、ストレプトリシン0などの蛋白質毒素の細胞膜穿孔活性を利用して細胞膜を穿孔し、細胞質を流失させた細胞(以下、セミインタクト細胞と称することがある)に、他の細胞又は組織等から調製した外来性細胞質を添加及び導入する。その後、Ca
2+
と細胞質因子依存的に、セミインタクト細胞の細胞膜にできた孔を閉鎖することによって作製される細胞である。限定されるものではないが、本発明のリシール細胞は、後述の「リシール細胞の製造方法」によって作製することができる。
【0010】
前記2つの異なる細胞は、特に限定されないが、例えば正常細胞及び疾患由来細胞、若齢細胞及び老齢細胞、又は前駆体細胞及び分化細胞が挙げられる。
(【0011】以降は省略されています)

特許ウォッチbot のツイートを見る
この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

個人
DNA増幅システム
2か月前
東洋紡株式会社
逆転写反応用組成物
20日前
三菱製紙株式会社
パルプの糖化方法
2か月前
株式会社ブラスト
細胞培養装置
1か月前
株式会社ブラスト
密閉チャンバー
1か月前
学校法人近畿大学
高感度PCR法
2か月前
澁谷工業株式会社
液体吸引装置
2か月前
国立大学法人 琉球大学
多糖の製造方法
3か月前
国立大学法人 東京大学
ゲノム編集技術
1か月前
相生ユニビオ株式会社
ウイスキーの製造方法
26日前
学校法人立命館
紐状構造物の製造方法
19日前
小林製薬株式会社
黒ずみ形成方法
1か月前
株式会社パウレック
培養装置及び培養方法
1か月前
東洋紡株式会社
核酸増幅用組成物の保存安定性向上方法
3か月前
国立大学法人神戸大学
油脂生産方法
3か月前
個人
急性ストレス評価用データの生成方法
6日前
松谷化学工業株式会社
アルコール飲料及びその製造方法
1か月前
国立大学法人東京海洋大学
熱処理リゾチーム組成物
25日前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
株式会社東海ヒット
完全閉鎖型灌流液送液系
26日前
学校法人明治大学
キラーT細胞の活性化方法
3か月前
日本精工株式会社
分注装置
2か月前
花王株式会社
リパーゼ変異体
1か月前
株式会社デンソー
バイオセンサ装置
1か月前
花王株式会社
変異プロテアーゼ
3か月前
個人
脱炭酸システム、ハイドロゲルおよびその製造方法
3か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
学校法人 中央大学
ナノ粒子検出方法
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
横河電機株式会社
誘電泳動装置
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
ビールテイスト飲料
1か月前
花王株式会社
リパーゼの探索方法
2か月前
続きを見る